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【ネタバレ有】映画「IT イット それが見えたら終わり」感想・疑問点の徹底解説!/ホラー要素もある、王道的ジュブナイル冒険活劇!

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【2017年11月29日更新】

かるび(@karub_imalive)です。

11月3日に公開された映画「IT/イット”それ”が見えたら、終わり。」(2017年版)を見てきました。公開館数は少ないながらも、口コミで若い映画ファンを中心に人気が広がり、この秋「台風の目」となっている作品です。

早速ですが、映画を見てきた感想やレビュー等、詳しい解説を書いてみたいと思います。
※本エントリは、後半部分でストーリー核心部分にかかわるネタバレ記述が一部含まれますので、何卒ご了承ください。できれば、映画鑑賞後にご覧頂ければ幸いです。

1.映画「イット(2017)」の予告動画・基本情報

▶映画「イット」公式予告動画
※画像をクリックすると動画がスタートします


動画がスタートしない方はこちらをクリック

【監督】アンドレス・ムシェッティ(「MAMA」)
【配給】ワーナー・ブラザーズ映画
【時間】135分
【原作】スティーブン・キング「IT」

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引用:IT - Pennywise Featurette - YouTube

本作でメガホンを取ったのは、アルゼンチン出身のイケメン若手監督、アンドレス・ムシェッティ。

すでに1990年に一度テレビドラマ化されていた「IT」ですが、少年期と大人時代の2本立てにしてリメイク&映画化企画が始まったのは今から7年前でした。紆余曲折を経て、当初企画&監督を務めていたキャリー・フクナガが方向性の違いから降板したあと、お鉢が回ってきたのがムシェッティ監督だったのです。

まだキャリアが浅い青年監督ですが、7人の主人公たちを上手に描き分けながら、、自然な形でチームへとまとまっていく前半のスキのないシナリオの流れや、過去作や原作を大切にしつつも、各種美術・演出での豊富なアイデアは確かな才能を感じさせるものがありました。

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引用:IT - Face Your Fears - YouTube

そして、原作はエピック・ホラー小説の世界的巨匠、スティーヴン・キングです。この「IT」は、彼のキャリア前半10年を締めくくる節目の重要作であり、実に4年もの歳月をかけて書かれた超大作でした。過去、映画史に残る名作「シャイニング」の出来には不満を漏らしていたキングですが、本作については、自身のイメージに近いものが出来上がったとのことで、かなり満足しているようです。

これは面白い!自由に視点を変えられるVR予告動画!

映画公開後、公式サイトから追加で公開されたのが、映画冒頭の4分間を再現したマウス(スマホなら指)で360度操作できるVR動画です。ペニーワイズに誘われて、下水道の奥底へと進んでいく動画は、ちょっとしたミニゲームのようで面白かったです!是非試してみてくださいね。

▶マウスで操作できる!VR予告動画
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2.映画「IT イット それが見えたら終わり」主要登場人物・キャスト

主演の7人の子役たちの確かな演技力も、作品のクオリティを支えた重要な要素ですが、本作での主人公たちの会話はその8割以上が現場でのアドリブによる即興芝居だったそうです。7人とも、本作が出世作になると思われ、将来が楽しみです。

主要登場人物

ビル(ジェイデン・リーバハー)f:id:hisatsugu79:20171115182741j:plain
引用:IT - Official Trailer 1 - YouTube
難易度の高いどもりの演技をきっちりこなした演技力の高さはさすが主役。メインキャラクター7人の中では、俳優としてのキャリアは一番抜けており、日本未公開ながら「The Confirmation」(2016)、「The book of henry」(2017)等、子役として映画出演が続いており、本作のあとにも2018年に2作「The True Adventures of Wolfboy」「Low Tide」など、引っ張りだことなっています。

ベバリー(ソフィア・リリス)f:id:hisatsugu79:20171115182723j:plain
引用:IT - Official Trailer 1 - YouTube
7年前に映画企画がスタートした当初は、クロエ・グレース・モレッツが起用予定でしたが、企画が頓挫しているうちにクロエがティーネイジャーではなくなってしまい(笑)、オーディションを最初からやり直した結果抜擢されたラッキーな経緯があります。撮影当初14歳だったソフィアですが、少女から大人になりかけの思春期特有の不安定な感じの妖しいエロさは、原作のイメージ通りでした。

リッチー(画像左/フィン・ウルフハード)f:id:hisatsugu79:20171115183803j:plain
引用:IT - MTV First Look - YouTube
NETFLIXで大人気のジュブナイル冒険ドラマ「ストレンジャー・シングス」シリーズでも活躍中。本作では、R指定となったことを受け、のびのびと「FXXX」ワードを連発していました。この時期の子供なのでただ背伸びして「FXXX」と言いたいだけなのかもしれませんが^_^;

マイク(チョーズン・ジェイコブス)f:id:hisatsugu79:20171115182814j:plain
引用:IT - Official Teaser Trailer - YouTube
6歳の時から地元・アトランタでコーラスを始め、10歳から子役俳優としてローカルな舞台・演劇でキャリアを積んできた、次世代を担う黒人俳優の若手ホープ。日本のマンガ「ナルト」ファンで、俳優としての将来の夢はマーベル映画への出演なのだそうです。本作では人種差別に悩み、目立たないように振る舞う内気な少年を好演。

エディー(ジャック・ディラン・グレイザー)f:id:hisatsugu79:20171115182954j:plain
引用:IT - MTV First Look - YouTube
幼少時から子役としてテレビやコマーシャル等で活躍してきたそうで、現在CBSのTVドラマ「Me, Myself and I」にも出演中。本作では母親の病的な過保護に悩む一番末っ子的な「チビ」キャラを演じました。

スタン(ワイアット・オレフ)f:id:hisatsugu79:20171115182850j:plain
引用:IT - MTV First Look - YouTube
7人の主人公の中では、主演のジェイデン・リーバハーの次にハリウッド映画で実績を残しており、映画「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」冒頭の、ピーター・クイルの幼年時代を演じた実績を買われての今回の抜擢となりました。(だいぶ変わってて全然気づかなかった・・・)

ベン(ジェレミー・レイ・テイラー)f:id:hisatsugu79:20171115183141j:plain
引用:IT - Official Trailer 1 - YouTube
映画では貴重な「おデブ」キャラとして、セリフは少ないながらも存在感は抜群だったベン。クレジットはされていませんが、マーベル映画「アントマン」(2015)にもチョイ役として出演していた実績があるそうです。

ペニーワイズ(ビル・スカルスガルド)f:id:hisatsugu79:20171115183246j:plain
引用:IT - Pennywise Featurette - YouTube
1990年のドラマ版「IT」から大幅に若返った今回のペニーワイズ役。主演の7人とは敢えて事前に顔合わせをせず、フレッシュな恐怖感を演出しようとした制作陣の仕掛けも奏功し、画面からは、子どもたちが本当に怖がっている感が伝わってくる好演でした。 

3.途中までの簡単なあらすじ

1988年秋、メーン州の田舎町、デリー。大雨が降った日、ビルの最愛の弟、ジョージイが行方不明となる事件が起きた。風邪を引いて静養中のビルをおいて、雨の中一人で外に出て完成させた紙製の船を走らせているうちに、ジョージイは下水道の側溝へと何者かに引き込まれ、連れ去られたのだった。

1989年6月。ジョージイの事件以降も、デリーでは子どもたちが度々行方不明になる事件が頻発していた。弟の失踪以来、すっかりどもりがひどくなったビルは、学校でいつも親友のリッチー、エディー、スタンと一緒にいた。彼らは、クラスメイトから「負け犬」と呼ばれ、不良少年のヘンリーたちにいつも目をつけられていた。

ヘンリーたちは、同じく「あばずれ」として女子から嫌われていたベバリー、他校から転校してきたものの、学校になじめなかったベン、内気な黒人のマイクなども目の敵にしていた。

ヘンリーたちと対決する中で、やがて「負け犬」グループとして結束を強める7人だったが、彼らには、もう一つ共通項があった。それは、それぞれ「ペニーワイズ」と名乗るピエロに襲われる怪奇現象を経験していたことだった。ペニーワイズは、ピエロ以外にも変身し、幻影を見せ、人の心を操ることもできた。彼ら7人が最も「こわい」と考える形をとって、学校や自宅、空き家など、様々な場所で出没するのだった。

彼らは、ペニーワイズを「それ」と名付け、立ち向かうことにした。彼らは、ジョージイを連れ去ったのも「それ」の仕業であると考え、ベンの調査した資料から居所を突き止めた。

町外れの空き家から、「それ」の居場所に入った一行だったが、そこでエディが脱臼し、ベンがケガをしてしまった。怖気づいた「負け犬」たちは、仲間割れして活動をやめて、日常生活に戻るのだった。

そして1ヶ月が過ぎた頃、「それ」は再び活動を開始し、紅一点のベバリーを連れ去ってしまう。ベバリーの危機に、再び「それ」を倒すために集結する「負け犬」たちは、再び「それ」が待つ下水道の奥深くへと向かうのだったー。

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4.映画「IT イット それが見えたら終わり。」の感想・評価

思ったより怖くはなかったけど、画面の作り込みは素晴らしかった!

「怖い!」という前評判を聞いて、見るまではかなり怖気づいていたのですが、見終わってまず感じたのは「それほどは怖くないかな」という率直な印象でした。というのも、恐怖演出が基本的には「子供目線」でなされているからです。

ピエロのペニーワイズを始めとして、マミーやグールなど、西洋的な妖怪たちが襲ってくる感じは、どこか大仰で作り物的な「お化け屋敷感」があって、ある程度予測がつくというか、心に余裕をもって見れる感じなのですよね。

個人的には、「呪怨」や「リング」などのJホラー系や、猟奇的なサイコパスの狂気がもたらす「次に何が起こるのかわからない」恐怖感が苦手だったので、本作の恐怖演出は、そこまで震え上がるほどではありませんでした。

ただし、様々なシーンでの「IT/それ」の登場シーンは、本当によく練り込まれていたと思います。ホラー映画といえば、ハリウッドでもすっかり低予算での一発狙いが主流(?)となりましたが、本作は低予算映画ではありません。制作費は約35億円と、それなりの規模感です。

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お化け屋敷の作り込みがコテコテで良かった!
引用:IT - Official Teaser Trailer - YouTube

その潤沢な予算を活かして、一つ一つのセットや美術での作り込みや、演出での工夫は納得の出来でした。廃れた洋館の(若干やり過ぎ感もあるくらい)コテコテなセットの作り込みや、暗くて不潔な下水道、自宅の気持ち悪い地下室、ラスボスと対決する下水道のメインホールのスケール感など、見どころ満載です。

また、スティーブン・キングがこだわったR指定となったこともあり、思春期の男子特有の品のない下ネタや、Fワードの連発、さらには流血を伴ったシリアスな暴力表現なども、原作に沿ってのびのびと出来ていたと思います。

むしろ大人たちの子供に対する振る舞いが怖かった!

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超過保護なエディーの毒親ぶりの怖さが凄い・・・
引用:IT - Official Teaser Trailer - YouTube

それよりも、映画内で登場する、デリーに住む病んだ大人たちが醸し出す不穏な恐怖感がやばかったです。

映画冒頭シーンから、すでに何かおかしいことに気付かされます。ビルの母親は暗い部屋の中、無表情でピアノで不穏な曲を弾いていますし、ジョージイが雨の中不審な動きをしているのに、近くの家にいた老婆は、心ここにあらずといった具合で、子供が誘拐されているのに完全に見て見ぬふりをします。。

さらに、淡々とで電柱に行方不明者のチラシを貼るおばさんや、子供に過干渉するサイコパスなエディーの母親、いつも昼間から働かず自宅にいて、ベバリーに性的虐待を続ける父親etc・・・

あとで映画をよく見ていくと、大人たちはみな多かれ少なかれ「IT/それ」に心を操られていることがわかってくるのですが、デリーの大人は、ほぼ全員が心の中に確実に深い闇を抱えていそうな人物ばかりなのです。「負け犬」たちの生き生きとした表情と対照的に描かれていた、闇を抱えた大人たちは、じわじわと鑑賞者に恐怖をもたらしてくれます。

思春期の子どもたちの勇気と友情の冒険活劇だった!

ただ、こうしたホラー要素を除けば、本作は、伝統的で王道を行く少年・少女たちの一夏の特別な経験を綴る、ジュブナイル冒険活劇として非常に良く出来ているんですよね。

「スタンド・バイ・ミー」meets「グーニーズ」みたいな感じでしょうか。また、大人たちを敵に回しての一夏の少年少女たちの戦い、という意味では、攻守は逆ですが宮沢りえの子役時代の代表作「僕らの七日間戦争」にも近さを感じます。

さて、「負け犬」グループとして集まってきた7人は、喪失感や罪悪感、親の過保護、性的虐待、人種差別など、様々なコンプレックスや課題を抱えています。弱くて、スクールカーストで言えば底辺にいるような7人が、秘密基地で集まって作戦会議を重ねる中で、次第に友情を育み、試練(=それぞれの自己の内側に抱える恐怖)に打ち勝って成長していく・・・。

と、同時に、やっぱり思春期で微妙なお年頃なので、友情だけでなく、仲間同士での恋愛関係もちゃんと忘れずに描かれているのも良かったです。男子たちの、ベバリーへの性的な興味を抑えきれない感じのそわそわした目線とか、彼女を中心とした淡い恋の三角関係が展開されていたりと、原作に沿って細かく思春期特有の人間模様も表現されていました。(もっとも、原作でのベバリーと6人の過激な乱◯シーンはカットされていて、そこはまぁ、当然、というか、、、妙にホッとしましたが^_^;)

そして、最後に「IT/それ」との最終対決後、エンディングの前に、子供から大人となるための通過儀礼的なシーン「血の誓い」もきっちり用意してあったのも素晴らしかったです。成長した少年・少女たちが、きっちり自らの子供時代に別れを告げて、それぞれの道へ旅立つラストには、大満足でした。

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5.映画「ITイット それが見えたら終わり。」に関する10の疑問点~伏線・設定を徹底考察!~

本作をより深く理解するため、ストーリーや設定について、その要点となりそうなポイントを考察してみました。内容上、映画を1度見終わった人向けのコンテンツとなりますので、ここからはネタバレ要素が強めに入ります。予めご了承下さい。

疑問点1:ペニーワイズには実際のモデルとなった人物がいた?

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引用:Wikipediaより

映画内で登場するピエロ「ペニーワイズ」には、実在のモデルがいます。アメリカで70年代~80年代にかけて、33人を誘拐・殺害した凶悪殺人犯、ジョン・ゲイシー(1942-1994)です。資産家で、表向きは地元の名士だったゲイシーは、その信用を隠れ蓑にして、パーティ会場などでピエロの格好に変装しては、少年を誘拐・殺害していました。

逮捕後の公判で、子供を自宅へと連れ込み殺害していた残忍な手口と猟奇的な殺害方法が明らかになり、彼は「キラー・クラウン」と呼ばれるようになり、子供達のピエロに対する親しみやすいイメージを一変させたといいます。

疑問点2:なぜイットは【ピエロ】の格好をしていたのか?

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引用:IT - Official Trailer 1 - YouTube

イットの本当の正体は、ピエロではありません。ピエロ姿=ペニーワイズは、イットが子どもたちの前で姿を表す一形態にすぎません。では、なぜ「ピエロ姿」であることが多かったのでしょうか?

恐らく、それは子どもたちにとって、「ピエロ姿」が一番身近な「恐怖」の対象だったからです。本来、「ピエロ」とは、マクドナルドの「ドナルド」のように、サーカスやパーティ等での陽気なコミックリリーフ的な存在でした。

しかし、厚化粧や仮面の下の本当の表情が読み取りづらく、何を考えているのかわからない不気味さや、前述のキラー・クラウンや、映画やTV等で繰り返し登場した「ネガティブ」なピエロ像によって、現代のアメリカでは、すっかりピエロは子どもたちにとっての恐怖の対象となってしまったのです。

実際、欧米では「道化恐怖症」(Coulrophobia)と言って、劇中でのリッチーのように、ピエロを見ると強い恐怖感を覚える人が増えているようです。(代表的な有名人は、ジョニー・デップなど)

疑問点3:イットは、なぜ子供ばかりを付け狙っていたのか?

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引用:IT - Face Your Fears - YouTube

イットは、27年毎に冬眠から覚めて、デリー周辺の人間を大人子供問わず捕食対象としましたが、中でも小さい子供を好んでターゲットにしていました。その理由としては、子供は「純粋な恐怖」に染まりやすいからです。

イットが捕食対象とするのは、「恐怖」に怯えた人間の肉体です。「恐怖」というのはイットにとって食事の「味付け」のようなものなのです。だから、劇中でも、イットが人間を捕食する際は、まず相手を「怖がらせてから」捕食していますよね。

精神状態も複雑で、恐怖だけでなく様々な感情が入り混じった反応をする大人よりも、単純でわかりやすく純粋な「恐怖」に染まりやすい子供のほうが「美味しく」感じたのです。

疑問点4:イットは、なぜデリーに住み、27年おきに猟奇殺人を冒していたのか?

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引用:IT - Face Your Fears - YouTube

小説版の説明によると、イットがデリーに住み着いた・・・のではなく、元々気の遠くなるほど太古(何億年前から)の昔から、地中深く住み着いたイットがいるところに、後からアメリカ人が入植して「デリー」という街を作り上げたのです。映画版では描写がカットされましたが、アメリカ人が入植を開始した16世紀には、すでにイットはデリーに住んでいたのですね。

イットの行動原理は、非常に単純です。食べて冬眠して、起きて、食べて冬眠して・・・を太古の昔から27年周期で行ってきたに過ぎません。昔から、その「狩り」の仕方として、人間に恐怖を与え、恐怖に染まった人間を捕食するという単純なパターンを繰り返しているだけなのですね。

疑問点5:デリーの大人は、なぜ子供たちに無関心だったのか?

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引用:IT - Official Trailer 1 - YouTube

デリーの大人たちは、揃いも揃ってイットに苦しむ子どもたちに対して冷淡で無関心でした。ビルの父親などは、息子が殺されたにもかかわらず、まるで臭いものにフタをするように、原因を突き止めようとするビルに辛く当たっていましたね。

この理由としては、デリーの町全体の捕食対象ではない(不味い)大人は、イットの行動の邪魔をしないよう洗脳され、操られていたのではないかと思われます。

たとえば、映画後半でヘンリーが、自宅へ戻って父親をナイフで刺殺するシーンがありましたが、その際にリビングにかかっていたピエロのコメディ番組は、映画のどのシーンでも流れ続けていました。このことから、イットによってデリー全体のTV放送が乗っ取られた結果、住民が知らず知らずのうちに洗脳されていたのかもしれません。

実際、ベバリーの父親はイットに操られていたことが明白です。彼には、イットによって血まみれにされた自宅のバスルームの惨状が全く見えませんでした。また、ベバリーがビルに会おうと外出しようとした時、彼女を突然呼び止め、無理やり虐待しようとしました。これに対して、ベバリーは父親を便座のフタのようなもので殴り倒しますが、その直後、イットはベバリーを拉致し、壁に子どもたちへの警告を残して去っていきました。イットはベバリーの父を通して、陰からベバリーを監視していたのでしょう。

長年、27年周期で大量殺人を繰り返し、皆が忘れた頃に町全体を慢性的な不安や恐怖に陥れてきたイットにとって、大人たちをマインドコントロールするのは容易い仕事だったのでしょうね。

疑問点6:イット(ペニーワイズ)の本当の正体とは?

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引用:IT - Face Your Fears - YouTube

小説版の説明を総合すると、イットの本当の正体は、太古の昔、別宇宙からやってきた邪悪なオレンジ色の光(意識体?)でした。地球では、通常はピエロやグールなど、「恐怖」を象徴するような何らかの物質的な形を取り、肉体を持っています。しかし、ベバリーがピエロの顔を覗き込んだ時、イットの本来の姿が垣間見えていました。その顔の奥に広大なオレンジ色の空間が広がっていましたね。

ちなみに、人間がこのオレンジ色の光を直視すると、人間の持っている恐怖と反応して、精神が崩壊して死に至ります。ベバリーが助かったのは、すでにイットに対して恐怖心を全く感じていなかったからなのでしょう。

疑問点7:キーフレーズ「浮く」とは何を意味していたのか?

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引用:IT - MTV First Look - YouTube

本作で繰り返しペニーワイズに扮したイットが子供に語りかけた「君も浮いてみる?」という言葉。「IT(1990)」でも多用されており、非常に謎でしたが、2017年版では、わかりやすく直接的に表現されていました。

すなわち、クライマックスシーンで、井戸の最深部のイットのアジトにおいて、イットが殺害した子どもたちの死体が実際に「浮いて」いたわけですが、要するに、「浮く」≒「イットに捕食されて死ぬ」と捉えて良いと思います。

実はもう一つえげつない解釈もあって、映画秘宝2017年12月号で紹介されていた解釈を引用すると・・・ペニーワイズのモデルになったウェイン・ゲイシー(上記「疑問点1」参照)が、殺した少年たちを自宅の床下に埋めていたところ、腐敗した死体の一部が泥の中から浮いてきてしまった逸話から、「浮く」という言葉を採っているのだとか・・・。怖い・・・。

疑問点8:べバリーはなぜ「浮いた」けど死ななかったのか?

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引用:IT - Pennywise Featurette - YouTube

ベバリーは、イットの放つオレンジ色の殺人光線を直視しましたが、仲間に奪還され、ベンにキスされることで精神を取り戻し、生還することができました。

ベバリーが助かった原因は、すでにイットに対して恐怖心を全く感じていなかったからなのでしょう。彼女は、彼女が最も恐怖を感じる対象=性的虐待をしようとする父親に対して、最後にハッキリ「ノー」を突きつけ、襲い掛かってくる父を撃退しました。これ以後、ベバリーにとっては、もはやこの世で怖いものはなく、イットですら恐怖の対象にはなり得なかったのでしょう。

子どもたちに「恐怖」を味わせて弱体化したところに襲いかかるイットにとって、「恐怖」克服したベバリーは強敵であり、何とか仮死状態で眠らせるのが精一杯だったのでしょうね。

疑問点9:描写が省略された「亀」について

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引用:IT - Official Trailer 1 - YouTube

原作では、イットと対決するにあたって、少年たちにアドバイスをくれるのが、イットと敵対関係にある、超古代から生きてきた「亀」という存在。彼らは「亀」の力を借りて、肉体を離れて精神世界のような別次元でイットと対決するのですが、やはり映画ではわかりづらいと判断されたのか、バッサリカットされ、イットとの対決は、通常の物理次元での攻防のみとなりました。

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引用:IT - Official Trailer 1 - YouTube

しかし、ビルが自宅で弟の幻影を見たシーンでは、彼は「亀」のレゴを持っていたり、全員で川遊びをした時、川の中に亀を発見したり(セリフだけ)と、原作に対して最低限の関連性を持たせていました。果たして、「Chapter2」では、この「亀」というすべてを超越するような超常的存在と交流するシーンがあるのか、要チェックですね。

疑問点10:結末・ラストの解釈は?続編はあるの?

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引用:IT - Official Trailer 1 - YouTube

7人との戦いに敗北して傷ついたイットは、粉々になりながら、「Fear」(恐怖)と言い残して、さらに井戸の奥深くへと消えていきました。これは、イットが約1年にわたる活動を終えて(1988年10月~1989年8月)27年後までの冬眠に入ったと解釈して良いと思われます。

なぜなら、オリジナル原作小説も、「IT(1990年版)」も、彼らの27年後を描く後半部分が残っているからです。その証拠に、ラストシーンで表示されたタイトルには「Chapter1」と出ていましたよね。また、スタッフロールの最後には、ペニーワイズの高笑いする声が響き渡っていました。これは何よりもイットが「死んでいない」何よりの証拠でしょう。

さて、そんなChapter2のアメリカでのリリース日が、ワーナー・ブラザーズ映画から正式に2019年9月6日と発表されました。脚本家の留任と、ペニーワイズを演じたビル・スカルスガルドの続投も決まり、監督のアンドレス・ムシェッティも続投が正式に決まる見込みだそうです。

肝心のストーリーですが、Chapter2では、彼ら7人が大人になった27年後、イットとの最終対決が描かれるはずです。キャストは一新される予定ですが、おそらく回想シーンも多用されるはずなので、今作で出てきた7人の姿もスクリーンで見れそうです。今から楽しみですね。

6.難解なストーリーを徹底的に解説したパンフレット!

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本作は、スティーブン・キングの文庫本4冊分の原作小説を、ギュッと120分程度の1本の映画へと圧縮しています。その分、非常に複雑な背景や難解なストーリーの謎が隠されていました。

今回、パンフレットを買ってよかったなと感じたのは、まさにこの点。ペニーワイズの正体を分析したページや、スティーブン・キングの原作小説を読み解きながら、「イット」の世界観をじっくり解説してくれるコンテンツが満載です。

▼ペニーワイズを徹底解剖!果たしてその正体は?f:id:hisatsugu79:20171129201704j:plain

▼スティーブンキングの原作を徹底分析した対談・コラムf:id:hisatsugu79:20171129202015j:plain 

このパンフレットは、Amazonでも買えるようです。リンクを置いておきますね。

7.まとめ

2部作に分けられたスティーブン・キングの大作の第1章であることが明らかにされた本作。少年たちの一夏のかけがえのない冒険として、非常に上質な文句のないクオリティでした。おすすめです!
それではまた。
かるび

8.映画をより楽しむためのおすすめ関連映画・書籍など

名作!TVドラマ版「IT(1990年版)」

1990年版のディム・カリー演じるピエロは、まるでマックの「ドナルド」そっくりで、ピエロに限って言うと2017年版以上に怖いです。少年時代・大人時代の両方を連続で1作品として編集されました。TV放送版なので若干表現は穏当になっていますが、それでも古さを感じさせない力作。2017年版と見比べるのも楽しいですよ!

スティーブン・キングの原作小説「IT」

1985年と1958年の描写を少しずつ交差させながら、2回に渡るイットとの対決を鮮やかに描ききった長編小説。文庫本4冊分の大ボリュームですが、一度読み始めると詳細な心理描写に引き込まれ、ページを捲る手が止まりません。完成するまで実に4年以上をかけた大作だけあって、映画とはまた違う奥深い味わいがあります。Kindleでの合本バージョンもオトクですよ。(4冊合本版はこちらから

ユリイカ2017年11月号「スティーヴン・キング特集」

本作公開に合わせて、満を持して大特集が組まれたユリイカでの「スティーヴン・キング」特集号。これまで20作以上が映画化され、中でも『キャリー』『シャイニング』『スタンド・バイ・ミー』など人々の記憶に残る名作も多いキング。「ホラーの帝王」スティーヴン・キングについて、その「小説」「映画」の両面から、魅力を徹底解説したディープな評論本でした!

スティーヴン・キング作品は、まとめてU-NEXTで!

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2017年、「セル」が公開され、さらに2018年初頭には、キングのライフワークでもある超巨編「ダークタワー」のリリースも控えるスティーヴン・キング原作映画作品。

実は、彼の代表作は、そのほとんどをU-NEXTで「見放題」にて見れるのです!スタンド・バイ・ミー」、「キャリー」、「グリーン・マイル」など、まず抑えておくべき作品が、気軽に見放題=無料でチェックできるのは非常に嬉しいところ。

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意外な穴場?オットー・ネーベル展は不思議な魅力がある美術展!【展覧会レビュー・感想】

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かるび(@karub_imalive)です。

Bunkamuraで開催中の、オットー・ネーベル展。おそらく相当なマニアであっても、100人中98人くらいは「誰それ?」っていう反応になりそうな、日本ではまだあまり馴染みのない作家の、日本初となる回顧展です。

ちょうど11月28日に開催された、ブックカフェ6次元主催の「オットー・ネーベルナイト」という、美術館内で行われたトーク&内覧イベントで詳しい解説を聞きながら見て回ったのですが、ドイツ表現主義の流れを汲んだ、不思議な魅力のある作風の抽象画家でした。

さっそくですが、行ってきた感想を簡単に書いてみたいと思います。

※なお、本エントリで使用した写真は、予め主催者の許可を得て撮影させていただいたものとなります。何卒ご了承下さい。

オットー・ネーベル展について

オットー・ネーベルって誰なの?

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引用:展覧会解説パネルより

オットー・ネーベル(1892-1973)は、1920年代~1970年代までの約50年間、抽象絵画を職人的につきつめて描いた、ドイツ表現主義に属する抽象絵画作家です。その作風は、1920年代~30年代、ワイマールのバウハウスで教育者・芸術家として親交を深めたパウル・クレーやカンディンスキーに多大な影響を受けています。

バウハウスがナチス政権の迫害を受け、閉鎖された後も、パウル・クレーとオットー・ネーベルは、共にスイスのベルンに亡命し、以降、生涯に渡って家族ぐるみでの付き合いを続け、互いの作品を見せあっては腕を競い合っていたようです。

▼美しいベルンの街並み
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引用:Wikipediaより

彼の経歴の面白いところは、ナチスに追われ、ドイツからスイスのベルンへ亡命してからしばらく、永住権の申請許可を待つ間、芸術活動と並行して、食べるためにラジオのアナウンサーや、舞台俳優の仕事もしていたということ。売れない若手芸人みたいに、そのへんのコンビニバイトで食いつないでいた、っていうわけじゃなくて、よりによって俳優業ですからね・・・。

貧困に耐え抜いて絵画一本で・・・という気難しい絵画職人なのかと思ったら、意外ににも、柔軟に環境に適応して、その場で生活と芸術のバランスを取ってやりくりできるタフな一面もあったようです。

それにしても、オットー・ネーベルという画家は、本当に日本では無名なのですね。参考書籍も一切なく、Amazonで書籍を調べても1冊もヒットしませんでした。(こんなこと初めてです・・・)

Bunkamuraで制作された簡単な紹介動画も合わせて貼っておきますね。お時間のある時、ぜひチェックしてみて下さい。

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展覧会の内容は?

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そんなオットー・ネーベルですが、没後約45年を経て、今回はじめてBunkamuraと京都文化博物館にて、日本初の大規模な回顧展が開催されることになったのです。

展示点数は、全150点。かなりの点数が揃いました。展覧会前半では、彼が所属したバウハウスの紹介や、まだ作風が固まっていない時代の初期作品が、中盤から後半にかけては、彼が影響を受けたパウル・クレーワシリー・カンディンスキーの作品と共に、ゆるやかに年代別・テーマ別に、ネーベルの作風が確立されて以降の作品が展示されています。

僕が行ったこの日は、荻窪のカフェ6次元のオーナー、ナカムラクニオさんが主催する出張トークイベント「オットー・ネーベルナイト」がちょうど開催されていました。実は、僕はこのオットー・ネーベル展は、開催初日にすでに一度見ていたのですが、恥ずかしながら1回では全く理解できず、今回、このイベントに参加させていただき、リベンジとあいなりました。

▼トークイベントの様子
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イベントには、いつものカフェでの20~30人規模ではなく、100人弱くらいは参加者がいたかもしれません。6次元のお客さんらしく、実に8割以上は女性客で、一人で参加している人が多かったイメージです。熱心なファンっているところにはいるものなのですね~。

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ともかくも、6次元のトークイベントで、中村さんと学芸員さんのわかりやすい解説により、バウハウスの美術史に与えた影響や、その中でのオットー・ネーベルの立ち位置など、非常に勉強になりました。この日のために、わざわざ手書きでの別途資料を作って印刷してくださって、本当にわかりやすかったです。

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家に帰ってから、アートは素人な家族に、オットー・ネーベルの魅力について、ここぞとばかりしったかぶりして、たっぷりとレクチャーを聞かせてやりましたよフフフ。

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オットー・ネーベルの作品の魅力とは?

見ると不思議と癒やされる、穏やかな雰囲気の作品たち

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左:「純潔と標準」右:「予言」(ともにオットーネーベル財団蔵)

オットー・ネーベルの手がけた作品の大半は、何かを具体的に表した「具象絵画」ではなく、ドイツ表現主義の流れを汲む、「抽象絵画」なのです。

漠然とした幾何学を組み合わせたような図像的なイメージだったり、ルーン文字や易経、音楽からインスピレーションを得て制作された完全に100%抽象的なイメージだったりと、基本的にはぱっと見て、何が描いてあるのかわからないように計算されています。

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左「近東シリーズより イスタンブールⅣ」右「近東シリーズよりアッティカⅠ」(ともにオットーネーベル財団蔵)

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左下「冬の構成」中上「満月のもとのルーン文字」右「運命のルーン文字」(全てオットー・ネーベル財団蔵)

面白いのは、じっと見ていると、その色彩感覚やテクスチャー、構図などには、見ていると不思議と引き込まれるような魅力があること。なんだかわからないのですが、「あー、ずっと見ていたいな・・・」という感じにさせられるのです。

クレーやカンディンスキーよりもさらにデザイン寄りと言うか、構図や色彩に妙な安定感もあって、よくできた工芸作品を観ているような気分にもなりました。

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左:「秋祭り」右:「輝く黄色の出来事」(ともにオットーネーベル財団蔵)

おそらく、自宅などの洋間にかけてあっても、インテリアとして周りの空間に穏やかに馴染んでいることでしょう。なお、展覧会には、カンディンスキーやパウル・クレーの作品も何点か展示されており、オットー・ネーベルの作品と比較しながら楽しむことができるようになっています。

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上記全てカンディンスキー作品、左から、「小さな世界2」「小さな世界3」「小さな世界4」「小さな世界7」(全て宮城県美術館蔵)

職人的に作り込まれた丁寧な作品たち

ここ最近は、絵画でも工芸でも、圧倒的に作り込む「超絶技巧」的な展覧会が静かなブームとなっていますが、彼の手がけた作品もまた、驚くほど細かく、神経を使った丁寧な仕上がりが特徴的です。

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左「青い広間」右「高い壁龕」(ともにオットー・ネーベル財団蔵)

例えば、何層にも丁寧に塗られた油彩絵具や、0.1ミリ単位で計算しつくされた点描での徹底した描き込み、調和の取れた色彩感など。こういった作品の圧倒的な作り込みは、チラシやWebの画像ではもう一つわかりません。実物を、直に至近距離からじっくり見てみると、その凄さが体感できました。(だから、ぜひ展覧会へ足を運んで下さい!)

もともと、ネーベルはこういったエンジニア的な職人気質があったようで、全てにおいて几帳面に物事を進めるタイプだったようです。

▼手書きで自らまとめた所蔵品リストf:id:hisatsugu79:20171201022149j:plain

例えば、それが一番良くわかるエピソードとしては、晩年になるまで、彼は自分自身の制作した作品の全てを、今誰がどこで所蔵しているのかまで含めて、完璧な作品リストを自ら手がけていたということです。(きっと後世に自分の名前を残したかったのでしょうね。)

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「イタリアのカラーアトラス(色彩地図帳)」(オットー・ネーベル財団蔵)

また、チラシのデザインにもなっているのですが、オットー・ネーベルはイタリア旅行に行った時、訪れた土地の色彩のイメージを、「カラーアトラス」(色彩地図帳)というスケッチ帳に、丁寧にまとめているんですよね。それ以後は、このイタリア旅行時に描き溜めたカラーアトラスの色彩配置や組み合わせを参考に、作品を手がけていくことも多かったのだとか。

でも、最終的には自分の感性でじっくり見るのがオススメ!

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引用:映画「燃えよドラゴン」より

まぁ、あーだこーだ、僕がブログで下手な講評を書き散らしたのを読んでいるよりは、まずは展覧会に行って、ぜひオットーネーベルの絵画と向き合ってみて下さい!

具体的な形のない、ほぼ純粋な「抽象絵画」ですが、決して心がネガティブな方向にざわつくような作品ではなく、向き合っていると、次第に心が落ち着いてきて、幸せな気分になれる作品群ばかりです。優しい色彩と、不思議なテクスチャー(筆触)の世界を思う存分、楽しんでくださいね!

展覧会グッズも魅力的!

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で、一緒にイベントに参加したキンさん(建築・デザイン系に強いベテランアートブロガー)もブログで書いていらっしゃるのですが、オットー・ネーベルの作品は、色使いだったり、全体の雰囲気だったりが、どこかしら牧歌的な「かわいさ」に溢れた作品が多いので、必然的にそこから派生して作られるグッズ類も、可愛い感じなのが多いんですよね。持ってるだけで癒やされるというか。

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しかし、僕が今回買ったのは、オットー・ネーベルではなく、なぜかカンディンスキーのハンカチだったのですが(苦笑)せっかくなので、これ、子供の小学校の給食用ランチョンマットにしてやろうかと企んでおります(←英才教育のつもり)

▼不思議と見飽きないカンディンスキーの抽象画ハンカチf:id:hisatsugu79:20171201020240j:plain

そうそう、図録もちゃんと売っています。というか、事実上この公式図録が、今のところ唯一といっていい「オットー・ネーベル」について入手可能な日本語での書籍となるので、20世紀抽象画ファンの人にはマストアイテムかもしれません!

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混雑状況と所要時間目安

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基本的には、今回の展覧会はそれほど混雑しないはずです。(抽象絵画の展覧会で並んでいることってそうそうないですから・・・)ぜひ、じっくりと絵画に近づいて、きめ細かく描きこまれた筆触や、こだわりの点描など、ネーベルの職人魂あふれる作品を味わってみてくださいね。

所要時間は、約60分~90分あれば十分でしょう。オススメは、藤井隆のナレーションで語られる、オットー・ネーベルの紹介ビデオコーナーです。展覧会内での紹介動画としては、15分間とかなり長めのビデオですが、わかりやすくオットー・ネーベルの生涯や、その作品・作風について丁寧に説明してくれます。

まとめ

事前に配布されていたフライヤーのデザインを初めて見た時、北欧家具の大御所デザイナーかなんかの回顧展かな?と思ったのですが、行ってみれば、カンディンスキーやパウル・クレーに近い作風の抽象絵画作家でした。

決して難解な感じはなく、見たまんまに自分の感性で感じ取れれば、温かい気持ちになって帰路につける、そんな穴場的な良い展覧会です。日本ではマイナーな作家ですが、展覧会マニア達をも納得させる、ハイクオリティ作品が並んでいます。ぜひ、気軽に立ち寄ってみてくださいね。

それではまた。
かるび

展覧会開催情報

「オットー・ネーベル展」は、東京展のあと、2018年4月~6月にかけて、京都文化博物館へと巡回予定です。版画作品を中心として若干の展示内容変更があります。

◯美術館・所在地
Bunkamuraザ・ミュージアム
〒150-8507 東京都渋谷区道玄坂2-24-1
◯最寄り駅
JR・東急・地下鉄渋谷駅3A出口(109口)から徒歩7~8分
◯会期・開館時間・休館日
2017年10月7日~12月17日(会期中無休)
10時30分~19時00分(入場は30分前まで)
◯公式HP
 http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/17_nebel/
◯Twitter
 Bunkamura公式ツイッター (@Bunkamura_info) | Twitter
◯美術展巡回先
■京都文化博物館
2017年4月28日~6月24日

【ネタバレ有】「探偵はBARにいる3」感想・考察と11の謎・疑問点を徹底解説!/勝負の映画3作目はよりコメディ色が鮮明に?!

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かるび(@karub_imalive)です。

12月1日「映画の日」に公開された映画「探偵はBARにいる3」を見てきました。4年ぶりの続編となった、札幌を舞台とする二枚目半の街の探偵が活躍するハードボイルドなストーリーです。

早速ですが、感想・考察等を織り交ぜた映画レビューを書いてみたいと思います。
※本エントリは、後半部分でストーリー核心部分にかかわるネタバレ記述が一部含まれますので、何卒ご了承ください。できれば、映画鑑賞後にご覧頂ければ幸いです。

1.映画「探偵はバーにいる3」の予告動画・基本情報

▶「探偵はBARにいる3」公式予告動画
※画像をクリックすると動画がスタートします


動画がスタートしない方はこちらをクリック

【監督】吉田照幸(TVドラマ「あまちゃん」映画「疾風ロンド」他)
【配給】東映
【時間】122分
【原作】東直己「探偵はBARにいる」シリーズ

本作は、合計160万部以上の実績がある、東直己の札幌を舞台とした「ススキノ探偵シリーズ」を原作としたストーリーで、題名の通り、本作が第3作目となります。1作目、2作目まではおおよそ原作をベースとした作品となりましたが、本作は、事実上の映画オリジナルの作品といっても良さそうです。(一部原案レベルで原作からの借用有り)

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引用:eiga.com

さて、本作でメガホンを取ったのは、過去2作の橋本一監督から交代した吉田照幸監督。交代理由は不明ですが、2013年末に橋本監督が東映を退社したことが原因なのでしょうか?(でも相棒4は普通に撮ってるんだよね・・・)

ともかくも、「あまちゃん」「サラリーマンNEO」などに代表されるシュールかつコミカルな喜劇演出に長けた吉田監督で作品がどう変わったのか、要注目です。

なお、本作は1作目、2作目とはストーリー的に何のつながりもないですが、映画内で出て来る各レギュラー陣との掛け合い、小ネタは過去作をベースにしています。脇役たちのキャラクターや世界観を把握して、120%映画を楽しみたいなら、過去作をチェックしておくと良いでしょう。

幸い、時間がない人のために、東映公式サイトより、『1分でわかる映画「探偵はBARにいる」』が用意されています。これを見ておくだけでも違うと思います!

▶1分でわかる映画「探偵はBARにいる」
※画像をクリックすると動画がスタートします


動画がスタートしない方はこちらをクリック

2.映画「探偵はBARにいる3」登場人物を徹底紹介!

本作では、探偵とその相棒、高田の主役2名と、ゲストでの依頼人=マドンナ役女優が主体となって、脇役陣や悪役たちとの関係性の中でストーリーが進んでいきます。順番に簡単に紹介しておきますね。

主役の相棒二人

探偵(大泉洋)
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引用:『探偵はBARにいる3』 WEB限定特報 - YouTube
北大を中退後、バー「ケラー・オオハタ」を拠点に、街のプライベートアイとして探偵業を営む。警察では対応しない様々なトラブルに対して、興味の沸いた案件であれば金額の多寡は問わず仕事を引き受ける街の便利屋。両切りピース缶と、喫茶「モンデ」のナポリタンをこよなく愛すが、飲み過ぎのためいつも胃腸薬を飲んでいる。

高田(松田龍平)
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引用:『探偵はBARにいる3』 予告 - YouTube
北大農学部にて、助手を務める傍ら、空手道場の師範代を務める探偵の相棒。本作のアクション担当。探偵の窮地に駆けつけるが、必ず遅れてやってくる。愛車は光岡自動車の初代「ビュート」。車や携帯を持たない探偵にとって欠かせない相棒。

今作の依頼人=マドンナ役

岬マリ(北川景子)
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引用:『探偵はBARにいる3』 予告 - YouTube
関西系暴力団、花岡組の傘下企業、北城グループの経営する風俗店「ピュアハート」の支配人を務める美女。探偵とは意外な縁があり、探偵シリーズ上、探偵と初めて一夜を過ごしたマドンナ役となった。なんか疲れたアラサーに見えた映画「君の膵臓をたべたい」より格段に若返ったような感じで、文句なく美人に見えました。

今作のその他主要人物

諏訪麗子(前田敦子)
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引用:探偵はBARにいる3 特報 - YouTube
恋人には内緒で「ピュアハート」で小遣い稼ぎのために働く、計算高い大学生。椿秀雄の愛人となったことで、事件に巻き込まれる。

波留(志尊淳)
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引用:『探偵はBARにいる3』 WEB限定特報 - YouTube
北城グループ最強の武闘派青年。ほぼアクションシーンしかなく、キャラクターの奥深さが見えなかったのは残念だが、戦いに飢えたサイコパスのような目つきは良かった。

モンロー(鈴木砂羽)
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引用:『探偵はBARにいる3』 WEB限定特報 - YouTube
昔はススキノの女王で、現在は田舎の肝っ玉母さん。かつての探偵の情報源でもありケラーオオハタでの仲間でもあった。メイク一つで物凄い変わりようだなと感心。

北城仁也(リリー・フランキー)
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引用:『探偵はBARにいる3』 予告 - YouTube
北城グループの社長にして、下には凶暴で、権力や力には弱い小悪党。正直またリリーフランキーかと思ったけど、やっぱりなんだかんだで演技力はピカイチです。

3.途中までの簡単なあらすじ

ススキノの馴染みのクラブで、変態オヤジとのトラブルを無事に解決して上機嫌だったその夜、いつものようにケラー・オオハタへと戻った探偵に依頼が入った。依頼主は、相棒の高田の後輩で、北大生の原田誠。失踪した諏訪麗子を探してほしいという。

ひまつぶしに始めた捜索依頼だったが、麗子の居所を探るうち、事件の背後に関西系暴力団、花岡組の企業舎弟、北城グループの絡む覚せい剤密輸と、それに絡んだ連続殺人事件との関連が浮上する。

ヤバいとは感じつつも、新聞記者の松尾、桐原組若頭の相田、かつてケラー・オオハタで仲間だったススキノの女王、モンローなど、知り合いの伝手を活かして捜査を続ける探偵だったが、案の定、北城の手下に何度も危険な目に合わされる。特に、この一連の捜査の中で、相棒の高田でさえかなわない、北城の最強の部下、波留の存在は厄介だった。

その中で浮上したのが、かつて4年前、探偵がススキノの街角で助け出し、今では北城の愛人として女王然として振る舞う岬マリという美女の存在だった。罠だとわかっていても、マリの魅力に抗いがたいものを感じた探偵は、マリに気を許し、一夜を過ごした上、危険な依頼を受けてしまう。

その依頼は、不治の病で余命いくばくもない、マリの最後の戦いでもあった。マリと探偵、高田は、命の危険もある一世一代の賭けに出るのだったーー。

4.映画「探偵はバーにいる3」の感想・評価

3作目にして見えてきた、シリーズ物としての確かな方向性

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バディ色の強くなった3作目
引用:『探偵はBARにいる3』 予告 - YouTube

本シリーズ「探偵はBARにいる」ですが、僕自身は、実は1作目、2作目はリアルタイムでは見ていません。今回の3作目のために後追いでチェックしたのですが、こうやって一気通貫で見てみると、1作目から少しずつ変化しつつも、今回の3作目で、連続シリーズ物として、一応の作風は固まったのかな、という感触がありました。

いつものように札幌で面白おかしく仕事したり遊んだりしている探偵と相棒の高田のもとに、美女からの依頼が入り、気楽に引き受けた仕事だったはずが、全くコスパの合わない危険な事件へと発展していく。チンピラやヤクザに追われてボコボコにされつつも、街の知り合いたちの力を借りて、意地と信念で依頼を果たし、問題を解決する・・・

そう、よくよく見てみると、3作ともストーリーの構造はほぼ同じなんですよね。ただ、このよく出来たフォーマットを大きく崩すこと無く、脚本家・古沢良太の堅牢なシナリオの元、しっかりと3作品製作されたことで、シリーズ物としての土台はほぼ固まったのは良かったかなと感じました。

監督が交代したことで、変わったものとは?~良い点も悪い点もあった~

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吉田監督「あまちゃん」でブレイクした安藤は出番増
引用:『探偵はBARにいる3』 WEB限定特報 - YouTube

今回、これまで過去2作でメガホンを撮ってきた東映お抱えの社員監督だった橋本一氏が降板し、変わって監督となったのが、「あまちゃん」等で、コメディ的な演出に定評がある吉田照幸監督。

まず、今作で大きく変わったなと思ったのが、バイオレンス描写やシリアスなハードボイルド描写の後退です。まるで「極道の妻たち」のように、クライマックスシーンで花嫁姿となった小雪が銃を乱射するシーンや、鮮血が容赦なく飛び散る殺害現場の描写など、衝撃的な映像も多かった1作目に比べると、かなりおとなしい作品になりました。

例えば、冒頭でアイスピックみたいな凶器でケツをプスプスやられるシーンがあるんですが、1滴も血が出ないんですよね。手当が終わって、少し後のカットになると何事もなかったかのように振る舞ってるわけです。えっ、もう痛くないの・・・?

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みんな素手で戦うのみ。やや蛋白なアクション
引用:『探偵はBARにいる3』 予告 - YouTube

さらに、ヤクザと戦うシーンが何度もあるんですが、どのヤクザも痛そうな凶器を持ってなくて、素手で殴り合うので、不良同士のケンカレベルにしか見えないのです。代わりに効果音だけ「ドスッ、バキッ」と不自然に大きくて、「音でごまかすなよー」と思わず見ながら苦言を呈したくなりました。

で、ひょっとしたら・・・と思って後で映画情報を見たら、今回から「PG12」ではなく「G」指定になってました。なるほど・・・。子供にも見てもらいたかったんやね。

また、前作では元AV女優を使って、それなりの生々しい性描写もありましたが、今回のマドンナ役、北川景子とのからみは、はっと起きたらベッドの隣に女が寝てる、いわゆる「朝チュン」状態。もう30歳なんだから、北川景子も、もうちょっと頑張れないですかね~^_^;

もちろん、良かった点もあります。さすが吉田照幸監督というべきか、コメディ的な演出は間違いなく前作よりも200%増しぐらいに増えて、はっきり映画中で笑えるシーンが増えました。

まず、主役二人の演技に関しては、俳優の創意工夫に大きく委ねるタイプの監督らしく、素の大泉洋や松田龍平の持つ個性やキャラクターの面白さがきっちりと引き出されていました。毎回演技が変わる二人に、何度もテイクを重ねて自由に演じさせた中から、編集段階で良いものを選んだとインタビューで語っていましたが、この作戦は大当たりですね。

また、ドラマ「あまちゃん」の時のように、現実の人物や団体をストーリーの中に登場させて、インパクトや意外性あふれるシーンを作り出す工夫も評価ポイントです。今作でも、日本ハムファイターズの栗山監督や、札幌市長などもカメオ出演するなど、地元感あふれるサプライズゲストを用意した工夫は良かったです。

さらに、各サブキャラ達の「キャラクター」をしっかり立てる演出が徹底されていて、探偵と、レギュラークラスの脇役たちとの掛け合いや会話が、非常に魅力的で面白いんですよね。すっとぼけた大げさなヤクザ若頭の松重豊、これまでになくねちっこく探偵に迫る安藤玉恵、必要以上にバカっぽく、わざとらしい演技が逆に良かった前田敦子など、各俳優が演じるキャラクターが生き生きと働いています。 

それでも敢えて苦言を呈すなら・・・

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演技力云々の前に、まず出番が少ない前田敦子
引用:『探偵はBARにいる3』 WEB限定特報 - YouTube

本作も基本的には満足したのですが、2つだけどうしても気になることがあったので、最後に書いておきたいと思います。

まず1つ目として、前田敦子と志尊淳など、若手の存在感が全くなかったということ。前田敦子演じる諏訪麗子は、結局マドンナ役北川景子を引っ張り出すための導線で終わっており、最後までストーリーのかやの外でした。いつ前田敦子がもう一度からんでくるんだろう?と思って見ていたら、単なる軽薄でダメな大学生役で終わってしまったという・・・。もうちょっと工夫できたでしょう?

志尊淳も、狂犬タイプのキレる若者というレベルに留まっていて、最後まで意外性も深みも感じられなかったのが残念でした。少なくともノベライズ版に描かれた通り、北城グループの次世代を狙う野心家で、計算高い一面などはまったく描かれませんでした。(本人の演技力の問題?)

せっかくバイオレンス描写を抑えてまでも、「PG12」から「G」指定に変えたのであれば、もっと若手を躍動させるような脚本や演出が必要だったのではないかと・・・

もう1つは、悪い意味でTV的なくどいセリフでの説明が多すぎたのではないかということ。探偵なので、聞き込みの中の会話から伏線・ストーリーが浮かび上がってくる構造は仕方ないにしても、それでもちょっとペラペラ説明しすぎなんじゃないでしょうか?

謎解き要素が、過剰に埋め込まれた説明的セリフのせいで、かなり薄味になってしまっているのは残念でした。次作はもっと映像で魅せる工夫を頑張って欲しいと思います。

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5.映画「探偵はBARにいる3」の名脇役たちを徹底紹介!

本作「探偵はBARにいる」では、何人か必ず出てくるレギュラークラスの個性的な脇役陣が非常に魅力的です。せっかくなので、ちょっと整理してみますね。

北海道日報記者「松尾」(田口トモロヲ)f:id:hisatsugu79:20171202223551j:plain
引用:映画『探偵はBARにいる3』公式サイト
浮気現場を写した写真の回収を探偵に依頼して以来、探偵と持ちつ持たれつの関係に。実は両刀使いで、最近はもっぱら男性に興味が傾いている。「いつか掘ってやる!」との捨て台詞が今作のハイライト(笑)

桐原組若頭「相田」(松重豊)f:id:hisatsugu79:20171202223607j:plain
引用:映画『探偵はBARにいる3』公式サイト
相田は、昔気質のヤクザで、すっかり弱体化して、関西系の花岡組の進出を許している桐原組の若頭。昔、探偵が家庭教師のバイトをしたら、その教え子が桐原組長の息子だったことから、相田とは腐れ縁となり、不定期にサウナで情報交換をしている。いつも探偵の言動を敵対的行動と誤解し、探偵を危険な目に遭わせるが、最終的には事件の大事なところで探偵の強力な味方となる頼もしい存在。

ススキ野の客引き「源」(マギー)f:id:hisatsugu79:20171202223620j:plain
引用:映画『探偵はBARにいる3』公式サイト
ススキノ風俗街の客引きの顔的な存在で、ソープランド「英雄好色」所属。探偵の貴重な情報源でもあり、いざとなったら信頼を裏切らないケラー・オオハタの飲み仲間でもある。大泉洋のTEAM NACSの公演で本作の脚本家・古沢良太とともに演出を担当するなど、大泉人脈の一人。

喫茶モンデ店員「峰子」(安藤玉恵)f:id:hisatsugu79:20171202223651j:plain
引用:映画『探偵はBARにいる3』公式サイト
24時間営業で、不味いコーヒーとナポリタンを出す喫茶店「モンデ」の女店員で、色仕掛けで探偵に激しく迫るも、全く相手にされていない。今作では、「あまちゃん」で気心の知れた吉田監督の引き立てもあったのか、喫茶店のシーンを始め、野外でのシーンなど、大幅に登場回数が増えていました。(ちなみにあまちゃんでもほとんど似たような感じの役割ですw)

ゲイバーのオカマのママ「フローラ」(篠井英介)f:id:hisatsugu79:20171202223700j:plain
引用:映画『探偵はBARにいる3』公式サイト
ゲイバー「トムボーイズ」で働くベテランのママで、探偵が頼りにするススキノの情報源。第2作に続いての登場。前作では、この「トムボーイズ」が事件の舞台となったが、今作でも探偵の事件に巻き込まれて店内を荒らされる。ちなみに、本名の「靖次郎」と呼ばれると、猛烈に怒る。なお、篠井英介は、他作品や演劇でも「女形」にこだわって演技を突き詰める個性派俳優です。

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6.映画「探偵はBARにいる3」に関する11の疑問点~ストーリーの伏線・設定・トリビアを徹底考察!~

本作をより深く理解するため、ストーリーや設定について、その要点となりそうなポイントを考察してみました。内容上、映画を1度見終わった人向けのコンテンツとなりますので、ここからはネタバレ要素が強めに入ります。予めご了承下さい。

疑問点1:バー「Keller Ohata」(ケラーオオハタ)のモデルは実在するの?

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引用:『探偵はBARにいる3』 予告 - YouTube

「Keller」とは、英語では「Celler」と書き、直訳すると「地下室」という意味です。探偵たちが映画内でベースとしている地下1Fにあるバー「KELLER OHATA」ですが、このモデルは、原作者の東直己氏が若い時足繁く通った「サントリーケラー」(現在は閉店)だと言われます。一時期、仕事等で東氏に連絡を取るときは、皆サントリーケラーに連絡をしていたという逸話から、本作内でも、探偵に連絡を取る時このバーに来るか電話をすることでコンタクトができる設定となったそうです。

また、「KELLER OHATA」のバーテンダーで出演し、監修を務めた本間一慶さんが経営するバー「一慶」は札幌市内にあります。

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BAR一慶の店内のようす
引用:札幌,すすきの,ススキノ,探偵はBARにいる,BAR一慶

一慶は、ちょうど2017年11月でオープン10周年となったようですね。北海道在住の人はぜひ行ってみてはいかがでしょうか?

疑問点2:「探偵」にはなぜ名前がないの?

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引用:『探偵はBARにいる3』 予告 - YouTube

自分視点での一人称語りで物語が進んでいくハードボイルド小説の世界観を映画にも持ち込みたいため、高田が「探偵!」と呼びかけざるを得ない不自然な場面を甘受してでも、映画でも、小説同様に敢えて名前を与えなかったのだと思われます。実際、シリーズを通して、小説での「地」の文に当たる部分を、探偵視点での大泉洋のモノローグが入っていますよね。

ちなみに、東直己の原作小説では、「俺」という表記で、一人称視点でストーリーが語られています。

疑問点3:なぜ岬マリは工藤と椿を殺害し、探偵に近づいていったのか?

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引用:『探偵はBARにいる3』 予告 - YouTube

モンローの元を離れ、北城の経営する「ピュアハート」に出入りするようになった岬マリは、かつて暴力をふるい、妊娠がわかったとたん自分を捨てた椿秀雄が、北城腹心の部下として覚せい剤の運搬係を務めていることを知りました。個人的な恨みと、北城から覚醒剤を奪い、1億円を引き出すために、ためらいなく椿を殺害したのです。その一連の計画は、愛人関係にあった北城組の工藤と実行したのですが、覚せい剤入手後、計画を巡って対立したため、工藤も拳銃自殺に見せかけて殺害しました。(あるいは、最初から殺すつもりだったのかも)

この計画実行中に、マリは偶然に諏訪麗子経由で探偵と再会します。マリは、この計画の最終段階である、強奪した覚せい剤と1億円を交換する計画に、探偵を巻き込むことにより、自らは投獄されても探偵を介して確実に計画を実行しようと考えたのでした。

疑問点4:岬マリは、なぜ見ず知らずの子供に1億円をやったのか


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引用:『探偵はBARにいる3』 予告 - YouTube

不治の病を抱え、治療のため入院していた岬マリは、病院の同室で、篠原里美という、難病を抱えた4歳の子供と出会いました。里美は、マリがかつて流産した子供の命日である平成25年2月18日生まれであることが判明します。

これに運命的な出会いを感じ、里美が自らの娘のように思えたマリは、4年前、探偵に「命を燃やせるものを見つけろ」と言われた言葉を思い出し、篠原里美の人生を支えることを自らの使命としたのです。そこで、里美の莫大な手術代をまかなうため、北城から密輸した覚醒剤を強奪し、1億円で買い取らせる計画を立てたのです。

親からも先立たれ、子供も流産して、失ってばかりだったマリが、最後に見つけた自分自身の大切なものが、赤の他人だったという事実に探偵は絶句していたのですね。

疑問点5:なぜ、諏訪麗子はずっと隠れ家から出てこなかったのか

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引用:『探偵はBARにいる3』 予告 - YouTube

諏訪麗子は椿秀雄の事実上の愛人であり、北城サイドから見ると椿を殺害して覚醒剤を奪った犯人の第一候補に見えるからです。「ピュアハート」のデータベースから椿との関係性を割り出すのは簡単ですし、凶暴な北城は、麗子を拷問し、下手したらオトシマエをつけるために殺害する可能性もあったでしょう。また、その時に真犯人として「ピュアハート」オーナーの岬マリが真犯人であることを北城にバラすかもしれません。

だから、岬マリは、全ての計画をやりきるまでの間、諏訪麗子に隠れ家を与えて、出てこないようにしていたのでしょう。

疑問点6:今作で登場した「モンロー」ってどんな人物だったのか?

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引用:『探偵はBARにいる3』 WEB限定特報 - YouTube
モンローは、かつて「ススキノの女王」と言われるほど、界隈で顔の効く、ススキノで働く姉御肌のベテラン娼婦でした。ケラー・オオハタの常連でもあり、探偵の古い知り合いでした。流産後、自暴自棄になった岬マリの捜索を探偵に依頼したこともありましたが、現在では好きな男と結婚し、1児を設けたあと、小樽で食堂のおかみさんをやっています。原作小説でも第1巻「探偵はバーにいる」後半のキーパーソンとして登場します。

今後、ひょっとしたらシリーズ化された際は、常連の脇役として毎回出演するようになるかもしれませんね。

疑問点7:事件後、波留はどうなったのか?

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引用:『探偵はBARにいる3』 予告 - YouTube

映画内では描写が省略されていますが、ノベライズ小説によると、北城が捕まったあと、死人まで出た激しい仲間うちの抗争での主犯格として警察にマークされており、最終的に漁港付近でシャブ中で泥酔していたところを逮捕されたという記述がありました。「真面目に生きてりゃいい格闘家になったのにな。残念だ。」と高田が締めくくっています。

疑問点8:探偵が通う「喫茶モンデ」って実在するの?

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引用:「探偵はBARにいる」ロケ地の喫茶店閉店へ:朝日新聞デジタル

安藤玉恵扮する峰子が勤務する喫茶モンデは、実在する喫茶店ではありませんが、そのモデルは札幌市内にある老舗「喫茶トップ」です。残念ながら2017年5月に閉店した時は、地元の新聞やニュースに取り上げられるなど、話題になったようですね。映画内では「マズい」と言われていたナポリタンは、絶品だったそうですね。

ちなみに、「モンデ」とは、フランス語で「世間」「社会」「世界」という意味です。「モンドセレクション」とかいいますよね。

疑問点9:映画内で高田(松田龍平)がいつも食べているお菓子は?

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引用:【公式】北菓楼オンラインショップ

愛車ビュートの車内にも常備され、高田が映画内でポリポリいつも食べているお菓子は、北海道砂川市が本店の北菓楼「北海道開拓おかき」です。Amazonや楽天では扱っていませんが、会社の直販HPのオンラインショップから買えるようになっています^_^

思わず1セット購入してみました。届くのが楽しみ!

疑問点10:ベースとなった原作はあるの?

本作は、直接ベースとなった原作はありません。シリーズ初の映画オリジナル作品と言っていいでしょう。ただし、原作小説第1作「探偵はバーにいる」モンローや諏訪麗子、原田誠、工藤などの、登場人物やストーリーの一部が原案レベルで使われています。(ややこしいですが、映画第1弾「探偵はBARにいる」は、原作小説第2作「バーにかかってきた電話」の映画化です)

疑問点11:結末/ラストシーン~エンドロールから、続編の可能性を読む~NZには行かなかった高田~

映画のラストシーンで、毛ガニのために2人を殺した猟奇殺人犯として扱われ、投獄されたマリ。真相を知る探偵が一人涙するシーンは、ハードボイルド映画らしいエンディングでした。その後、徹夜で飲み明かした探偵と高田は、早朝にケラーオオハタを出て、別々の方向に歩き出します。探偵は、ニュージーランドへ酪農研究のため留学する高田に餞別を渡し、しんみリ見送って終わり・・・かと思いきやw

エンドロール後、笑撃のシーンが用意されてました。探偵が電話をかけたら、普通に江別の牧場で働いていた高田。NZへ行ったわけではなく、NZからパトリックという技術指導の専門家が来日しただけでした・・・。探偵、餞別渡し損です(笑)

ああー、これは続編をやる気なんだなと。含みをもたせましたね。

映画公開初日の舞台挨拶や、各種マスコミ媒体の番宣で大泉洋がしきりに言っていたのは、「映画を大ヒットさせて、ぜひ続編を作りたい」ということでした。これに対し、当初次作以降の出演には消極的だった松田龍平も、映画撮影終了後には次作への気持ちも固まったそうで、主演陣や制作スタッフは概ね次作に意欲的なスタンスのようです。

3作品製作されたことで、主役や脇役レギュラー陣の立ち位置も固まり、制作チーム内でのノウハウが蓄積されたため、あとは採算性さえクリアすれば、「釣りバカ日誌」や「寅さん」のように長命シリーズ物に発展しそうですね。続編に期待!

7.まとめ

ここまで3作品、いずれも水準以上の個性的な和製ローカルものハードボイルド作品として独自の存在感を発揮している「探偵はBARにいる」シリーズ。今作も十分楽しめるエンターテイメント作品に仕上がっていました。ぜひ4作目、5作目と続けてほしいですね。

それではまた。
かるび

8.映画をより楽しむためのおすすめ関連映画・書籍など

探偵はBARにいる1作目

2011年度日本アカデミー賞では、優秀作品賞、主演男優賞、助演男優賞他、7部門で受賞した衝撃のデビュー第1作。札幌を舞台とした二枚目半の探偵が活躍するハードボイルド路線は非常に斬新で、シリアスさとコミカルさが絶妙のバランスで封入された作品です。雪景色の中たっぷりのアクションシーンに加え、脇役陣も1作目から個性抜群!

探偵はBARにいる2作目

制作陣はそのままに、ストーリーのスケール感がアップした第2作。引き続き札幌近辺のるるぶに出てきそうな観光名所で探偵と高田が満身創痍で依頼人の問題解決に奔走します。マドンナ役は尾野真千子。

「探偵はBARにいる3」はノベライズ作品もいいぞ!

本作は、オリジナル作品ということで、原作者の東直己氏ではなく、別のライターさんが古沢良太脚本に基づいてノベライズを執筆。しかし、これがかなり出来が良いのです。原作通り一人称モノローグで進んでいく語り口や、軽めのハードボイルド路線は原作の雰囲気を忠実に再現してくれています。映画とはまた違う魅力が詰まったノベライズでした。これはオススメ!

映画「探偵はBARにいる」シリーズは、まとめてU-NEXTで!

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【ネタバレ有】実写映画「鋼の錬金術師」感想・考察と10の疑問点を徹底解説!/ハガレンファンには中途半端な作品になったかも?続編にも期待!

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かるび(@karub_imalive)です。

2017年は、「銀魂」「ジョジョ」「東京喰種」など、人気コミックス原作の大型実写企画が相次ぎました。そのフィナーレとなる実写版「鋼の錬金術師」が冬休み前の12月1日に公開されました。

早速ですが、感想・考察等を織り交ぜた映画レビューを書いてみたいと思います。
※本エントリは、後半部分でストーリー核心部分にかかわるネタバレ記述が一部含まれますので、何卒ご了承ください。できれば、映画鑑賞後にご覧頂ければ幸いです。

1.映画「鋼の錬金術師」の予告動画・基本情報

▶公式予告動画:映画「鋼の錬金術師」
※画像をクリックすると動画がスタートします


動画がスタートしない方はこちらをクリック

【監督】曽利文彦(「ピンポン」他)
【配給】ワーナー・ブラザーズ
【時間】133分
【原作】荒川弘「鋼の錬金術師」(全27巻)

本作でメガホンを取ったのは、CG/VFX技術に非常に詳しい曽利文彦監督。過去にも脚本:宮藤官九郎で実写映画化した名作「ピンポン」では原作の空気感を上手く主演:窪塚洋介から引き出しつつ、卓球シーンのほぼすべてをCGで描き出したことで話題になりました。(2017年10月上映の映画「ミックス。」でもこの時のノウハウが生かされています)

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引用:映画.com

さて、そんな曽利監督が、実に10年以上構想を温めてきた企画が、この「ハガレン実写化」でした。ただ、その複雑なシナリオ、全27巻にも及ぶ長大なストーリーをどうやって2時間程度でまとめるのか、非常に気になるところでした。案の定というか、試写会の段階では、一部原作ファンから非常に厳しい声も聞こえてきましたが、果たして本作の出来はどうだったのでしょうか?

ちなみに、本作は錬金術やその独特の世界観について、小学生でもわかるよう、丁寧に映画本編内でセリフ等で説明がありますので、原作未読でも問題はありません。ただ、ワーナー・ブラザーズが、公式サイトで「1分でわかるハガレン」という良いまとめ動画を用意してくれていますので、こちらで予習をしていくと良いかもしれません!

▶公式動画「1分でわかる「ハガレン」の歴史」
※画像をクリックすると動画がスタートします


動画がスタートしない方はこちらをクリック

2.映画「鋼の錬金術師」主要登場人物・キャスト

本作は、ほぼオール海外ロケ(イタリア)で撮影されましたが、登場人物は、全て日本人で統一されています。曽利監督の苦しげな説明によると、「舞台装置は確かにヨーロッパ風だけど、ストーリーや登場人物たちの心情の動きは極めて日本人的」なので、敢えて日本人オールキャストにしたとのことです。100%納得したわけじゃないですが、まぁ確かに一理あるかも。マンガ原作も姿格好は外国人ですが、顔や台詞回し、空気感は日本人そのものですからね・・・。 

主要登場人物

エドワード・エルリック(山田涼介)f:id:hisatsugu79:20171205195025j:plain
引用:映画『鋼の錬金術師』IMAX®アクション予告 - YouTube
2017年は「ナミヤ雑貨店の奇蹟」に続いて2本目となる映画主演。インタビューでは、「身長を低く産んでくれた両親に感謝」とか「アイドル業と自由は等価交換」とかいちいちコメントにサービス精神が感じられて好感。演技も素の性格に合っているようでまずまずでした。東京国際映画祭に行ってきた知人の話では、舞台挨拶の時、フォトセッションで所在なさそうにしていたそうです。主役なのに。。。いや、所属タレントに罪はない!

アルフォンス・エルリック(声:水石亜飛夢)f:id:hisatsugu79:20171205195208j:plain
引用:映画『鋼の錬金術師』IMAX®アクション予告 - YouTube
原作者が単行本15巻の巻末で「もし実写化するとしたら、アルはオールCGかも」と予想したように、全編オールCGで描かれました。金属の質感や光の反射などは、かなりリアルな作りに仕上がっていて素晴らしい出来。兄弟の殴り合いのシーンでは本気で山田涼介の手は大丈夫かと心配してしまった・・・(笑)

ウィンリィ・ロックベル(本田翼)f:id:hisatsugu79:20171205195748j:plain
引用:映画『鋼の錬金術師』IMAX®アクション予告 - YouTube
映画「土竜の唄 香港狂騒曲」以来、1年ぶりの映画出演となった本作。確かにやや舌っ足らずな喋り方とか気になる時もありましたが、ちゃんと快活で明るい原作でのウィンリィらしさは表現できていたように思います。年明け2月公開の「今夜、ロマンス劇場で。」が待機中。

ロイ・マスタング大佐(ディーン藤岡)f:id:hisatsugu79:20171205195656j:plain
引用:映画『鋼の錬金術師』IMAX®アクション予告 - YouTube
台湾からの逆輸入俳優としてブレイクした2016年から1年経過し、遅れて2017年~2018年は映画出演ラッシュとなりました。早くも2018年上半期までに、「坂道のアポロン」「海は駆ける」「空飛ぶタイヤ」など3作品が公開待機中。ただちょっと原作のマスタングとは違ってたような気もしますが・・・

マース・ヒューズ中佐(佐藤隆太)f:id:hisatsugu79:20171205195734j:plain
引用:映画『鋼の錬金術師』IMAX®アクション予告 - YouTube
一時期に比べて映画出演ペースは鈍くなりました。今年は「ひるなかの流星」に続いて2本目の出演。未だに「ROOKIES-卒業」のイメージを重ね合せて見てしまうのですが、本作ではうまく力も抜けて、原作に近いヒューズ像が表現できていました。

ショウ・タッカー(大泉洋)f:id:hisatsugu79:20171205195337j:plain
引用:映画『鋼の錬金術師』IMAX®アクション予告 - YouTube
同時公開された「探偵はBARにいる3」と合わせて、まさに「大泉映画祭」状態となった12月1週目。相変わらずの安定した演技力で、探偵とは全く違うキャラクターを熱演。原作では扱いの小さかったタッカーですが、大泉洋の抜群の演技によって、実写映画では存在感が物凄く増しています。個人的には本作No.1の演技だったと思います。

ラスト(松雪泰子)
f:id:hisatsugu79:20171205195417j:plain
引用:映画『鋼の錬金術師』IMAX®アクション予告 - YouTube
テーマが「色欲」(Lust)ということで、露出度の高いセクシーな衣装での出演。ただし子供向けに配慮したのか、原作と違い男をたぶらかすシーンはありません(笑)

その他、小日向文世(ハクロ将軍)、國村隼(ドクター・マルコー)、石丸謙二郎(コーネロ教主)らベテラン俳優から、本郷奏多(エンヴィー)、蓮佛美沙子(リザ・ホークアイ中尉)、夏菜(マリア・ロス少尉)など若手まで、多数出演しています。

3.実写版「ハガレン」途中までの簡単なあらすじ

死んだ最愛の母親を生き返らそうと、禁断の錬金術「人体錬成」に挑んだ幼いエドとアル。父の書斎から書物を読み漁り、錬成術に挑むも、出来上がったのは母とは似つかない醜悪な怪物だった。人体錬成術は失敗に終わり、エドは左腕と右足を、アルは魂以外の全ての肉体を失った。

それから数年後、エドは弟の体を取り戻すため、アメストリス国の国家錬金術師として、弟アル、幼馴染のウィンリィと「賢者の石」を探して全国を旅していた。リオールという街に立ち寄った際、追い詰めた新興宗教の悪徳司祭、コーネロからそれらしきものを奪ったが、それは出来の悪い偽物だった。

イーストシティで友人のヒューズ中佐、ムスタング大佐ら軍の中枢部と合流したエドたちは、ハクロ将軍の紹介で、合成動物(キメラ)の権威タッカー博士の元を訪れる。だが、タッカー博士は、国家錬金術師という自らの地位を維持するため、妻子を犠牲にしてまで自らの研究を続ける狂人だった。賢者の石について事情を知るマルコー博士や、国全体を巻き込んだ軍中枢部で進行する陰謀に気づいたヒューズは、相次いで「ホムンクルス」と言われる人造人間に襲撃され、変死してしまう。

やがて、エドやムスタングたちは、人体錬成のカギを握る「賢者の石」が秘密裏につくられている第5研究所の存在を突き止めた。陰謀の渦中、たどり着いた第5研究所でエドが見たものは、賢者の石と人体錬成を巡る、ショッキングな現実だったーーー。

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4.映画「鋼の錬金術師」の感想・評価

オールイタリアロケとCGへのこだわりは良かった!

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ハリウッドレベルまでもう一歩!迫力のCG
引用:映画『鋼の錬金術師』IMAX®アクション予告 - YouTube

本作の一番の見どころは、曽利監督もインタビュー等で自負する通り、日本の実写映画史上で最高レベルのクオリティに仕上がったVFX/CG技術でしょう。オープニング直後でのコーネロ司教との対決シーンや、各種錬金術の発動シーンなど、非常に手間隙のかかった迫力ある画面を作ってくれたと思います。

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アルのリアルなCGは素晴らしい!
引用:映画『鋼の錬金術師』IMAX®アクション予告 - YouTube

また、100%CGで再現された鉄仮面姿のアルは、鉄の質感描写や、自然な動き、光の反射、影の映り込みの細かさなど、非常に良く出来ていました。不気味の谷はしっかり越えてきてくれたかなという印象です。

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イタリア・トスカーナ州がロケ地に選ばれた
引用:映画『鋼の錬金術師』本予告【HD】 - YouTube

また、ロケ地へのこだわりも良かったです。無理にCGで全部置き換えようとせず、海外まで行って、きちんと20世紀初頭のヨーロッパの雰囲気を再現しようとした意気込みは素晴らしかったです。どこまでもなだらかな丘が続く草原に立つ実家のシーンや、汽車に乗るシーン、リオールののどかな田舎街の風情など、きちんと海外(イタリア)でロケを重ねる努力は素直に評価したいと思います。また、メインキャストだけではなく、街を歩くモブキャラまできちんと日本人で揃えたのは、一貫性があって良かったとは思います。

ハリウッド大作に比べて、制作費も1/10以下でしょうし、エンドロールを見る限り、作品の規模感の割には限られた制作陣で作られているなと感じました。「ハリウッドにも負けない作品を作りたい」という気合いは、素晴らしいことだと思います。

俳優の演技は、ディーンフジオカ以外はそんなに悪くなかった

また、演技力についても各俳優は与えられた脚本の範囲内で、堅実に演技出来ていたと思います。江戸っ子な日本人気質のエドは、山田涼介にぴったりあってるし、ウィンリィ役の本田翼も、原作のキャラクターに寄り添った演技ができていました。(ただ女性ファンから見ると、若干ぶりっ子に見えるかも)また、脇役陣も、ほんのちょい役から重要キャラへと格上げとなったショウ・タッカー役の大泉洋や、どこか寂しげな憂いの表情が良かった松雪泰子など、演技は安定していました。

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引用:映画『鋼の錬金術師』本予告【HD】 - YouTube

残念なのは、ディーンフジオカのマスタング役です。原作では、野心と才気あふれるエリート士官である一方、女好きでお茶目な面もある魅力あるキャラなのですが、ずーっと堅物すぎる一本調子な感じの演技だったのは、ちょっといただけません。

マスタングがボケないと、その部下であるホークアイの冷静なツッコミも活きてこないよなーと思って見ていたら、案の定。蓮佛美沙子演じるホークアイは、画面にはよく映っているものの、ほぼモブキャラに近い存在感の薄さとなってしまい、非常にもったいなかったです。

一番の問題は、演出面での粗さ

一番問題かなと思ったのは、演出上のアラがかなり目立ったことでしょうか。VFX、CGに力を入れすぎたため、その他の要素に目が行き届かなかった感じはあります。演出・脚本・美術・セットなど、様々な点で色々と「そうじゃないだろう?!」とツッコミたくなるシーンがかなりありました。

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洗剤のCMに出てくるような没個性な洗濯物も気になる
引用:映画『鋼の錬金術師』本予告【HD】 - YouTube

まず、冒頭の子役シーンです。エドとアルの5~6歳の頃のシーンなんですが、ちょっと演技が棒すぎないですかね?いちばん大事な場面なのに、最初から学芸会状態です。慣れない海外ロケだから仕方ないんでしょうけど、重要なシーンなので、ここはシナリオを改変してでも、小学校高学年くらいの、きちんと演技ができるレベルの子役にやらせたほうが良かったかと思います。

次に、戦闘シーンなんですが、ちょっと動きが緩慢すぎないでしょうか?どこかの掲示板の感想で、「まるでターン制戦闘RPGを見ているようだw」と書かれていたのですが、言い得て妙でした。一方が攻撃をしたら、もう一方は完全に受けに回る展開で、妙に締まりがないのですよね。

また、錬金術での攻撃方法にも大いに疑問が残りました。まず、本作のラスボスでもあるラストやエンヴィーとの戦いに決着をつけたのは、主役のエドではなく、ほぼ全てマスタングの火炎攻撃だったという・・・。しかも、1度や2度ではなく、3回連続火炎攻撃の力押しで倒しているのです。もうちょっと他の技を繰り出しましょうよ・・・。

恐らく、子供にも配慮した「G」指定に収めるためか、流血描写を相当抑えなければいけなかったのでしょう。本来、機械鎧を使った近接での物理攻撃も得意とするエドですが、手足を使ったのは兄弟喧嘩の時だけでしたね・・・(ひょっとしてジャニーズの意向?!)

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画面を覆い尽くす、CGで表現された業火。何気に怖い!
引用:映画『鋼の錬金術師』キャラクター予告(ホムンクルスチーム編)

その代わり、火炎攻撃の苛烈さは、R15指定の戦争映画並みのエグさなんですよね。このバランスの悪さはどうなんでしょう?生きたまま黒焦げになるまで焼き尽くすシーンを何度も何度もスローモーションで大写しにするのは、これどうみても小学生にトラウマを残すんじゃないでしょうか^_^;

なんか戦闘シーンでは、いろいろスッキリしない展開が続きました。

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原作からの合成キャラ「ハクロ将軍」
引用:映画『鋼の錬金術師』キャラクター予告(ホムンクルスチーム編)

もう1点気になったのは、誰が悪役なのかよくわからない後半部分です。原作通りラスト・エンヴィー・グラトニーのホムンクルストリオと戦うのは良いとして、わざわざシナリオを改変して、サブキャラであるタッカーとかハクロ将軍を、クライマックスで前座的な悪役に仕立てるのはどうなんでしょうか?

しかも、編集段階で切りすぎたのか、タッカーとハクロ将軍、あるいはホムンクルスたちとハクロ将軍のつながりが非常にわかりづらいんですよね。ぼーっと見ていると、一体エドたちは何と戦っているのかわかりづらかったです。

本作でも、人間に憎しみを抱くホムンクルス達の複雑な心情や、闇落ちした軍の将校たちが表す人間の弱さ、肉体を持たないアルの悩み、兄弟の絆など、極力原作のエッセンスを凝縮して伝えようとしていることはわかるんです。ただ、それがVFX、CGに傾倒しすぎた結果、ストーリー構成、演出面での詰めが甘くなってしまい、どうにも最後まで感情移入しづらいまま終わってしまったのが、非常に残念でした。

続編を製作するのであれば、CGの作り込みや海外ロケ敢行など意欲的な点はそのままに、もっと綿密に脚本・演出を練り込んでから挑んでほしいと思います。

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5.映画「鋼の錬金術師」に関する10の疑問点~伏線・設定を徹底考察!~

本作をより深く理解するため、ストーリーや設定について、その要点となりそうなポイントを考察してみました。内容上、映画を1度見終わった人向けのコンテンツとなりますので、ここからはネタバレ要素が強めに入ります。予めご了承下さい。

疑問点1:ホムンクルスの正体とは?一体どういう存在なの?

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心臓部分には「賢者の石」が埋め込まれている
引用:映画『鋼の錬金術師』本予告【HD】 - YouTube

ホムンクルスとは、体内の心臓部分に埋め込まれた「賢者の石」のエネルギーによって人工的に作られた人造人間です。基本的には、人間同様の外見を持ち、心も持っています。「賢者の石」のパワーが続く限り、彼らは不老不死の存在であり、人間を遥かに上回る高い身体能力に加え、個体別に特殊能力も持っています。本作では、、、

・ラスト=伸縮自在な鉄の鉤爪
・エンヴィー=変身能力
・グラトニー=体内への驚異の捕食能力

となっています。なお、彼らはキリスト教の「7つの大罪」にちなんで、創造主(=”お父様”/実写未登場)の持つ負の感情の一部を分離して実体化させた存在で、それぞれ「色欲」(ラスト)、「嫉妬」(エンヴィー)、「暴食」(グラトニー)という個性を持ちます。

ちなみに、本作で登場しなかったその他4体のホムンクルスは、

・「憤怒」(ラース)
・「怠惰」(スロウス)
・「傲慢」(プライド)
・「強欲」(グリード)

です。どのキャラクターも本編では重要なヴィランとしてエドたちの前に立ちはだかるので、続編が制作されたときはきっと登場するのでしょうね。

疑問点2:錬金術では、なぜ人体を錬成してはいけないのか?

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引用:「鋼の錬金術師」第23巻より

アメストリス国では、国家錬金術師は、三大制限のうちの一つとして「人体錬成を行ってはならない」とされました。これは、劇中でエドが暗黙的に解釈していたように「倫理的に問題があるから」ではなく、国家錬金術師が「個人として強力な軍隊を持ち、政権を脅かすことがないように」禁忌とされているのです。

ちなみに、国家錬金術師の他の2つの「三大制限」とは、

・いかなる時も軍に背いてはならない
・金を作ってはならない

でした。原作では、混乱した政情を反映してか、敵も味方もみんなお構いなくこの3大禁忌を破りまくってましたが・・・

疑問点3:エドとアルの父親、ホーエンハイムはどこにいるの?

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引用:「鋼の錬金術師」第11巻より

エドとアルの父親、ヴァン・ホーエンハイムは、彼らが幼少時に黙って「家を出ていった」という事実や、残していった書斎の描写のみにとどまり、本作の劇中では一切描かれませんでした。原作でも、初登場は中盤頃からとなります。第10巻の終わりから、物語のカギを握る重要人物として終盤にかけて存在感を増していきます。

ヴァン・ホーエンハイムは、若い頃は辺境地方で錬金術師の奴隷として働いていましたた。自らの血から生まれた「フラスコの中の小人」に気に入られ、クセルクセス国約50万人分の魂を凝縮した賢者の石と自らの魂が結合した、不老不死の大錬金術師となりました。一時期は隠遁して平凡な生活を志す中、母・トリシャと出会い、エドとアルを設けますが、やがて「お父様」となった「フラスコの中の小人」による、国民全体の魂を犠牲にする国土錬成陣を使った陰謀に対抗するため、家族を捨てて流浪の旅に出て、陰謀に対抗する準備を進めるのです。

エドとアルは当然これらの事情を知るはずもなく、原作では父親不在に対する葛藤や反発、心の痛みなどが伏線として描かれていましたが、映画内では潔く一切省略されました。

疑問点4:真理の扉って何なの?あの番人みたいなのは誰?

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引用:映画『鋼の錬金術師』本予告【HD】 - YouTube

真理の扉とは、高度なスキルを持つ錬金術師だけ見ることのできる、宇宙に内在される膨大な知識と情報がその中にあるとされる「扉」です。劇中では、エドは死んだ母親の人体錬成時に、アルは(恐らく)タッカーの催眠実験時に垣間見た(=思い出した)のだと思われます。その扉の横に座っていた人形の影のような物体は、「真理」と呼ばれる存在です。宇宙全体のあらゆる英知を象徴する存在であり、かつ扉に向かう自分自身の鏡でもあります。

「質量保存の法則」「等価交換の法則」が支配する「ハガレン」の世界では、真理の扉を開けるには、「通行料」と呼ばれる代価が必要となります。エドは左足を持って行かれ、アルは肉体全てを失いました。また、エドが2回目にアクセスした時、さらに右腕も失っています。

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引用:映画『鋼の錬金術師』本予告【HD】 - YouTube

なお、真理の扉に一度でもアクセスしたことのある錬金術師は、それ以後個別に錬成陣を使用することなく、手を合わせるだけで錬金術を発動できるようになります。(マスタングが炎を出す時に錬成陣を描かず出せるのは、予め錬成陣を描いた手袋をしているため)

疑問点5:ヒューズの気づいた国全体を巻き込んだ陰謀とは?なぜ暗殺されたの?

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引用:映画『鋼の錬金術師』キャラクター予告(軍部チーム編)- YouTube

セントラルシティから調査のためにイーストシティへと赴任してきていたヒューズは、公式には存在しないとされる「賢者の石」を秘密裏に作っている「第五研究所」の存在について独自調査を行っていました。

第五研究所で、秘密裏に悪事を働いていたハクロ将軍からは、情報撹乱のため「元缶詰工場」がそうではないか?とミスリードされるものの、最終的にはイーストシティにそれぞれ設置された第一研究所~第四研究所までの位置関係を錬金術の巨大な錬成陣に見立てて地図を解読することで、「賢者の石」を秘密裏に作っている「第五研究所」の存在に気づいてしまいました。

そこでは、ハクロ将軍ら軍上層部とホムンクルス達が、マルコー博士らを使い、受刑者の魂からエネルギーを抽出し、液体状の「賢者の石」を大量に生成するとともに、密かに錬成した人形兵を私兵集団として隠し持っていました。ヒューズを監視していたホムンクルスたちは、これら一連の秘密を知ってしまった彼を口封じのために殺害したのでしょう。

疑問点6:第五研究所で見た大量の人形兵の正体は?ショウ・タッカー博士とハクロ将軍はどういう関係だったのか

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引用:映画『鋼の錬金術師』キャラクター予告(軍部チーム編)- YouTube

エド達が第五研究所で見た、天井にぶら下がる大量の一つ目の人造人間は、「人形兵」といい、ヒト形の有機物体に対して賢者の石を使って魂を定着させた、軍が秘密裏に開発していた新兵器でした。

ハクロ将軍は、マスタングによって逮捕監禁されたタッカー博士を密かに脱獄させ、マルコー博士亡き後の後任として、人形兵の研究開発をやらせたのでしょう。セントラルシティの大総統に対抗する、自分の私兵集団を持ちたかったのかもしれません。

タッカー博士は、ちょうど催眠状態にしてあったアルの体を使って実験を重ねました。そして、アルを操って、真実の扉を垣間見ることにより、「物体に魂を定着させる方法」のヒントを掴み、人形兵を何とか動かせるところまで実用化にこぎつけたのでしょう。(この副産物として、アルは手合わせ錬成ができるようになっていた)

ただし、人形兵たちは、高度な知性と運動能力、再生能力を持つホムンクルスとは似ても似つかない存在でした。とても知性を持っているとは言い難く、制御不可能で不完全なモンスターにすぎなかったようですね。CGも「良い意味で」不気味の谷を越えていない感じで、ホラー映画を見ているようでした(笑)

疑問点7:結局、賢者の石とはどんなものだったのか?

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引用:映画『鋼の錬金術師』本予告【HD】 - YouTube

賢者の石とは、映画内で描かれた通り、生きた人間を錬成陣の各所へ配置し、魂から抽出したエネルギーを高凝縮した物質です。固体や液体など、様々な形態で保存することが可能で、その活用法は、武器としてだけでなく生体回復素材や、人体錬成にまで幅広く応用が可能でした。また、ホムンクルス達は、賢者の石を体内に埋め込むことで、活動のエネルギーと不老不死を得ていました。

ここからは原作の設定ですが、アメストリス国では、国土全体に超巨大な錬成陣が描かれ、各地へ賢者の石を埋設することで、錬金術を可能とする「国土錬成陣」が完成しています。いわばインフラ的な使われ方もしているのですね。

アメストリス国の錬金術師であるエドやマスタングたちは、大地からエネルギーを直接得て錬金術の効果を得るのではなく、国土各地に埋められた賢者の石を「触媒」として用いることで、錬金術を発動しています。(このあたりの設定は、次作以降に少しずつ明らかになるのではないでしょうか?)

疑問点8:結末・ラストを考察~エンドロールの意味するものとは?

本作のラストで、第五研究所でのラスト達との戦いの後、「賢者の石」を遂に手に入れたエドは、手を合わせて一旦「真理の扉」に行きましたが、結局「賢者の石」と引き換えに弟・アルの肉体を取り戻す取引は行いませんでした。なぜなら、生者の魂を吸い出した「賢者の石」を使ってアルの肉体を取り戻すことは、人々の命を犠牲にして自分たちが助かることだったからです。それは、闇落ちしてしまったハクロ将軍やショウ・タッカーらと何ら変わるものではなく、兄弟の本意ではありませんでした。

結果として、彼らは別の方法でアルの体を取り戻す方法を探して、新たな旅に出るわけですが、エンドロール後のオマケ映像は、強く「続編製作」に含みをもたせるものでした。ラスト同様、マスタングに激しく焼かれ、焼死体となって朽ちたかに見えたエンヴィーですが、辛うじて首の皮一枚命を残しており、本来姿である小さなトカゲになって、どこかへと走り去っていくシーンで終わりました。恐らくグラトニーやまだ未登場の他のホムンクルスの仲間達と合流し、再起をかけるのでしょうね。

ちなみに、原作では、エンヴィーはエドの仲間たちとの戦いで、2度トカゲへと戻りますが、1度目はその後、地下工場に解き放たれた人形兵のエネルギーを吸収し、元の姿を取り戻しています。

疑問点9:続編はあるの?オマケの「0巻」内容から読み解く・・・

本作では、アルは結局肉体を取り戻すことができませんでしたし、エンヴィー、グラトニーは逃げ、軍上層部の黒幕すら姿を表していません。結論から言うと、本作の興行収入さえ一定以上クリアすれば、2作目以降の続編が製作される可能性が高いのではないでしょうか?

劇場来場者特典として配布された、映画の前日譚として2つのエピソードを描いた「鋼の錬金術師 0巻」の原作者・荒川弘との対談の中で、曽利監督はこんなふうに言っています。

[・・・]ましてや先生の作品を・・・ご本人を前にしてあれですけど、撮れるとは思ってなかったので。ハガレンをやらせてもらって本当に大満足です。[・・・]ぜひ続きも撮りたいですね。じゃあ『鋼』を完成させたら、死んでもいい!なんて、それくらい満足しています。[以下続く]

どうでしょうか。続編に向けての強い決意が伝わってきますよね・・・。プロローグ~ラストとの対決までを描いた本作は、原作でいうと1巻~10巻くらいの内容だったので、まだ20巻分弱のコンテンツ量が残っています。もし製作されるなら、全3部作として無理なくエピソードを消化してほしいものですね。

疑問点10:エンディング・テーマを歌っているのは?

本作のエンディングテーマは、MISIA「君のそばにいるよ」です。2015年度紅白歌合戦でも、TBS系アニメ「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」ED「オルフェンズの涙」を歌っていたように、最近はアニメでのタイアップが増えてきている印象ですね。

新たな旅立ちへと、また列車に乗りこんだエド達をさわやかに見送る場面で、最高のかかり方でしたね。Youtubeで公開された映像でも、映画をイメージしたようなシーンを背景に熱唱してくれています。お時間のある時にぜひ!

▶EDテーマ/MISIA「君のそばにいるよ」
※画像をクリックすると動画がスタートします


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6.まとめ

いろいろとツッコミどころや、注文も多い本作ですが、当初はもっと大崩れしていると想定していただけに、やや安堵しました。そのハイレベルなCGでの描写をしっかりチェックできただけでも、個人的には良しとしたいと思います。原作やアニメも面白いので、いろいろな媒体で楽しんでみてくださいね。
それではまた。
かるび

7.映画をより楽しむためのおすすめ関連映画・書籍など

マンガ原作「鋼の錬金術師」

「鋼の錬金術師」は、マンガ原作、TVアニメ、アニメ映画、実写と様々な媒体で展開されてきましたが、やっぱり原点はマンガ原作です。今回久々に復習を兼ねて一気読みしたのですが、最初に連載がスタートしてから15年以上経つのに、全く内容が色あせていなことに驚きました。続編製作もありそうですし、原作未読なら、ぜひ時間のあるときに原作に触れてみてはどうでしょうか?Kindleで全27巻まとめ買いもできます!

実写映画のノベライズ版も出ています!

本作は後半部分で原作版、アニメ版とは違うオリジナル展開へと進んでいきましたが、映画公開後、ノベライズ作品が出版されました。小説ならではの臨場感で、映画のキャラクターたちの心情描写が楽しめました。映画でやや説明不足に終わっている後半部分のシナリオも、ノベライズを読めばきっちり理解できます。映画と合わせて読むと、世界観が深く理解できるのでおすすめです! 

アニメ版「鋼の錬金術師」がAmazonプライムで全て見放題!

「鋼の錬金術師」については、途中から大きくオリジナルストーリーへと分岐していく「鋼の錬金術師」(2003年版)と、基本的には原作に忠実に展開した「鋼の錬金術師FULL METAL ALCHEMIST」(2009年版)と2つあります。

また、映画も、前者から派生した「劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」、後者のスピンオフエピソードとして描かれた「鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星」と、2作品あります。

これら膨大なコンテンツの全てが、Amazon Prime指定されているため、Amazonプライム会員になれば、全て「見放題」でチェックすることが出来ます。最初の1ヶ月は、無料体験できますので、年末年始までに加入して、無料期間中に見てしまえば、タダで全部見れてしまいますね!

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【ネタバレ有】映画「ララランド」感想とあらすじ・伏線の徹底解説!/感涙必死の最高のミュージカル!【ラ・ラ・ランド】

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【2017年12月8日最終更新】

かるび(@karub_imalive)です。

2月24日に封切りされた、今年度アカデミー賞で6部門受賞を決めたミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」(LA LA LAND)を見てきました。

早速ですが、映画を見てきた感想やレビュー、あらすじ等の詳しい解説を書いてみたいと思います。
※本エントリは、ほぼ全編にわたってストーリー核心部分にかかわるネタバレ記述が含まれますので、何卒ご了承下さい。

1.映画「ラ・ラ・ランド」の基本情報

<映画「ラ・ラ・ランド」予告動画>

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【監督】デイミアン・チャゼル(「セッション」)
【配給】GAGA/ポニーキャニオン
【時間】128分

若き天才、デイミアン・チャゼル監督が名作「セッション」に続き、彼の得意分野「ジャズ」を絡ませたミュージカル映画はゴールデン・グローブ賞7部門受賞、アカデミー賞6部門制覇など、各方面から絶賛。アカデミー賞では、作品賞こそ逃しましたが、主演女優賞、監督賞を獲得するなど下馬評通りの強さでした。

2.映画「ラ・ラ・ランド」の主要登場人物とキャスト

主演のライアン・ゴズリングとエマ・ストーンは、「ラブ・アゲイン」(2011)、「L.A. ギャング ストーリー」(2013)以来、実にこれが3度目の映画共演となります。ダンスや歌など多くの場面で、ぴったり息のあった演技を見せてくれました。また、本作は多くの脇役たちが出演しているものの、主演の二人以外はほとんど印象に残らない「二人だけの世界」を描いた映画です。

セバスチャン(ライアン・ゴズリング)f:id:hisatsugu79:20170224210331j:plain
いつの日か、ロサンゼルスで自前のジャズバー・レストランの経営を夢見る売れないジャズピアニスト。一番驚いたのは、普通に映画内でピアノを全編演奏していること。プロ根性を感じました。コメディからシリアスもの、SFまでこなせる多才ぶりですが、物凄い努力家でもあるんでしょうねぇ。現在上映中の「ナイス・ガイズ」も良いみたいですし、年末の「ブレードランナー2049」での演技も楽しみです。

ミア(エマ・ストーン)
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ハリウッド女優を夢見て、ロサンゼルスのハリウッド近くの喫茶店でバイトをしながらオーディションを受ける毎日。エマ・ストーンの場合は、どの作品もある程度エマ・ストーンにしか出せない「地」が出ますが、ひたむきでガッツもあり、コケティッシュで女性らしい愛嬌も兼ね備えたキャラは、ぴったりはまっていました。アカデミー主演女優賞を2回目のノミネートで見事受賞!まで28歳なのに凄い!

キース(ジョン・レジェンド)f:id:hisatsugu79:20170224210739j:plain
映画内でセバスチャンが参加するジャズバンド「Messengers」のバンドリーダーにしてメインVoを務めました。映画内で熱唱した、本人作の「START A FIRE」(サントラ収録)はかなりいい曲だったけどなぁ。彼の美声にかなり惹かれました。

ビル(J・K・シモンズf:id:hisatsugu79:20170224210413j:plain
現在上映中の「ザ・コンサルタント」では退役寸前の気のいい軍人を演じましたが、2014年度のアカデミー助演男優賞を獲得した、チャゼル監督の前作「セッション」での迫真の鬼コーチぶりが強く印象に残っていました。そして、今作でも主人公の行く手を阻む「門番」的な役割です(笑)これは!と思い、J・K・シモンズがでてきたシーンは、主役そっちのけで表情を追ってしまいました(笑)

★参考記事★
【映画レビュー】映画「ザ・コンサルタント」の感想と解説

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3.映画「ラ・ラ・ランド」ラスト・結末までの詳しいあらすじ(※ネタバレ注意)

3-1.「冬」:セバスチャンとミアの出会い

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ロサンゼルスのハイウェイは、今日も渋滞中だった。ドライバー達は、車中で思い思いの曲を聞いていたが、一人の女性が外で歌い出したのをきっかけに、全員中から出てきて全員で踊りだしてしまう。(サントラ#1「ANOTHER DAY OF SUN」

踊りが終わると、全員車に戻って前進したが、プリウスの中にいたミア(エマ・ストーン)は、その日に行われる映画俳優のオーディションの練習(電話のシーン)に夢中で止まったままだった。ちょうど後ろにいたセバスチャン(ライアン・ゴズリング)は、クラクションを鳴らしたが、ミアは電話に夢中で前に出ようとしない。仕方なく、セバスチャンは隣の車線からイライラしながら追い越していった。

ミアは、現在ハリウッド女優を目指して、ワーナー・ブラザーズの入居するビルのコーヒーショップでバイトをしながらオーディションに挑戦中だ。コーヒーショップにはしょっちゅう俳優たちも訪れ、その度にミアはいつの日か自分も・・・と決意を新たにするのだった。

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しかし、その日のオーディションは酷い出来だった。バイトを早上がりして急いでいた時に、シャツにコーヒーをかけられてしまい、それをジャケットで隠しながらオーディションに臨んだが、熱演も虚しく審査員は心ここにあらず、落選してしまった。

一方、セバスチャンは自宅に帰宅する最中、好きだったジャズクラブが閉店しているのを見かけるのだった。帰宅すると姉が部屋に上がり込んでいた。金欠な状況を見透かされた姉から、早く定職について落ち着くようにたしなめられた。

ミアは、オーディションから帰宅すると、同じく女優を目指して修行中のルームメイト3人から、ハリウッドのパーティに出かけようと誘われた。オーディションに失敗したばかりで気乗りがしなかったが、ミアはやはり行ってみることにした。(サントラ#2「SOMEONE IN THE CROWD」

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パーティ会場では、特に得られるものもなく、ひとり虚しく帰宅しようとしたら、駐車禁止で愛車プリウスがレッカー移動されてしまっていた。踏んだり蹴ったりで歩いて帰宅する途中、店の中から聞こえてきたピアノの音色に誘われて、「リプトンのバー」というジャズバーへ入るミア。

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そのバーでは、ちょうどセバスチャンがピアニストとして演奏中だった。支配人のビル(J・K・シモンズ)からは、オリジナル曲ではなく、クリスマスソングを演奏するように指示されていたセバスチャンだったが、衝動を抑えきれず、自分自身の曲を弾いてしまった。(サントラ#3「MIA & SEBASTIAN'S THEME」)支配人から、即刻クビを言い渡されて不機嫌なセバスチャンは、ミアを突き飛ばしてバーを出ていった。

3-2.「春」:惹かれ合う二人

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ミアは、あるプールパーティでふたたびセバスチャンを見かける。プールサイドのお遊びパーティバンドで、変な格好で演奏中だったセバスチャンたちに、「I RAN」をリクエストするのだった。

演奏終了後、セバスチャンはミアに話しかけた。プロのミュージシャンに「I RAN」(のようなチャラチャラした曲)はNGだと言い張った。ふたりはあまり友好的とは言えない状況の中で、自己紹介をするのだった。

パーティの場で、ミアはうさんくさい脚本家にしつこく話しかけられていた。ミアは、その場から逃げ出すため、通りかかったセバスチャンと一緒に会場を出た。そのまま駐車場のサンセットが見えるスペースまで移動して、二人は夜景見ながら会話と踊りを楽しんだ。(サントラ#4「A LOVELY NIGHT」)踊り終わると、ミアのボーイフレンド、グレッグから電話がかかってきた。

その後も、ナースや警察官など慣れない役どころのオーディションを受け続けるミアだったが、相変わらずハリウッドのコーヒーショップで働いていた。そこへ、ある日突然セバスチャンが尋ねてきた。

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バイトが終わった後、ハリウッドの界隈を散歩して歩く二人。ミアが叔母さんの影響でハリウッド女優を目指すことになったことや、セバスチャンが古き良きジャズが好きであることなどを話し、少しずつ打ち解けていくふたり。

セバスチャンは、ジャズが好きではないと言うミアをジャズ・バーに連れていき、本物のジャズを聞かせてジャズの良さを語った。(サントラ#5「HERMAN'S HABIT」)そして、翌週月曜日10時に、オーディションを突破して、学園モノ映画への出演するミアの勉強のため、映画に行こうと誘った。

しかし、そのオーディションは酷い出来だった。顔も見られず、わずか1行セリフを読んだだけで落とされてしまった。憤慨して自宅へ帰ると、さらに悪いことにグレッグとのグレッグの兄との会食の時間と、セバスチャンとの待ち合わせがダブルブッキングになっていた。

セバスチャンと連絡先を交わしていなかったので、やむをえず会食へグレッグと出かけたが、どうしてもセバスチャンが気になったミアは、会食を抜け出してセバスチャンの待つ劇場「リアルト」へ向かった。

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映画はすでに始まっていたが、首尾よく隣の席に座り、二人は映画を見ながらいい雰囲気になっていった。キスを交わす寸前というその時、映写機の調子が悪くなり、上映は中止となった。ふたりは、映画のシーンで出てきた「グリフィス天文台」へ向かい、その中でデートの続きを楽しんだ。(サントラ#6「CITY OF STARS」、サントラ#7「PLANETARIUM」)天文台の中で、彼らは初めてキスを交わした。

3-3.「夏」:セバスチャンの成功、二人の関係の変化

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二人の交際は順調だった。ミアは、セバスチャンの提案で脚本も自分で書くようになっていた。秋に、一人芝居の舞台を企画していたのだ。二人がデートする時は、セバスチャンが家の外でクラクションを鳴らすのが通例になっていた。

二人は、行きつけのジャズバー「LIGHTHOUSE」へ行き、セバスチャンはいつか自分のバーを持ち、経営したいと熱く夢を語った。話していると、セバスチャンは過去のジャズバンド仲間、キースから声を掛けられた。

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新たにバンドを立ち上げるので、仲間にならないかと誘うキース。条件も良かったが、自分の夢にこだわるセバスチャンは一旦断った。ミアは、キースのために店名とロゴを(SEB'S)を提案したが、セバスチャンは「CHICKEN ON A STICK」という名前にこだわった。伝説のジャズ・ミュージシャン、チャーリー・パーカーが鶏肉が好きだったのでついたあだ名「バード」にちなんだ名前にしたいというのだ。

その夜、二人は「CITY OF STARS」(サントラ#9)をデュエットで歌った。

翌日、ミアのためにも、セバスチャンはキースのバンド「メッセンジャーズ」に入ることを決めた。それはセバスチャンの目指す古き良きジャズとは大きくスタイルが異なっていたが、稼ぐために割り切った。

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ミアは、セバスチャンのバンドのライブに行くと、ちょうど「START A FIRE」(サントラ#10)がかかっていた。モダンで若者好みの音楽性に、戸惑うミアだった。

3-4.「秋」:二人の前向きな「別れ」

ミアは、いよいよ一人芝居の舞台の最終準備にかかっていた。たくさんの招待状を送付した。夏以降、順調なバンドがツアーに出てしまい、セバスチャンと会えなかったミアだったが、その日、セバスチャンは多忙な中、ミアと会う時間を作っていた。

近況を話し合う二人。セバスチャンは、ミアにツアーに帯同して欲しいと頼んだが、ミアは一人芝居の舞台が2週間後に迫っていたので丁寧に断った。ツアー終了後も、さらにレコーディングと次のツアーが続いていることに驚いたミアは、自分自身の夢を妥協するセバスチャンにそれで満足しているのか?と迫った。

ミアのために割り切って活動していたとは言え、痛いところを突かれたセバスチャンは、ミアに対して「成功して欲しくないからそんなことを言うのか」と、彼女を傷つけてしまう。ミアは、泣いて出ていってしまった。

ミアの一人芝居の舞台の当日、セバスチャンは必ず行くと約束していた。しかし、バンドの練習終了後、当日になって、キースから写真撮影が予定されているため残るように指示されてしまう。写真撮影が終わって駆けつけると、すでにミアの舞台は終わっていた。

観客は10人ほどしか見に来ておらず、しかも終了後、舞台袖から観客の悪評が聞こえてきて、完全に落ち込んでしまったミア。セバスチャンの制止も振り切り、そのままネバダの実家に帰ってしまった。

少ししてから、その日、ミアの一人芝居を見て高く評価した映画関係者から、メジャーな映画のオーディションがあるので、セバスチャンにミアの連絡先を教えてほしいと連絡が入った。携帯をオフにしていたミアに連絡が取れないため、セバスチャンはミアの実家を探し出し、必死で説得して連れ戻した。

オーディションで自由演技を求められ、出し尽くしたミア(「THE FOOLS WHO DREAM」(サントラ#12))。その後、二人でロサンゼルスの岡の上で語り合い、物理的にも会う機会が取れなくなるため、お互いの夢を優先して二人は関係を保留することにした。

3-5.5年後の「冬」:エピローグ

ミアはオーディションに合格し、ハリウッド女優としてのキャリアで成功しつつあった。別の夫、デイビッドと結婚し、子供も生まれていた。一方、セバスチャンも自分の原点だった「ジャズ・バー」を開く、という夢を実現していた。

その日、ミアは夫と二人でハリウッドのイベントに出かけ、その帰り道、ひどい渋滞に捕まっていた。高速道路を降りて、街中でディナーを摂ったあと、車に乗り込もうとした矢先、聞き慣れたジャズが耳に入ってきた。

見に行くと、そこには「SEB'S」という看板がかかっていた。そして、ちょうど中ではセバスチャンがこれからピアノソロを演奏するところだった。ミアに気づいたセバスチャンは、二人の思い出の曲「CITY OF STARS」を演奏した。もし、二人があの時分かれていなかったなら、今頃どうなっていただろうかー。演奏が開始されるとともに、二人の「もしも」の空想がはじまった。

その空想は、ちょうど二人の出会いに遡って始まった。二人は出会うやいなやキスを交わし、セバスチャンはキースと会話すらもしなかった。満員となったミアの一人芝居の舞台の最前列でスタンディングオベーションをするセバスチャン。ミアがパリに行くとセバスチャンも一緒にパリに渡り、セバスチャンはパリで演奏家として仕事を始め、ミアと結婚して子供も授かった。そして、ミアとジャズバーに出かける幸せな日々を送るのだった…

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そこで、空想は終わり、セバスチャンの演奏も終わった。ミアは夫と静かに席を立ち、ジャズバーを後にした。出ていく時、後ろを振り返ったミアに、寂しそうに微笑むセバスチャンだった。

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4.映画「ラ・ラ・ランド」の感想や評価(※ネタバレ有)

4-1.主人公達が結ばれない、切なすぎるハッピーエンド

事前に公式予告動画での予想に反して、ミアとセバスチャンはお互いの夢を尊重し、人生を「前進する」ために、別れを選択するという切なすぎるハッピーエンドで終わりました。一旦関係が保留になる中、ミアはハリウッド女優として成功し、セバスチャンはロスに自分のジャズバーをオープンさせるといういう夢を達成しました。

いわば、物理的な面では、完全に彼らは「アメリカン・ドリーム」的な夢をつかんで大成功したわけです。それでも、ジャズバーを後にするミアを見送るセバスチャンの寂しげなラストシーンの表情が、忘れられません。名シーンだったと思います。

大成功し、結婚して子供にも恵まれ、物心両面で幸せになったミアに対して、ほろ苦い喪失感を伴う「不完全な成功」に終わってしまったセバスチャン。

キャリアの成功と人間関係の充実はトレードオフなのか、それとも両立しうるのか非常に考えさせられました。(というか、キャリア上の成功をまず収めるのも本来は難しいので、贅沢な悩みなのだけれど)

4-2.新海誠「秒速5センチメートル」との類似性

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(引用:https://www.youtube.com/watch?v=1X95eE2fwuc

一旦遠く離れた後、その後の「復縁」に一縷の望みをつなぎ、待ち続けたセバスチャンと、大成功した後、自分をサポートしてくれる堅実な夫を探し出して、さっさと結婚してしまったミア。

舞台設定やストーリーは違いますが、物語の大枠の構造が新海誠の映画「秒速5センチメートル」とそっくりでした。(アメリカの掲示板でも類似性についての指摘が複数あった!)秒速5センチメートルでは、小学生以来の幼馴染で相思相愛となった貴樹と明里は、中学生の時に両親の仕事で離れ離れとなりますが、いつまでも彼女を待ち続けたのは貴樹で、明里は徐々に現実の中で新しい幸せを見つけていきました。

ラストシーンで、偶然二人がニアミス的に出会い、男の側が復縁への望みが叶わないことを知る、というラストも同じ構造ですね。

ネット上で「男の恋はフォルダー保存、女の恋は上書き保存」という格言(?)を見つけたのですが、こういった過去の恋やロマンチシズムに引きずられるのは古今東西、男性の方なのかもしれないですね。

4-3.ハリウッドへの毒を利かせたコメディ要素も楽しめた

とはいえ、途中の展開は結構笑える箇所がいくつもありました。特に、いわゆる「ハリウッド的」なものへの毒の利いたシニカルな笑いが散りばめられていたのが面白かったです。例えば・・・

◯グルテンフリーのメニューを注文するクレーマー客
ミアのバイト先で出されたマフィンがグルテンフリーではないとわかったクレーマー客が、払い戻しをミアに強要するシーン。ハリウッド発で大流行した「グルテンフリーダイエット」を揶揄していると思われます(笑)

◯パーティにプリウスだらけ
プールパーティから帰る時、クロークにあった車のキーが全部プリウスのものでした(笑)「クリーン」で「エコ」なイメージが意識の高いハリウッドセレブに一時期大ウケしたプリウスで、ハリウッド中が溢れかえった現象を皮肉っていましたね。

◯一方通行だらけのロサンゼルス
ミアとのデートでセバスチャンが細い路地を間違って入っていき、対向車から追いかけられてバックで戻るシーンがありましたが、ロサンゼルスは一方通行だらけのわかりづらい道路区画で特に有名なのだそうです。

他にも探せば結構ありそうですが、ちょくちょく本筋と関係ない小ネタが挟まれていて面白かったです。

4-4.キャリアの成功と幸せな家庭の両立の難しさ

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エンディングシーンで、ミアは最初に付き合っていたグレッグのような風貌の黒髪で保守的な男性デイビッドと結婚していました。デイビッドは、家でミアの帰りを待っていました。ということは、自らはキャリアを諦め、ミアをサポートする専業主夫的な立ち位置か、在宅中心で回せる副業的な仕事への関わり方だったということです。だからこそ、ミアとの結婚生活が成り立っているのでしょう。

これは、彼ら二人の空想シーンでも、ミアがハリウッド女優として活動する一方、セバスチャンはミアに帯同してパリに渡り、現地のジャズ・バーで雇われ演奏家として生活している様子が描かれていたからです。これは、彼自身の原点である「ジャズバーの店を持つ」という夢を諦めることと引き換えに、ミアのキャリアを100%実現させ、彼女との幸せな結婚生活を手に入れたことに他なりません。

どちらかが極端に難易度の高い夢を追いかける人生を歩むのであれば、その伴侶となる者は、夢を諦めて伴侶のサポート(=家庭を守る)に回り、バランスを取っていくのが現実的なのでしょうね。キャリアと家庭の両立の難しさ、あるいは、仕事のプロフェッショナル同士の結婚生活の難しさについて、改めて深く考えさせられました。

4-5.自分自身の夢の追求と経済的な成功の両立の難しさ

セバスチャンの顛末については、さらにもう一つ気付かされることがあります。それは、経済的に成功することと夢の追求はトレードオフになりがちである、ということです。

セバスチャンの夢は、ジャズバーで自らがオールドスタイルな古き良きジャズピアノを演奏することでした。ですが、現実的にはお客さんが付いてこないため、彼はいつもお金に困っていました。

そこで、一旦キースの誘いを受けバンド「Messengers」に加入して、自らの夢を一時保留し、「仕事」として客の喜ぶ音楽をやりだすと、お金は入ってきましたが、多忙な日々に自らの夢が宙ぶらりんになってしまいます。(ここはミアに散々突っ込まれることになります)

さらに5年後、セバスチャンは念願のジャズバーをオープンしますが、そこでは、自分より上手なピアニストと契約するシーンが描かれていました。技量的な問題、経営面での問題(経営者なので忙しい)などもあるのでしょう。彼女もあきらめ、自らの店を持てたのに、自分の代わりのピアニストを雇用しなければならないセバスチャンの現実は、100%自分自身の夢を追求する難しさを象徴していたように思います。

5.映画「ラ・ラ・ランド」の伏線・設定などの解説(※ネタバレ)

5-1.映画タイトル「ララランド」とはどんな意味なのか?

「La・La・Land」という単語は、1970年代後半からアメリカで使われ始めた、比較的新出のスラング寄りの俗語なのですが、主に2つの意味があると言われます。

  1. 恍惚で、心ここにあらず陶酔した状態。
  2. ロサンゼルス周辺のことを差す言葉。「La」=「Los Angels」の愛称で、ハリウッドやビバリーヒルズなど、浮ついたイメージのある地名から連想されてこう呼ばれるようになった。

夢の国=ハリウッドで大成功を収めるのは、自分に酔い、愚かなほど盲目にならないとやってられないほど、低確率で難しいことです。ほぼ不可能に近い夢に挑戦する愚かなほどまっすぐな男女二人を描いた物語として、絶妙なタイトルだったと思います。

5-2.アカデミー賞6部門で受賞!ここまでの受賞歴とノミネート状況

「ララランド」は、元々ハリウッドで夢を追う若者を扱った、いわば業界内輪向けのテーマを扱った映画なので、各種賞レースの審査員の心に響きやすい作品でした。

そして、2月27日、事前に14部門でノミネートされたうち、6部門で見事にアカデミー賞受賞。惜しくも作品賞は逃しましたが、監督賞、主演女優賞など主要部門で、また、ミュージカルらしく作曲賞、歌曲賞もしっかりゲットしました。

以下は、ゴールデングローブ賞とアカデミー賞の受賞状況です。

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その他、各種受賞状況は、英文ソースになりますが、こちら(IMDB)でまとめられています。全部足し合わせると、軽く100部門以上で受賞しており、賞レースを席巻する本映画の凄さがわかります。

5-3.映画中でのライアン・ゴズリングのピアノ演奏は本物なのか?

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映画中、ライアン・ゴズリング扮するセバスチャンは、かなりの難易度なピアノソロをガンガン弾きこなしていました。演奏シーンが始まると「手だけ」フォーカスしたピアノ映像でつなぐのが、通例ですよね。(「のだめカンタービレ」の玉木宏とか「四月は君の嘘」の山崎賢人とか/笑)

これは、ライアン・ゴズリングが本当に全部自分で弾きこなしているのだそうです。実際、彼の演奏シーンは全部「手だけ」のカットは一切ありません。物凄い超絶技巧シーンなどがありましたが、ロケ開始前に全て3ヶ月の猛特訓で覚えきったそうです。その間、全ての仕事を止めて執念で習得したライアン・ゴズリングのプロ意識には恐れ入りました。

ついでにいうと、エマ・ストーンの歌声も期待以上、物凄い上手だったというわけではありませんでしたが、それなりに普通に聴けるレベルでした。調べたら、2014年にブロードウェイの舞台「キャバレー」でデビューしていました。俳優になってからこちらも猛特訓したのでしょうね。ハリウッドの俳優は気合いも違います・・・。

5-4.映画内のバンド「Messengers」のヴォーカル担当、キースを演じていた俳優は?

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映画後半で、セバスチャンが加入したバンド「Messengers」のリーダー兼Vo担当は、実際にソウルシンガーとしても有名な、ジョン・レジェンドです。本職ですね。一旦有名コンサル会社に就職した後、歌手デビューしたという変わった経歴の持ち主で、2004年のデビューアルバム「Get Lifted」が全世界200万枚を超える大ヒットを記録しました。

ちょうど、本人も歌手から俳優へと活動の場を広げたいという意向があった中、本職を生かした演技は渡りに船だったようですね。

それにしても美声でした。映画中で歌われた曲「START A FIRE」は、映画「ララランド」のサントラ盤に収められています。僕も、迷いなくポチってしまいました!

5-5.映画内に散りばめられた様々なメタファー

チャゼル監督の鬼才振りは、前作「セッション」でもそうでしたが、主人公たちにセリフとしてテーマを饒舌に語らせるのではなく、情景描写や映画の撮影方法、主人公たちの服装の変化、プロットなどにそれとなくメッセージやメタファーを散りばめて、きっちりとテーマやストーリーを浮き上がらせる演出力や構成力にあると思います。

たとえば、冒頭とラストの高速道路の渋滞の描写の対比は鮮やかでした。LAの名物「大渋滞」は、いわばハリウッド=成功に続く道の困難さを表しているのでしょう。実際、映画冒頭で踊りだした人たちは、ミア、セバスチャンも含めてみんな若者ばかりでした。

そして、エンディングでやはりミアは渋滞に捕まるのですが、冒頭と違うのは、そう、脇に出口があったことです。家路に向かうミアが、あっさり脇道から渋滞を抜けていくシーンは、ミアがすでにハリウッドでの大成功を収めたことを暗示していました。

それ以外にも、二人の関係が深まり、現実というカベにぶち当たるに従って、ビビッドな服装が地味になっていったり、2人が食事をするシーンで、メインディッシュが焼け焦げてしまうトラブルが二人の行く末を暗示していたり、様々な工夫がありました。

何度見直しても新たな発見がある、情報量の濃いしっかりとした作品だったと思います。複数回行く予定なので、もう少し探してみるつもりです。

5-6.最後の空想はミアの夢なのか?セバスチャンの夢なのか?

エンディングラスト10分の空想シーンは、ミアの空想なのか、セバスチャンの空想なのか、チャゼル監督は明らかにしていません。正直なところ、どちらの立場でも解釈できてしまいますし、意見は割れています。

ミアの夢とする立場
SEB'Sに入っていき、ミアがセバスチャンのステージを見ている時に空想シーンへ飛んだこと、空想シーンではミアのキャリアが優先されて描かれていたことから、これはミアの夢である。

セバスチャンの夢とする立場
セバスチャンは、ミアと一緒になれなかったことを後悔し、寂しがっていた。ラストシーンは未練たらたらの表情だった。これに対してミアはキャリアも実現し、子供にも恵まれ、現在の夫と幸せに暮らしている。ミアには「こうだったら良かったのに」と空想する動機が強くないため、この夢はセバスチャンの夢である。

良い映画とは、見終わった後、鑑賞者にあれこれと考えさせる映画でもあります。封切後わずか3日で10,000記事を超えたFilmarksの感想エントリ(過去最速)では、やはりエンディングの解釈についての感想が集中していましたね。

6.まとめ

僕は、どちらかというと洋画ではあまり泣けないのですが、今回の「ラ・ラ・ランド」は本当に切ない話で、泣かされてしまいました。と、同時に、キャリアと人間関係のトレードオフなど、人間の幸福に直結する、考えさせられるテーマを含んでいた傑作だったと思います。何度も見返したい素晴らしい作品です。前作「セッション」に引き続き、若き天才、チャゼル監督の渾身の作品でした。文句なしにおすすめ。

それではまた。
かるび

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【ネタバレ有】映画「ローガンラッキー」感想・レビューと10の疑問点を徹底解説!/祝!スティーブン・ソダーバーグ監督復帰第一作!

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【2017年12月9日最終更新】

かるび(@karub_imalive)です。

11月18日に公開された新作「ローガンラッキー」を見てきました。一度は映画製作を引退したスティーブン・ソダーバーグ監督が、4年ぶりに映画監督へと復帰した第1作目の作品です。

早速ですが、映画を見てきた感想やレビュー、あらすじ等の詳しい解説を書いてみたいと思います。
※本エントリは、後半部分でストーリー核心部分にかかわるネタバレ記述が一部含まれますので、何卒ご了承ください。できれば、映画鑑賞後にご覧頂ければ幸いです。

1.映画「ローガンラッキー」の予告動画・基本情報

▶「ローガンラッキー」公式予告動画
※画像をクリックすると動画がスタートします


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【監督】スティーブン・ソダーバーグ
【脚本】レベッカ・ブラント
【配給】ソニー・ピクチャーズ、スターチャンネル
【時間】119分

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引用:映画『ローガン・ラッキー』 | オフィシャルサイト | 

さて、本作でメガホンを取ったのは、2013年「サイド・エフェクト」映画監督業を引退して以来、約4年ぶりに復帰となったスティーブン・ソダーバーグ監督です。

ここ数年、中国マーケットへの売上や確実なリターンを重要視するあまり、ハリウッドではビッグバジェットの「過去のリブートもの」か「アメコミヒーローもの」企画以外は、出資者がなかなか現れず、作品を作るのが難しくなったと言われます。この状況に強い不満を抱いていたソダーバーグ監督は、 映画に見切りをつけ、代わって作家性を発揮できて、自由に表現が可能になってきたTVドラマ製作を主戦場としていました。

しかし、2年前、新人脚本家であるレベッカ・ブラントから、映画脚本へのアドバイスを求められたソダーバーグ監督は、この脚本に一目惚れしてしまいます。これをきっかけとして、ハリウッドスタジオを通さず、自らが製作・配給まで全てコントロールできる新しい映画製作のスキームを試す機会として、本作を復帰作として選んだのです。

早速、完成された作品は、自ら立ち上げた配給会社から全米の映画館へと供給されました。ソダーバーグ監督は、ここで自らの持論として、「必要以上に余計な広告宣伝費をかけない」という方針で、ハリウッドの大手スタジオとは違う宣伝方法を選択します。しかし、広告宣伝費をケチりすぎたのか、残念ながらアメリカでは興収約3,000万ドルとコケてしまいました。今回は、ソダーバーグ監督の目指した新しい映画作りの仕組みは上手く働かなかったということでしょうか。

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しかし、本作ではソダーバーグ監督が作品を完全にコントロールして制作することができたこともあって、作品としての完成度が高く評価されました。試写段階で映画評論家から絶賛され、評価サイトRotten Tomatoesでは驚異の93%を獲得しています。 

2.映画「ローガン・ラッキー」主要登場人物・キャスト

主要登場人物

ジミー・ローガン(チャニング・テイタム)f:id:hisatsugu79:20171122004359j:plain
引用:LOGAN LUCKY | Official HD Trailer - YouTube
ソダーバーグ監督作品への出演は今作で4度目。ストリッパー役で見事な肉体美を誇った「マジック・マイク」の肉体美はどこへ?ってな具合に、役作りのため10キロ程度増量して、すっかり田舎のオヤジになりきっています。2018年正月公開の「キングスマン・ゴールデンサークル」が待機中。こちらも楽しみです。

クライド・ローガン(アダム・ドライバー)f:id:hisatsugu79:20171122004327j:plain
引用:LOGAN LUCKY | Official HD Trailer - YouTube
映画「沈黙サイレンス」でのガリガリにやせた敬虔な宣教師役から、一転して筋肉質で無口なマッチョな姿へ、役作りが本当に上手な個性派俳優です。年末の「スターウォーズ8/最後のジェダイ」も今から楽しみです。なお、本作では片腕を失った元イラク帰還兵を演じていますが、俳優になる前は、彼は実際に軍隊で働いていた経験があるそうです。

メリー・ローガン(ライリー・キーオ)f:id:hisatsugu79:20171122004414j:plain
引用:LOGAN LUCKY | Official HD Trailer - YouTube
地元NASCARの第二の聖地で育ったせいか、車が大好き。地元で理容師として堅実な仕事に就きつつ、兄の娘の芸能活動における実質上マネージャーを務めるジミーの妹。服装・性格は完全に「マイルドヤンキー」そのものでしたが(笑)、女性成分が少ない本作において、存在感が際立っていました。もっと出演時間があってもよかったのに。

ジョー・バング(ダニエル・クレイグ)f:id:hisatsugu79:20171122004133j:plain
引用:LOGAN LUCKY | Official HD Trailer - YouTube
「007シリーズ」6代目ジェームス・ボンドですっかり定着しすぎてしまったハードボイルドな役割から脱却したいのか、その反動のように思い切り弾けた演技で、観客を魅せてくれました。「In-car-ce-ra-ted!」(投獄されてるんだよ!)というセリフが頭から離れません・・・

シルヴィア・ハリソン(キャサリン・ウォーターストン)f:id:hisatsugu79:20171122004148j:plain
引用:LOGAN LUCKY | Official HD Trailer - YouTube
ここ数年は「ファンタスティック・ビーストと魔法の旅」(2016)「エイリアン:コヴェナント」(2017)など、大作での主演抜擢が続きます。今作ではちょうど「エイリアン」の撮影時期だったのか、ショートヘアでの出演です。ちなみに、この人の出演する映画で「カントリーロード」がかかったのは今作で2回目です。

サラ・グレイソン(ヒラリー・スワンク)f:id:hisatsugu79:20171122004105j:plain
引用:LOGAN LUCKY | Official HD Trailer - YouTube
「ボーイズ・ドント・クライ」(1999)「ミリオンダラー・ベイビー」(2004)と、過去2回アカデミー主演女優賞を受賞している大物演技派女優ですが、ハリウッド作品では3年ぶりの出演。ここ数年は制作側に回ることも多く、ハリウッド作品での出演機会が減っていたので、久々の出演です。

3.途中までの簡単なあらすじ

かつて、高校時代はアメフトで地元の有名選手として、将来を嘱望されていたジミー・ローガン。試合中の足のケガが原因で、輝かしいキャリアを断念せざるを得なくなってから不運続きだった。地元で建設業の仕事に就いていたが、現在では失業し、妻子にも逃げられて散々な毎日を送っていた。

今では、面会日に前妻との一人娘、セイディの姿を見ることだけが唯一の生きがいだった。しかし前妻と現在の夫は、彼らが手がける事業拡大のため、リンチバーグへと移住することになり、ジミーはいよいよ最愛の子供との会えなくなる絶対絶命の状況に追い込まれたのだった。

そこで、ジミーは、起死回生の大勝負に出ることにした。地元シャーロット・サーキットで開催されるNASCARのレース中に、盗みに入るという一世一代の強盗計画を立てたのだ。早速プランを練り、仲間を集めることになった。イラク戦争帰りで片腕を失った元軍人で、現在は地元でバーを経営する弟クライド、美容師で無類の車好きである妹メリーに加え、爆破のプロで、現在形期服役中のジョーバングを説得し、計画に参加させることにした。

レース当日にジョーを一時的に脱獄させ、レース場の金庫を爆破し、仕事を終えた後に、看守にバレないように再び刑務所へと戻すという作戦を立てたジミー達。その下準備として、事前に弟クライドを刑務所へと送り込んだ。

迎えたレース当日、ジミーと仲間たちは、入出金のコンピュータ施設を爆破した上で、現金を金庫へと輸送する気送管設備へと忍び込む。素人集団ゆえに、何度も危うい場面があったが、事前に練り上げたプラン通りに何とか盗みを終えたジミー達だった。

ジミーの大胆な偽装工作と仲間たちの完璧なアリバイ、事なかれ主義の事件当事者の敵失にも助けられ、そのまま事件はお蔵入りになるかと思われたが、執念深いFBIのベテラン女性捜査官は、諦めずに真相を追及するのだった。果たしてローガン一味の運命はどうなってしまうのかーーー。

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4.映画「ローガン・ラッキー」の感想・考察・評価

ソダーバーグ監督の「オーシャンズ11」を強く想起させる作品!

見終わった第一感としては、スティーヴン・ソダーバーグ監督の代表作「オーシャンズ11」シリーズに非常に似ているな、ということ。『金に困った主人公が、仲間を集めて、周到なプランを練って、金庫から現金強奪の大勝負をする』というプロットは、ほとんど同じといっても過言ではありません。実際、ソダーバーグ監督自身も、インタビューで何度も「オーシャンズ」シリーズとの関連性を自ら口にするなど、2つの作品には、自他共に認める強い共通点がありました。

その一方で、本作は、「オーシャンズ」シリーズの様々な要素・設定を、アナグラム的にすべて反転させて製作された面白さが際立ちました。よくよく見てみると、物語中のほぼすべての要素が、オーシャンズとはほぼすべて対照的な設定になっているのですよね。

▼オーシャンズ11とローガン・ラッキーの設定比較f:id:hisatsugu79:20171121233425j:plain

オーシャンズ・シリーズでは、ジョージ・クルーニー率いるきらびやかで知的な登場人物たちが、スタイリッシュでスピーディな動きで観客を楽しませますが、今回のローガン・ラッキーでは、全てが逆なんですよね。一見鈍重で頭の悪そうな田舎のオッサン素人集団が、試行錯誤をしながら何とかノロノロと仕事を進めていきます。喋り方も遅く、現場でもモタモタするなど、見ているこちら側が「こんなにゆっくりしてて大丈夫なのかな?」と心配になるほど不器用な感じが微笑ましいのですよね。

金庫破りの犯罪映画として自ら打ち立てた金字塔である「オーシャンズ」シリーズをベースに、見事なほどに対置的な設定で置き換えたセルフ・パロディ作品として、非常に見応えのある作品でした。

アメリカの現代社会への風刺が効いた、アメリカ人のための映画だった

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引用:LOGAN LUCKY | "America" TV Spot - YouTube

一見、ユルいコメディ犯罪映画のように見える本作ですが、そこは映画作りの職人、ソダーバーグ監督。本作では、映像や設定、セリフなど、映画の様々な階層で、意外なほどに政治的なメッセージが込められていることに気付かされます。

本作をよく見てみると、「二極化して疲弊するアメリカ現代社会」への風刺と「古き良きアメリカへの郷愁」を散りばめた、極めてドメスティックな作品に仕上がっているんですよね。

まず、チャニング・テイタムとアダム・ドライバーの演じるローガン兄弟の存在自身が、アメリカという国そのもののメタファーになっています。ジミーは、高校時代アメフトで将来を嘱望される地元のスーパースターですし、弟はイラク戦争で活躍したアメリカ軍兵士でした。そんな彼らの現在と言えば、それぞれ手足を負傷し、傷つき、社会の片隅に追いやられる存在として描かれます。落ちぶれた二人の現在が、「かつては強かったアメリカ」の没落とぴったり重なるわけです。

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華やかなレース場の地下で重労働に従事するジミー
引用:LOGAN LUCKY | Official HD Trailer - YouTube

さらに、舞台設定も強烈でした。アメリカの富と名声の象徴でもあるNASCARの華やかなレースを楽しむ人々とは対照的に、サーキットの陥没穴を修理するため働く炭鉱夫たちの姿は、まさに共和党政権下で、二極化が進むアメリカ社会の縮図そのものに見えました。

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ほとんど外見の違いがない二人だが・・・
引用:LOGAN LUCKY | "America" TV Spot - YouTube

さらに、ジミー(元夫)とチャップマン(現夫)の鮮やかな対比描写も面白かったです。外見は、ほとんど変わらない恰幅の良い田舎のオッサン二人ですが、片方は地元の実業家として事業に成功した上流層、片方は失業して携帯代さえ払えない極貧の最下層と明暗はくっきり。地縁でつながったローカル社会にも、強烈に貧富の差が発生している様が描かれました。

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事なかれ主義で保身・不正に走る社会の上層部(?)
引用:LOGAN LUCKY | "America" TV Spot - YouTube

それと同時に、社会上層部の「持っている」人たちが既得権にしがみつく姿勢も風刺的に描かれました。例えば、それは囚人たちの暴動や不正に対して見て見ぬふりをする刑務所の責任者や、盗難保険を悪用して不正に一儲けしようとするサーキットの経営者の汚さです。映画内では、彼らを直接糾弾するのではなく、敵失としてジミー達の完全犯罪の成立に手を貸してしまっている状況をコメディ的に描くことにより、マイルドに風刺を効かせる職人的な上手さが感じられました。

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今から盗みに入るのに、歌ってます・・・
引用:LOGAN LUCKY | "America" TV Spot - YouTube

一方、本作はそんな疲弊した矛盾だらけのアメリカ社会の現状に対して、「古き良き日のアメリカ」への思いも散りばめられた作品でもありました。NASCARのコカ・コーラ600のレース前には、国民を代表するカントリー歌手リアン・ライムスが「America the Beautiful」をしっとりワンコーラス歌い上げますし、これから盗みに入るジョー達まで、観客と一緒に歌ってます(笑)

また、前フリとして疲れきったジミーが車のカセットデッキでかけた「カントリーロード」。ウエストバージニア州の美しき故郷を表現したアメリカ人にとってクラシックなナンバーです。これを、クライマックスに差し掛かる時、美少女コンテストのステージで愛娘が「今日はパパの好きな曲」として、ワンコーラス歌い上げるんですよね。これは泣けます。うまい演出でした!!

また、ラストシーンでバーに集まった仲間たちの服装が、見事に「赤」(メリー)「白」(ジョー)「青」(クライド)と分かれ、アメリカ国旗を思わせる星条旗カラーになっていたのも面白い趣向です。バーの名前「Duck Tape」とは、配管修理などに使われるガムテープのことを指しますが、大仕事が終わって絆を深めた仲間たちに、ソダーバーグ監督の祖国アメリカに対する思いが乗せられているような気がしました。

興収はコケるも、映画好きからは絶賛!ソダーバーグ監督の職人的映画作り

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引用:LOGAN LUCKY | Pro Con Scene - YouTube

今作は、4年間のブランクを全く感じさせない、非常に濃厚で、映画作品らしい映画でした。ソダーバーグ監督の映画作品の特徴として、

・説明的セリフよりも映像でストーリーを語る
・非常に複雑でトリッキーな脚本である
・展開がスピーディでカット割りが細かい

という特徴がありますが、本作はまさにこれ!政治的風刺もたっぷり効いた映像や構図も面白いですし、強盗作戦も非常に複雑な伏線と仕掛けに満ちていて、片時も画面から目が離せないのですよね。ポップコーンを食べているヒマもありません(笑)この、画面に食い入るようにして映像を能動的に見なければいけない「苦しくも楽しい」作業が、今回も「あー、映画を見ているなぁ」という気持ちにさせてくれます。

しかし、一方で、

・映画内で全て潔く種明かしをする
・大切な手がかりは、「アップ」で強調してくれる

ので、複雑なシナリオであっても、何度も見れば必ずわかります(笑)今回も、僕は1回ではわからなかったので、2回目でようやく理解するに至りました。

これらに加えて、今回、特に面白かったのが、セリフや設定での言葉遊びやシュールな演出部分ですね。英語ネイティブならなお笑えたのでしょうが、本作の類似作品に対して、映画内で「オーシャンズ・セブン・イレブン」とか「Furious Fast」(Fast & Furious 8=ワイルド・スピード8)とからかってみせたり、ダニエル・クレイグがゆでたまごを食べるシーンとか、ジョー・バングの兄弟が便座のような物を投げる遊びをしていたり、笑えるシーンが沢山ありました。

このように映画的な楽しみに溢れた作品なので、何回見ても新しい発見がある作品だと思います。ジワジワと良さがわかってくる「スルメ」系作品なので、1回目でピンと来なかった人は、あとでDVDなどでもう一度見てみるといいかもしれません。

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5.映画「ローガン・ラッキー」に関する10の疑問点・謎を解き明かす~伏線・盗みの手口を徹底考察!~

本作をより深く理解するため、ストーリーや設定について、その要点となりそうなポイントを考察してみました。内容上、映画を1度見終わった人向けのコンテンツとなりますので、ここからはネタバレ要素が強めに入ります。予めご了承下さい。

疑問点1:合言葉「カリフラワー」とはどんな意味があったのか?

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引用:ウィキペディアより

直前に炭鉱夫の仕事をクビになったジミーが、弟クライドのバーに立ち寄り、帰る時につぶやいた「カリフラワー」という暗号のような言葉。これを聞いたクライドは、怯えたような顔つきで固まりますが、これは、ジミーがローガン家の面々に対して、「起死回生の一発勝負をやろう!」という作戦指令コードでした。

過去、ジミーが「カリフラワー」を持ちかけた計画はすべて失敗しており、その都度クライドは少年院に入ったり大変な目に遭っているのですが、妙に結束力の強いローガン家では、長男の「カリフラワー」指令には誰も逆らわないのですね(笑)

ちなみに、「カリフラワー」の花言葉は「お祭り騒ぎ」という意味があるのだそうです。本作の荒唐無稽な強盗計画にぴったりの花言葉であります・・・。

疑問点2:盗みの舞台となった「シャーロット・モーター・スピードウェイ」とは?NASCAR「コカ・コーラ600」とはどんなレース?

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今回の盗みの舞台となった「シャーロット・モーター・スピードウェイ」は、アメリカの6大スポーツの一つと言われ、ストックカー(市販車)で争われる自動車レースの最高峰「NASCAR」の第二の聖地として有名なサーキットです。サーキットは、いわゆる陸上競技のトラックのような「円形」オーバルコースで、1周2.4キロのコースを周回することで、レースが行われています。

例年5月末、このサーキットで行われる「NASCAR」最大のイベントのうちの一つが、「コカ・コーラ600」と言われるレースです。文字通り約半日かけて、600周を高速で周回する耐久レースです。全米にTV中継も行われ、数百万人の観客がレースをTV観戦すると言われています。(だから、こんな日に盗みをやりたくはなかったのでしょうね・・・)

疑問点3:NASCARのレースで謳っていた歌手は?また、その曲名とは?

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引用:LOGAN LUCKY | "America" TV Spot - YouTube

NASCARのレース開始前、歌われていたのは「America the Beautiful」という曲で、19世紀中頃に作られた、アメリカの大自然を称える歌詞が印象的な曲です。国歌として位置づけられる「star spangled banner」に次いで、アメリカ第二の国歌とも言われるほど国民に浸透しており、こういった国民的的イベントではよく歌われているようです。

ちなみに、劇中で「America the Beautiful」を歌うのは、カントリー・ミュージックの国民的歌手であるリアン・ライムスでした。所属レーベルの公式音源がYoutubeにアップされていますので、貼っておきますね。

▶「America the Beautiful」公式音源
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疑問点4:ジミーの立てた「盗み」の行動計画10か条の中身とは?

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引用:映画パンフレット裏表紙より

これまでの人生はやることなすこと全て裏目に出てきたジミーですが、彼には非常に几帳面な計画性があったのです。強盗を行う前に、10か条のチェックリストをメモに書き出し、これを忠実に守って計画を成功させたのです。

なお、メモ書きの中身を直訳すると、こんな感じです。

★盗みのための10か条

1)盗みに入ると決意する
2)計画を立てる
3)予備の計画も立てる
4)しっかり意思疎通を行う
5)注意深くパートナーを選ぶ
6)予想外の出来事が起こると心得る
7)ムカつくことも起きる
8)決して欲張らないこと
9)必ず、ムカつくことは起きる
10)引き際をきちんと見極める

映画を見返してみると、ジョー・バングから、本当にどうしようもない兄弟を監視役として押し付けられた他は、ほぼきちんと10か条に従って行動できていましたね。ここまで冷静沈着に行動できるのに運が悪いのは、やっぱり”ローガンの呪い”なのでしょうか(笑)

疑問点5:小屋のような建物に火をつけた狙いは何だったのか?

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引用:LOGAN LUCKY | Official HD Trailer - YouTube

レース当日、まず強盗計画の一番最初にジョーバングの弟たちが手掛けたのが、離れにあった建物の爆破でした。爆破直後に、サーキットの全ての売店をコンピュータ管理しているPOSシステムがダウンしたことから、この建物はサーキットの業務システムのサーバ室だったのでしょう。

このステップを最初に入れておくことで、売店のレジにて売上金の管理ができなくなり、金庫内にいくら入金されていたか把握不能になったため、後日警察が操作する際に、一体いくら盗まれたのかわからなくなる効果がありました。非常に戦略的な行動です。

疑問点6:気送管内にゴキブリを放ったのは何の意味があったのか?

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引用:LOGAN LUCKY | Official HD Trailer - YouTube

これは、どの気送管がどう金庫につながっているのか事前にチェックするために実行されました。まず、彼女の車に傷をつけ、当て逃げ事件を装って金庫管理の職員を、金庫が自動で閉まる17時30分以降まで建物外部の駐車場に引きつけておくことによって、金庫内にケーキが置かれたままの状態にします。

その上で、メリーが用意した、背中に色付きのゴキブリを気送管にそれぞれ放り込むことによって、ケーキへと到達したゴキブリが何色だったのかチェックすることで、金庫へと直結する気送管のルートを判別していたのでしょう。複雑なプロットですが、よく考えられていました。

疑問点7:ダクト内のグミと塩で作った爆発物は本物なのか?

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引用:LOGAN LUCKY | "America" TV Spot - YouTube

本作のトリックで、一番笑えたのがこのシーン。ジョー・バングが非常に原始的な方法で、気送管を通じて「お手製の」爆弾を金庫へと送り込むシーンです。この時、ジョーは、砂糖漬けのグミと食卓塩で即席の爆弾を作っていましたが、果たして本当にできるのでしょうか?ジョーは、劇中で「Youtubeにアップされてる」と言っていましたが、調べてみたら本当に幾つもアップされていました(笑)

Youtube上では、グミと塩に熱を加えることによって、爆発的な反応が起きる動画がいくつもアップされています。(映画内では、触媒を使って加熱)あくまで教育上の理科実験・・・ということなので、本当にマネしないようにしてくださいね(笑)

▶グミと塩で爆発物が作れる?!検証動画
※画像をクリックすると動画がスタートします


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疑問点8:なぜ、ジミーはわざと盗んだ大半の金をコンビニに置いてきたのか

お金を盗み出したところまでは「オーシャンズ11」と同じ展開でしたが、そこから意外な展開に進んだのが、ジミーがコンビニに盗み出した金を、全部置き去りにして姿を消したことです。

「ジミーは本当は善人で、土壇場で良心に目覚めたのか?」と最初は解釈していたのですが、たぶんこれは違います。その後、彼がもう2~3袋程度札束を詰めたゴミ袋を持ち出し、別途ゴミ収集車に回収させ、約2ヶ月後くらい後に廃棄処分場から掘り返すという周到な手順で盗んだ金を回収するシーンが種明かしされました。決して良心に目覚めたわけではなかったのですね。ちゃんと、周りの協力者に謝礼を支払っても、まだなお自らの生活をやり直せるだけのお金を手にすることができていたのです。

したがって、コンビニに金を置いてきたのは、「決して欲張りすぎない」「引き際をわきまえる」という自らに課したチェックリストに沿って、巧妙に考え抜かれたジミーの仕掛けた作戦の一部であり、もっとも重要なポイントだったのです。

なぜなら、コンビニに一旦奪った大半のお金を置き去りにすることで、まず、自らのアリバイと動機を消すことができました。次に、マスコミから「世直し泥棒?」的な扱われ方をされたため、世論の好意的な関心を獲得することができました。さらに、お金を取られた関係者も、保険が下りたことにより、事件への関心をなくしていきます。こうした心理的効果と完璧なアリバイにより、FBIの捜査は撹乱され、最終的に事件はうやむやのまま忘れ去られることになりました。

疑問点9:クライドの義手は、スターウォーズへのオマージュ?

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引用:LOGAN LUCKY | Official HD Trailer - YouTube

ところで、(どうしても時期柄か)本作を見ていて連想してしまったのは、クライドの義手は、スターウォーズへのオマージュなのか?ということです。彼がスターウォーズシリーズで演じるカイロ・レンは、ダークサイドに堕ちたダース・ベイダーの信奉者です。ダース・ベイダーといえば、シリーズ中、何回も「腕」を切り落とされるシーンがありますよね。アナキン時代、エピソード2でドゥークー伯爵に落とされ、エピソード3ではオビ=ワンに、エピソード6でのルークとの最後の戦いに腕を切り落とされています。

さらに、映画ラストで、盗んだお金で購入したであろう新しい義手は、ダース・ベイダーを強く想起させる「黒」の義手でした。映画内では、もちろんなんの関連性も言及されませんが、非常に面白い映像でした。

疑問点10:ラスト結末の考察~ローガン家に伝わる「呪い」は解除されたのか?

ところで、ラストシーンは非常に練られていて面白い構図でしたね。事件後、兄妹の前にからも姿を消して身を潜めていたジミーが、数カ月ぶりにクライドのバーに現れました。使用料滞納により、ようやく携帯電話が通じなくなった=FBIが自分に対する盗聴を止め、事件捜査が終了したと判断できたからです。

まとまった金を得て、娘の側に移住もできたジミーですが、最後に気になるのは、「ローガン家の呪い」の行方です。ローガン家の呪いは、「物事がうまくいきかけた後に発動する」のでした。アメフトで頭角を表したジミーは足を負傷し、作戦終了後、イラクから帰還する直前にクライドは腕を亡くしています。

そんな時、皆がくつろぐ中、バーカウンターの反対側に現れたのは、よりによって最後までジミーたちを疑っていたFBI捜査官のサラ・グレイソンでした。オーシャンズ11でも、幸せそうにしている主人公たちが車で走り去っていく中、ダニー達の犯行に気づいていたカジノオーナーの側近2人が執拗に主人公たちを追いかけていくシーンで終わりましたが、本作でもやっぱり来ましたね(笑)

物語上は、サラ・グレイソンがお酒を注文するシーンで終わりますが、エンドロールに入る直前の1秒程度フォーカスされた、ビールのコップを持ったクライドの義手のラストショットが、ローガン家の呪いが再び発動されそうな先行きを暗示しているようでした。

6.まとめ

スティーブン・ソダーバーグ監督が、新しいビジネスモデルで映画監督に再挑戦した本作は、緻密にプロット・映像・セリフが練り込まれた映画らしい映画でした。必ずしも経済的に成功した感じじゃなさそうですが、これからも是非映画監督として優れた作品を作っていってほしいなぁと思います。
それではまた。
かるび

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7.映画をより楽しむためのおすすめ関連映画・書籍など

ローガン・ラッキー「オリジナルサウンドトラック」

本作は、70年代~80年代の香りがするどこをどう切り取っても「アメリカン」な香りのするカントリーミュージック主体の劇伴音楽が素晴らしかったです。日本盤は未発売なのですが、普段作業用のバックミュージックとしてもかなり使える感じなので、これはおすすめです!

ソダーバーグ監督の代表作「オーシャンズ11」

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【Amazonサイバーマンデー2017】おすすめの目玉商品・セール情報まとめと解説!【プライム会員はさらにオトクに!】

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かるび(@karub_imalive)です。

Amazon毎年恒例の年末大セール「cyber monday」がとうとうスタートしましたね。12月8日18時から、12月11日23時59分まで、約78時間限定の大セール、楽しんで買い物しちゃいましょう!

ところで、サイバーマンデーでは約2000万点の商品が一斉に値下げになりますが、何をどうやって探せばいいのか、凄く迷いますよね!

そこで、特に今回のサイバーマンデーで安くなっているジャンルや対象商品を絞り込んで、お得な商品や、掘り出し物の探し方を簡単に解説してみたいと思います!

それではいってみましょう!

1.アマゾン 「cyber monday」って何?

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Amazonの「サイバーマンデー」とは毎年年末にAmazonで開催される、冬の大セールのことを言います。元々は、アメリカの感謝祭翌日の11月4週目の月曜日を指す言葉で、ここからクリスマスの年末商戦が始まるのが恒例なのだそうです。

2017年の日本でのサイバーマンデーは、

12月8日18時 ~ 12月11日23時59分

で、まさに今開催中なのです!

待ちきれないって言う方はこちらへ!
サイバーマンデー特設会場を早速見てみる!

2.ちょっとお得に買い物をするコツとは?

一番の目玉商品のタイムセールを狙う!

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サイバーマンデーの目玉商品は、何と言っても毎日日替わりで開催されるタイムセールです!なくなり次第終了となる商品が多いので、欲しいものを見つけたら即抑えちゃいましょう!(人気のNintendo Switchはセール開始即売り切れたのだとか・・・)

タイムセール会場はこちらから
サイバーマンデーのタイムセール「目玉商品」をチェックする!

 

Amazonプライム会員になれば、もっとセールを楽しめる!

サイバーマンデーは、Amazonのアカウントさえあれば誰でも利用できます。しかし、値下げ率が高くてお得な限定商品は、Amazonプライム会員向けのものが非常に多くなっています。

セールの凄さを楽しむなら、Amazonプライム会員登録は必須なのです!

▼Amazonプライム会員とは?
月額約300円でAmazonのプレミアムサービスを受けられる特別会員。サービス内容は、お急ぎ便・日時指定便の無料化、常時1万以上の映画やTVなどの動画コンテンツ見放題サービス、300万曲以上の音楽聞き放題サービス、その他雑誌・書籍読み放題サービスなど、多岐にわたる。

Amazonプライム会員には、初月31日間は無料で加入できます。まだ未加入の方は、セールを楽しむためにも、まずは会員登録してから、プライム会員限定のセールに参加しちゃいましょう!

登録は、こちらからできます!

 

3.プライム会員だけが楽しめるセール内容を一挙に紹介!

ここからは、Amazonプライム会員だけに提供されるセール内容を紹介していきますね!気に入ったモノがあれば、ぜひチェックしてみて下さい。

プライム会員特典1:Amazon独自商品が激安に!

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プライム会員向けのセールでは、Amazonの独自商品である、Fireタブレットや、FireTV Stick、Kindle電子書籍リーダー、Dashボタンなどが、特に値下げ幅が大きくなっています。

それぞれの購入画面で、指定された「プライム会員限定」のクーポンコードを入れて、激安で手に入れてください。(僕も、前回のセールでKindle Paperwhiteを安くゲットしました!)

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Amazonプライム会員は、購入時に指定されたクーポンコード「CMPW7300」を入力することで、なんと16,280円→8,980円と、7,300円OFFで購入できます!現在、Kindleはいくつかモデルが出ていますが、オススメは大容量かつセールでの値引率が高い「Kindle Paperwhiteマンガモデル」です! 

プライム会員特典2:CD、DVDが最大35%安くなる!

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プライム会員限定セールとして、CD・DVDも非常に安く買えるようになっています!具体的には・・・

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となっています。

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12月9日から劇場最新版が公開となっているガルパンの2016年劇場版が、10,800円→7,560円(3,240円OFF)となっています!

映画も格安!2017年上半期、最高に泣けるミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」も一斉セール!例えばこのスタンダード・エディションでは、5,076円→3,553円(1,523円OFF)と値下げされています!

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プライム会員特典3:家電・PC・カメラなどが最大50%オフに!

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家電やPC、カメラなどのガジェット類、オーディオ機器・楽器・文房具・も、最大50%のオフとなっています!値引き幅が非常に大きいお宝が一杯ありますので、ぜひ見逃さないようにチェックしてみてくださいね!

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プライム会員特典4:メンズ&レディースファッションアイテムも25%オフ!

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メンズ・レディースの各ファッションアイテム約9万点が一斉値下げ!国内・海外有名ブランドの靴・アウトドア・ジュエリー・バッグ・腕時計・トラベルグッズ・子供服が25%引きで買えるチャンス!思う存分選んでみてくださいね!

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プライム会員特典5:人気マンガのまとめ買いで、25%オフに!

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2017年、Amazon Kindleで特に人気の高かったマンガシリーズが「まとめ買い」で20%引きで購入できるチャンス!僕も、今年Kindle Paperwhiteマンガモデルを購入したので、ここで早速まとめ買いしてみました!

「HUNTERXHUNTER」「DRAGON BALL」「銀魂」「ジョジョの奇妙な冒険」「NARUTO」などジャンプ定番アイテムから、テラフォーマーズ」「GANTZ」「恋は雨上がりのように」など各青年誌での人気マンガまで、今年人気だったマンガはほぼ全部揃っています!

下記のリンクから特設ページへと飛んで、「クーポン」を取得してから購入してみてくださいね!

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4.その他、お買い得な商品の一部を紹介!

その他、セール商品の中からいくつかこれは!という商品をピックアップしてみました。期間中、随時追加していきます!

クリスマスプレゼントに最適!レゴ商品も値下げ中! 

子供に大人気となっているレゴ商品が、サイバーマンデー期間中安くなっています!クリスマス向けレゴ商品も多数あります。特設会場は下記リンクからどうぞ!

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FOXどれでも6枚3,090円セール!

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サイバーマンデーセールの期間中、「20世紀フォックス」のDVD過去作が、6枚3,090円と超お買い得になっています!下記セール会場から、対象商品を6枚選んで会計するだけで、自動的に割引が入るようになっています!

対象商品の一部を紹介すると、こんな感じです!

いかがでしょうか?1枚あたり515円なら、ほとんど有料配信やDVDレンタルと変わらない価格ですよね。この機会に、見逃した作品や思い入れのある作品を買ってしまうのもありですね!

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5.まとめ

いかがだったでしょうか?1年間頑張ってきた自分へのご褒美や、家族への贈り物に、ぜひお得な「サイバーマンデー」のセールを活用してみてくださいね!
それではまた。
かるび

隠れ家的美術館!伊豆下田の「上原美術館」がリニューアルオープン!【展覧会レビュー・感想】

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かるび(@karub_imalive)です。

僕は伊豆半島への旅行が大好きで、最低でも年に2~3回は伊豆半島各地に日帰り・泊りがけで出かけます。特に、2月下旬の「河津桜まつり」の際は、必ず南伊豆に宿を取って、毎年河津桜を見に行くようにしています。

そして、毎回河津桜を見に行く度に立ち寄っていたのが、知る人ぞ知る南伊豆・下田の美術館「上原近代美術館」「上原仏教美術館」でした。

決して大規模な施設ではなく、こじんまりとした展示スペースなのですが、非常に手入れが行き届いた気持ちのいい展示空間や、意外に侮れない傑作ぞろいの西洋絵画に惹かれ、ついつい時間が30分でもあけば、行きたくなってしまう癒やしスポットなんです。

実はここ最近、何回か行く度にずーっと姉妹施設「上原仏教美術館」が工事で入れなくなっていたので、「あぁ、リニューアルするのかな」と思っていたら、2017年11月、2つの施設が合併し、新たに「上原美術館」としてリニューアルオープンする!という情報が入ってきました。

そんな時、なんと「取材に来ない?」という超ありがたいお誘いを頂いたので、先輩ブロガー諸氏に同行して、中の様子を特別に写真に収めることができました!

さっそくですが、以下、簡単にレビューしたいと思います!

※なお、本エントリで使用した写真は、予め同館の許可を得て撮影させていただいたものとなります。何卒ご了承下さい。

1.上原美術館とは

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上原美術館は、伊豆半島の先端部分、南伊豆・下田市の山あいに立つ、閑静な美術館です。地元では有名な「下田達磨大師」境内に隣接する、非常に気持ちのよい空間の中にあります。

大正製薬(株)の3代目社長、上原正吉・小枝夫妻の手によって、まず昭和58年に上原仏教美術館が建設され、次いで平成12年、その長男、昭二氏によって上原近代美術館がオープンしました。

▼上原夫妻の銅像もあります(横にはワシの銅像も!)f:id:hisatsugu79:20171212025047j:plain

その所蔵品のほとんどは、上原一族の保有していたコレクションを核としていますが、特に「旧近代美術館」の約300点にのぼるモネ・ルノワール・ピカソ・マティスなどの近代西洋絵画は、みどころ満載。頻繁に国内各所の企画展へと貸し出すなど、非常に価値の高いコレクションが形成されています。

ちょうど2017年11月3日、この「上原仏教美術館」「上原近代美術館」が、それぞれを管理する財団合併に伴い、新たに「上原美術館」と名称を改めて合併リニューアルされました。これにより、上原仏教美術館は、上原美術館「仏教館」に、上原近代美術館は上原美術館「近代館」へと名称変更されています。

2.リニューアルされた「仏教館」を紹介!

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特に、建築後約35年が経過し、やや老朽化が進んでいた「仏教館」は、今回の合併リニューアルに合わせて、建物も改修・増築工事が行われ、中の展示スペースもさらに洗練されました。

まずは、こちらから紹介したいと思います。

受付で入館券を購入して自動ドアをくぐると、東大寺南大門のような、一対の金剛力士像がお出迎えです!

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そのまま360度あたりを見回すと、巨大な体育館のスペース用な仏像ギャラリーの中に、ありとあらゆる種類の木彫りの仏像が約130体安置されており、まずこれに圧倒されます。

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順番に見ていくと、阿弥陀如来、観音菩薩、五大明王、十六神将、迦楼羅、阿修羅、七福神・・・等々、古今東西あらゆる宗派の仏像が、見本市のように系統別に整理・安置されており、これを丁寧に見ていくだけでも結構勉強になるんですよね。

そして、このギャラリーを抜けると、今回増築・新設された「仏教館展示室」へ行くことができます。その入口の採光が傑作なんですが、真四角に切り取られた天井から自然採光できるよう設計されている窓が、ジェームズ・タレルの作品そっくり!

▼上原美術館の天井窓
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▼越後妻有「光の家」(ジェームズ・タレル作品)f:id:hisatsugu79:20171211171306j:plain

なんてセンスがいいんだ!と感心しつつ、展示室に入ります。するとこんな感じで、地元伊豆半島の仏像の銘品を中心に、上原コレクションの中から選りすぐりの品々が絶妙なライティング環境で展示されていました。

▼展示室内の様子
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もうちょっと正面に寄っていくと・・・

▼吉田寺「阿弥陀三尊像」f:id:hisatsugu79:20171211171824j:plain

この、展示室奥の正面に鎮座するのが、西伊豆・松崎の吉田寺の本尊として伝わる「阿弥陀三尊像」です。かなりハイレベルな完成度で、伊豆半島らしく、鎌倉幕府と縁の深い慶派仏師(つまり運慶の弟子筋)の作品と見られているようですね。

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こんな風に、いろんな角度からじっくりと確認できるのですが、どの角度から見ても、仏像が非常に見やすいように計算され尽くしたライティング技術の凄さに、美術館のこだわりを感じました。

▼吉田寺「毘沙門天像」
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こちらも、同じく吉田寺に伝わる「毘沙門天像」。資料によると運慶が残した作品が吉田寺に残る・・・とあるようですが、これが運慶のものかどうかはわからないようです。ただし、作風から見て慶派仏師の手によるものであることは間違いなさそうですね。

▼中阿含経
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また、いくつか書の展示もありました。こちらは、奈良時代の「中含阿経」。天平時代、国家事業として写経が盛んに行われましたが、その時に写経されたものだそうです。1,400年前のアイテムとは思えないほど状態が良いのにはびっくりしました。

3.やっぱり落ち着く!「近代館」の絵画も凄い!

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次に近代館へと入ってみましょう。こちらは、展示室はメインとサブを含めて3室で、通常は所蔵品から企画展のテーマによってセレクトされた30~40点程度の近代西洋絵画・日本画、彫刻などが展示されています。

エントランスを入ると、右手が受付で、左手が展示室となっています。彫刻が置いてある突きあたりを右に行くと、休憩室があります。

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展示スペースは、こんな感じです。どうですか、清潔で気持ちのいい空間ですよね?いつ行っても、大抵はゆったりと自分のペースで西洋絵画の銘品と向き合うことが出来ますよ。

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撮影許可を頂いた作品の中から、いくつか僕の好きな近代館所蔵の作品を紹介しておきますね。

まずはこれ。本作は、1919年、実業家の黒木三次氏が日本人ではじめてジヴェルニーに住むモネと直接交渉し、絵を買い付けることに成功した作品で、日本に渡ったモネ作品の記念すべき第1号と言われています。(松方幸次郎は1921年に接触)

雪の質感が、筆触で見事に表されており、フランス人であるモネが描いた作品なのに、日本の農村のような和風な雰囲気の漂う作品です。

▼クロード・モネ「雪中の家とコルサース山」f:id:hisatsugu79:20171212021000j:plain

続いては、後期印象派・点描で有名なポール・シニャックの若い時の作品。毎回行く度に、色彩感覚の美しさとみずみずしい画面の明るさにしばらくみとれてしまうのですが、この秀作をわずか19歳で描いたというシニャックは凄いと思います!いつかでいいので、スーラとか他の作家抜きで、シニャック単独での大回顧展、どこかやってくれないかなぁ?

▼ポール・シニャック「アニエール・洗濯船」f:id:hisatsugu79:20171212021957j:plain

つづいては、岡鹿之助の「林」

・・・

・・・

・・・と思ったんですが、こちらは著作権の関係で、載せられません。でも、凄いいい作品で、毎回ココに来る度に、必ずチェックしている作品です。どちらかというと、牧歌的な農村や雪景色の作品が多い岡鹿之助の作品の中で、異端とも言える「険しい雪景色」を描いた作品なのですが、それがいいんです!ぜひ、現物をチェックしてみて下さい!

▼(著作権の都合でモザイクで勘弁してください)
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ということで、4番目に好きな作品を挙げておきますね。最後は、アルベール・マルケの作品です。マティスの親友で、フォーヴィスムに分類されることの多い作家ですが、これのどこが??って感じの穏やかな作風。独特の灰色がかった画面や、水面の透明感が素晴らしい!うーん、上原会長とは絵の趣味が合うな^_^;

▼アルベール・マルケ「ヴィレンヌのセーヌ川、朝」f:id:hisatsugu79:20171212023335j:plain

ということで、以上お気に入りの3点+1点を紹介させていただきました!

その他にも、ピカソ・マティス・ルノワール・セザンヌ・ゴッホ・ヴラマンク・ルドンなど、有名作家の作品がたくさん置いてあります。

そして、観終わった後の「近代館」でのお楽しみは、受付奥にある「休憩スペース」からのゆったりとした眺めです。上原美術館では、来客数やその運営規模から、併設のカフェは設けられていないものの、この休憩室で、セルフサービスのコーヒーを飲みながら、ゆっくり休めるようになっています。

▼落ち着いた雰囲気の休憩室f:id:hisatsugu79:20171212023802j:plain

ここの窓際に、ちょっとした庭園が作ってあって、その庭園越しに見える風景もまた癒やされるんですよね・・・

▼窓から見える庭園
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いかがでしたでしょうか?

所蔵品、なかなかのクオリティですよね?これが東京や京都、大阪といった大都市ならわかるんですが、伊豆半島の先端部分の下田にて、これだけのコレクションがじっくり見れるなんて本当に贅沢なことだと思います。アート好きの人は、伊豆方面に旅行に行く機会があれば、ぜひセットで検討してみて下さい!

4.混雑状況と所要時間目安

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「近代館」「仏教館」ともに、それほど大きな施設ではないので、2館合わせて60分程度見ておけば、十分見て回ることができます。また、混雑の心配は一切ありません!河津桜まつりが開催され、一番下田地区に人が殺到する2月下旬~3月上旬でも、全く問題なくゆったり見て回れます。(逆にR135やR136、伊豆中央道など、美術館までの道路の混雑を気にして下さい^_^;

▼美術館からお寺の方を撮影f:id:hisatsugu79:20171212024418j:plain

また、美術館を見終わった後は、達磨大師の境内をぐるっと見て回るのも面白いかもしれません。境内の庭には、歴代総理や財界人などが寄付した地蔵が所狭しと鎮座している、ちょっとおもしろいスポットがあります。自民党の重鎮としても活躍した上原正吉氏が、当時如何に政財界で力を持っていたのかわかります^_^;(ちなみに、奥さんも「ゴッドマザー」と呼ばれていたんだとか・・・)

5.まとめ

ここまで見てきたように、リニューアルされて一つになった「上原美術館」は、地方の小規模な個人美術館でありながら、最新施設できっちり運営されている、知る人ぞ知る実力派美術館です。これを機に、もっともっと地元以外からお客さんが来て盛り上がって欲しいなぁと思います!(東京からだったら踊り子乗ってビール飲んでるといつの間にか着いてますし

それではまた。
かるび

美術館詳細情報

◯美術館・所在地
上原美術館
〒413-0715 静岡県下田市宇土金341
Tel. 0558-28-1228 / Fax. 0558-28-1227
◯アクセス
伊豆急下田駅からバス・タクシーで15分程度

※詳細は、下記HPの案内を参照して下さい。
http://uehara-museum.or.jp/about/access/
◯開館時間・休館日
展覧会会期中は無休

9時30分~17時00分(入場は30分前まで)

◯公式HP
http://uehara-museum.or.jp


【試写会感想】アート映画「謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス」/ボスの不思議な魅力を徹底解剖する上質なドキュメンタリーでした!

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かるび(@karub_imalive)です。
西洋絵画の美術史において、死後500年を迎える今日でも、なお謎多き奇想の巨匠、ヒエロニムス・ボス。2017年は、「ブリューゲル展」「ベルギー奇想の系譜展」といった力の入った西洋美術展において、日本でも大きくボスの絵画が取り上げられ、ファンの間で話題になった年でした。

そんな折、ちょうど12月16日から、今度はアート・ドキュメンタリー映画「謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス」が公開されることになりました。公開に先立って開催された試写会に運良く参加することができたので、早速行ってきました。

ボス没後500年を締めくくる本作。ドキュメンタリー映画としては、非常に硬派で中身の濃い一作でした。早速ですが、簡単な感想と見どころを中心に、試写会レビューを書いてみたいと思います。
※本エントリは、作品の性質上「ネタバレ」という概念は存在しませんが、公開前につき、踏み込んだ考察等は極力割愛し、見どころ中心に記載しております。

1.映画「謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス」の予告動画・基本情報

【監督】ホセ・ルイス・ロペス=リナレス
【配給】アルバトロス・フィルム
【時間】90分
【公開】12月16日~順次公開

配給は、今年の春にもアート映画「エゴン・シーレ」を公開したアルバトロス・フィルム。本作は、12月16日に東京・イメージフォーラムシアターでの封切りをきっかけに、全国18館にて順次公開される予定です。上映館の詳細と、公開スケジュールについては以下を参照して下さい。

上映館・公開スケジュール
公式サイトで上映館と公開スケジュールを調べる

 

予告編の雰囲気を見ていただければわかりますが、本作はいわゆるストーリー仕立ての伝記映画ではなく、プラド美術館が所蔵する彼の代表作「快楽の園」を徹底的に解き明かすことで、ヒエロニムス・ボスがこの絵に込めた意味や、制作意図を読み解いていく硬派なドキュメンタリー映画です。

いわば、通常NHKスペシャルでやるようなアート特集を、更に予算をかけて綿密な取材とゴージャスな映像・音響でまとめ上げたコンテンツであります。

2.ところでヒエロニムス・ボスって誰なの

映画の感想に入る前に、簡単に本作でフィーチャーされている謎の画家「ヒエロニムス・ボス」についておさらいをしておきたいと思います。

ヒエロニムス・ボスは、1450年頃に生まれ、1516年に亡くなるまで故郷・オランダ最南端、スヘルトーヘンボスを動くことなく活躍した画家です。

美術史上の位置づけとしては、初期フランドル派または北方ルネサンス系の画家として一般的には分類されます。ざっくり言うとヤン・ファン・エイク、ルカス・クラーナハ(父)やピーテル・ブリューゲル(父)あたりと同じ世代でしょうか?(ちょうど、2017年「ブリューゲル展」では、ブリューゲルの作品にはボスの影響が色濃く出ているとされていましたね)

▼ヒエロニムス・ボスの肖像(とされるもの)
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引用:Wikipediaより

ボスは、極めて謎の多い人物で、現存する作品はわずかに25点のみ。自画像等の肖像画もなく、わずかに彼の素顔を描いたとされるラフスケッチが残るのみです。しかし、彼の残した宗教画は、一度見たら忘れられない、非常にユニークで奇抜な作品揃い。作品が放つその強烈な個性は、本格的にルネサンスの波がフランドル地方へ波及した16世紀後半まで、たくさんのフォロワーとファンを産んだとされます。

ちょうど、2016年が彼の没後500年にあたることから、ヨーロッパ各地では大規模回顧展が開催されました。地元オランダで開催された企画展では記録的な人出となったそうです。本作も、プラド美術館で企画展が開催された折にカメラが入り、同館所蔵の大傑作、三連祭壇画「快楽の園」を徹底的に細部に至るまで高性能カメラで映し出しながら特集しています。

3.映画の感想・見どころ

詳細までガッツリ見れるボスの代表作「快楽の園」

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引用:『謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス』予告編 - YouTube

2017年に東京・大阪の両都市で開催された「ブリューゲル展」にてブリューゲルの代表作「バベルの塔」を見た人ならわかるかと思いますが、ブリューゲル同様、ボスの作品もまた、どれも非常に情報量が多く、細密に描かれた作品ばかりです。

本作でフィーチャーされるプラド美術館秘蔵の「快楽の園」も、三連祭壇画らしく3枚の絵にぎっしりと人物や異形のモンスターたちが所狭しと描かれています。映画内では、映画館ならではの大スクリーンで、この「快楽の園」で描かれた人物や動物たちを丁寧にひとつひとつ根気よく取り上げ、様々な角度から注釈を加えていきます。

▼接写した美麗映像は見ごたえあり!f:id:hisatsugu79:20171212153449j:plain
引用:『謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス』予告編 - YouTube

混み合う美術館で、離れたところで立って見ていると普通は気づかないようなところまでしっかりカメラが入りこんで拾ってくれるので、肉眼で見るときとはまた違った面白さがあるのです。

また、X線を使った特殊な科学的分析により、ボスが下絵段階で何を描いていたのか、最終的に消されたモチーフや修正された箇所も明らかにしていきます。「なぜこの下絵部分は消されなければならなかったのか」等、専門家の深い分析を聞けたのも興味深いものがありました。

▼X線での調査を行うスタッフ達f:id:hisatsugu79:20171212153637j:plain
引用:『謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス』予告編 - YouTube

ハイレベルで徹底的に解剖される「快楽の園」とボスの生き様

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食い入るように絵に向かう鑑賞者が印象的
引用:『謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス』予告編 - YouTube

映画が始まると、すぐにカメラはプラド美術館の中に入っていき、門外不出のボスの代表作「快楽の園」を美術館に来た人々が鑑賞するシーンからはじまります。ついで、様々な職業・バックグラウンドを持つ、スペインを代表する知識人・文化人20名が入れ替わり立ち替わり「秘密の園」についての独自解釈を語るのです。

ここで最終的に解き明かそうとするのは、以下の2点。

・ボスはなぜこの「快楽の園」を描こうとしたのか?
・彼は「快楽の園」にどんなメッセージを込めたのか?

最初に結論を書いてしまうと、映画本編では結局この謎が完全に解明されるわけではありません。専門家たちの鋭い分析、解釈は、ボスを巡る謎の解明にあと少しのところまで近づいている感じなのですが、いかんせん、彼らの言っていることはバラバラなんですよね(笑)

登場人物の一人、作家のネリダ・ピニョンが劇中で

この意味を説明するためには、言葉を発明しなければならない。

と言いますが、まさにこれなんですよね。

映画を通して、丹念に細部まで映し出される絵画内の異形の怪物たちを見ていると、まさに「混沌」そのもの。絵画の中に、あらゆる感情や概念が複雑に絡まり合って存在しているような印象を受けるんです。批評家たちも、自分の解釈・感情をなんとか断片的にでも伝えようとしているのですが、既存の言葉では言い尽くせないもどかしさが、ボスの絵の中にはあるのだと思います。

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聖母マリア兄弟会の神父さんに聞く
引用:『謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス』予告編 - YouTube

この映画では、上記のように専門家の解釈だけでなく、当時の時代背景、宗教思想的な背景も説明されます。祭壇画の中で、キリストを模した人物が描かれていることや、当時ボスが「聖母マリア兄弟会」で熱心に活動していたことから、ボスもまた、中世に生きる人々同様、キリスト教がもたらした強烈な原罪意識に支配されていたであろうことが示唆されます。その他、当時の教会彫刻・写本挿絵などの歴史資料、西洋美術史の中での位置づけなど、あらゆる手がかりがあなた=鑑賞者に与えられます。

しかし、上記の謎・命題に対しては、明確な結論を出すことは意図的に避けられています。謎は謎のままにしておかれるのです。

つまり、この映画は、90分間、ひたすらヒントをこれでもかと与えられて、「じゃあ、あなたならどう考える?」と映画から問いかけられているってことなんです。映画を見終わったあなたが、映画内で与えられた専門家の解釈、ヒントやインスピレーションを手がかりとして、あくまで自分の力で、ボスの描こうとした世界を読み解かなければいけないのです。

映画を120%楽しむのであれば、予習は必須!

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引用:『謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス』予告編 - YouTube

映画自体の全体的なテイストとしては、NHKスペシャル的な感じなのですが、上記に書いた通り、その分析や解説はかなり深いところまで突っ込んでいきます。そして最後には映画を見た人一人一人がボスの絵画と向き合って、「結論を自分で出さなければならない」ので、本作とはかなりの真剣勝負になりそうです。

少なくとも、以下の2点はサラッとでも良いので、映画を見る前に予習しておくことを強くおすすめします。

★映画を見る前に予習しておくべき点とは?
▶事前にヒエロニムス・ボスについて調べておく
▶ボスの代表作「快楽の園」をチェックしておく

これをやっておけば、映画の内容を格段に面白いと思えるはず!「快楽の園」については、例えば、以下のWikipediaで気軽にチェックできますよ。

「快楽の園」をチェックする
Wikipediaでヒエロニムス・ボス「快楽の園」を見てみる

 

4.まとめ

本作は、受動的な姿勢で、ゆったり見れる部類のドキュメンタリーではありません。率直に言うと、やや難解な部類の映画であり、作品内で提供される情報量もかなりの高密度です。しかし、事前にしっかりと予習をして、「ボスの謎を解き明かしてやる!」と目的意識を強く持って臨めば、これほど面白いアート映画はないかもしれません。

映画内でも、「ボスの絵画と対峙する者は、詰まるところ自分自身と対峙しているんだ」という趣旨の発言がありましたが、まさにこの映画と向き合うということは、自分自身の深いところと向き合う作業なのかもしれません。

何度見ても、おそらく新しい発見がある映画だと思います。是非、映画館の大スクリーンでチェックしてみてくださいね。
それではまた。
かるび

参考:映画を読み解くための参考書籍

「快楽の園」を読む

直接映画とはタイアップしているわけではありませんが、限りなくネタバレ本です(笑)「快楽の園」に描かれたモチーフを一つずつ丹念に分析し、ボスの人物像や主張に迫っています。気合の入った良書!

図解「ヒエロニムス・ボス」

こちらは、「快楽の園」だけでなく、ヒエロニムス・ボスの描いた作品をざーっと俯瞰しつつ、ボス作品の魅力に迫っています。初心者から安心して読めるわかりやすさが特徴です!

おまけ:「快楽の園」レギンス

ネタです(笑)昨日まで、Amazonサイバーマンデーで25%引きになってました(笑)これを履いて厳冬を乗り切ろう!残り1点なので早い者勝ち?!

シンプルでユーモラス!熊谷守一展はゆるい癒やし系美術展でした!(東京国立近代美術館)【展覧会レビュー・感想】

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かるび(@karub_imalive)です。 

12月1日から東京国立近代美術館で「没後40年 熊谷守一 生きるよろこび」展が開催中です。2018年3月21日まで、約3ヶ月半にわたるロングラン開催となる、熊谷守一の大回顧展となります。

今回、僕は熊谷守一の作品をまとまって観ることができたのですが、ラッキーなことに取材することができましたので、11月30日に実施された内覧会の様子をレポートしたいと思います!

※なお、本エントリで使用した写真は、予め主催者の許可を得て撮影させていただいたものとなります。何卒ご了承下さい。

1.熊谷守一展の概要について

熊谷守一って誰なの?

さて、この仙人のようなお爺さんが、熊谷守一(くまがいもりかず)という個性的な画家です。非常に長命な画家で、明治時代後期から活躍し、亡くなった1977年まで、約70年間も絵を描き続けたレジェンド級の画家です。(図録見るとわかるんですが、若い時はヤバいほどイケメンです)

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熊谷守一は、1880年、現在の岐阜県中津川市で、宝石工場を営む実業家の裕福な家庭に生まれました。美術の道を志して上京し、東京美術学校では同期に和田三造、青木繁ら、のちに明治~昭和画壇で名を馳せた画家たちが多数在籍する中、見事主席で卒業します。

若い時は、厚塗り・コテコテの西洋絵画風の油絵を好んで描いていた守一ですが、試行錯誤と研究を重ねる中、1930年代後半頃から、明るい色彩とはっきりした形を特徴とする、シンプルな画風へと変わっていきました。

あごひげを思いっきり伸ばしたエキセントリックな風貌や、東京・豊島区の自宅の敷地から30年以上一切出ることなく、引きこもって画業に専念した世捨て人のような振る舞いから、晩年は「仙人」と呼ばれました。

▼東京・豊島区の熊谷守一自宅
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伸び放題の樹木でジャングル化した敷地
引用:https://www.youtube.com/watch?v=1P1FCZOi7cc

昼間は自宅の庭で1日中アリや石ころをぼーっと観察していたり、長年連れ添った奥さんと囲碁を楽しんだりした後、夜になると一転して厳しい画家らしい顔つきになり、アトリエに篭りきりになって1日1時間~2時間絵を描く毎日だったそうです。

老境にさしかかり、絵画的な技巧を捨てて、平面的でシンプルな「色とかたち」の世界を追求した熊谷守一。完成したその唯一無二の作風からは、自身の人柄を反映してか独特のユーモアや温かみが感じられ、熱心なファンを獲得してきました。

今回の熊谷守一展は何が凄いのか?

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今回、東京国立近代美術館で開催中の「熊谷守一展」(正式名称:「没後40年 熊谷守一 生きるよろこび」)は、そんな守一の没後40周年を記念して、キャリア初期から最晩年まで、250点以上の絵画作品や資料を全国から集め、一挙に展示した画期的な展覧会となります。

生前に守一の理解者・パトロンとして彼を支え続けた木村定三氏の個人コレクションを始め、普段は個人蔵として美術館で見ることの出来ない作品も貸し出されており、これまで開催された他の熊谷守一展とは、質・量ともに別格の大回顧展となりました。

今回の回顧展は、単に作品やその制作過程を見て学ぶだけでなく、彼が送ってきた意外性あふれる人生そのものを深く理解するヒントもたくさん用意されています。是非、解説パネルや参考資料をガッツリ読みこんで、楽しんでみてくださいね。

詳細な解説パネルも勉強になって良い!

今回の展覧会は、解説パネルの充実ぶりがやばいです!もともと、東京国立近代美術館は、企画展でしっかり解説をつけてくれる展覧会が多かったのですが、今回の展示は非常に親切な作りになっていました。

回顧展らしく、作品の並びや章立ては、基本的に制作された年代順にシンプルにならんでいるのですが、章立てごとに、ちゃんと日本語・英語・中国語・ハングルの4ヶ国語で細かく解説を入れてくれているのです。インバウンド対応もばっちり!素晴らしい。

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そして、個別の作品展示でも解説パネルは充実。過剰かな?と思えるくらい真面目につけてくれているので、「熊谷守一って誰よ?」っていう全くの初心者でも、ゼロからしっかり学べるのは本当に嬉しい!

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音声ガイドを展覧会のお供にどうぞ!

さらに、音声ガイドを担当するのは、2018年5月に上映公開となる熊谷守一の自伝映画「モリのいる場所」で、主役の老夫婦を演じる山崎努&樹木希林です。この渋い映画内での老年カップルが、映画の雰囲気そのままに、作品解説をしてくれるんです!

これは、まるで映画の中に入りこんだような臨場感が得られて良かった!特に、途中から熊谷守一本人が喋ってるのかと錯覚してしまうほど、役に入り込んだ山崎努のナレーションが素晴らしかったです。

▼音声ガイドは絶対おすすめ!雰囲気出てます!
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▼音声ガイド実機
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2.展覧会の5つの見どころ・要注目ポイント

注目点1:画風の変遷が一目瞭然!初期から最晩年まで大特集!

本展覧会では、最初から順番に見ていくことで、自然に熊谷守一の画風の変遷を感じられるように構成されています。そして、その変貌ぶりは、驚くほどのものでした。

まず、初期の作品を見てみましょう。

▼轢死(1908)
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▼左:蝋燭(1909)/右:ランプ(1910頃)f:id:hisatsugu79:20171213013724j:plain

初期の作品は、非常に暗いタッチで描かれています。というか、初期の代表作「轢死」などは、劣化も進んじゃってほとんど茶色一色ですよね・・・。夜型の守一は、毎晩暗闇の中、ランプや蝋燭の小さな灯り頼りに絵の修業に励んでいたようで、この時期の修行時代の絵画は、「光と闇」の対比を描くものが多かったです。絵の具の劣化で退色が進み、いい具合に枯れていますよね。 どことなく、フランスのジョルジュ・ラ・トゥールやカラヴァッジョの作品を連想させるものがありました。

参考:ラ・トゥールの作品
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引用:Wikipediaより

東京美術学校を卒業すると、守一は二科会に所属して活動を続けます。この時期は、荒々しいタッチの風景画や、裸婦像を、光と影のコントラストが目立つような構図で描くことが多くなりました。

▼左:向日葵と女(1924)/右:ひまわり(1928)f:id:hisatsugu79:20171213013522j:plain

この間、私生活では結婚し、次々と5人もの子供を設けますが、うち2人は早逝し、さらに戦後に1人失ってしまいます。経済的な困窮が続く中、自らの画風を模索する先の見えない毎日で、暗いトーンの作品が続きます。

守一がブレイクしたのは1940年前後。パトロンである木村定三との出会いや、平面的で、明るくシンプルな色彩と構図で構成される「モリカズ」様式を確立することができたのです。

▼左:山道(1961)/右:雨乞だな(1961)
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この時期は、まだ足が丈夫だった時代に旅先でスケッチした素描を元に描き起こした風景画や、自宅の庭先で観察した生活風景や身近な自然がモチーフとして採用されることが多くなっていきます。

▼左:夕映(1970)/中:朝のはぢまり(1969)
▼右:朝の日輪(1955)
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そして、これが本展を締めくくった「日輪」シリーズです。日中・いろいろなタイミングで頭上の太陽を見上げた時に感じたその時々の印象を、抽象画のようにまとめ上げた作品。描かれた時期はそれぞれ違っていますが、並べると印象派の連作のようです。

こういう円環系のシンプルな図像を描いたからと言って、悟りを得たかのように「生」に執着を失ったわけではなく、その最晩年期にも、

「もっと生きていたいことは生きていたい。みなさんにさよならするのはまだまだ、ごめん蒙りたい」

と語り、亡くなるまで絵画や身近な自然現象への飽くなき探究心を持ち続けていたそうです。

注目点2:赤い輪郭線をチェック!シンプルな絵に絶妙なアクセントに!

描写対象を極限までシンプルに捉え、平面的で明るい「モリカズ様式」において、深みを与えるためのアクセントが、守一独特の「赤い輪郭線」です。特に、画風が確立しはじめた1940年代からは、かなりの作品の中で多用されています。今回見て回る時は一つのチェックポイントになるかと思います。

たとえば、このポスターにも選ばれた猫の絵をみてみましょう。

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拡大接写してみると、、、ほら!太めの輪郭線で、大胆に猫の顔や体がしっかりと縁取られていますよね?

▼上記ポスターを拡大
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 他にも、こんな感じで、かなり大胆に極太の輪郭線で描かれた作品もありました。右側のノーマルタイプと隣り合わせで展示されており、見比べてみると面白いですね。

▼左:水仙(1956)/右:水仙(1956)f:id:hisatsugu79:20171213013905j:plain

注目点3:シンプルだけど深みと癒やしが感じられる不思議な画風

熊谷守一の作品は、一見シンプルで平板に見える中にも、計算しつくされた色と形の効果によって、絶妙の落ち着きが絵画全体にもたらされています。それが妙に心地よく感じられ、いつまでも見ていたいと思えるような作品も多かったです。

たとえば、このおもちと玉子の作品。日常風景をサクッと切り取ったようですが、味わい深い面白さと妙な癒され感があります。

▼左:伸餅(のしもち)(1949)/右:たまご(1959)f:id:hisatsugu79:20171213013552j:plain

その他にも、たくさんの面白い作品がありますので、是非自分だけの一枚を見つけてくださいね。

▼左:蝶(1957頃)/右:シヂミ蝶(1959頃)f:id:hisatsugu79:20171213014829j:plain

▼左:樽枯葉(1961)/右:雪(1959)f:id:hisatsugu79:20171213014518j:plain

注目点4:猫一列展示も?同じ画題でいくつも量産した守一

▼左:鬼百合に揚羽蝶(1960)
▼右:鬼百合に揚羽蝶(1959)f:id:hisatsugu79:20171213014701j:plain

熊谷守一は、自己の作風を確立してからというものの、一つの同じスケッチから、何作もの同じタイトル・構図の作品を作り続けることも多かったです。

その理由や目的は一つではなく、いろいろな要因が絡み合っていました。

例えば、モネの連作「ルーアン大聖堂」のように、少しずつ時間や天候を変えて光の変化を描き分ける試みのためであったり、「何枚も描く中から、良いものが生まれる」という自身の信念によるものでもありました。また、時にはコレクターから、同じ絵を注文されることもしばしばあったのだといいます。

特に後半の展示では、2枚1組、3枚1組として連作のように同じ構図・タイトルの絵画がまとめられていますので、是非見比べて楽しんでみてくださいね。

▼左:猫(1963)/右:三毛猫(1959)f:id:hisatsugu79:20171213014949j:plain

なお、今回圧巻なのは、「猫」の絵です。守一が描いた「猫」の絵12枚を、一つの壁一面を使って集中比較展示を行う工夫が面白かったです!是非ここは見逃さずに見ていってくださいね。

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注目点5:絵画だけじゃない!珍しい水墨画や書、彫刻もあるよ!

本展では、絵画だけでなく、キャリア中期から手がけ始めた水墨画や書、彫刻や仕事道具、日記など多彩な作品・資料が集められています。

中でも、オススメは水墨画と書です。ずっと西洋画を極めてきているのですが、水墨画もうまい具合に力が抜けていて、僧侶の描いた「禅画」のような雰囲気がありました。

左:枯れ木に鵜(1949)/右:観世音菩薩(1940)f:id:hisatsugu79:20171213011646j:plain

そして、守一の独特の、癒やされるようなやわらかいひらがなが、これまた味わい深いのですよね~。決して「売り物」として描いた本気の作品ではないのでしょうけど、力の抜け具合が気に入りました・・・。

▼左:からす(1950)/右:ほとけさま(1950)f:id:hisatsugu79:20171213012034j:plain

 彼が生前絵を描くのに使った道具箱も展示されていました。意外にコンパクトで、種類も最小限です。きっと、一つの物を大切にして使ってきたのでしょうね・・・。

▼熊谷守一の絵画道具箱セットf:id:hisatsugu79:20171213011820j:plain

3.グッズコーナーを簡単に紹介! 

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さて、展覧会の出口を出ると、すぐ横に設置されているのがグッズコーナー。今回の展覧会のために用意されたオリジナルグッズや、過去に「熊谷守一展」の企画展を開催した他の美術館で制作された「地元色」の強いグッズも用意されています。

とりあえず、まずはこれ、公式図録がおすすめです。

▼公式図録(2,500円)
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今回の公式図録は、4号での小品が多い熊谷守一の作品群を反映してか、A4よりも小さなコンパクトなサイズになりました。今回出展されている約250点以上の作品集と解説・コラム等が収められています。

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展覧会のキャプションや解説パネルで取り上げられた解説文は、全て図録に収められていました。熊谷守一の画業を俯瞰する画集の決定版として、保存版として購入するのもいいですね。

つづいては、グッズコーナー。守一の生まれ故郷、岐阜県にちなんだお菓子が充実していました。

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この、「ちこり茶」などは、最近注目されている「ちこり」の知る人ぞ知る一大産地となっている中津川市らしいグッズですね。

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もちろん、その他クリアファイル、絵葉書、チケットホルダー、ノート、一筆箋など、どの展覧会に言っても制作されているオリジナルグッズは、しっかりと揃っています。熊谷守一の作風を反映してか、穏やかな中間色で彩られたグッズが多かったイメージです。

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4.混雑状況と所要時間目安

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今回の展覧会は、会期も長く、開催施設も十分大きいため、会期終了直前の土日以外は、そこまで混雑を気にする必要はなさそうです。展示点数が約250点と多めなので、一通り見て回るために必要な時間は、90分~120分は見ておいたほうが良いでしょう。併設されている東京都近代美術館の常設コレクション(MOMATコレクション展)も回るなら、休憩時間も含めて半日は空けておいてくださいね。

5.自伝映画「モリのいる場所」も2018年5月に公開予定!

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さらに、2018年5月には、熊谷守一の自伝的映画「モリのいる場所」が、主演・山崎努で公開決定となりました!オフィシャルサイト上でまだ予告動画は設置されていないものの、すでに撮影・編集も一通り終えて、マスコミ向けの試写会がスタートしています。

「モリのいる場所」とは、もちろん熊谷守一が老年期以降、30年以上仙人のように篭った東京・豊島区の自宅を指しています。もともと個人的に熊谷守一のファンだった山崎努に、沖田修一監督が主演として声をかけたのがきっかけだったのだとか。沖田修一監督といえば、過去作「南極料理人」や「横道世之介」など、温かみのあるコメディタッチの演出が印象的でした。今回も、きっと熊谷守一の世俗離れして飄々とした生き様にぴったりフィットした作品を作ってくれそうで、期待しています。

6.まとめ

世俗的な成功には興味をくれず、自分自身に素直にマイペースな生き方を貫く一方、作品制作においては非常に探究心旺盛で、ストイックに自らの画風を追い求めた熊谷守一。今回の展覧会では、ひとつひとつの作品や資料を丁寧に見ていくことで、様々な画題で、年代別に整理された作品群や画風の変遷、さらには、守一が絵画に対して向き合う姿勢や、その個性的な生き様までしっかりと学ぶことができました。

まさに、大回顧展にふさわしい総合的に深く掘り下げられた展覧会です。是非、5月公開の自伝映画「モリのいる場所」とセットでチェックしてみてくださいね!

それではまた。
かるび

参考:関連書籍・資料などの紹介

定番ムック「もっと知りたい熊谷守一」

展覧会のタイミングに合わせて東京美術から企画・出版された、定番の初心者向けA4ムックの決定版です。展覧会同様、キャリア初期から最晩年まで、熊谷守一の画業全般を美麗なカラー印刷の作品画像とわかりやすい解説で読み解くことができます。薄いから、持ち運びもしやすいのがいいですね!おすすめです!

長く読み継がれている自叙伝「へたも絵のうち」

熊谷守一が日経朝刊に連載した「私の履歴書」が好評だったため、書籍としてまとめられた自叙伝的な一冊です。口述したものをライターがまとめる形式だからか非常に読みやすく、また面白いエピソードも満載。映画化もこの本が元となって制作された部分も大きいのでしょうね。

Amazonでベストセラーに!熊谷守一画文集「ひとりたのしむ」

そして、現在Amazonの「画集」ランキングで「ベストセラー」となっている最新版の画文集。上述した通り、今回の展覧会では守一の「書」も展示されていますが、これが絵画作品同様、絶妙な「味」のある字体なんですよね。本作を見ながら、バッチリ人柄が出ているなぁと感心しました・・・。

展覧会開催情報

◯美術館・所在地
東京国立近代美術館
〒102-8322 東京都千代田区北の丸公園3-1
◯最寄り駅
東京メトロ東西線竹橋駅1b出口徒歩3分
◯会期
2017年12月1日~3月21日
◯休館日
月曜日(ただし1月8日、2月12日は開館)
年末年始(12月28日~1月1日)
1月9日(火)、2月13日(火)
◯開館時間
10時~17時(最終入場は30分前まで)
ただし金・土は20時まで営業延長
◯公式HP
 
http://kumagai2017.exhn.jp/
◯Twitter
 https://twitter.com/MOMAT60th

「箱根駅伝 感動をつなぐチームとクルマ」展に行ってきた(メガウェブ ヒストリーガレージ)【展覧会レビュー・感想】

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かるび(@karub_imalive)です。

最近すっかりアート・映画以外のネタをブログに書かなくなってしまったのですが、たまには陸上ネタでも書いてみたいと思います。

僕はそこそこ熱心な長距離陸上ファンです。毎年、必ず全ての地上波のマラソン大会と駅伝はチェックしてますし、特に箱根駅伝に関しては、直前特集号を買ったり聖地巡礼(コース見て回るだけなんだけど・・・^_^;)を定期的にやっていたりします。

今年も、いよいよ年末を迎え、自分の中では箱根駅伝への期待が刻々と高まってきております。そんな折、偶然ネットで見つけたある「無料」の展覧会が、僕の心を捕らえて離さなくなってしまったのです。

それが、お台場のトヨタショーケース、「MEGAWEB(メガウェブ)」内に併設された展示スペース「ヒストリーガレージ」で開催中の、「箱根駅伝 感動をつなぐチームとクルマ展」でした。

自分の中では、「展覧会」と「陸上」をつなぐ最重要のイベントとして、早速先日の日曜日、家族を引き連れて見てきました。せっかくなので、簡単にレポート記事を書いてみたいと思います!

1.「箱根駅伝 感動をつなぐチームとクルマ」展とは

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今回の企画は、芦ノ湖畔の、箱根駅伝往路ゴール地点の脇にある「箱根駅伝ミュージアム」と「メガウェブ・ヒストリーガレージ」の共同企画展とのことでした。

この「箱根駅伝ミュージアム」っていうのは、箱根駅伝に関する歴史や記録、レースで使用されるタスキやシューズ、優勝旗などを整理・展示してくれている、箱根駅伝ファンにとっては、毎年の巡礼(?)が欠かせない聖地みたいなものなんですが、いかんせん毎回芦ノ湖まで簡単に行けるわけではありません。

▼参考:箱根駅伝ミュージアム
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そこで、今回は「箱根駅伝ミュージアム」の出張企画展、というかたちで、お台場まで来てくれたんですよね。そして、一切写真撮影がNGな本家とは違い、今回の企画展は写真が撮り放題!展示されているクルマと一緒に記念撮影なんかもできちゃいます!

もちろん、いつもどおり入場料は無料!だからお台場観光に来たついでに、フラッと立ち寄ることもできますね。(一体どうやって運営費を捻出してるのかいつも不思議なのですが、まぁこれもきっと日本No.1の巨大企業、トヨタだからできる社会貢献的な事業の一貫なんでしょうね・・・)

2.展示内容をざっくりと紹介!

「箱根駅伝 感動をつなぐチームとクルマ」展は、箱根駅伝と、その大会運営を支えてきたクルマの関係を特集した、ちょっと変わった切り口の「箱根駅伝」展覧会です。

タイトルから見て、「うーん、これはきっとトヨタが毎年番組に提供している大会関係車両にちなんだ特集なのかなぁ」と思って見ていたら、案外そうでもなくて、きちんとした公平な資料展示がなされていました。

ここ数年の大会で、監督や審判が乗るオフィシャルカーとして使われている「NOAH」「VOXY」「ESQUIRE」のワゴン車3兄弟は、よく考えたらわざわざここに置かなくても、ショールーム本体にきちんと揃ってますからね。

これが、メインの展示スペースです。

▼メイン展示スペースの様子
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今年、第94回本大会に出場する各大学20校の応援旗が立ててあって、左側に大昔使われたクラシックカーの先導車が数台置いてあります・・・。これ、おそらくトヨタ博物館から持ってきたんでしょうけど、いつ見てもトヨタの保有するクラシックカーは状態が良く、しっかりメンテナンスされているのがわかります。おそらく、エンジンをかけたら普通に動くようになっているのでしょうね。

▼フォード・モデルTツーリング(1913年型)f:id:hisatsugu79:20171214000529j:plain

箱根駅伝が始まった頃は、国産の量産大衆車はまだ作られていませんでした。そこで、大会で使われたのは、世界史の教科書にも載っている、超有名なフォードの量産車「T型フォード」。写真を見ると1928年の大会で運用されている記録が残っています。

▼1928年大会の写真(雨降ったらつらそう・・・)
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続いて、もう少し年が下って、今から約60年前の車両です。

▼トヨペット・クラウン(1955年式)f:id:hisatsugu79:20171213235408j:plain

こちらは、1960年前後に、選手たちの伴走車として使われていたというトヨペットの高級車「クラウン」。映画「ALWAYS三丁目の夕日」でもこんな感じの高級セダンが、CGでバンバン走ってましたね~。この「クラウン」がきっかけで、高級セダンはその後どんどん車両サイズが大型化していったそうです。(今のクラウンより随分小さい)

▼レース中の写真(箱根湯本・函嶺洞門付近)f:id:hisatsugu79:20171213235635j:plain

こんな感じですね。当時はまだ、道路も狭かったみたいですね。これからまさに山登りへと向かう選手と一緒に、クラウンが映ってます。

▼ダットサン1000トラック(1960年型)f:id:hisatsugu79:20171213235822j:plain

こちらは、日産系列の車で、後ろに荷台のあるピックアップトラックのような形状をしています。トヨタだけじゃなくて、他のメーカーの車両もきちんと展示するアカデミックな姿勢が、トヨタ博物館の素晴らしいところ。

この王者の余裕ぶりが、ここ、トヨタ博物館のいわば出張展示スペースである、「MegaWebヒストリーガレージ」でも徹底されているのが、すごく好感が持てるところでもあります。

そして、映像資料コーナーも充実!「箱根駅伝ミュージアム」が保有する歴代のレースダイジェスト資料から、ここ15~20年くらいのハイライト実況映像をずっと流してくれていました。

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これがねぇ、本当によくできているんですよ・・・。山の神3人衆(今井、柏原、神野)はもちろん、モグスやダニエル、村澤の2区ごぼう抜き映像、佐藤悠基や大迫といった歴代のスター選手、そして最近の青学三連覇まで、ファン垂涎の映像資料がえんえんと垂れ流されております・・・(気づいたら、これを1周半だらーっとみてましたw)

▼マニアなら解説パネルもしっかり読み込みたい!f:id:hisatsugu79:20171214000353j:plain

そして、「先導車と箱根駅伝」の歴史をつづった壁面の解説パネルも素晴らしい!箱根駅伝がスタートした1920年代の貴重な写真から、世界の瀬古と先導車が映ったショットなんかも展示されていて、こちらも見どころ十分です!

▼瀬古利彦、学生時代の勇姿!(1980年)f:id:hisatsugu79:20171214001336j:plain

あとは、こういった記念写真コーナーも用意されています。僕も家族と撮ったのですが、外国人観光客も(おそらく意味もわからないまま)撮影してました。

▼記念写真撮影コーナーもあるよ!
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出口のところで、ようやく控えめに自社の水素自動車「MIRAI」が展示されています。これ、どうなんでしょうね~。一般発売されてからすでに2年以上経過しますが、未だに町中で走っているクルマをあまり見かけません。

▼第93回大会の先導車、水素自動車「MIRAI」f:id:hisatsugu79:20171214001505j:plain

今年のモーターショーでも、全くトヨタブースで展示もされず、スルーされていたMIRAI。ほぼ電気自動車シフトへの流れが鮮明になった2017年、ガラパゴス的な時代の徒花として、最後にはトヨタ博物館に収容される運命になりそう・・・。とりあえず、今年の箱根駅伝で使われてなかったら、トヨタがもう燃料電池車を見限ったサインとみなしておこう(笑) 

3.混雑状況と所要時間目安

所要時間の目安は、映像資料や壁面の解説パネルをガッツリチェックするのであれば、60分、普通にサーッと流すのであれば、10分~20分あれば十分です。(ちなみに僕はビデオ映像に釘付けで、90分いました・・・アホですねw)

なお、展示スペース自体が混雑することはまずありません。ただし、「MegaWeb」へたどり着くのが大変な時間帯があります。特に、土日の午後は、車でフラッと来た時、運悪く大型野外イベントと重なると、地獄です・・・。お台場内での駐車場を確保するのが大変なので、できれば電車で行った方がいいかと思います!

4.感想まとめ

こうやって見てみると、今年で94年目となる箱根駅伝の歴史は、モータリゼーションの発達の歴史とぴったり重なっていたのだなって気付かされます。片道100km超という、超ロングディスタンスでの競技を側面からしっかり支えてきたクルマ達を見て、その歴史の重みを改めて感じさせられました。

ということで、今日は「箱根駅伝とクルマ」という意外なテーマで特集された、無料で気軽に入れる展覧会のご紹介でした。正月明けまでやっていますので、観光等でお台場に来た際は、選択肢に入れてみてくださいね!

それではまた。
かるび

箱根駅伝をもっと楽しむための参考資料

超おすすめ!「あまりに細かすぎる箱根駅伝ガイド!2018」

熱心な駅伝ファンなら全員知ってる日本一の駅伝マニア「EKIDEN NEWS」氏が、満を持して出版した、ファン目線による最強の観戦ガイド。1区から10区まで、あらゆるチェックポイントが詳細に解説されている他、「あまりに細かすぎる箱根駅伝用語集」も国語辞典のような詰め込み方に思わず苦笑い。これは箱根駅伝ファンなら今年必携のムック本です!

展覧会開催情報

◯美術館・所在地
MegaWeb ヒストリーガレージ
〒130-0014 東京都墨田区亀沢2丁目7
◯アクセス
★下記URLから案内図を参考にして下さい。
http://www.megaweb.gr.jp/access/pdf/map1_2.pdf
◯会期・開館時間・休館日
2017年11月22日~2018年1月14日(会期中無休)
11時00分~21時00分
◯公式HP
http://www.megaweb.gr.jp/article/hakone2018/
◯Twitter
https://twitter.com/MEGAWEB_PR

年末年始・お正月に映画館で見れるおすすめ映画20選!【2017年末-2018年始・冬休み】

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かるび(@karub_imalive)です。

2017年も、残すところあとわずかになりました。皆さんは、年末年始や、お正月休みの予定はどう過ごされる予定でしょうか?僕は、いつも通り年末・年始も変わらず美術館に通い、映画館に行き、ブログを書いていると思います^_^;

ところで、年末年始・お正月も、映画館は年中無休で営業中です!今年はブラック企業による残業問題が大きくクローズアップされたこともあって、デパートや小売店でも、正月休みを取るお店が増えてきていますが、映画館に限っては、1月1日からガッツリ空いていますね!(本当に大変だと思います・・・)

ということで、せっかくの年末年始を映画館で過ごすとしたら、どんな映画が公開されているのか、先回りして調べてみました。その中から、ある程度全国規模で公開されていて、内容が期待できそうな年末年始・お正月映画を洋画・邦画の中から20作品選んでみました。(最初はベスト10にしようと思ったのですが、面白そうなのが結構あったのでついつい・・・^_^;)

それでは、いってみましょう! 

1.年末年始・お正月映画を選んだ基準・定義

本エントリでの「年末年始・お正月映画」の定義ですが、基本的には、

・「映画館で上映予定の、日本初公開作品」
・「全国規模で公開予定であること(15館以上)」

という基準で選んでみました。

また、記事をアップした12月14日時点で、インターネットにて【定価】で正規の「前売券」が買えるものは購入リンクを設置するとともに、関連するガイドブック・ノベライズ・過去作品なども簡単に紹介しています。

便宜上、「洋画」「邦画」と2種類に分けて紹介していきますね。

2.年末年始のオススメ映画<洋画編>

「スターウォーズ 最後のジェダイ」

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▶公式予告「スターウォーズ8/最後のジェダイ」
※画像をクリックすると動画がスタートします


動画がスタートしない方はこちらをクリック

12月15日公開予定の、スター・ウォーズ最新作8作品目。すっかり毎年年末に全世界同時公開されるのが恒例となりましたが、やはりこの冬一番の話題作であることは間違いありません!今作では、老境に達したルークが再び戦いの最前線に帰ってくるのか、誰が「最後のジェダイ」なのか、本当に楽しみです!

オリジナル・サウンドトラックも、映画公開前から早くもベストセラーです。良い映画の良い映画音楽は、少し予告編を見ただけでも何となく「これは買いだな!」ってわかりますよね?!

「オリエント急行殺人事件」

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▶公式予告「オリエント急行殺人事件」
※画像をクリックすると動画がスタートします


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約45年ぶりに劇場版としてリメイクされた、アガサ・クリスティの原作「オリエント急行の殺人」を映画化した作品です。今回のポアロはヒゲの増量ぶりが凄い・・・(笑)超豪華キャストと、美しいロケ映像も圧巻です!「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」で主役・レイを演じているデイジー・リドリーが、こちらでは全くイメージの違う若き美人教師を演じています!

原作も読み応え抜群!映画と小説では、若干描写や設定が違っていますので、映画と小説、両方を比べてみるのも面白いですね!

「キングスマン:ゴールデン・サークル」

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▶公式予告「キングスマン:ゴールデン・サークル」
※画像をクリックすると動画がスタートします


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お正月の洋画定番といえば、やはりスパイ・アクションものですよね!今年は「007」「ミッション・インポッシブル」の上映はないですが、替わりに「キングスマン」の続編が待っていました!予告を見る限り、前作に続いて、荒唐無稽でスケール感のでかい派手なスパイ・アクション映画に仕上がっている感じで、これは期待できそう!

12月末には、先行してノベライズ作品も出版が決まっています。最近、洋画のノベライズは竹書房が本当に翻訳を頑張ってくれるので、原作・ノベライズを必ず読み込む僕としては助かります!

「カンフー・ヨガ」

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▶公式予告「カンフー・ヨガ」
※画像をクリックすると動画がスタートします


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11月頃から予告編が映画館でかかるようになって、そのタイトルのベタすぎるダサさと、その反面妙なスケール感の大きさに、すごく興味を惹かれた正月向けのコメディ・アクション映画。ジャッキー・チェン主演で、中国で280億円の超メガヒットとなった話題作です。Oricon.co.jpの解説によると、

『インディ・ジョーンズ』、『ワイルド・スピード』、『300スリー・ハンドレッド』という3つのアクション映画を掛け合わせたようなものにカンフーとヨガが加わり、さらには歌って踊るインド映画の要素まで入っているという。 

だそうです・・・。どんな映画なんだ一体。超見たい(笑)

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「バーフバリ 王の凱旋」

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▶公式予告「バーフバリ/王の凱旋」
※画像をクリックすると動画がスタートします


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2015年に公開された前作「バーフバリ 伝説誕生」が、インドでの歴代最高の興行収入を記録し、日本でもカルトな人気を博したインド映画の歴史大河ファンタジー。その第2弾が、2017年末に日本にも上陸します。

VFX、制作予算、スケール感、ともにハリウッド作品に負けない凄い作品になっていそうですし、この映画のためだけにわざわざ架空の「キリキリ語」という言語まで作られるほど、細部まで拘った設定・演出も見どころです!

こちらは、話題となった前作のブルーレイ。これで復習をしてから2作目に臨めば、より楽しめそうですね!

「フラットライナーズ」

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▶公式予告「フラットライナーズ」
※画像をクリックすると動画がスタートします


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1990年に、主演:キーファー・サザーランド、ジュリア・ロバーツらで公開された作品の27年ぶりのリメイクとなります。興味本位で、特殊な装置を使って臨死体験を繰り返し体験した5人の医学生が、やがて現実世界で悪夢のような出来事を体験していくというホラーテイストのサスペンスです。

前作に引き続き、キーファー・サザーランドが出演していますね。個人的に凄く興味をひかれているので、必ず行こうと思っているのですが、ソニーさんもうちょっと予告編を力入れて作ってくださいよ・・・30秒の予告1本ってやる気あるの・・・。

1990年の前作は、ブルーレイやDVD、配信等、各種フォーマットでリリースされています。こちらと見比べてみるのも面白いですよね。

「 IT/イット”それ”が見えたら、終わり。」

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▶公式予告「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」
※画像をクリックすると動画がスタートします


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11月3日に公開されると、ジワジワと口コミで中高生にまで人気が広がって、とうとうお正月明けまで上映が延びるロングラン公開となりそうです。アメリカの田舎町で27年周期で繰り返される惨劇に立ち向かう少年たちの冒険を描いた作品。

一応ホラー映画という位置づけですが、「グーニーズ」「スタンド・バイ・ミー」といった青春映画的な要素のほうが強いかもしれません。いずれにしても、感情を強く揺さぶられる傑作であることは間違いありません!

この年末年始で時間のある時こそ、スティーブン・キングの原作に挑戦するには丁度よいかもしれません!全部読みましたが、4巻で2000ページって、地獄でした・・・早くも次作(完結編)の公開が2019年に決定していますので、それまでに1990年の過去作や、超大作である原作を読んでおくのもいいですね。

「否定と肯定」

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▶公式予告「否定と肯定」
※画像をクリックすると動画がスタートします


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映画評論家・町山智浩氏も絶賛。アメリカでの実話をベースとした歴史検証・法廷サスペンス映画です。ナチス・ドイツによる大量虐殺「ホロコースト」の有無をめぐり、ある男が大学教授を提訴する場面からスタートした法廷劇は、二転三転して意外な決着を迎えます。鑑賞後、私達の歴史観や価値観を大きく揺さぶられる問題作です。シリアスで重厚な作品が見たい人はこちらがオススメ!

映画のベースとなったドキュメンタリー作品です。映画内では時間の尺から省略された部分も全て味わうことができます。映画鑑賞後こそ、読みたい原作。

「ユダヤ人を救った動物園」

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▶公式予告「ユダヤ人を救った動物園」
※画像をクリックすると動画がスタートします


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第二次世界大戦中、ソ連軍やドイツ軍に迫害されたユダヤ人を、自らの経営していたポーランド・ワルシャワ市内の動物園に匿い、命をかけて救い出したある女性の勇気ある行動を描いた、実話ベースのストーリー。

戦後70年が経過し、戦争の記憶が風化していく中で、「シンドラーのリスト」や「杉原千畝」といった、戦争中での名も無き人々に焦点を当てたエピソードが、映画化されることによって、こうしてしっかり後世に残っていくのは素晴らしいですね。

こちらも、映画化されるベースとなったドキュメンタリー作品の普及版が映画前に出版されています。映画と合わせて読むと、より深く作品を理解できそうです。

「彼女が目覚めるその日まで」

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▶公式予告「彼女が目覚めるその日まで」
※画像をクリックすると動画がスタートします


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クロエ・グレース・モレッツが主役の、実話ベースに基づいた「難病物」映画。アイドル俳優が演じていますが、スイーツ系と言うよりは、ドキュメンタリーに近いタッチです。奇しくも、体内で生じた抗体が脳へ作用し、異常行動や昏睡状態を招く「抗NMDA受容体脳炎」という脳の奇病は、同日公開の映画「8年越しの花嫁」で描かれる病気と全く同じです。日米同時に同じテーマで公開された映画を見比べてみるのも面白いかもしれません。

こちらも、家族の闘病記ドキュメンタリー「脳に棲む魔物」が翻訳されて日本でも発売されています。通読してみると、本人もそうですが、看病する家族達の苦闘も並々ならないものがあることがわかります。

「謎の天才画家ヒエロニムス・ボス」

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▶公式予告「謎の天才画家ヒエロニムス・ボス」
※画像をクリックすると動画がスタートします


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15世紀、レオナルド・ダ・ヴィンチがイタリアで大活躍していた同時期に、オランダでも一人の天才画家、ヒエロニムス・ボスが活躍していました。本作では、そんな謎多き画家、ボスの残した最高傑作「快楽の園」を丁寧に紐解くことで、彼が絵画を通して何を表現したかったのか、どんな人生を生きたのかを明らかにしていきます。今年最高レベルに難易度の高いアートドキュメンタリーですが、劇場で見る価値はあります!

「快楽の園」についてのいわゆる学術的な「ネタバレ本」。映画鑑賞と合わせて、本格的にヒエロニムス・ボスの世界に入っていくなら、避けては通れない良書です!

「ブライト」

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▶公式予告「ブライト」
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洋画最後に紹介する作品は、映画館ではなく、Netflixでの公開映画作品。すでに劇場やTVでも大量にCMが入っていますが、独自コンテンツの作成・配信に力をいれるNetflixが約110億円をかけて制作したと言われる超大作です。(配信オンリーの作品に110億円ですよ?!)

監督には「スーサイド・スクワッド」のデイビッド・エアーを迎え、主演にはウィル・スミスが抜擢された本作は、ロサンゼルス警察を舞台としたファンタジー・アクション映画。ウィル・スミスと、オークの相棒(!)が、犯罪捜査のため活躍するストーリー。映画内では、銃やアクションだけでなく、魔法(!)も使って事件の解決にあたるそうです(笑)しかし、予告を見る限り、世界観や街の退廃的な雰囲気などは、主演が同じということもあって「スーサイドスクワッド」そっくりですね・・・。

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3.年末年始のオススメ映画<邦画編>

「DESTINY鎌倉ものがたり」

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▶公式予告「DESTINY鎌倉ものがたり」
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「ALWAYS三丁目の夕日」シリーズや、「海賊とよばれた男」の山崎貴監督が制作した、得意のVFX/CGを駆使して、鎌倉を舞台とした、コメディ色の強い和製ファンタジー。家族で揃って冬休みの時期に劇場で見れるように、過激なアクションや恋愛要素は薄めですが、作り出された映像表現やストーリーもよく練り込まれていて、お正月映画にふさわしい作品になっています。

上記で紹介したノベライズ・ガイドブック以外にも、西岸良平によるマンガ原作「鎌倉ものがたり」(既刊34巻)やそのダイジェスト版など、様々な派生商品が発売されています。

「鋼の錬金術師」

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▶公式予告「鋼の錬金術師」
※画像をクリックすると動画がスタートします


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2017年、「銀魂」「東京喰種」「ジョジョ」「斉木楠雄の災難」と、少年誌からの大型実写映画化が続きましたが、そのトリを飾ったのが本作「鋼の錬金術師」。

予算的にも世界観的にも非常に実写化は困難を伴ったようで、公開後から賛否両論の問題作扱いを受けています(笑)それでもオールイタリアロケを敢行し、こだわり抜いたCGは劇場で見ておく価値はあると思います。劇場特別付録配布の第2弾も12月下旬からスタートしますよ!

原作1巻~10巻までのプロットをベースとして、オリジナル要素を付加した脚本に仕上がった今回の実写版でしたが、ちょっと編集段階で変なところを切りすぎていて、ストーリーがわかりづらいところがありました。このあたりは、ノベライズ版を読むと、きっちり理解できます。すでに実写版続編の制作も濃厚なようなので、原作やノベライズをしっかり抑えておくのも良いかもしれませんね。

「嘘八百」

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▶公式予告「嘘八百」
※画像をクリックすると動画がスタートします


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売れない陶芸家と、落ち目の古美術商がタッグを組んで、利休の使用した茶碗の贋作を作って一儲け企む、正月らしいドタバタ古美術コメディ。主演の中井貴一は、2016年11月の映画「グッドモーニングショー」以来、再びコメディ作品での主役登板となりましたが、予告を見る限り非常にいい味を出しています。これは見に行くつもりです!

ノベライズを読む限り、古美術や骨董の裏側が面白おかしく描かれているため、日本画や工芸系のアートファンにも楽しめる作品だと思います。

「映画妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活」

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▶公式予告「妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活」
※画像をクリックすると動画がスタートします


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ブームが完全に収束し、グッズ売り上げ・映画興行収入が明らかに右肩下がりとなる中、過去作において斬新な取り組みを続けてきた劇場版「妖怪ウォッチ」ですが、とうとう今年は鬼太郎とのコラボや、キャラクターイメージの一新を図るなど、自ら世界観をぶち壊す暴挙に(笑)

僕の息子などは、フライヤーを見て「いきたくなーい」と今年は見送りムードですが、だからこそ、ここは映画ファンとして、骨を拾ってやろうと思っております(笑)

ある意味、問題作として注目してます!

「未成年だけどコドモじゃない」

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▶公式予告「未成年だけどコドモじゃない」
※画像をクリックすると動画がスタートします


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女子中高生をターゲットとした王道の恋愛スイーツ映画の決定版。まぁまぁかわいい女子1人(平祐奈)を若手ジャニーズ2人が取り合うという、伝統的な三角関係が描かれます。若い人の感性に合わせた恋愛コメディを得意とする英勉監督なので、お正月からポップコーン片手に、頭空っぽにして楽しめる作品になりそうです。

秋はスイーツ映画は全滅に近いほど厳しい動員・興収だったようですが、この「みせこど」は内容的にも興収的にもそこそこ期待できそうなんじゃないでしょうか?

でもこれ、オッサン一人で行くと映画館、メチャクチャ居心地悪いんだよな~^_^;

原作は、全5巻完結と、大人なら数時間で読み切れる分量なので、予習・復習に全巻一気読みしてもいいですね。なお、ノベライズも通常版・ジュニア版と2タイプ出ており、この映画にかける東宝・小学館の期待の大きさが伝わってきます。

「リベンジgirl」

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▶公式予告「リベンジgirl」
※画像をクリックすると動画がスタートします


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東大主席卒業&ミスキャンパス優勝経験もある才女ながら、最悪な性格が災いして人生が上手くいかない、桐谷美玲扮する主人公が、人生に「リベンジ」して総理大臣を目指す、という、正月らしいハチャメチャなコメディ映画。

それって、前作の「ヒロイン失格」とキャラがあんまり変わらんやん(笑)と思ったのですが、でも前作の桐谷の振り切った演技がもう一度見れるなら、劇場で笑い転げてもいいかなと、ムビチケに手が出そうになっております(笑)

直前にノベライズ作品も発売となる予定です。あらすじを読む限り、映画からノベライズを書き起こすのが非常に難しそうな作品ですよね(笑)

「勝手にふるえてろ」

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▶公式予告「勝手にふるえてろ」
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松岡茉優扮する、26歳処女のオタク中二病の主人公に、ある日突如恋人候補が現れ、中学時代から片思い中だった理想の彼氏「イチ」と現実の彼氏候補「ニ」の間で揺れ動く日常を描いた作品。意外にも、松岡茉優はこれが初主演だそうです。私生活ではオタクそのものだという彼女にぴったりな主演作ですね。

原作小説は、綿矢りさの独特の文体で、主人公・ヨシカの一人称目線でストーリーが展開していきます。奥手で不器用な元オタク女子が、少しずつ恋愛の現実に順応していき、自分の世界を広げて行こうとする描写が、非常にリアル。さすがは芥川賞作家だなと唸らされます。原作、おすすめです。

「ガールズ&パンツァー最終章」 

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▶公式予告「ガールズ&パンツァー最終章第一話」
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すでに劇場公開が始まっていますが、前作「劇場版」より公開館数・1人あたり入場単価が落ちている(1,800円→1,200円)にもかかわらず、興収は前作超えをしているという人気ぶり。グッズ列も非常に賑わっていて、根強い・・どころか、逆にさらにファン層が拡大している現実がよく分かる映画公開となりました。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか?記事をまとめながらも、年末年始も要注目の良さそうな映画が結構あるなぁと見てました。円盤発売や配信スタートを待つのもいいですが、やっぱりデカいスクリーンと気持ちの良い音響で見ると、印象がぜんぜん違ってきます。是非、正月はみんなで映画に行きましょう!

それではまた。
かるび

【ネタバレ有】「スターウォーズ 最後のジェダイ」感想・考察と10の疑問点・謎を解説!/大傑作のエピソード8!怒涛の新展開に酔いしれた150分!

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かるび(@karub_imalive)です。

12月1日に劇場公開された待望のスターウォーズ新作「スター・ウォーズ(EP8) 最後のジェダイ」ですが、運良く最速上映でチェックすることができました。さっそく感想・考察等を織り交ぜた映画レビューを書いてみたいと思います。
※本エントリは、後半部分でストーリー核心部分にかかわるネタバレ記述が含まれますので、何卒ご了承ください。できれば、映画鑑賞後にご覧頂ければ幸いです。

1.映画「スターウォーズ 最後のジェダイ」の予告動画・基本情報

▶公式予告「スターウォーズ8/最後のジェダイ」
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【監督】ライアン・ジョンソン(「LOOPER」他)
【配給】ディズニー
【時間】152分

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引用:https://www.youtube.com/watch?v=gHgBk2fLLHY

本作でメガホンを取ったのは、若干43歳と新進気鋭のライアン・ジョンソン監督。30年後からやってくる自分自身と対峙する、一風変わったSF映画「LOOPER」がスター・ウォーズ制作陣の目に止まり、今回の大抜擢につながりました。すでに後続のスター・ウォーズ新シリーズ(10作目~12作目)新3部作全ての監督として内定するなど、ディズニー首脳陣の信頼も非常に厚い模様です。

それにしても長かったですね今回。もっとも、ライアン・ジョンソンが最初に作ったヴァージョンでは180分を越えていたのだとか。円盤化された時、大量の未公開シーンが期待できそうです^_^

なお、本作はスター・ウォーズシリーズの過去作全作を見る必要はありませんが、前作「スター・ウォーズ7 フォースの覚醒」(2015)鑑賞を大前提とした構成になっていますので、前作だけはチェックしておいてくださいね。

もし時間がない!という方には、ディズニーが日本限定で制作した「90秒でわかるフォースの覚醒」というゆるい動画が、メチャクチャ役に立ちましたので、こちらを見ておくだけでもかなり違うかもしれません。

▶必見!「90秒でわかるフォースの覚醒」
※画像をクリックすると動画がスタートします


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2.映画「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」主要登場人物・キャスト

レイ(デイジー・リドリー)f:id:hisatsugu79:20171215223556j:plain
引用:Star Wars: The Last Jedi Trailer (Official) - YouTube
ちょうど公開中の映画「オリエント急行殺人事件」でも中心人物として活躍。前作で掴んだ知名度と人気をしっかりキャリアに役立てて、順調に2作目を迎えました。映画内でのライトセーバーでの殺陣シーンは、たった1日半で全て動きを覚えてしまうほど運動神経が良いのだとか。

カイロ・レン(アダム・ドライバー)f:id:hisatsugu79:20171215222932j:plain
引用:Star Wars: The Last Jedi Trailer (Official) - YouTube
新2017年は、「ローガンラッキー」「沈黙サイレンス」等、大規模公開作品での主役級を順調に消化。「沈黙サイレンス」の時のガリガリに痩せた迫真の演技は最高でした。どのキャラクターを演じる時も、内側に憂いを秘めた独特の演技は中毒性があります。

フィン(ジョン・ボイエガ)f:id:hisatsugu79:20171215222953j:plain
引用:Star Wars: The Last Jedi Trailer (Official) - YouTube
11月公開の映画「ザ・サークル」ではベンチャー企業トップを演じるなど、レイ同様、「フォースの覚醒」でスターダムに駆け上がってからも、順調にキャリアを重ねている模様。来年早々に「デトロイト」「パシフィックリム:アップライジング」と話題作への出演が続いています。

ポー・ダメロン(オスカー・アイザック)f:id:hisatsugu79:20171215222827j:plain
引用:Star Wars: The Last Jedi Trailer (Official) - YouTube
前作、今ひとつ影の薄かったポーは、今作で満を持して悩める若きリーダーを熱演。熱意が空回りする若さゆえの焦燥感などが、非常に良く表現できていました。そういえば、マーベル作品「X-MEN:アポカリプス」にも出演していましたね。

ルーク(マーク・ハミル)f:id:hisatsugu79:20171215222904j:plain
引用:Star Wars: The Last Jedi Trailer (Official) - YouTube
本作のもう一人の主役はルークでしたね。老境に差し掛かり、不幸そうなルークが本作の中で葛藤を乗り越えて前を向く展開は、ファンにはたまらないシナリオでした。ルークのために、惑星オクトーはちゃんと2つ太陽が用意されていましたね(感涙)

レイア(キャリー・フィッシャー)f:id:hisatsugu79:20171215222804j:plain
引用:Star Wars: The Last Jedi Trailer (Official) - YouTube
2016年末、早すぎる死が残念でしたが、本作では亡くなる前に撮りためたテイクがしっかり残されており、まさに大車輪の活躍。今作ではさらに、本業以外に得意とするスクリプトドクターとしても、ライアン・ジョンソンの脚本制作に手を貸したのだとか。最後まで素晴らしい活躍お疲れ様でした。エンドロールは号泣ものです。

ローズ・ティコ(ケリー・マリー・トラン)f:id:hisatsugu79:20171215223753j:plain
引用:Star Wars: The Last Jedi | Training Featurette - YouTube
爆撃機内で殉死した姉役は美人タイプの中国系でしたが、整備士を務めた妹のローズは、アジア系でマイノリティな上、容姿だけ見ると全くびっくりするほど普通な感じの俳優(演技は上手です)で、さすがSW、チャレンジするなーと良い意味で感心して見ていました。個人的には今作最大の驚きでした。それにしてもどうやってペンダント回収したんだろう・・・。

3.途中までの簡単なあらすじ

レジスタンスは、敗色濃厚になりつつあるファーストオーダーとの戦局を打開するため、レイを惑星オクトーに隠遁していた「最後のジェダイ」ルーク・スカイウォーカーの元に送り込んだ。しかし、ルークはレイが師事することを拒否し、冷たくあしらい続けるのだった。

ルークは、かつてカイロ・レンの育成に失敗し、闇の力に屈したレンがスノークの元へ走ったことにより、世界を大混乱に落としてしまった罪悪感から、ジェダイの育成を辞め、自らは「最後のジェダイ」として滅びていくことを決めていたのだった。

修行の末、レンとテレパシーでつながる能力を得たレイは、ルークとレンの間に何が起こったのかを理解すると、ルークの元を去り、スノークの旗艦の元にいるレンに直接会いに行くのだった。

一方、スターキラー基地の破壊に成功したレジスタンスたちだったが、彼らの居場所を突き止めたファーストオーダーは、圧倒的な戦力でレジスタンスを攻め続けた。勇気ある戦士たちの捨て身の貢献も虚しく、最後の母艦搭乗員約200名を残して、レジスタンスは窮地に陥る。ポーとフィン、ローズは、ホルド提督には、惑星カントニカで凄腕ハッカー「DJ」を雇い、秘密裏にファーストオーダーの旗艦へ侵入し、情報系統を混乱させる作戦を立てたが、作戦は失敗。船内で捕らえられてしまう。

それでも、ホルド提督の特攻奇襲により、レジスタンスの残党は窮地を脱して惑星クレイトの秘密基地へ向かったが、そこもまもなくファーストオーダーによって包囲され、絶対絶命のピンチに陥るのだったーーー。

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4.「スター・ウォーズ8最後のジェダイ」感想・評価

苦難続きの主役たち、その中で一人ひとりのキャラが掘り下げられていく

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ポーの試練が丁寧に取り上げられたEP8
引用:Star Wars: The Last Jedi "Awake" (:45) - YouTube

今作はエピソード7から始まった新・三部作のブリッジ部分となる今作。キャラ紹介のため、どうしても描写が薄くなった前作に比較して、格段に主要登場人物のキャラクターが掘り下げて描かれました。

レイやフィンはもちろん、今作で大幅に出演時間が増えたのがポー・ダメロン。撤退戦で消耗を重ね、レジスタンス存亡の危機に陥る中、妙にのんびりしたようにみえるホルド提督と衝突を繰り返し、己のリーダーとしての資質を問われるなど、徹底的に痛めつけられます。

さらに、父親殺しの重い十字架を背負い苦悩し続けるレン、銀河を救った英雄となったのに、罪悪感と悔悟、恐怖に縛られて動こうとしないルーク、自らのアイデンティティを求めて光と闇の中で葛藤するレイ、レジスタンスの責任者として、大勢の仲間を死なせてしまった苦しみを一人で背負うレイアなど、誰ひとりとして順調なメンバーがいないんですよね。

アクションシーンや艦隊戦、地上戦などのバトルシーンはきっちり盛り込みつつも、丁寧に人物描写に焦点が当たっていたところがケレン味たっぷりで、まずは素晴らしかったと思います。

フォースでできることが大幅に増えてない?

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引用:Star Wars: The Last Jedi Official Teaser - YouTube

しかしそれにしても今作では、過去7作(+外伝1作)に比べると、フォースの万能感が凄くないですか?いや、たぶんノベライズやアメコミ版など、正史以外も含めて全ての派生作品を探せば、先例はどこかにあるんでしょうけど、それにしても今回はフォースの万能・無双ぶりが凄かった(笑)例えば、以下のスキルなどは、映画正史シリーズでは初めてなんじゃないでしょうか?

・宇宙空間に投げ出され、凍りついたが何故か蘇生して生還する(レイア)
・レイとレンのテレパシー。相手の五感や感情まで同期してしまう高精度ぶり
・自らの分身を遠隔地で作り出し、そのまま生身の相手と戦う。(ルーク)
・霊体なのに、雷を起こして狙ったところへ落とす(ヨーダ)

特に、度肝を抜かれたのは宇宙空間で不死身の復活を果たすレイアです。真っ黒な宇宙空間で、目をカッと見開き、腕を伸ばして母船へと漂流する姿は、まさに聖母マリアか、観音さまを想起させる物凄い神々しさ。ズルい!とは思いましたが、映像に圧倒されてしまい、まぁいいか細かいことは・・・と^_^

今作では、過去7作より更にフォース(=超能力)を大胆に使って、フォースの新たな特徴を打ち出していました。しかしこれ、一歩間違えると「ご都合主義でなんでもあり」になってしまうので、今回あたりがギリギリでしょうね。何とか演出面でバランスを保ちながら、フォースの新たな表現可能性に挑戦したライアン・ジョンソン監督に拍手です・・・。

物語の可能性を拡張する、スカイウォーカー家の呪縛を解いた世代交代

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引用:Star Wars: The Last Jedi Trailer (Official) - YouTube

そして、今作で一番感心したのは、過去作でのキャラクターに最大限敬意を払いつつも、着実に新世代のキャラクターたちへ自然な形で世代交代を進めたことです。その最大の目玉となったのが、「ありふれた出自の一般人であるレイが、自らの力でジェダイへと成長したこと」でした。

レイは、過去7作で登場した主役級のジェダイとも違う、いわばニュータイプのジェダイなんですよね。あらゆる面で、過去のジェダイたちとは異質の存在なんです、レイは。(下記自作図参照)

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これまでジョージ・ルーカスが築いてきたスター・ウォーズシリーズは、なんだかんだで最終的にはスカイウォーカー家の宇宙を巻き込んだお家騒動・愛憎劇に収束していく流れがお約束でした。前作「EP7」までは、最後にはやはりレイア、ルークがきっちり持っていく流れに、今回も次世代の「ポー・フィン・レイ」の誰かが実はスカイウォーカー家かその周辺の血族ってことなのかな?と誰しもが予想したと思います。

しかし、今作を見る限り、レイの出自は普通のありふれた庶民であることが発覚しますし、それどころかジェダイの書も読まず、決められた修行もせずに、島を探検する中で、光と闇の両方のフォースに触れて、自ら勝手にジェダイへと成長していきます。野放しだけど、でも勝手にたくましく、正しく成長する。いわば、新世代のジェダイですよね。最後のジェダイというよりは、彼女こそが新しいタイプの「最初のジェダイ」になるのかもしれません。

また、ポーやフィンも、悩み苦しみつつも、最後は自分を信じて、自らの信念で行動を貫くことで、ラストシーンでは確実に「レジスタンスのニューリーダー」へと成長している姿を見ることが出来ました。

レジェンドたちにきっちり敬意を払いつつも、家柄や様々な伝統・形式とは関係なく、志を同じくしたメンバーがよりひとつの大きな家族となって、ファーストオーダーへ対抗する集団となっていくこと、これこそが、今作で新しく示された「新たなる希望」への萌芽だったのではないでしょうか。

これまでにない多様性が確保された意欲作

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引用:Star Wars: The Last Jedi "Back" (:15) - YouTube

元々、スター・ウォーズは、「犬(チューバッカ)が宇宙船を操船する」「ドロイドが人間同様のキャラクターを持っている」など、多様性という点において、抜きん出て進歩した作品でしたが、本作はより一層の多様性が観られた画期的な作品でした。

まず、反乱軍もファーストオーダーも、かつてないほど多くの女性兵士たちが躍動していたことに目を見張りました。キャプテン・ファズマやレイアはともかく、殉死したホルド提督、ローズ・ティコ、ペイジ・ティコ(ローズの姉)、テイシー中佐、コニックス中尉など、レジスタンスに至ってはクローズアップされたキャラの半分以上は女性だったという・・・。

これに加え、ヒューマノイド以外のキャラクターも、いちいち数え切れないくらい新キャラが登場しています。しかも、従来のコミックリリーフ的な立ち位置を大きく越え、BB-8やチューバッカの活躍ぶりはすでに主演級の存在感です。

どのシーンでも必ずクリーチャーやドロイドの姿が映る作りこみに、徹底した多様性へのこだわりと意外性のもたらすワクワク感を大いに感じることが出来ました。

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5.映画「スター・ウォーズEP8 最後のジェダイ」に関する10の疑問点~伏線・設定を徹底考察!(※強くネタバレが入ります)~

ストーリーや設定について、本作をより深く理解するために要点となりそうなポイントについて、考察や情報をまとめています。内容上、映画を1度見終わった人向けのコンテンツとなりますので、ここからはネタバレ要素が強めに入ります。予めご了承下さい。

疑問点1:ルークのいた惑星オクトーとはどんなところ?そのロケ地は?

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引用:Star Wars: The Last Jedi | Worlds of The Last Jedi - YouTube

かつて、別の惑星でカイロ・レンを含む12人の弟子と共にジェダイ寺院を運営していたルークですが、自らの不注意がきっかけで、闇落ちしたレンに寺院を焼かれてしまいます。ショックを受けたルークは、そこで、宇宙で最初にジェダイ寺院が創設されたジェダイの「聖地」惑星オクトーで、ひっそりと自らが「最後のジェダイ」として滅びていく覚悟を決め、隠遁生活に入ったのでした。

オクトーは、太古の昔に宇宙図での座標も失われ、忘れ去られた惑星という位置づけでしたが、実際のロケ地は、アイルランドの南方の小島「スケリッグ・マイケル」という島でした。かつて約1,400年前、実際にケルト人達が信仰のために断崖絶壁の地に修道院を建てた聖地です。世界遺産にも指定されているため、上陸人数は50名まで、撮影期間は2日間しか取れない中でのロケだったそうです。

ちなみに、崖下の海底に沈んでいた戦闘機は、かつてのルークの愛機「Xウイング」でしたね。ルークの悲しい決意が感じられる演出でした。

疑問点2:レイの両親が明らかに?レイはスカイウォーカー家の血筋でなかった?

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引用:Star Wars: The Last Jedi Trailer (Official) - YouTube

スノークとの対決を終えたレイは、レンから「レイの両親はスカイウォーカー家と何の関係もない、惑星ジャクーでカネに困って捨てた名もなき人々である」と伝えられ、とうとうレイの出自が明らかになります。(もちろんこれを真に受けるのはまだ早いという話もありますが)僕の見解は、確かな情報として解釈してよいと考えています。それを支える根拠として、本作では3つ示されています。

1つは、惑星オクトーのシーンで、ルークが「フォースは本来誰にでも備わっている」と、フォースの偏在性を強調していたこと。特定のヒーローだけに使用が許されたエネルギーではないというわけです。

かつてSWサーガの中で、「フォース」はスカイウォーカー家の血筋を証明する専売特許のような扱われ方をしていましたが、本作ではそれが明確に否定され、「誰にでもフォースの才能を持てる」ことがレイの存在により裏付けられたと考えられます。これはすなわち、レイはスカイウォーカー家とは無関係の人である、と考えたほうが自然です。

2つ目は、少なくともルークはレイと明らかに初対面である描かれ方だったこと。ルークほどのジェダイなら、フォースを使って親族であるかどうかはすぐに見抜くはず。少なくともルークとレイアの間で頻繁にテレパシーが発生しているのに対して、ルークとレイの間にはフォースを介した特殊なコミュニケーションは発生していません。(ルーク死亡時を除く)

3つ目は、制作陣が10作目~12作目では「スカイウォーカー家とは全く関係のない人達のストーリーにしたい」とコメントする一方、「クローズアップされる中心人物は、ポー、フィン、レイ、BB-8になる」と発言していること。これはつまり、一旦EP9までで、スカイウォーカー家の関係者は全員引退し、彼らと関係ない新世代のメンバーを中心にストーリーをつくりたいという意向ですよね。そのメンバーの中に、レイも入っているのが何よりレイがスカイウォーカー家の人間ではない証拠なのではないでしょうか。

疑問点3:スノークの正体とは?

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引用:Star Wars: The Last Jedi Trailer (Official) - YouTube

スノークは、ダース・ベイダーがルークに倒された30年前の「エンドアの戦い」の後、旧銀河帝国軍の残党をかき集めてファーストオーダーを立ち上げ、その最高指導者となった、エイリアン型ヒューマノイドでした。遠隔から人間を念力で締め上げたり、フォースを持つレイやレンの思念を遠隔で操るなど、卓越した闇のフォースの使い手でありました。

彼は、ファーストオーダーの銀河支配を確実にするための最後の総仕上げが、「最後の」ジェダイであるルーク・スカイウォーカーを滅ぼすことだと考え、執拗にその行方を追っていましたが、本作であっさりカイロ・レンに殺害されてしまいます。(最強のこれで死んだのかどうかは非常に微妙ですが・・・)

ただ、ライアン・ジョンソン監督は、このスノークに関するバックストーリーや設定を積極的に作り込まず、ストーリー中でもほのめかす演出をしたくなかったようなのです。したがって、今後遅れて出て来る設定資料集等や、制作陣のインタビューでポロっと出てくる可能性はありますが、スノークの存在は基本的に謎のままストーリーが閉じていくかもしれません。

疑問点4:ジェダイ寺院の生き残ったルークの弟子たちはどうなったの?

映画内、ルークは「カイロ・レンがジェダイ寺院に火を付けてスノークの元へ走り、12人いた弟子の数名は殺害され、残りの弟子はカイロ・レンと何処かに消えた」と当時を回想してましたが、この「生きて逃げた弟子」はどこに行ったのでしょうか?

おそらく、カイロ・レンはそのままスノークの元に走ったのでしょうから、彼についていったルークの弟子たちも、合わせてスノークの配下になっているはずです・・・

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人気化しそう!エリート・プレトリアン・ガード
引用:Star Wars: The Last Jedi | Red Carpet World Premiere - YouTube

特に映画内では言及がありませんでしたが、そういえば、スノークの玉座の左右に、全身赤スーツの「エリート・プレトリアン・ガード」という護衛が立っていましたね?これが、ひょっとしたら元ルークの弟子たちなのではないでしょうか?

というのも、彼らはライトセイバーこそ持っていませんでしたが、シスを象徴する全身「赤」の鎧で身を固め、それぞれフォースの力で蛍光色に輝く杖・ムチ・槍を持ち、中ボス級の戦闘力を持っていましたよね?設定資料では明らかになっていないようですが、ちょっと考察してみました。

疑問点5:ホルド提督って結局誰なの?

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引用:Star Wars: The Last Jedi | Red Carpet World Premiere - YouTube

ホルド提督は、ガタレンタ星出身で、レイアの若年時からの友人です。その関係性は、本作の前日譚としてレイア姫のストーリーを著した「Star Wars: Leia: Princess of Alderaan」(邦訳未発表)で描かれています。

二人は、共和国元老院で実習生をしていた頃に知り合いました。野外実習中に、偶然レイアがレジスタンス活動に関わっていることを知ったホルドは、それ以来レイアを助け、レジスタンスに関わるようになりました。奇抜なファッションでも知られ、基本的に軍服の着用が義務付けられているレジスタンス内でも、紫に染めた頭髪、非戦闘時のおしゃれな服装で指揮を執っていました。

疑問点6:DJの正体とは?

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引用:Star Wars: The Last Jedi | Red Carpet World Premiere - YouTube

正体は・・・?と書いておきながら、ハッキリ手がかりがなく、本作最大の謎としてそのまんま残されたのが、ベニチオ・デル・トロの演じた「DJ」の正体でした。DJのニックネームの由来は、「Don't Join」(関わるな)という意味で、「報酬」次第で敵味方をコロコロ変えるドライな傭兵のようでした。

そもそもなぜ普通に脱獄できるのに、フィンとローズがぶちこまれたタイミングで、カント・バイトのカジノの牢屋に入っていたのか?暗号解読のスキルはどこで得たのか?ほとんど背景情報がなく、ワンポイントで離脱していったDJですが、おそらくこのままでは終わらず、シリーズ9作目でも展開のカギを握る登場の仕方が予想されます。追加で制作陣から何か発表があるまで、待つとしましょう・・・。

疑問点7:惑星クレイトとはどんな場所なのか?そのロケ地は?

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引用:Star Wars: The Last Jedi | Worlds of The Last Jedi - YouTube

惑星クレイトは、銀河周縁部で、かつてレジスタンスが秘密基地として使用していた鉱物でできた惑星です。予告編では真っ白な雪原のように見えましたが、これは表土が薄い「塩」に覆われていたからだったのですね。そして、雪原に赤い噴煙が上がったのは、「塩」のすぐ下には、赤色の地層が広がっていたからです。本作のテーマカラーであるカイロ・レンの「赤」が象徴的に表現された、美しい映像表現が見事でした。

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塩のすぐ下に赤い地層が続いているのがわかる
映画パンフレット「限定版」より抜粋

このロケ地となったのは、世界の絶景としても非常に有名な、ボリビアに広がる、世界最大の塩湖「ウユニ塩湖」です。もちろん、本物のウユニ塩湖は、掘っても掘っても塩しか出てこないので赤い地層はありません(笑)

疑問点8:ラスト・結末について考察!フォースを使う少年は、10作目以降の伏線?

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映画パンフレット「限定版」より引用

ルークがカイロ・レンと一騎討ちをして時間稼ぎをしている裏で、ポーを先頭に動物道を通って山の裏側から脱出したレジスタンス達は、レイの待つミレニアム・ファルコン号で脱出していきました。行き先は明らかにされませんでしたが、おそらくこの後、ファーストオーダーの目が行き届かない銀河の周縁部の協力者の元に身を潜ませて、大勢を立て直すのでしょうね。

驚いたのは、場面が切り替わって、惑星カントニカのファジア(馬みたいな生き物)の厩舎で働く少年、テミリ・ブラッグ(ローズからレジスタンスのアクセサリをもらった子供)が、一瞬ですがフォースの力を使って、念力でほうきを手元に引き寄せて、星空を見上げるシーンで終わったということ。

EP1のアナキン幼少時代以来、久々に登場したスター・ウォーズシリーズでの子供にはフレッシュな物を感じましたが、まさかレイ同様、フォースが使えるとは・・・。ひょっとしたら、同じく10作目~12作目でメガホンを取る予定のライアン・ジョンソン監督が、将来の主役キャラ候補として仕込みとしてラストに入れてきたのかなと・・・。あるいは、この子が次作でレイの「パダワン」になる可能性もありますよね!夢が膨らむラストでした。

疑問点9:タイトル「最後のジェダイ」の意味を考察してみる

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引用:Star Wars: The Last Jedi "Tempt" (:30) - YouTube

本作のタイトル「最後のジェダイ」とは、第一義としてはまずルークのことであるのは明白でしょう。闇のフォースを使う「シス」に対抗するため、伝統的な徒弟制で育成される光のフォース使いを「ジェダイ」と呼ぶならば、結局ルークが「最後のジェダイ」だったのです。

その一方で、ルークがレンとの戦いの最中に「最後のジェダイは私ではない」とレンに告げたのはなぜか?という疑問が残ります。

ルークが劇中で言ったように、「フォース」とは万物の中に宿るエネルギーの流れのようなものであり、本来は、訓練すれば潜在的に誰にでも扱えるものなのです。そして、レイは、従来のジェダイと違い、ほぼ自力で覚醒し、ジェダイとして開眼しつつありましたし、ラストシーンでフォースを使う少年も、特に訓練したわけではないのでしょう。そういう意味で、ルークの後にも「ジェダイ」となりうる人材は銀河の中で無数に存在しうることが本作で示唆されます。

また、レイは闇のフォースを持つレンともつながり、かつ自らの闇とも向き合うなど、光と闇のバランスを取って清濁併せのむ「ニュータイプのジェダイ」として今後活躍するのかもしれません。EP9で最後どのような活躍を見せるのか、楽しみです。

疑問点10:未回収となった伏線・設定は?続編はいつリリースされるの?

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続編があるので当然ですが、3部作のブリッジとなる本作では、回収された伏線よりさらに謎が深まった感じはあります。2019年12月に公開予定となった次作「エピソード9」で回収が期待される主な伏線や謎を箇条書きにして、まとめてみました。

レイアは9作目でどうなるのか?
キャリー・フィッシャーが亡くなったことにより、物語がどう変化したのか?どう着地させるのか?
スノークは本当に死亡したのか?
これだけの闇のパワーを持つシスが、簡単に不意打ち一発で死亡するものなのか?復活する可能性は?
DJについての詳細情報は?
エピソード9で復活する可能性は非常に大きい。どんな役回りで
R2-D2はどうなるのか?
ルークに先立たれたR2-D2は、永久に休止するのか?それともレジスタンス内で活動を再開するのか?
レイ以外に、ジェダイは現れるのか?
惑星カントニカのテミリ少年がレジスタンスに合流する可能性もある?
オビ=ワンの登場シーンはあるのか?
今作で初めて登場シーンが途切れたオビ=ワン。ユアン・マクレガーは出演に前向きというが、次作で登場シーンはあるのか?
ルークの再登場はあるのか?
過去のジェダイの慣習に則って、肉体を持たない純粋な精神体になったルークが、再度レジスタンスの前に現れることはあるのか?
カイロ・レンは今後どうなるのか?
ファースト・オーダーの最高指導者に就いた後、彼のその後の運命は?

6.映画をより楽しむためのおすすめ関連映画・書籍など

やっぱり劇伴はジョン・ウィリアムズ!素晴らしすぎるサウンドトラック!

スター・ウォーズはやっぱりジョン・ウィリアムズのサントラが一番ですね。その世界観を知り尽くし、作品にピッタリ寄り添った劇伴は今作でも最高!前作「ローグワン」では起用されず、当初、本作でも担当するかは不明でしたが、やっぱり帰ってきてくれました!Amazonでもベストセラーになっていますね。

映画前の予習は必須!「スター・ウォーズ7 フォースの覚醒」

本作は、一切前作までのフォローアップがないという点で、予習が必須。僕はこれを昨年購入して、本作公開までに家族団らんの時間に2回予習しましたw 本編だけでなく、付録に1枚メイキングや未公開映像等の特典ディスクがついてくるお得な円盤です。

1作目~6作目までがセットになったAmazon限定ブルーレイセット

結局配信では我慢できず、僕は去年これを買ったのですが、やっぱり手元にあると、安心感と満足感が違いますね。各エピソードのディスク以外に、メイキング映像や未公開映像集、インタビュー等が満載の特典ディスクが3枚もついてきて、超お得でした・・・。どれを買うか迷ったら、この「Amazon限定版」が一押しです!

最強のアートブック「アート・オブ・スター・ウォーズ 最後のジェダイ」

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スター・ウォーズ外伝「ファズマ」

本作後半でフィンと死闘を演じた、ストームトルーパー達をまとめる最強の女性司令官、キャプテン・ファズマのスピンオフ。彼女の生い立ちからファーストオーダーヘの参加・出世まで、本作で収録しきれなかったエピソードを上下巻で収録しています。これもAmazonで12月15日現在ベストセラーとなっています!

スター・ウォーズ過去作全作品が、Huluで配信中!

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写実絵画の殿堂!ホキ美術館「第3回私の代表作展」に行ってきました!【展覧会レビュー・感想】

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かるび(@karub_imalive)です。

ホキ美術館って知ってますか?

千葉市緑区の昭和の森に隣接した閑静な環境の中、2010年11月にオープンした新興の美術館です。手頃な値段で楽しめる評判のイタリアンレストランと、現代写実絵画の殿堂として、最近ではるるぶやまっぷるなどにも掲載されるなど、アートファン以外の観光客にも大人気。ぐんぐん知名度を上げてきている要注目の観光スポットでもあるのです。

今回、運良くプレス向けの内覧会で取材する機会を頂きましたので、喜んで行ってまいりました!少し時間が経ってしまいましたが、以下写真つきで内容を紹介したいと思います!

※なお、本エントリで使用した写真は、予め主催者の許可を得て撮影させていただいたものとなります。何卒ご了承下さい。

1.ホキ美術館について

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ホキ美術館は、株式会社ホギメディカル創設者の保木将夫氏が収集した、絵画コレクション約350点を展示するスペースとして2010年11月3日に設立されました。設立保木氏が美術館を創設した理由には、「日本の写実絵画を世界で認められる絵画にする」という強い思いがあったのだそうです。素晴らしい志です。

ところで、ホギメディカルは、手術などで使う使い捨ての医療用製品の製造・販売を手がける会社で、創業以来、ずーっと右肩上がりで成長を重ねてきている優良企業であります。

▼参考:ホギメディカルの業績推移

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引用:http://www.hogy.co.jp/material/pdf/2017ar_j.pdf

もちろん、美術館の経営と本業には直接の関係はないものと思われますが、開館以来、約7年間で100点あまりの作品を継続して安定的に買い付けできているのも、本業が潤っているからこそなのかもしれません。アートファンとしては頼もしい限りです。

さて、そんなホキ美術館の最大の特徴といえば、現代の写実絵画に展示分野を絞り込んで作品を収集し、企画展を開催していることです。野田弘志、五味文彦、森本草介、諏訪敦ら、現代日本を代表する油絵での写実絵画を手がける作家たちの作品を安定的に買い付け、彼らの有力なパトロンとして活動を支えるとともに、近年は写実絵画を志す若手の登竜門となりつつある「ホキ美術館大賞」も開催中。ホキ美術館大賞からは、確実に次世代の新人たちが発掘されています。

また、2016年からは、所蔵品を首都圏以外のアートファンの要望にも応え、「ホキ美術館名品展」として、本格的に地方での美術館巡回展をスタートしました。特に、直近の2017年3月29日(水)~5月14日(日)まで佐賀県立美術館で開催された企画展では、41日間で約4万人の入場者を記録するなど、かなりの反響を呼びました。

▼海外の写実絵画系美術館とも交流開始f:id:hisatsugu79:20171216111859j:plain

さらに、来年2018年9月からは、バルセロナのヨーロッパ近代美術館(MEAM)との交換展がスタートし、翌2019年5月17日~9月1日まで、スペインの現代写実絵画約60作品を紹介する「MEAM展」(仮称)も決定したそうです!

2.私の代表作展&理想の風景画展とは

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さて、そんなホキ美術館ですが、この11月からスタートしている企画展は2本立てとなっています。一つは、地下の最深部「ギャラリー8」で、ホキ美術館が継続的に作品を買い付けている14~15人の作家の新作(100号クラスの大作)が発表される「第3回私の代表作展」と、所蔵品の中から風景画を中心として選りすぐった「理想の風景画展」の2つです。

▼ギャラリー8で特集されるアーティスト達f:id:hisatsugu79:20171216121817j:plain

特に注目したいのは、「第3回私の代表作展」です。この企画は、3年に1度、ホキ美術館所蔵の約50作家の中から特に選抜された14~15名の作家が、ホキ美術館のために人物画・風景画・静物画など、自由にテーマを選んで100号以上の大作を描き下ろして展示する、非常に贅沢なグループ展なのです。

▼絵画1点ごとに専用の音声ガイドがあるf:id:hisatsugu79:20171216121632j:plain

しかも、各作品には、1点ずつ専用のスピーカーで音声ガイドまでついており、1点ずつ作品を見ながら、じっくり作者の制作意図やテーマについて聞くことができるようになっています。

3.初心者でも写実絵画を楽しむ簡単な方法「すごく近くに寄ってみる」

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「諏訪敦/しろたえ」(2017)部分拡大図

ところで、写実絵画って、どんなふうに楽しんだら良いのでしょうか?

写実絵画って、どれを観ても写真みたいにリアルできれいで、最初に見た時はその技術力の高さに言葉を失いますよね。でも、慣れっていうのは恐ろしいもので、そうやって20、30と作品を見ていくうちに、それが当たり前のようになってきて、折角の作品をどう楽しんだらいいのか、いまいちわからないまま展示後半は流して終わってしまった・・・っていう経験ってないでしょうか?

僕も、美術館に通いだしてから、最初の1年目はそうでした。超絶技巧系の工芸・絵画の展覧会に行くと、最初だけは「おぉ、凄い!」とテンションは高いのですが、後半は息切れしてしまい、終わってみたら不完全燃焼だった・・・ということがよくありました。

これは、何度かホキ美術館に通って僕なりに気付いた鑑賞法なんですが、一つ、シンプルな僕なりの写実絵画の楽しみ方をご紹介したいと思います。

それは、

「絵にすごく近くに寄ってみる」

というシンプルな楽しみ方です。

写実絵画は、遠くから引いて作品全体を見ると、基本的にはどれも写真のように見えて、作家ごとの個性が見えにくいんですよね。(超絶に上手なのはわかるけど)だから、淡々と見ていると、だんだんと慣れてきて、飽きてくるわけです。どれも同じに見えるから。

でも、そこでさらっと流すのではなくて、気に入った作品は、是非一度至近距離まで寄ってみてください。すると、実際はやっぱり写真ではなくて、ちゃんと作家さんが膨大な時間と手間をかけて、丁寧に手作業で制作していることがわかります。よーく見てみると、作家ごとに描き方や筆触のクセなどが全然違うんです。

出来上がった作品はどれも結果として写真のような完成度なのですが、細部に着目してみると、きちんと個性や手作業独特の温かみが感じられるのです。また、引いたり近づいたりしてみて、絵画の見え方の変化を楽しむのもいいかもしれませんね。

たとえば、ここでは、島村信之「新緑」を例にとって説明してみたいと思います。

▼島村信之「新緑」f:id:hisatsugu79:20171216120813j:plain

上記作品は、霧がかった晩春~初夏の森の中の風景を切り取って、写実的に描いた作品です。遠目に見ると、どこからどう見ても写真のように丁寧に仕上げられた作品です。

では、ちょっと寄ってみましょう。

▼「新緑」拡大図。少し寄ってみた。f:id:hisatsugu79:20171216121029j:plain

拡大したことで、よく目を凝らしてみると、ようやく写真との違いが何となく分かるレベルになりました。確かに、ちゃんと筆で描かれている感じです。でも、まだなんとなく詳細な筆触や筆使いの個性は見えませんよね。そこで、更に寄ってみます。

▼「新緑」更に拡大図。かなりズームアップしたf:id:hisatsugu79:20171216121044j:plain

どうでしょうか?ここで、ようやく作者の筆使いが感じられるようになりましたよね。細かいところまで見ていくと、明らかに写真とは違う、ある種の筆触のパターンがきっちり現れるんです。

4.特に気に入った作品について

以下、「私の代表作展」を中心に、いくつか気に入った作品を紹介したいと思います!

小尾修「静寂の声」

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写実絵画と言えば、やっぱり王道は女性のヌード(笑)でも、単にエロ目線で描かれているだけであれば、美術館には展示されません。例えば、本作などは、ちゃんと局部は隠されて性的な誇張を抑えた上で、バックの炭化した枯れ木と合わせて構図を取ることで、鑑賞者に深く考えさせるきっかけを与えます。

また、枯れ木の複雑な形状と、モデルの女性のポーズがちゃんとシンクロしてて、妙に馴染んでいる絶妙のバランス感もいいですよね。椅子に座っているというより、木のゆりかごに抱かれているような感じもします。

▼「静寂の声」部分拡大図f:id:hisatsugu79:20171216112251j:plain

何かをいいたげな表情で、こちらを「キッ」と睨んでいる感じの顔立ちも思索的な感じがして、良かったです。

塩谷亮「月洸」

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写実絵画の世界で、若手の代表格として人気急上昇中の塩谷亮の新作は、得意とする人物画ではなく、月の光に照らされた竹林を描いた一対の油絵でした。穏やかで柔和な作風はそのままに、屏風絵のような和のテイストもしっかり感じられる意欲作です。

▼「月洸」部分拡大図
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青木達郎「白デルフトの焼き物と獅子、果物達」

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写実絵画の中では、静物画も人気ジャンルです。光の当たった陶器やくだものの質感を極限までリアルに、ある意味写真以上に存在感を際立たせて描いていますね。

▼「白デルフトの焼き物と獅子、果物達」部分拡大図
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野田弘志「掌を編む」

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こちらは、常設コレクションの中から写実絵画分野で第一人者として名高い野田弘志氏の作品。ホキ美術館でも、創立時から多数の作品を展示していますが、中でも僕はこの肖像画が好きなんです。

その理由としては・・・

▼「掌を編む」部分拡大図f:id:hisatsugu79:20171216120007j:plain

これ、どことなく、榮倉奈々に似てません?

ずっと榮倉奈々そっくりだーと思っていたのですが、妻に話したら、いや、松たか子でしょ?って言われました。・・・そ、そうかな?!

曽根茂「深冬」

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こちらは、「理想の風景画展」から。個人的に、風景画は特に雪景色に惹かれるのですが、本作はまさにすっきりしない真冬の典型的な寒々しい風景。「深冬」とは見事なタイトルです。分厚い雪雲の間から、遠くに少しだけ晴れ間が除いている寒々とした農村の素朴な風景に惹かれました。

▼「深冬」部分拡大図
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上記作品の左上部分を拡大してみると、ほんとうに細部まで丁寧に描いていることがわかるんですよね。難易度の高そうな積雪の深い冬の風景を見事に表現しています。

4.建物も凄い!外観や内部の構造もじっくり見てみましょう!

また、ホキ美術館は、展示内容も個性的ですが、美術館の建物も面白い形をしています。建築ファンからも評価が高いようですね。建物内部の様子や、外観の写真なども、独特の風合いが感じられ、いわば、美術館のハコ自体が一つのアート作品として成立しているのです。

これは、各フロアの通路の風景を撮影した写真ですが、ちょっと近未来異世界のような雰囲気が漂ってませんか?四方を真っ白な壁に囲まれ、巨大な宇宙船の中にいるような非日常感あふれる館内を是非味わってみてくださいね。

▼館内(2F)の様子
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▼館内(1F)の様子
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▼館内(地下1F)の様子f:id:hisatsugu79:20171216122504j:plain

続いて、外に出てみましょう。建物の一部が空中に大きくせり出した外観は、まるで建物が空中に浮いているように見えてきます。

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そして、建物の屋上部分にも、アート作品が飾られています。

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美術館の四方に目を向けると、道路を挟んだすぐ向こう側には、巨大な公園「昭和の森」が広がり、道路の手前側は、新興住宅地が広がっています。外に出て、静かに佇んでみるとわかりますが、日中でもほとんど物音が聞こえない非常に静かな環境です。 

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5.グッズコーナーも充実しています

ホキ美術館は、受付手前にあるグッズコーナーも非常に充実しています。簡単に紹介しますね。

▼大量の絵葉書!
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まず、目を見張るのは、物凄く沢山の種類の絵葉書が販売されていることです。どれも写実絵画がプリントされているのですが、紙に印刷されていると、本当にどれも写真みたいに見えるんですよね。気に入った一枚があれば、記念に購入してみるのもいいですね。

▼その他のグッズも多種多様なアイテムが揃うf:id:hisatsugu79:20171216122807j:plainf:id:hisatsugu79:20171216122826j:plain

また、その他グッズ類も、一通り定番のクリアファイル、一筆箋、マスキングテープなど定番はもちろん、千葉県北部の名産品など、食べ物から工芸まで、地域の有名なお土産も置いてありました。どれも目移りする面白いグッズが揃っています!

6.混雑状況と所要時間目安

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展示点数は、常設展示と合わせると3フロアで200点以上になるため、じっくり見て回るのであれば90分~120分程度は空けておいたほうがいいでしょう。館内が混雑することはまずありませんが、1Fの併設レストランで食事を予定しているのであれば、予約してから行ったほうが無難です。(いつも地元の人達でレストランは大混雑!)

また、土日にマイカーで来る場合は、時間帯によっては東京方面へ帰る時、高速道路が(アクアライン経由、千葉経由共に)大混雑します。時間には余裕を持ってお出かけ下さい。

7.関連書籍・資料などの紹介

写実絵画の新世紀: ホキ美術館コレクション

ホキ美術館の保有するコレクションをまとめた、市販されているムック本の代表格。A4サイズの美麗写真で、文句なくおすすめできます。さすが、その美しさには定評がある別冊太陽です。図録代わりに、まずはこちらをじっくり予習してみるのもいいですね!

写実絵画とは何か? ホキ美術館名作55選で読み解く

こちらも、ホキ美術館で保有する名作を集めたムック本。別冊太陽より少し小さめのサイズですが、写真は見開きで印刷されているため、1枚1枚の絵を細部までじっくりと堪能できます。こちらもおすすめ。

野田弘志「聖なるもの」

ホキ美術館で最もフィーチャーされている代表的な画家、野田弘志の出版した画集です。表紙の写真は、つい最近まで差し替えられるまで、地下1Fの奥の目立つ場所にかかっていました。

カフェのある美術館

こちらは、アートブロガーのレジェンド、Takさん(@taktwi)が監修・執筆された本です。Takさんが自らの足で確かめた、全国津々浦々の美術館に併設されたカフェの中から、「ほんとうにイケているミュージアムカフェ」を厳選して掲載しています。そして、この本の中に、ホキ美術館のカフェも含まれているんですよね。僕も本書で太鼓判が押された美術館のカフェをもう10件以上回りましたが、たしかにハズレがありません!ホキ美術館のカフェと、本書、おすすめです!

「カフェのある美術館」に関しては、過去に掘り下げた記事を2つ書いています。もしよければこちらもどうぞ。 

8.まとめ

2018年以降は、いよいよ海外の写実絵画系美術館との交流も活発になるホキ美術館。オーナーがまだまだ作品購入に意欲的で、毎年コレクションが増え続ける中で、どんどん存在感が大きくなってきている要注目の美術館です。一度遠征しても行く価値があります!印象派や現代アート、日本画とはまた違う、独特の絵画世界が味わえる美術館です。是非、写実絵画の深い世界を味わってみてくださいね。
それではまた。
かるび

展覧会開催情報

◯美術館・所在地
ホキ美術館
〒267-0067 千葉県千葉市緑区あすみが丘東3-15
◯最寄り駅
JR外房線土気(とけ)駅
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◯会期・開館時間
2017年11月18日~2018年5月20日
 午前10時~午後5時30分(入場は30分前まで)
◯休館日
毎週火曜日
◯公式HP

https://www.hoki-museum.jp/
◯Twitter
 https://twitter.com/hoki_museum

【ネタバレ有】「DESTINY鎌倉ものがたり」感想・考察と10の疑問点を徹底解説!/冬休み家族で見るには最適なエンタメ映画!

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かるび(@karub_imalive)です。

12月9日に公開された山﨑貴監督の新作「DESTINY鎌倉ものがたり」を見てきました。毎年、お正月を賑わすCG/VFXの名手が放つ期待の新作は、「和」の香りがする、家族で楽しめるファンタジー映画に仕上がっていました。

早速ですが、感想・考察等を織り交ぜた映画レビューを書いてみたいと思います。
※本エントリは、後半部分でストーリー核心部分にかかわるネタバレ記述が一部含まれますので、何卒ご了承ください。できれば、映画鑑賞後にご覧頂ければ幸いです。

1.映画「DESTINY 鎌倉ものがたり」の予告動画・基本情報

▶公式予告「DESTINY鎌倉ものがたり」
※画像をクリックすると動画がスタートします


動画がスタートしない方はこちらをクリック

【監督】山崎貴(「海賊とよばれた男」「ALWAYS三丁目の夕日」シリーズ)
【配給】東宝
【時間】129分
【原作】西岸良平「鎌倉ものがたり」

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引用:山崎貴 - Wikiwand

本作でメガホンを取ったのは、CG/VFXを活かした作品作りに定評のある山﨑貴監督。(その反面、CG以外の部分で酷評されることも多く、アンチも多いですが)「永遠の0」「STAND BY MYドラえもん」「ALWAYS三丁目の夕日」シリーズなど、とにかく毎作品ごとのヒット率が非常に高い監督です。

本作はややつかみどころのない作風から、公開前はやや苦戦が予想されましたが、フタをあけてみれば前作「海賊とよばれた男」を上回るペースで動員数が推移。さすがヒットメーカーの面目躍如といったところでしょうか。 

2.映画「DESTINY鎌倉ものがたり」人物相関図・キャスト

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引用:「DESTINY鎌倉ものがたり公式ガイドブック」より

主要登場人物

一色正和(堺雅人)
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引用:「DESTINY 鎌倉ものがたり」予告 - YouTube
本作は、山崎貴監督の肝いりで、企画段階から主役は堺雅人ありきで動いていたそうです。上映が始まってみれば、シリアス・コミカル両面で緩急のついた演技ができて、インテリジェントな雰囲気を醸し出しつつも、ある程度アクションがこなせる俳優として、ぴったりの適役でした。

一色亜紀子(高畑充希)
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引用:「DESTINY 鎌倉ものがたり」予告 - YouTube
終始正和にベタベタで、一歩間違えれば単なるぶりっ子な嫌味キャラになってしまうリスクもあった亜紀子役ですが、持ち前の演技力でしっかりまとめ上げた実力はさすが。NHK連ドラ&大河俳優の組み合わせは、きっちり息が合っていました。

本田(堤真一)
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引用:「DESTINY 鎌倉ものがたり」予告 - YouTube
「ALWAYS三丁目の夕日」「海賊とよばれた男」等で連続起用されるなど、山崎組の常連としてなくてはならない存在に。本作は途中から蛙男に変わってしまい、声だけの出演となりましたが、不思議と堤真一っぽさが感じられました。

死神(安藤サクラ)
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引用:「DESTINY 鎌倉ものがたり」予告 - YouTube
江戸っ子な感じの茶目っ気たっぷりな死神を、見事に熱演。脇役陣の中では、ダントツで演技力・存在感が光りました。いつもながら振り幅の大きい自在な役作りは素晴らしいの一言。

貧乏神(田中泯)
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引用:「DESTINY 鎌倉ものがたり」予告 - YouTube
2017年9月~12月にかけて、本業のダンサーとして現代アートの作品展に出展していたと思ったら、本作ではみすぼらしい貧乏神を演じるなど、活躍の幅が非常に大きい田中泯。中村玉緒同様、意外性あるキャスティングでした。

キン(中村玉緒)
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引用:「DESTINY 鎌倉ものがたり」予告 - YouTube
78歳にして、本作がキャリア初の現代劇出演となった中村玉緒。本人は「これが遺産だ」と舞台挨拶で語っているようですが、これを機にもっと「おばあちゃん役」で出てほしいものです。 

3.途中までの簡単なあらすじ

鎌倉に暮らすミステリー作家・一色正和は、妻・亜紀子と新婚生活をスタートさせていた。古書や人形、骨董品、甲滝五四朗の未発表原稿などが雑然と収められた納戸、推定130歳を超えるであろう一色家に仕える家政婦、家の回りをうろつく妖怪など、魔物の住む町・鎌倉での正和との生活は初めて尽くしの体験となった。また、鉄道模型マニアあること、執筆活動の傍ら、鎌倉署の顧問としても活躍していることなど、結婚して初めて正和の意外な面に接しては驚く亜紀子だった。

最初は魔物たちを怖がっていた亜紀子だったが、次第に持ち前の天真爛漫さで、「黄泉の国」へ向かう幻の駅を見たり、自宅へ押しかけた貧乏神と仲良くしたり、次第に鎌倉での生活に順応し始める。

しかし、亜紀子は、通称「夜市」で購入した「魔界まつたけ」で作った味噌汁をうっかり飲んでしまい、魂が抜けやすい状況になってしまうのだった。気をつけていた亜紀子だったが、正和のいきつけの小料理屋「静」に向かう途中、悪意ある魔物に体を奪われ、魂だけの存在となってしまった。

帰るべき体を失った亜紀子は、正和に迷惑をかけないため、死神とともに黄泉の国へと旅立っていった。失意の正和は、亜紀子を取り戻すため、甲滝五四朗の残した未完の原稿からヒントを得て、魔物に囚われた亜紀子を取り戻しに、黄泉の国へと旅立つことを決意するのだったー。

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4.映画「DESTINY鎌倉物語」のレビュー(感想・評価)

文句なく子供を連れていけるファミリー向け冬休み映画でした

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俳優の演技・表情もオーバーでわかりやすい
引用:「DESTINY 鎌倉ものがたり」予告 - YouTube

本作は、12月9日と12月20日にそれぞれ都心のTOHO系シネコンで見ました。驚いたのは平日・休日を問わず、老若男女幅広い層のお客さんが来ていたことです。老人の団体さんもいれば小学生のグループや親子連れ、若いカップルなどあらゆる層が見に来ていて、あぁ、これは正月までロングラン上映になるだろうなと直感。

そして、新婚夫婦なのに熱いラブシーンは一切なし。徹底的に子供が見ても気まずくないようにカスタマイズされています。二人の絆が試される危機や、それを乗り越えた後のクライマックスシーンですら、キス一つしないという何という健全さであります。高畑充希も、分厚いセーターなど着込んじゃって、全く肌の露出の一つもありません。あのほのぼのした原作ですら、新婚らしく一緒に風呂に入るシーンがあるというのに(笑)

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悪役もあまり悪そうに見えない
引用:「DESTINY 鎌倉ものがたり」予告2 - YouTube

各登場人物を見ても、ラスボスの天頭鬼を含め、本当に悪そうなキャラクターは一人もいません。基本的には、登場人物一人一人がみな相手のことを思いやって行動します。その行動の連鎖の結果として、物語が清く美しく紡がれていくのです。また、彼らの言動にもわかりにくいところは一つもなく、極めて日本人の一般的な価値観・情緒に従って、わかりやすく話が進んでいきました。

そういう意味で、物凄く大きな意外性はないものの、冬休みに家族を安心して連れていける和製ファンタジー邦画大作としては、手堅く制作された作品でした。

サプライズ感はないけど、手堅くまとまった和風ファンタジー

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日本人ならではの感性で描かれた映像世界
引用:「DESTINY 鎌倉ものがたり」予告 - YouTube

内容も、山﨑監督が「日本人が最大公約数的に持っている感性」を意識して世界観を作り込んだ、と言う通り、良い意味でも悪い意味でも神道・仏教・民間伝承などが色々ミックスされた「古き良き日本昔話」にありそうなファンタジー世界が描かれました。

実際、物語のコアを形づくっている重要な設定を一つずつ分解していくと・・・

・黄泉の国・・・日本神話
・輪廻転生・・・仏教
・三途の川・・・仏教
・死神・・・・・日本神話
・魔物・・・・・民間伝承

といったように、見事に日本人が伝統的に持っている神仏習合的な宗教観に即したファンタジー世界が表現されているんですよね。三途の川を路面電車で渡って、黄泉の国の鬼に囚われた姫を取り返す・・・というザ・日本的なストーリーは、やっぱり日本人にしか着想し得ないストーリーですし、手堅くまとめるよなぁという印象です。ヨーロッパ的な世界観のファンタジーに、オール日本人キャストで挑んで中途半端に爆死した「鋼の錬金術師」と比べると、ミスなくそつなくこなしている感じがあります。

ALWAYS三丁目の夕日シリーズより自然なストーリー

本作は、多くの点で、山崎貴監督の過去作「ALWAYS三丁目の夕日」シリーズと共通点がありました。例えば、ざっと挙げてみても以下の点です。

・「古き良き昭和」を感じさせる美術やセット
・原作が西岸良平作品である
・タイトルの付け方(英語+原作名)
・キャスト陣(堤真一他)
・CG/VFXの多用
・コメディ・ファンタジー色の強い作風

ALWAYS三丁目の夕日シリーズでは、泣かせようとするあまり、不自然にクサい演出になってしまっている部分がどうしても悪目立ちしていました。(特に3作目)

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クサすぎるクライマックスシーン
引用:『ALWAYS三丁目の夕日'64』予告 - YouTube

特に、3作目の吉岡秀隆扮する茶川竜之介の子供に対する一連の振る舞いは、承服し難く、全く共感できません。また、(僕は気になりませんでしたが)あまりに過去を美化しすぎである、として、歴史考証の甘さもかなり突っ込まれていました。

これに対して、本作では、「泣かせ」一辺倒ではなく、主人公たちの言動はより自然にこなれていますし、思い切ってファンタジー路線へと舵を切ったことにより、歴史考証がどうこう突っ込まれる余地もなくなりました。

そういう意味で、山崎貴監督には、厳密な歴史考証が必要な史実物よりは、映像表現とストーリーだけに集中できるファンタジー路線の方が向いているんじゃないかなと思った次第です。とにかく、ALWAYSシリーズよりは格段に良くなったと思いました。

もうちょっと頑張ってほしかったところ

映画全般としては、そつない感じで良かったとは思います。ただ、優等生的な作りに終止してしまい、画面の情報量も多くはなかったので、2回目の鑑賞ではちょっと飽きちゃって集中力が切れてしまいました。うーん、もうひと押し頑張って練り込んでくれたら、物凄く良い作品になったんじゃないかと思うんですよね。例えば、以下の点が気になりました。

・黄泉の国に行ってから、アッサリしすぎてない?
本作は、正和が黄泉の国に行くのが遅すぎないですか?豪華キャスト陣をフルに動かし、伏線を細かく消化するあまり、ストーリーが進むのがもたついて、肝心の黄泉の国での冒険・アクションシーンが短くて物足りない感じがあります。せっかくここまで高い完成度のCGで作れるなら、もっとCG全開の黄泉のシーンで意外性あふれる映像が見たかったです。

・サイドストーリーが投げっぱなしになってない?
正和が亜紀子を黄泉の国から取り返すメインのストーリーは、伏線も全て回収され、よく練り込まれていました。その反面、サイドストーリーが全部ほったらかしで終わってしまったのは気になりました。

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この後、本田と家族たちの関係はどうなったの?
引用:「DESTINY 鎌倉ものがたり」TVCM(夫婦篇) - YouTube

本田と残された妻子の関係性や、亜紀子の体に入り込んだ女性とその家族の顛末、正和が解決した殺人事件の顛末など、必ずしも劇中でハッピーエンドに終わらなかった者たちが最後どうなったのか(あるいはどうなるべきなのか)、ちゃんと劇中で明確に描いた方が良かったと思います。

本作では日常風景でも普通に魔物や死者と交流出来てしまうという点で、人間の「死」が非常に軽いタッチで描かれたのが印象的でしたが、サブストーリーで焦点となるはずだった「死者」と「残された家族」の関係性が全て投げっぱなしとなってしまったので、残念ながら山﨑監督の考える人間の死生観や、深いテーマ性を感じることができませんでした。

・コメディリリーフにしかなっていない魔物たち
映画冒頭で、家の庭先を横切っていく「河童」や、屋根の上・道端に出てくる一つ目の「独眼坊」など、ちょくちょく出てきては画面に華を添えるコメディ・リリーフ的な使われ方をしていた「かわいい魔物」ですが、「かわいい」だけで終わってしまっています。これももうひとひねりできなかったのかなと。

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画面としてはほっこりする場面だけど・・・
引用:「DESTINY 鎌倉ものがたり」予告2 - YouTube

直前にスター・ウォーズを見たから余計そう思うのかもしれませんが、スター・ウォーズで「コメディ・リリーフ役」を務めるBB-8やチューバッカたちは、画面を和ませると同時に、ストーリーにも深く関わってきますから。結局これら「かわいい魔物」たちは、隠れキャラのように画面を一瞬彩るだけで、特にストーリー展開上、役割を持たなかったのはやや残念でした。

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5.映画「DESTINY鎌倉ものがたり」に関する10の疑問点~伏線・設定を徹底考察!~

本作をより深く理解するため、ストーリーや設定について、その要点となりそうなポイントを考察してみました。内容上、映画を1度見終わった人向けのコンテンツとなりますので、ここからはネタバレ要素が強めに入ります。予めご了承下さい。

疑問点1:死神局と幽霊申請とはどんな仕組みなのか?

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引用:「DESTINY 鎌倉ものがたり」予告 - YouTube

妖気が強い鎌倉では、人間は死んでも幽霊となって実体化しやすい環境にあります。そこで、管轄の「死神局」に幽霊となって活動するための「幽霊申請」をすれば、「死神局」から生命エネルギーを供給してもらうことで、幽霊になれるのです。

劇中では、吉行和子扮する瀬戸優子が、寝たきりの旦那を残してあの世に行くのが心残りだったため、この「幽霊申請」を通して、人間さながらの生活を続けていました。

しかし、本田が亡くなったあたりから、「死神局」は財政破綻に陥り、幽霊になりたい死者は、身近な人間から生命エネルギーを自前で調達して(=寿命を分けてもらって)活動しなければならなくなりました。本田は幽霊ではなく魔物として転生し、亜紀子はあきらめて黄泉の国へと旅立ったのでした。

疑問点2:黄泉の国へと行く列車「タンコロ」とはどんな車両なのか?

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引用:108|車両図鑑|江ノ電博物館|電車 | 江ノ島電鉄株式会社

映画の中で、現世と黄泉の国を結ぶ電車として使われた江ノ電の単行運転の旧型モデル100型車両のことを、通称「タンコロ」と呼びます。1980年に惜しまれつつ現役引退しましたが、最後に残った2両のうち1両(108号車/昭和6年~昭和55年)は、江ノ電の車庫に自走可能な状態で保存されています。毎年、冬に行われる「タンコロまつり」では、撮り鉄、模型ファンが全国から集まるそうです。

疑問点3:一色家の家政婦、キンとは何者なのか?その正体は?

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引用:「DESTINY 鎌倉ものがたり」予告 - YouTube

劇中で中村玉緒扮する一色家に3代仕えるキン。日露戦争で夫をなくすなど、推定130歳以上。なぎなたが得意で、劇中では黄泉の国へ旅立つ正和の留守を預かる頼もしい存在でした。しかし、幽体離脱した幽霊状態の正和が普通に見えたり、三途の川から彼岸へと戻ってきた正和・亜紀子の姿を普通に認識しているなど、半分魔物化している様子でした(笑)

原作では、142歳という設定で、市役所からは「魔物」として認定されていますし、黄泉の国から戻ってきた先祖達と普通に会話したり、魔物たちから慕われています(笑)

疑問点4:甲滝五四朗とは何者なのか?その正体は?

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引用:「DESTINY 鎌倉ものがたり」予告 - YouTube

甲滝五四朗とは、正和の父、一色宏太郎が変装した姿でした。偉大な民俗学者だった正和の祖父、一色信夫は、息子、宏太郎にも有無を言わさず民俗学者の道を歩ませました。しかし、宏太郎はどうしても小説家になりたかったため、厳しい信夫の目を盗んでは変装し、別の家を借りてそこを書斎として、ファンタジー作家・甲滝五四朗として活動していました。

その未完となった黄泉の国へと冒険を進める「反魂奇譚」を執筆中に、数年前に若くして病死した妻・文代を取り戻しに黄泉の国へ行き、そのまま黄泉の国から帰れなくなってしまったのでした。原作では、横須賀線に轢かれて死亡したことになっています。(魂の入れ物がなくなっては、確かに現世には戻れませんよね!?)

疑問点5:なぜ正和や亜紀子には、死んでいないのに死神が見えたのか?

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引用:「DESTINY 鎌倉ものがたり」予告2 - YouTube

通常、死神は死者にしか認識できない存在ですが、正和、亜紀子には安藤サクラ扮する死神の姿や、丑の刻、黄泉へ向かう電車に乗り込む死者達の姿が見えました。彼らにだけ特別死神や死者が見えた理由は、ともに、夜市で購入した「魔界まつたけ」を食べたことで、幽体離脱をしたことがきっかけでした。どうやら死んでいなくても、「幽体離脱」を一度でもすると、「死んだこと」になるようですね。

疑問点6:天頭鬼のモデルは?

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引用:特別展「運慶」公式サイト

「天頭鬼」は、綴りが違いますが、先日の「運慶展」でも出展されていた鎌倉時代の国宝「天燈鬼・龍燈鬼」像(康弁作)からインスピレーションを得て創造された架空の鬼だと思われます。運慶の弟子・康弁が作ったこの「天燈鬼像」(上記写真右側)は、他に歴史資料等で類似する「鬼」が見当たらないことから、康弁の完全オリジナルキャラとして制作されました。

本作中の「天頭鬼」もまた、原作にはない映画オリジナルのキャラクターです。黄泉の国におけるネガティブな想念が「鬼」の形を取るようになった魔物として描かれ、黄泉の国内で巨大な城を築城し、多数の手下を従えていました。また、他人の輪廻転生にも影響を及ぼせるなど、強い妖力を誇っていました。

しかし、自分の手下である「赤い手の魔物」を人間界に派遣できても、自らは三途の川を渡って人間界には降りていけないなど、あくまで黄泉の国を出ることはできなかったようですね。

疑問点7:天頭鬼以外の魔物たちの名前は?

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左から「豚頭鬼」、「象頭鬼」、「赤い手の魔物」
引用:「DESTINY鎌倉ものがたり公式ガイドブック」より

天燈鬼の側近の部下は全部で3体いました。それぞれ頭部が獣、体は人間の形を取る獣人タイプの魔物でしたが、それぞれ1体ずつ名前がついています。上記写真では、一番左が「豚頭鬼」(とんとうき)、真ん中が「象頭鬼」(ぞうとうき)、一番右が「赤い手の魔物」です。

よく見ると、それぞれ、豚頭鬼が刺股、象頭鬼が大鎚、赤い手の魔物が槍を使うなど、細かく個性も表現されており、フルCGで描かれていましたね。

疑問点8:一色家の自宅に現れた一つ目のかわいい魔物の名前は?

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引用:「DESTINY 鎌倉ものがたり」×ZIP!スペシャルコラボ映像その1

一色家の玄関先や屋根の上、近所に現れたピンク色の肌をした一つ目小僧は、「独眼坊」といいます。劇中では、コミックリリーフ的なマスコットとして描かれるのみで、ストーリーには直接絡んできませんでしたが、原作によると、「親に捨てられ、死んだ幼児の霊が魔物化したもの」と説明されています。可愛い顔して結構悲惨なキャラクターだったのですね・・・

疑問点9:貧乏神はなぜ茶碗を大事そうに持っていたのか?

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引用:「DESTINY 鎌倉ものがたり」TVCM(夫婦篇) - YouTube

亜紀子は、仲良くなった貧乏神から、餞別として100均で購入した自分の茶碗と、貧乏神が風呂敷に持っていた茶碗を交換します。なぜ貧乏神は茶碗を大切に風呂敷に入れて持っていたのでしょうか?

それは、恐らく古くからの言い伝えとして、「茶碗をたたくと貧乏神が来る」と言われたように、貧乏神を象徴する、自らを結晶化した「分身」みたいなものだったのでしょう。公式動画にも、こんな面白い映像を用意してくれていました。もしお時間があればチェックしてみてくださいね。

▶貧乏神と茶碗の関係がわかる動画
※画像をクリックすると動画がスタートします


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疑問点10:ラストシーン~結末に関する考察

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引用:「DESTINY 鎌倉ものがたり」TVCM(スペクタクル篇) - YouTube

黄泉の国で天頭鬼と対決し、亜紀子を取り戻して三途の川を彼岸の向こう側へと戻る最中、正和は絶体絶命のピンチに陥ります。しかし、土壇場になって亜紀子が貧乏神からもらった茶碗が、孫悟空の筋斗雲のように巨大化し、二人は無事に逃げ出すことに成功します。貧乏神が、自らの分身でもある茶碗を介して、亜紀子に味方してくれたのですね。

しかし、これで問題は解決したわけではありません。結局正和は、天頭鬼を倒したわけではなく、単に亜紀子を取り返して現世へ帰っただけなので、問題は繰り返されることになるでしょう。恐らく100年、2000年単位で正和と亜紀子が輪廻転生を繰り返す中で、天頭鬼は新たな策謀を弄してくるはずです。ただ、それはまた今作ではなく別の話ということになりそうですね。

6.まとめ

本作は、山崎貴監督が制作してきた一連の過去作の中では、非常にバランスが取れて、CGの使い方も洗練された作品だったと思います。家族を連れて、安心して冬休み既刊中にシネコンで見れる作品であることは間違いありません。

ただ、やっぱりもうちょっと深みやひねりが欲しかったのも事実。エンターテイメント作品としては及第点だと思うのですが、まだまだやれるはず。来年こそは、もっと深い感動をもたらしてくれる作品を期待したいと思います。

それではまた。
かるび

7.映画をより楽しむためのおすすめ関連映画・書籍など

DESTINY鎌倉ものがたり オフィシャルガイド

映画パンフレットをさらに詳細化して、ムック形式にまとめた公式ガイドブックです。キャスト陣・制作陣へのロングインタビュー、各キャラクター設定イラスト、撮影風景解説・原作「鎌倉ものがたり」紹介など、本作をあらゆる角度から詳細解説しています。僕も購入したのですが、毎日小学生の子供が食い入るように眺めてます(笑)パンフレットの内容をほぼ全て含むため、このオフィシャルガイドを1冊購入すればパンフレットは不要だったかも。

DESTINY鎌倉ものがたり公式ノベライズ

映画作品を忠実に書き起こしたノベライズ作品。恐らく映画公開前に編集でカットされたであろうシーンも数か所描かれています。「映画作品を、文章でも楽しみたい!」という人にはオススメ。 

原作を徹底的に掘り下げる!「鎌倉ものがたり読本 増補改訂版」

原作1巻~34巻までのあらすじダイジェストや、全キャラクター紹介、映画と原作の関連ポイントの解説など、「鎌倉ものがたり」原作を一気に俯瞰してチェックできる最強のガイドブック。原作と映画を比較して楽しむなら、買って損はないと思います!

山崎貴監督作品は、まとめてHuluで!

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映画公開に伴って、現在Huluで「ALWAYS三丁目の夕日」シリーズと「寄生獣」シリーズが公開中!これを機に、山崎貴監督の過去作品を見てみたいと思った人は、1つずつDVDを買うよりも、まずはビデオ・オンデマンドで時間とお金を節約してみてはいかがでしょうか。

月額わずか933円で、Huluオリジナル作品や日テレ系の映画・アニメ・ドラマから大量のコンテンツが見放題となっていますが、加入後最初の2週間は無料です!
・・・ということは、最初の2週間で一気に見てしまえば、事実上タダで山崎貴監督関連作品を全てチェックできるということですね!冬休み・年末年始・正月休みを使って、気軽に体験してみてくださいね。

ちなみに、自分は今、Netflix、Hulu、U-NEXT、TSUTAYAと4つ配信サービスに加入していますが、Huluはディズニー・マーベル系の配信や、日テレ系のコンテンツが本当に強くて、非常に満足してます!

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映画館で楽しもう!2018年上半期公開予定のおすすめの映画20選!【洋画編】

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かるび(@karub_imalive)です。

2017年は、洋画がとにかくよくヒットした年でした。年末の「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」を筆頭に、「美女と野獣」「ラ・ラ・ランド」「パイレーツ・オブ・カリビアン最後の海賊」「ブレードランナー2049」「ダンケルク」など、話題作が満載でしたね。

その反面、邦画は今ひとつパッとしませんでした。2016年は、「シン・ゴジラ」「君の名は。」等、社会現象を巻き起こすような大ヒットで賑わいましたが、2017年は洋画に話題作に押されてもう一つ勢いが感じられませんでした。NetflixやHuluなど、自宅にて気軽に世界中の映画やドラマの配信を楽しめるようになり、比較的低予算で映像表現的にどうしても一歩見劣りしがちな邦画は、今後さらに苦しくなっていくのかもしれません。

さて、2018年度に公開される映画はどうでしょうか?この「洋高邦低」の流れは2018年も続くのでしょうか?

本エントリでは、2018年にはどんな映画が公開されているのか、注目してみたい作品をまずは上半期にしぼって、先回りして調べてみました。その中から、ある程度全国規模で公開されていて、内容が期待できそうな「洋画」を20作品選んでみました。

それでは、いってみましょう! 

1.本エントリでピックアップした「2018年公開の洋画」とは?

本エントリでの「2018年公開のオススメ洋画」の定義ですが、基本的には、

・「2018年上半期に公開予定の、外国産映画」
・「全国規模で公開予定であること(15館以上)」

という基準で、公開される時系列順で約20作品を選んでみました。

また、記事をアップした12月22日時点で、インターネットにて購入できる関連するガイドブック・ノベライズ・過去作品なども簡単に紹介しています。

なお、邦画編に関しては、後日別エントリでまとめてみたいと思います。

2.2018年上半期公開のオススメ洋画20選

「キングスマン:ゴールデン・サークル」(2018年1月5日公開)

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▶「キングスマン:ゴールデン・サークル」予告動画
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2018年要注目の洋画新作第1弾は、「キングスマン」シリーズ第2弾となる、「キングスマン:ゴールデン・サークル」です。今度のキングスマンは部隊をアメリカに移してスケールアップ。荒唐無稽で痛快なアクションが楽しみなスパイ・アクション映画です。正月らしく、頭をからっぽにして楽しめる作品です。

こちらは竹書房から発売された、映画のノベライズ作品です。300Pを超えるボリュームで、ディテールまでしっかりと描きこんだ力の入ったノベライズでした。僕もこの年末年始に一気読みする予定です!

「ジオストーム」(2018年1月19日公開)

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▶公式予告動画「ジオストーム」
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公開済みとなったアメリカでは若干爆死気味のようですが、CG/VFXを駆使した地球規模での天変地異を描いたディザスター・ムービーは、劇場での一見の価値がありそう。あとでDVD等で見るよりは、映画館の大画面で迫力ある映像・音響を味わいたい映画です。

「パディントン2」(2018年1月19日公開)

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▶公式予告動画「パディントン2」
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イギリス発祥のかわいい熊の子供向け絵本も、今やメディアミックス化が進み、スマホゲームや映画にもなりました。今回、「ハリーポッター」のプロデューサーを迎えた「パディントン2」は、公開後、イギリスにて3日間で興収10億円以上を挙げる特大ヒットになっているとのこと。コミカルで心温まるコメディ作品に仕上がっていそうですね。デートからファミリー向けまで、幅広く支持されそうです。

1作目のブルーレイ・DVDが発売されています。映画に合わせてまとめてチェックしておきたいですね。

「デトロイト」(2018年1月26日公開)

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▶公式予告動画「デトロイト」
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自動車産業の衰退とともに、廃墟化が進んでいると言われるデトロイトですが、本作では、1967年のデトロイト暴動の最中に発生した、「アルジェ・モーテル事件」という、あるホテルで起きた、人種差別に深く根ざした残虐な事件を取り上げています。物語のキーマンである主演の黒人青年を、「スター・ウォーズ最後のジェダイ」のフィン役でブレイクしたジョン・ボイエガが務めています。

「ダークタワー」(2018年1月27日公開)

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▶公式予告動画「ダークタワー」
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巨匠、スティーヴン・キングのライフワークにして未完の超巨編「ダーク・タワー」シリーズがついに映画化されました。西部劇(あるいは北斗の拳のような世紀末)を連想させる、荒涼とした世界を舞台に、「最後のガンスリンガー」であるローランドと仲間たちの壮大な旅を描いたストーリーです。

主演にマシュー・マコノヒーとイドリス・エルバを迎え、それなりの予算で制作されたものの、本国アメリカでは見事に大爆死。それでも、続編企画もあるようで、個人的には期待しております・・・

一度は新潮文庫から絶版となった原作ですが、2017年に入って、角川文庫から順次刊行が進んでいます。映画公開までに全部読み切れるでしょうか^_^;

「スリー・ビルボード」(2018年2月1日公開)

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▶公式予告動画「スリー・ビルボード」
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本年度、アカデミー賞有力候補とされる、フランシス・マクドーマンド監督(「ファーゴ」他)による、アメリカの片田舎・ミズーリ州を舞台とした個性的なストーリー。未解決事件であり、娘の命を奪った犯人を見つけ出すために執念をかける母親が、州道のロードサイドに解決を訴える3つの看板を出したことから始まる数奇なストーリーを描いた映画です。これは面白そう!

「グレイテスト・ショーマン」(2018年2月16日公開)

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▶公式予告動画「グレイテスト・ショーマン」
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2017年、日本中に感動を与えた「ラ・ラ・ランド」制作スタッフが、「X-MEN」を卒業したヒュー・ジャックマンを主演に迎えたミュージカル映画。19世紀後半、ニューヨークで奇想天外なサーカス興行を興したP・T・バーナムの人生から着想を得て制作されたとされます。・・・アメリカの評価サイトを見ると、評論家の評価はそれほど高くなかったので、2匹めのドジョウ?かと思ったら、予告編がメチャクチャ泣ける感じじゃないですか!?特に、タイトルトラック「This is Me」は扇情力が高くてヤバい!

タイトルトラック「This is Me」他、映画内で使われているVo入り歌曲を全て収録したオリジナル・サウンドトラック。こちらを予習してから映画に臨めば、かなり楽しめそうですね。

「Buguild/ビガイルド 欲望の目覚め」(2018年2月23日公開)

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▶公式予告動画「ザ・ビガイルド」
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19世紀の南北戦争時代における男女の情欲のもつれを描いたトーマス・カリナン原作「The Biguiled」を映画化した大人の映画作品。1971年、ドン・シーゲル監督によって『白い肌の異常な夜』というタイトルで映画化されて以来、2度目の映画化。ドン・シーゲル版が男性側の視点からストーリーを描いたのに対して、ソフィア・コッポラ版では女性たちの視点で描き出しています。

映画化に合わせて、原作小説が翻訳・出版されています。前作「白い肌の異常な夜」と合わせてチェックすれば、より深く作品世界が理解できますね。

「トゥームレイダー・ファーストミッション」(2018年3月1日公開)

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▶公式予告動画「トゥームレイダー・ファースト・ミッション」
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世界各地の遺跡でトレジャーハンター、ララ・クロフトが冒険をするアクション・アドベンチャーゲーム「トゥームレイダー」シリーズからの最新映画化スピンオフ作品。過去、アンジェリーナ・ジョリー主演によって2作品が制作されましたが、映画としては「リブート」第1作という位置づけです。

今回の主演は、アリシア・ヴィキャンデル。こんな激しいアクションもこなせる俳優とは知りませんでした・・・

「ブラックパンサー」(2018年3月1日公開)

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▶公式予告動画「ブラックパンサー」
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過去、MCU作品でも少しずつ描かれ、正式に「シビルウォー/キャプテン・アメリカ」でデビューしたアフリカの秘境「ワカンダ国」の国王「ブラック・パンサー」をフィーチャーしたスーパーヒーロー物。「アベンジャーズ3インフィニティー・ウォー」の直前作となるため、本編以外のサイドストーリーにも要注目です。

コミックでは「アベンジャーズ」にとどまらず、「ファンタスティック・フォー」や「ディフェンダーズ」にも参加するなど、縦横無尽の活躍です。ワカンダ国やブラック・パンサーについてしっかり先に予習したい人は、こちらのアメコミがおすすめ。

「15時17分、パリ行き」(2018年3月1日公開)

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▶公式予告動画「15時17分、パリ行き」(英語版)
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ここ数年、「硫黄島からの手紙」「ハドソン川の奇跡」など、実話ベースのリアルなストーリーを映画化することが増えたクリント・イーストウッド監督の最新作。

本作は、アムステルダム発・パリ行きの特急列車内で起きたイスラム過激派による無差別テロ事件「タリス銃乱射事件」の現場に偶然遭遇し、犯人と戦った勇敢な3人の若きアメリカ人を描く実話ベースのストーリーです。

と言っても、今作では、その「当事者」3人がそのまま主演を務めるという非常に斬新なアプローチで制作されました。まさに映画とドキュメンタリーの境界線を破る画期的な作品となるポテンシャルを秘めた作品です。

こちらは、英語版ですが、3人の兵士たちによって語られた、リアルなテロリストとの戦いについてのドキュメンタリーです。

「シェイプ・オブ・ウォーター」(2018年3月1日公開)

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▶公式予告動画「シェイプオブウォーター」
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政府の秘密研究施設で清掃員として働く障害者の女性が水槽内で管理しているクリーチャー(半魚人)と交流を深め、愛を育んでいく数奇な恋愛ストーリー。ヴェネツィア国際映画祭で「金獅子賞」を受賞するなど、評論家から絶賛された問題作。ギレルモ・デル・トロの映像表現の集大成ともいえる充実作で、本年度アカデミー賞の有力作品でもあります。

日本でも限定発売された本作のアートブック。これはマニア必携になりそうです。デザインから撮影に至るまで、フィルムメイキングの全過程の記録や、俳優・制作陣へのインタビュー、コンセプトワークやデザインなども多数掲載。クリーチャーの制作過程や、特殊メイクの裏側、映画では語られることのないデル・トロによる登場人物たちの経歴までもが網羅されているそうです。

「ダウンサイズ」(2018年3月2日公開)

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▶公式予告動画「ダウンサイズ」
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『ファミリー・ツリー』でアカデミー賞脚色賞を受賞した名手・アレクサンダー・ペイン監督によるコメディ作品。人口が増えすぎた地球をの人口問題を解決するため、人間の体のサイズを13cmに縮小する“全人類縮小計画”を面白おかしく描いています。脚本のアイデアが非常に面白く、是非見てみたい映画です。

「リメンバー・ミー」(2018年3月16日公開)

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▶公式予告動画「リメンバーミー」
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プロのギター奏者を夢見て、いつのまにか死者の国へ迷い込んでしまった少年・ミゲルが、自らの亡くなった祖父や祖母を探して冒険をするストーリー。「トイ・ストーリー」のスタッフによるピクサーの最新3Dアニメ作品。なお、当初は現代の「CoCo」に近い、「ココばあちゃんのバラード」というタイトルだったようですね。

「ヴァレリアン 千の惑星」(2018年3月30日公開)

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▶公式予告動画「ヴァレリアン」
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ピエール・クリスタンとジャン=クロード・メジエールによるフランスの漫画シリーズ『ヴァレリアンとローレリーヌ』を原作に、リュック・ベッソン監督がメガホンを取り、約1億9700万ユーロもの巨額予算で制作されたSFヒーローアクション映画。ストーリーはともかく、その作り込まれた映像表現、特殊効果についての批判的記事を見たことがありません。是非、その斬新な映像美を劇場で見届けたいと思います!

映画の原作。本作は、フランスのマンガ「バンド・デシネ」の中でも特に人気が高いとされています。これを機に、日本のマンガでもなく、アメコミでもない独特の世界を体験してみるといいかもしれませんね。

「ペンタゴン・ペーパーズ」(2018年3月30日公開)

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▶公式予告動画「ペンタゴン・ペーパーズ」
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ベトナム戦争に関する政府のトップシークレット文書、通称“ペンタゴン・ペーパーズ”の存在をつきとめたワシントン・ポストの社主:キャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)と編集主幹:ベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)らが、ニクソン大統領率いるアメリカ政府の圧力と戦いながら、政府によって隠された戦争の真実を世に出そうと葛藤する、スティーヴン・スピルバーグが手がけた社会派映画作品。

本年度アカデミー賞の有力候補とされ、すでに前哨戦のゴールデン・グローブ賞では6部門でノミネートされるなど、今もっとも見ておくべき作品かもしれません。「レディ・プレイヤー・ワン」のようなSFエンタテイメントから、こうしたシリアスな社会派作品まで、2018年はスピルバーグが大活躍しそうな予感です。

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「ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル」(2018年4月6日公開)

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▶公式予告動画「ジュマンジ2」
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ロビン・ウィリアムズ主演で好評だった「ジュマンジ」が、主演にドウェイン・ジョンソンを迎えて、リブートされることになったその第1弾作品です。今回はボードゲームえはなく、ビデオゲームへと変更されている他、ドウェイン・ジョンソンのマッチョな体格にふさわしく、アクションも激しくなっていそうです(笑)

こちらは前作のDVD。ロビン・ウィリアムズ、生きていたらあと少なくとも3作くらいは作られていたんでしょうね~。個人的に大好きな俳優です。

「レディ・プレイヤーONE」(2018年4月20日公開)

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▶公式予告動画「レディ・プレイヤーワン」
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西暦2045年、全世界の人気映画・アニメ・ゲームキャラクターとともに、ゲーム世界へとダイブした主人公がVRオンラインゲームの中で活躍するという、まさに「実写版ソードアート・オンライン」とでも言うべき世界観は、それだけで世界中のサブカル・アニメ・ゲームファンを熱狂させそう。さすがはスピルバーグ、予告編を見る限りかなり期待して良さそうな感じです!

こちらの原作も非常に評価の高い作品。3年前に出版された時から、大書店では文庫SFコーナーでかなりの頻度で平積みにされている様子を目撃しました。僕も年末年始に読み込んでみたいと思います!

「パシフィックリム・アップライジング」(2018年4月予定/公開日未定)

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▶公式予告動画「パシフィックリム2」
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ド迫力のロボットアクションシーンが最高だった前作から4年、さらにパワーアップしてイェーガーが戻ってきました!今作は、前作の10年後という設定で、大量の放射能を浴びて死亡した父スタッカー・ペントコストの息子、ジェイク・ペントコストが主人公(ジョン・ボイエガ)です。前作は「海」が主戦場でしたが、今作は空もガンガン飛んでますし、イェーガーの仲間もかなりいますし、さらに激しいKAIJUとのアクションが期待できそうです。

今見ても、全く古さを感じさせないド迫力の映像表現です。ところで、前作を見返すと、菊地凛子扮する「マコ」の幼少時代を演じた、当時小学校低学年の芦田愛菜が出ていることに気づきますが、迫真の演技はさすが。

「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」(2018年4月27日公開)

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▶公式予告動画「アベンジャーズIFW」
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今度のアベンジャーズは、いよいよ悪の帝王サノスとの直接対決ということで、これまでMCU作品で出演したヒーローが総出演で立ち向かうストーリーになりそうです。2019年春に公開される「アベンジャーズ インフィニティーウォー2」と合わせて、前後編でのストーリーとなる予定です。

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「デッドプール2」(2018年6月予定/公開日未定)

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▶公式予告動画「デッドプール2」
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つい先日、20世紀FOXがディズニーに買収され、最初からR指定前提で制作されている過激で(下品な?)「デッドプール」シリーズの存続が危ぶまれましたが、無事にちゃんと1作目の雰囲気・コンセプトをキープしたまま公開される見込みです。ひょっとしてアベンジャーズへの合流もあるかも?

「ハンソロ・スター・ウォーズ・ストーリー」(2018年6月29日公開)

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▶ファンによる2次作品「ハン・ソロ」
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製作途中で監督が降ろされ、主演にも演技コーチがつけられるなど、その制作プロセスはファンをやきもきさせました。しかし、ロン・ハワード監督に交代してから制作は順調に進み、2018年6月に無事公開されることになりました。

まだ、具体的な予告動画は出回っていませんが、Youtube上には熱心なファンによって、2次作品としていくつもの予告ファン動画(?)がアップされています。せっかくなので、その中から出来の良かったものを貼っておきました^_^

こちらは「フォースの覚醒」前夜のハン・ソロとチューバッカの冒険を描いたストーリーです。まさかこれをベースにしているわけではないと思いますが、「正史」扱いなので、読んで損なしの作品です。

スピンオフ第1弾として2016年末にリリースされた「ローグワン」。4作目へ接続する非常に重要な正史としてのエピソードとなりました。思えば、この作品からアジア系俳優や女性キャラクターの登用が一気に本格化しましたね。映画内でのドニー・イェンの存在感はピカイチでした。

「ジュラシック・ワールド炎の王国」(2018年7月13日公開)

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▶公式予告動画「ジュラシックワールド2」
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過去4作で2回も失敗していることから、今回はさすがに新しいテーマパークを作るわけではなく、火山が噴火した島からの恐竜の救出作戦へと向かう様子・・・。主要キャスト陣は、クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワードは前作からスライドし、1作目、2作目の主演、ジェフ・ゴールドブラムも帰ってくるようです。シリーズ史上一番シリアスに仕上がっているそうなので、非常に楽しみです!

ジュラシック・パークシリーズを完全網羅した4枚組コンプリートボックスがお得です。これで夏までに一気に復習しちゃいましょう!

3.まとめ

いかがでしたでしょうか?2018年も、上半期だけでこんなに面白そうな作品が矢継ぎ早に劇場公開される予定です。記事をまとめながら、これら洋画を迎え撃つ邦画は、ますます大変だなぁと思って見てました。円盤発売や配信スタートを待つのもいいですが、やっぱりデカいスクリーンと気持ちの良い音響で見ると、印象がぜんぜん違ってきます。是非、2018年もよい映画といっぱい出会えますように!

それではまた。
かるび

【ネタバレ有】Netflix映画「ブライト」感想・考察と10の疑問点を徹底解説!/スケール感の大きいモダン・ファンタジー超大作の第1弾!

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かるび(@karub_imalive)です。

12月22日にNetflix配信限定の映画作品「ブライト」を見ました。ネトフリに加入したのは今年の9月だったのですが、リアルタイムで配信されてきたコンテンツをその日のうちにすぐに見たのは、これが初めてです。

主演にウィル・スミスを迎え、Netflix史上最高額となる9,000万ドルが制作費として投入された本作。劇場で公開されず、自宅で見るブロックバスター配信作品とはいかなるものだったのか?早速ですが、感想・考察等を織り交ぜた映画レビューを書いてみたいと思います。
※本エントリは、後半部分でストーリー核心部分にかかわるネタバレ記述が一部含まれますので、何卒ご了承ください。できれば、映画鑑賞後にご覧頂ければ幸いです。

1.映画「ブライト(Bright)」の予告動画・基本情報

▶Netflix公式予告動画「ブライト」
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【監督】デヴィッド・エアー(「エンドオブウォッチ」「スーサイド・スクワッド」)
【配給】Netflix配信
【時間】117分

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引用:Wikipediaより

本作でメガホンを取ったのは、前作「スーサイド・スクワッド」でコアなファンから散々な評価をもらってしまい、捲土重来に燃えるデヴィッド・エアー監督。脚本家として活動を開始した初期から監督業へと主軸を移した近年まで、一貫してロサンゼルスの下町地区を中心とした刑事アクションストーリーを得意としています。

過去作では、例えば、低予算ながら圧倒的なリアリティで絶賛されたバディもの刑事アクション映画「エンド・オブ・ウォッチ」、若き日のジェレミー・レナーやコリン・ファレルを配し、警察特殊部隊による激しいアクションの連続が魅力の「S.W.A.T」(脚本担当)など、力作ぞろいです。

本作は、Netflixで過去最大となる約100億円の制作費を投入して制作されました。制作現場は、ほぼデヴィッド・エアー監督にフリーハンドで任され、作家性を自由に発揮できる理想的な環境が整っていたようです。編集段階でモメにモメた「スーサイド・スクワッド」より格段にやりやすかったようですね。

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引用:Bright (2017) - Rotten Tomatoes

12月22日に世界100カ国以上で一斉に配信が開始されると、配信作品としては異例の反響を呼んでいますが、批評家の評価はかなり辛めな反面、一般視聴者からはかなりの高評価と、意見が割れています。映画産業の構造を壊しかねない本格的な作品だけに、無意識に敵対的な姿勢を取るプロの評論家が多かったのかもしれません。

2.映画「ブライト」主要登場人物・キャスト

ダリル・ウォード(ウィル・スミス)f:id:hisatsugu79:20171223175255j:plain
引用:アクション超大作『ブライト』予告編 - YouTube
デヴィッド・エアー監督とのコンビは、「スーサイド・スクワッド」以来2作連続となります。主役なのにあまり元気がなかった前作とは違い、本作ではのびのびと演技できていましたし、来日時の舞台挨拶も終始ハイテンションでした。鬱で泣き虫キャラを演じた、これまでのウィル・スミスらしからぬ配役が印象的だった「素晴らしきかな人生」(2017)もおすすめです。

ニック・ジャコビー(ジョエル・エドガートン)f:id:hisatsugu79:20171223175020j:plain
引用:アクション超大作『ブライト』予告編 - YouTube
「スター・ウォーズ」プリクエルシリーズでのオーウェン役で知名度を上げると、2015年頃から年間4~5本のハイペースで歴史ものからアクションまで、幅広く渋めの作品に出演歴を重ね、順調にキャリアを積んできています。今作では、実際の顔がわからなくなるくらいの分厚い特殊メイクでオークの新人警官に扮しています。

レイラ(ノオミ・ラパス)f:id:hisatsugu79:20171223175152j:plain
引用:アクション超大作『ブライト』予告編 - YouTube
本作でのヴィラン役。10代の頃から武術をたしなんでいるため、撮影中は極力スタントダブルを使わず、自分で演じることも多かったといいます。現在、ちょうど1人7役に挑戦した「セブン・シスターズ」が小規模公開ながら好評を博しています。

ティッカ(ルーシー・フライ)f:id:hisatsugu79:20171223175103j:plain
引用:アクション超大作『ブライト』予告編 - YouTube
オーストラリア出身の若手俳優。同国TV作品で人気になり、最近ではハリウッド作品出演にも積極的に進出しているそうです。代表作に「ヴァンパイア・アカデミー」。僕も含め、日本人にとっては、恐らく本作で初めて彼女のことを知る人が多いかと思います。

3.途中までの簡単なあらすじ

常に死の危険と隣り合わせの街、ロサンゼルスのサウスセントラル。ロサンゼルス市警で長年ベテラン捜査員として勤め上げてきたダリル・ウォードは、ここ最近、オーク種族から初の警察官へと登用された新米捜査員ニック・ジャコビーとコンビを組むようになっていた。

嫌われ者のオークであるニックには仲間内からの風当たりも強かったが、先日の対オーク犯罪組織への捜査で、ウォードを危険な目に合わせた上、わざと犯人を逃したという疑惑も生まれていた。普段はただ職務に忠実で、余計な差別意識など持ちあわせていなかったウォードも、さすがにニックとのコンビに嫌気が差しはじめていた。

ある夜、巡回中の二人に、エイブラムス邸で騒ぎが起こっていると本部から連絡が入り、二人は現場へ急行する。立てこもり犯を射殺して、室内へと入ったウォードたちは魔法の達人「ブライト」が魔法の杖「ワンド」を使った手口と見られる奇妙な猟奇殺人の痕跡を見つけ、「ワンド」を持つティッカというエルフを保護するのだった。ティッカは、元々ダークロードの復活を狙う「インファーニ」と呼ばれるエルフ達の仲間だったが、怖くなって組織を逃げ出してきたのだった。

事件のカギを握るのは、普段ウォードたちには最も円通り「魔法」の力を持つ1つのワンドの存在だった。「ブライト」以外の人間がそれに触れただけで、瞬時に灰になって消滅する程の恐ろしい力を秘める一方、その不思議な魔法の力を求める者は後を絶たなかった。

ワンドを集めて、力を手にしようとする人間の犯罪集団「アルタミラ」、伝説の「ダークロード」の復活を目指すダーク・エルフたち、その動きを封じようとする魔法捜査官など、様々な利害関係者が入り乱れ、ワンド争奪戦は熾烈を極めていく。その中で、ウォードたちはティッカの願いを聞き入れ、意外な行動に出るのだったー。

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4.映画「ブライト」のレビュー(感想・評価)

1本の映画として見ると「ダメ」だけど、ドラマの第1話としてなら許容範囲

まず、本作を見終わって1回目の感想は「あーあ、なんだか色々とっちらかったまま終わってしまったなー」ということ。

まず、見始めて数分で、世界観を理解・把握するのに苦労し始めます。Netflix公開作品ということもあり、視聴前に世界観や設定などを予習できる情報が極端に少なかった割には、映画が始まった途端、矢継ぎ早に説明される内容に、すぐについていけなくなります。最初から数作単位でのシリーズ化を前提に、がっちり設定や伏線が入れ込まれている感じですね。

過去作を復習するとわかるのですが、デヴィッド・エアー監督の刑事モノ作品は、たいてい黄金パターンがあります。日常業務をこなしている中で主人公たちがある事件に遭遇・解決することで、思いがけずに、社会全体にインパクトを与えるような大きな事件へと否応なく巻き込まれているという展開になることが多いのです。

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今回も日常業務をこなす中で偶然事件が起こる
引用:アクション超大作『ブライト』予告編 - YouTube

そして、今回も思った通りテンプレート通りの展開となりました。本作ではウォードとニックは伝説の魔法の杖「ワンド」を事件現場で偶然拾ってしまうところから、ストーリーが大きく変化していくことになります。

ただ、そこからの把握がちょっと難しくなっていきました。現実世界での刑事捜査であれば、細かい前提知識は不要なので、すぐに核心部分へ入っていけたのでしょうが、本作で描かれるのは、魔法と伝説が息づく世界です。麻薬捜査やギャングとの銃撃戦の代わりに、異種族間でのワンドの争奪戦が描かれるのです。

キーアイテム「ワンド」を偶然手にしたウォード達は、「インファーニ」「フォグティース」「アルタミラ」「光の盾」「魔法捜査官」など、まるで、吸い寄せられるかのように「ワンド」に群がってくるそれぞれの種族の男たちに翻弄されていきます。このあたりの展開は目まぐるしすぎて、ついていけません(笑)

これらが、何も情報を与えられないまま、現場で捜査を行わざるを得ないLAPDのヒラ捜査員から見た視点で終始描かれるので、劇中のウォード同様、視聴者もまた何が起こっているのか全体像がつかめず、消化不良な宙吊り状態に置かれます。

逃げて、襲撃されて、撃退して、また逃げて、襲撃されて・・・という展開を3回ほど繰り返す中で、少しずつ手がかりを得てストーリーの核心へと近づいていくんですが、この間、各種設定・伏線等がセリフの中で断続的に明らかにされていきます。なので、主演二人のバディ・ムービーとして掛け合いを楽しむとかそういう余裕がまったくなくて、ひたすらプロットや登場人物を理解することだけで一杯一杯になってしまいました。

恐らく、これが映画館での上映だったら、きっと映画が終わったときに「全然わからんかった~」とか憤っていたと思います。劇場で完結する1本の独立した映画として見てみると、これでは、ご都合主義的に情報を詰めすぎたB級映画に見えてしまいます。

ただし!本作が通常の映画作品と違うのは、いつでも好きなだけ無料で見返せるということです。PCを開けば、いつでもNetflix上で半永久的に配信公開されているんですよね?!だから、内容がわからなかったら(面白いと思えるのであれば)、愚直に何度でも遡ってチェックすればいいんですよね。

2度目を見返した時、メモを取りながら見たのですが、取ったメモは全部でA4のノートで4枚にもなるなど、通常の映画の倍以上のボリュームになりました。やっぱり詰め込みすぎですね(笑)しかし、後から何度も見返してみると、ちゃんと世界観を伝えるための鍵となる情報は、映画内できちんとセリフとして誰かが言うようになっているんですよね。

このように、本作が「配信」という特性を活かして、後から「見返される」ことを前提に最適化された連続ドラマの第一話である、と視点を変えて考えてみれば、本作について不満はありません。むしろ、ありったけ提示された謎や疑問点に対して、映像を見ながら少しずつ自力で紐解いていく楽しみ方もあるのかなと思います。要するに通常の「映画」として見なければ、あんまり腹も立たないということで・・・^_^;

抑制的ではあったけど、最低限ちゃんと表現されていたバディ感

上述したように、本作はシリーズ第1作目として、世界観の構築やストーリーの全体像を見せることを優先させています。そのため、視聴者の意識が二人の掛け合いや絆の深まりに目が向きづらくなっているので、「相棒もの刑事映画」としては少し見劣りする感覚があります。

ただ、よく見てみると、対照的な性格の凸凹コンビとして、ディテールに至るまでちゃんと設定は一通り作り込まれているんですよね。

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本作では、信頼関係が「マイナス」の状態からようやく「ややプラス」の状態に戻した程度であり、バディものムービーとしての醍醐味が本格的に味わえるようになるのは、2作目以降になるのではないでしょうか?

そういえば、他作品に目を向けてみても、例えば、メル・ギブソンとダニー・グローヴァーの名作シリーズ「リーサル・ウェポン」シリーズでも、1作目の段階ではそこまで強い「バディ感」は感じられません。二人の絶妙なケミストリーが心地よくなっていくのは、2作目以降です。

バディもの映画としても、正念場となるのは2作目以降かな・・・という感想です。設定はよくできているので、次作ではもっとこの二人の関係を掘り下げて描いてくれればと思います。

ディストピア感のある階級社会描写は秀逸!

主演二人のバディ感はもう一つ感じられなかった本作ですが、その反面非常によく描けていたと思うのは、オーク・人間・エルフが危ういバランス感でギリギリ均衡を保っている、階級社会のもたらす不安定で不穏な雰囲気です。f:id:hisatsugu79:20171224150800j:plain

2000年前、農民出身のジラクがダークロードを倒して以来、各種族は何とか平穏に暮らしてきたはずなのですが、ロサンゼルスは、経済格差や外見・容姿の違いから、互いへのリスペクトをとっくに失い、種族別の階層社会を形成しているのですが、このあたりの設定は実にうまく出来ていると思いました。

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社会の最上階層でリッチなエルフたち
引用:アクション超大作『ブライト』予告編 - YouTube

最上階層のエルフは、高級車を乗り回し、高所得者層限定の居住区に住む一方で、最下層のオークは、サウス・セントラルの猥雑で汚いストリートで昼間から暇そうに歩き回っているところが描かれます。肉屋とか掃除夫とか、人の嫌がる仕事をやっているシーンもありましたよね。

そして、支配階層であるエルフは非常に巧妙な情報統制と愚民政策を進めており「魔法」の存在を徹底的に隠すことで、人間とオークへの支配を強化しようとしていました。一方で、最下層のオークたちは、古くからの預言を信じて救世主が現れることを信じています。そんな中、この階層社会からも外れた闇の存在が、世界を巨大な魔法の力で破滅させるような陰謀を画策している・・・

といったように、ディストピア一歩手前の階級社会における、何か「大きな事件が起きそうな」崩壊前夜の空気感を特徴的に描いた、劇中の映像表現や美術・セットなどは非常に良かったと思います。このあたりは、何度も見返すことで、じわじわと良さがわかってきました。 

また、本作では、そんな階層社会で「あからさまな」くらい激しい人種差別が蔓延しており、どんなに鈍感な鑑賞者でも、アメリカを始め世界中で根強く残る人種差別問題を想起せざるを得ません。しかも、主人公のニックは、徹底的に忌み嫌われるオークの中でも、人間との混血種として、彼らの「強さ」の象徴であるキバを持たないという外見上の特徴があるんですよね。このため、種族内でも「ラウンドティース」(歯が丸いやつ)と言われて差別を受けるという二重の差別を受ける最下層の存在です。それにもかかわらず、ニックは劇中で決して実直さを失わず、純粋な心を保持しています。そんなニックの姿に勇気づけられる人も多いのではないでしょうか?

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5.映画「ブライト」に関する10の疑問点~伏線・設定を徹底考察!~

ストーリーや設定について、本作をより深く理解するために要点となりそうなポイントについて、考察や情報をまとめています。内容上、映画を1度見終わった人向けのコンテンツとなりますので、ここからはネタバレ要素が強めに入ります。予めご了承下さい。

疑問点1:世界を構成する3種類の種族やクリーチャーを徹底解説!

映画内で付加された一番のファンタジー要素としては、ロサンゼルスの人間社会が、人間だけでなく、亜人であるオーク・エルフと合わせ、3種族で構成されていたことです。その見どころは、この3種類には、単に外見上の違いがあるだけでなく、一種のカースト制度のように厳然たる階級社会を形成していたことです。階級順に紹介しますね。

★ロサンゼルスの階層社会(再掲)f:id:hisatsugu79:20171224150800j:plain

◯エルフ
色白で長身、耳が尖っているのが特徴。「ワンド」を使い、魔法を使える「ブライト」の大半を輩出することから、世界の支配層・特権階級を占める。エルフ専用居住地区があり、皆一様にリッチである。
◯人間
ロサンゼルス市内では一番の多数派民族だが、中間層として日々慎ましく生きている存在。ロサンゼルス警察の捜査員は、全員人間でした。
◯オーク
力が強い代わりに俊敏さには欠ける。容姿の醜さから、社会的・経済的に差別を受け、社会の最下層として扱われる。「クランの掟」と呼ばれるほど同族意識が強く、団結と勇気ある行動を好む。

その他、クリーチャーとしては、フェアリーやドラゴンの姿が画面上では確認できました。(特にドラゴンは一瞬だけ映ります)映画内での「フェアリー」の扱われ方は酷かったですね。亜人種でもなく、単なる害獣として忌み嫌われ、ハエのような扱いを受けていて可愛そうでした・・・

また、本作の世界には、この3種類以外も含めて、全部で9つの種族が存在するようです。明確にセリフとして言及されたのは、マイアミには「ドワーフ」という種族も住んでいるということです。第2作目以降で、他の種族も多数で出てくるのでしょうね。

疑問点2:2000年前、世界に何が起こったのか?ダークロードの正体とは?

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引用:映画「ブライト」本編より

2000年前、ダークロードという悪のエルフが、闇の魔法の力で人間やオークなどの他種族を抑制・支配していました。これに対して立ち上がったのが、伝説のオーク、ジラクです。元々田舎の農民だった彼は、9つの種族をまとめ上げ、魔法の力でダークロードを倒して平和な世の中を作りました。この勇気をたたえ、オークたちは彼を「純血種」として認め、リスペクトするようになったのです。

疑問点3:タイトルの「ブライト」の意味とは?

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引用:ウィル・スミス主演!『ブライト』新予告編 - YouTube

「ブライト(Bright)」とは、直訳すると「明るい、賢い、頭脳明晰だ」という意味になりますが、本作の中では、「ワンド」を使いこなせるくらい魔法力の強い「選ばれし者」を指す呼称です。世界中のほとんどの「ブライト」はエルフであり、人間では100万人に1人くらいしか「ブライト」はいないとされています。

「ブライト」であるかどうかは、ワンドに触ってみるとわかります。通常の人間がワンドに直接触れると、ワンドの持つ強大な魔力の作用で、周囲を巻き込んで大爆発してしまいます。「ブライト」だけが、ワンドに直接触れることができるのです。

ちなみに、本作終了時までに「ブライト」であることが判明しているのは、レイラ・ティッカ、そしてウォードの3人です。

疑問点4:「ワンド」はどのようにして、何のために使うのか?

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引用:ウィル・スミス主演!『ブライト』新予告編 - YouTube

まるでライトセーバーのように青白く光る杖「ワンド」ですが、劇中でティッカが使うシーンから分かる通り、基本的な使い方は「ブライト」が手に持って、何らかの呪文を詠唱することで、様々な魔法効果を発動するための杖なのですね。本作で確認できた魔法は、以下の2通り。

・他人を生き返らせる(呪文名は不明)
・火の玉で攻撃する「ヴァイクワラス」

また、元の持ち主からあまりに離れてしまうと、ワンド本体から「拘束の呪文」が自ら発動されることで、事実上、他人がワンドを持ってどこかへ逃げることができない仕様になっているようです。

疑問点5:「預言書」の存在とは?

本作では、映画冒頭からいきなりその一節が紹介されるなど、映画全体で様々な登場人物たちが、「預言書」の存在をほのめかします。ウォードは最後まで全く気にもかけませんが、「魔法」の存在を信じるエルフやオーク達、「光の盾」のメンバー達の間では、「預言書」の記載内容は基本的な教養となっていそうです。

面白かったのは、一旦フォグティースのボスに殺害されたニックが、ワンドの力で生き返ったシーンです。ニックの復活を目の当たりにしたギャングのオークたちは、預言書の記述通りだとして、以後ニックを純血種として崇め、最大限の敬意を払うようになるんですよね。

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ジラクとダークロードの戦いを描いている?
引用:「ブライト」本編より

また、映画冒頭のいくつかのグラフィックアートは、預言書の内容を象徴的に描いたシーンであると思われます。是非、何度も見返して味わってみてくださいね。

疑問点6:「インファーニ」は何をしようとしていたのか?

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引用:「ブライト」本編より

「インファーニ」はエルフ族の中でも「反逆したエルフ(Renegade Elves)」と呼ばれ、いわゆる階層社会からは外れた秘密結社的な魔法組織です。階層社会上層部に君臨する普通のエルフたちが、情報統制を勧め、預言書と魔法を否定することで社会を支配しようとする中、彼らは、多数派のエルフとは真逆のアプローチを取ろうとしています。つまり、預言書の内容を具現化するため、ワンドを3つ集めることでダークサイドに落ちたいにしえのエルフ「ダークロード」を復活させることで、社会を転覆させようとしているのです。

彼らは選ばれし魔法使い「ブライト」を多数抱え、100年前には同じ地下組織「イルミナティ」を壊滅に追い込んだほどの実力を持ちます。そのため、連邦政府からも目をつけられており、政府の魔法捜査官たちと水面下で数十年間抗争を続けています。

疑問点7:魔法捜査官は何をしている組織なのか?

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引用:映画「ブライト」本編より

ほとんど説明がなく、謎が多い組織でしたが、本作内で明らかにされたこととしては、表向きは「連邦捜査官」と呼ばれていたことから、彼らは地元ロサンゼルス警察の人間ではなく、FBIに所属するのでしょう。警察手帳には「Magic Task Force」(魔法特殊部隊)と書かれており、組織内では「魔法捜査官」と呼ばれていました。

彼らの主な活動目的は、「ワンド」を回収し、悪意ある勢力が「魔法」の力を乱用し、社会の秩序を乱さないようにすることでした。そのため、彼らは20年以上「インファーニ」を摘発するため、レイラを追っていました。

ウォード達の活躍もあって、世界に3つあるとされる「ワンド」のうち、1つはウォード経由で「魔法捜査官」が回収したわけですが、その事実は一切大衆の前では隠蔽され、明らかにされませんでした。恐らく、表向きの活動目的以外にも、真の存在理由が次作以降で明らかになってくるものだと思われます。(案外、ダークロードとずぶずぶにつながっていたりして・・・)

疑問点8:謎の組織「光の盾」とはどんな組織なのか?

「光の盾」とは、インファーニに対抗して、ダーク・ロードの復活を阻止しようと活動している地下組織です。町中の交差点のど真ん中で、狂人のような騒ぎを起こしてわざと捕まり、魔法捜査官と接触したサーリングという人物は、「光の盾」の一種の使者(メッセンジャー)的な人物です。

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引用:「ブライト」本編より

その構成員は、後頭部に「焼き印」のような印を刻印され、いにしえから伝わる「預言書」に沿って、ダーク・ロードに対抗し得る人物を探し出し、支援することが主な活動目的なのでしょう。インファーニから逃げ出したティッカが保護を求めて頼りにしたのもこの「光の盾」でした。

まだ、サーリング以外の構成員や、サーリング自身の経歴も全く不明であり、魔法捜査官やインファーニ、ダークロードとどういった因縁・関係があるのかも明らかになっていません。これらの解明は次作以降へと持ち越されました。

疑問点9:ラストシーン・結末の考察~次作への伏線は?

「ワンド」で魔法を発動し、反逆したエルフ・レイラを何とか倒すことができたウォード達。しかし、魔法が効きすぎて、炎に包まれたエイブラムス邸の中で何とか助け出され、ギリギリ生き残った二人は、入院を余儀なくされました。入院中、魔法捜査官達と面会したウォードたちは、「ワンド」を引き渡すこと、魔法の存在を一切口外しないことを条件に、捜査中に同僚を殺害した件を不問に付され、表彰されることになりました。

その表彰式に紛れ込んでいたのは、エイブラムス邸以来行方不明となっていたティッカでしたが、意味ありげに二人に視線を目配せしてすぐに群衆の中に消えていきました。恐らく第2作目も、主演二人とティッカが中心となってストーリーが進んでいくものと思われます。

ここで思い出したのが、映画の序盤で出てきた「光の盾」の関係者、サーリングが車中でニックに語った伝言です。

「昔を思い出せ、伝統を忘れるな。預言はお前を選んだ。相棒は祝福を受ける。自分が何者かを知れ。クランの掟がお前を救う」

ストーリーが終わってみれば、この「預言」が見事に成就する形となっていました。

第2作目からは、名も無き一般人だったウォードとニックのコンビが、「ブライト」「純血のヒーロー」となって、預言に「選ばれし者」としてダークロードと対決していくことになるのでしょうか?

疑問点10:続編の展開を予想する~未回収となった設定・伏線から考える~

ところで、すでに本作のリリースされた12月22日には、NETFLIXが次作に向けて早々に予算を確保し、ウィル・スミスら主演男優に対して出演契約を済ませたことを明らかになりました。デヴィッド・エアー監督も、本作を「スターウォーズ」のような壮大なストーリーにしたい、と野望を持っているようですね。

本作で未回収となった主な伏線や設定を記載しておきますね。

・レイラは本当に死んだのか?
銃で撃たれて致命傷を食らっても、すぐに復活する生命力の強さから、きっと死んでいないと予想・・・
・残り2つのワンドはどこにあり、誰が持っているのか?
3つ集まらないと復活しないダークロードですが、恐らく次作でダークロードが一旦復活することになるのでは?と予想。残り2つのワンドも(色違いのライトセーバーみたいに)きっと次作で出てくると予想。
・なぜウォードは「ブライト」となれたのか?
人類の場合、100万人に1人しか存在しないと言われる「選ばれし者」である「ブライト」にウォードがなぜなれたのか、もう少し説明がありそうですね。
・光の盾とは一体どんな組織でどんな活動をしているのか?
サーリング以外のメンバーは?また、サーリングが持っていた「剣」はどんな意味があったのでしょうか?
・魔法捜査官たちの真の目的は?
1作目では、謎の多かった彼らの存在理由や活動目的。より詳細な描写が待たれます。
・インファーニの次の手は?どう巻き返してくるのか?
レイラとその部下の暗殺者達を失ったインファーニですが、そもそも他に構成員がどれだけいるのか、どんなメンバーがいるのか謎だらけです。
・「ワンド」を使って発動できる他の魔法は?
本作ではわずか3つしか出てきませんでした。次作では存分に「ワンド」のポテンシャルが発揮されるところを見てみたいものです。

6.まとめ

従来の「映画作品」としてではなく、あくまでNetflixで配信される他のドラマ作品と同じように楽しむのであれば、本作はそのシリーズ作品第一弾として、まずまずの出来だったのではないかなと思いました。次作で壮大なストーリーがいよいよ動き出すと思いますので、引き続き、追いかけてみたいと思います。

それではまた。
かるび

映画「ブライト」に関連する書籍・CD等の紹介

オリジナル・サウンドトラックが発売中!

本作では、ロサンゼルスの荒れ果てたサウス・セントラルにピッタリ合ったようなヒップホップやラップ系の音楽が使用されています。その選び抜かれた楽曲は非常に作品の雰囲気に遭っていましたが、「オリジナル・サウンドトラック」としてCD化されて発売されています。

2018お正月・年末年始のAmazonセールまとめ・福袋などおすすめ商品の解説!【新春・初売りセール情報も!】

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かるび(@karub_imalive)です。

クリスマスも終わって、2017年も大詰め。いよいよあとは年末年始、お正月を迎えるだけとなりました。今年も、Amazonでは年末大セール「Cyber Monday」や、それに続くクリスマスセールなども大盛況でした。特に、「Cyber Monday」では、僕も紹介記事を書きつつも、Amazonでさんざん買い物しちゃいました^_^

でも、まだ年末の大セールは続いています。クリスマスが終わっても、お正月明けの年始まで、まだまだ安い商品が販売されています。

そこで、本エントリでは、2017年末~2018年始にかけて、Amazonで開催中のセール情報について、オトクな商品とともに簡単に紹介してみたいと思います。

それでは、早速行ってみましょう!

1.最大80%OFF!ファッションWinter Sale(終了日未定)

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サイバーマンデーセールで最も安かった商品は、意外なことにファッションや宝飾系商品でした。特に、ファッション商品については、サイバーマンデーが終わってからも引き続き最大80%OFFとなっており、非常にお買い得です。 

まだまだ掘り出し物はありそうなので、是非チェックしてみてください!

ファッションWinterSale特設会場はこちら
最大80%引きもある!Wintersaleで「掘り出し物」をチェックする!

 

2.クーポンでファッションアイテムが一律20%OFF(~2018年1月7日)

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2018年1月7日23時59分まで、メンズ・レディースの各種ファッションアイテムや、キッズ用品など、数万点の商品が、注文確定時に上記クーポンコード「12FUKU」と入力することで、表示金額より20%OFFとなるセールが開催されています。

クーポンセールの特設会場は、こちらです!

クーポンで一律20%OFF特設会場はこちら
メンズ・レディース・インナー・子供服が一律20%OFFとなるセールをチェックする!

 

3.Amazonの2018年新春福袋!(売切れ次第終了)

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毎年、そこそこいい感じの福袋を用意してくれるAmazonですが、今年の品揃えは過去最高クラスです。いい意味で、庶民的で手の届く感じのブランド・価格帯で100種類以上のラインナップを揃えてくれています!

2018年版のAmazon新春福袋はこれから!メンズ・レディース・スポーツ・キッズと一通り揃っています。詳細は下記からチェックしてみてくださいね!

2018Amazon福袋セール会場はこちら! 
メンズ・レディース・キッズなど100種類以上の福袋をチェックしてみる! 

 

4.大型WinterSALEが開催中!1月2日・3日は新春・初売りセールも実施予定(~2018年1月11日)

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ファッション以外でも、家電・生活用品・食料品・文房具・パソコン/周辺機器など、幅広い分野でWinterセールが開催中です。セール期間は、お正月明けの2017年1月11日23時59分まで。

また、1月2日、1月3日は、このWinterSale会場で「初売り特選セール」も開催予定。人気の生活家電を中心に、かなりの爆安セールが期待できそうです!(1月2日になったら更新予定)

WinterSale会場の中で、特にオススメの特集を下記で一つずつ紹介していきますが、全体像を見てみたい方は、詳細は下記の「WinterSALE」トップページからチェックしてみてください。カテゴリ別にセール会場へと飛べるようになっています。

Winterセール会場はこちら! 
AmazonWinterセールで掘り出し物特価商品をチェックしてみる! 

 

4-1.家電旧型モデル特集

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家電は、主に1年または半年に1回、旧型と新型の入れ替えが行われますが、ここ数年は、新型モデルへのリニューアルが、ほとんどデザインのマイナーチェンジのみに終止して、性能がぐっと上がることはまずありません。だから、少しくらい型落ちの家電を購入しても、全く損した感じはありません。Amazonで取り扱う旧型家電は、現行モデルよりも約2割~3割安くなっています。

AcerのAmazon限定の格安モデルが、さらに型落ちとなってレジにて20%割引となっています。ゲームやPC作業用など、なんでも使える汎用性の高いモニターです。

僕もフィリップスのメンズシェーバーを使っているのですが、こちらは現行モデルより1世代前のタイプとなります。・・・が、性能は全く問題なく、静かだしよく剃れるし、ケガはしないしで素晴らしいです。こちらもレジにて20%OFF。

デザインもかわいくてお洒落な、国産アイロンで最も売れ線のパナソニック製品。こちらもレジにて20%OFFです! 

上記以外にも、多数の型落ち家電在庫セールが開催中です。詳細は下記からチェックしてみてくださいね!

旧型家電特売セール会場はこちら! 
型落ち特売品は、最大30%OFFとお買い得!掘り出し物をチェックしてみる! 

 

4-2.まだ間に合う!年賀状特集

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この時期、年賀状対応で急にプリンターが壊れたり、プリンター周りのインクカートリッジが切れたりするものですよね。そこで、Amazonの出番です!いずれも即日発送できる在庫が割引対象となっています。

インクカートリッジは、エプソン、キャノン、ブラザーの各種正規品が10%OFF、プリンタはエプソンの最新モデルが10%OFFとなっています! 

年賀状関連アイテムのセール会場 
まとめ買いもお得!各社のプリンタ・インクカートリッジがレジにて10%OFF! 

 

4-3.冬のアウトドア特集

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冬用のテント・寝袋・シュラフなどのキャンプ用品や、天体観測用の望遠鏡・双眼鏡、行楽用の弁当箱・水筒などが格安になっています!たとえば、こんな感じです。

11,880円→6,782円と、単眼鏡の定番商品が43%OFFと非常にお得。プライム会員はさらに5%引きです。アート鑑賞などにも向いています。

全部で10色の中から選べるワンタッチテント。最近は、ちょっとした公園の花見などでも、こうした簡易テントが必需品になってきていますね。お手頃価格になっています!

その他、冬用アウトドアグッズの目玉商品は、こちらからチェックしてみてくださいね!

冬用アウトドア特集セール会場はこちら! 
冬のアウトドア用品が一斉値下げ!お得な商品をチェックしてみる! 

 

4-4.冬のギフト特集

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クリスマスは終わってしまいましたが、年末年始でも、親戚や大切な友人に再会する機会は多いもの。Amazonでは、引き続き年末年始・お正月もプレゼント用のギフトアイテムが安くなっています。中には、驚くほど安くなっている掘り出し物もありますので、頑張って探してみてくださいね。

若手俳優、高杉真宙モデルが激安に! 参考価格9,720円→6,870円(29%OFF)に加えて、687ポイントの還元、レジでさらに10%OFFと超オトクな目玉商品。ベストセラーとなっています。

象印の魔法瓶がどれも60%以上割引となっています。本製品は、定価7,020円→2,437円と、65%OFFと破格の割引率!これはお買い得!

その他にもジュエリー・時計・家電・文房具など、贈答品として適したグッズが非常に安くなっています。割引率の高い商品が沢山ありますので、じっくりチェックしてみてくださいね。

Amazon冬のギフト品セール会場はこちら! 
自分用に購入するのもあり!お得な価格のギフト用品をチェックしてみる! 

 

4-5.冬物アイテムセール

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今年の冬は特に寒いですよね!冷え込む年末年始を暖かく過ごすためにも、冬物の日用品・家電をチェックしてみてはいかがでしょうか?Amazonサイバーマンデーの時も非常に良く売れた冬物アイテムは、掘り出し物が沢山ありますので、是非チェックしてみてくださいね。

加湿器と空気清浄機がセットになったコンパクトなプラズマクラスター。Amazonの加湿器部門人気No.1のベストセラーです。省エネで1年中使えるすぐれものです。

こちらは、ホットカーペットで売上No.1となっているパナソニックの定番商品。省エネモードや、タイマー機能、ダニ対策機能など、シンプルながら必要な機能は網羅しています。

小型ながら非常にパワフルで、Amazon内で付いているレビュー数がダントツNo.1の定番商品。この冬売れ線の商品です。

その他、冬物アイテム約130点は、どれも有名メーカーの信頼できる商品が揃っています。下記リンクからチェックしてみてくださいね。

冬物アイテムセール会場はこちら! 
定番商品が1月11日まで割引セール中!チェックしてみる! 

 

5.Fireタブレットまとめ買いセール(~2017年12月31日まで)

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現在、2017年12月31日までのセールとして、Fireタブレットを2台まとめて買うと、プライム会員は合計10,000円以上お得となる激安セールが開催中。今や1人複数台持ち、用途によって気軽に使い分けする時代になったタブレットですが、このお得なまとめ買いセールを活用してみてくださいね。

Fire 7 タブレット (Newモデル) 8GB

★★Check Point★★ 
1台で4,000円OFF8,980円4,980円
2台で11,000円OFF17,960円6,960円

 

Fire HD 8 タブレット (Newモデル) 16GB

★★Check Point★★ 
1台で4,000円OFF11,980円7,980円
2台で12,000円OFF23,960円11,960円

 

6.定番のAmazon専用端末もプライム会員なら安い!(終了日未定)

その他、Amazon専用端末もプライム会員に対して、割引価格で販売されています。

Fire HD 10 タブレット (Newモデル) 32GB

★★Check Point★★ 
プライム会員は4,000円OFF
18,980円14,980円
1/15迄の購入でビデオ用クーポン100円分付

 

Kindle Paperwhite Wi-Fi

★★Check Point★★ 
プライム会員は2,000円OFF
14,280円12,280円
Kindleで最も売れているベストセラー商品!

 

Kindle Paperwhite 32GB、マンガモデル

★★Check Point★★ 
プライム会員は2,000円OFF
16,280円14,280円
マンガが700冊分保存可能な大容量!

 

Fire TV Stick (New モデル)

★★Check Point★★ 
満足度が驚異の4.5点!安定感抜群!
▶音声認識リモコンでらくらく検索! 

 

その他、上記以外にも、Amazonプライム会員割引が設定されているAmazon専用端末もあります。下記一覧からチェックしてみてくださいね!

Amazon端末セール会場はこちら! 
Amazon専用端末のセール情報をチェックしてみる! 

 

7.冬の在庫一掃特価セール(期限未定、在庫がなくなるまで実施)

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ファッションアイテムから家電・生活日用品・PC用品・携帯ガジェット類まで、幅広く開催されている限定特価クリアランスセール。こちらもよーく探せば、ものすごい掘り出し物が見つかります。

毎年12月頃には、新モデルが発売されるランニングシューズですが、正直なところ性能差はほとんどありません。アシックスの定番中の定番、GT-2000の旧モデルが、最安で3,000円台から購入できる大チャンスです!在庫特価セールの中でもベストセラーになっています。

海外旅行にも持っていけるパナソニックの定番ヘアドライヤーの型落ち品。新モデルが13,000円程度で出回っている中、2割以上安い最安値で登場。こちらもめちゃ売れてます!

SIMフリーのスマホも、激安価格で登場。こちらは、レジで表示価格の30%オフが適用されます!

その他、上記以外にも、在庫一掃の特価品が多数揃っています。かなり安くなっているお宝もありますので、よく探してみてくださいね!

在庫一掃特価セール会場はこちら! 
激安の思わぬお宝もかなり出ています!セール情報をチェックしてみる! 

 

8.食品・飲料品の歳末・新春セール(~2018年1月3日まで)

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現在、2018年1月3日23時59分までの年末・新春セールとして、旧パッケージ品や賞味期限の近づいた食品(45日程度)、カニやエビなどの高級食材の訳アリ品、贈答品セール、など、Amazonの在庫一掃のための激安セールが始まっています。50%以上の割引率が設定されている商品も多数!

是非、下記一覧からチェックしてみてくださいね!

食品・飲料の歳末新春セール会場はこちら! 
歳末・飲料品の激安セール情報をチェックしてみる! 

 

9.アウトレットセールもあります!

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Amazonアウトレットって、知ってますか?普通にサイト内を回遊しているだけでは、まず案内表示が出てくることがないので、「知る人ぞ知る」割引サービスなのです。

在庫一掃セールと違うのは、Amazon内の倉庫で「キズモノ」となったアウトレット品≒新古品を専門に販売するコーナーである、ということです。正確な定義については、Amazonの説明書きにわかりやすく明記されているので、引用してみます。

Amazonアウトレットは、Amazon.co.jpが配送する商品のうち、倉庫内で梱包に傷を負った商品またはお客様から返品されたものであり、Amazon.co.jp の厳密な基準により商品の状態が良いと判断されたものを「アウトレット品」(画面表記上は「中古品」と表示されます)という扱いで、お手頃な価格で販売するストア です。

このうち、食品についても、「アウトレット」に回るかどうかは、以下のような明確な基準があります。

Amazonアウトレットが販売する食品および飲料については、倉庫内で保管され、賞味期限が近づいたものを、「アウトレット品」(画面表記上は「新品」と表示され、商品詳細ページに賞味期限が明記されます)という扱いで、お手頃な価格で販売します。具体的には、賞味期限の残日数が45日から14日の食品&飲料を販売しています。また、精米に関しては賞味期限でなく、精米日から最大60日程度経過したものを対象として販売します。ご了承の上、お買い求めください。

Amazonアウトレットで販売されている商品は、他のセールよりもさらに安いことが多く、新品に限りなく近い「新古品」でもOK、という人には、非常にお買い得なサービスです。基本的に1品物が多く、都度ラインナップも変わっていきますが、僕もたまにここで衝動買いすることもあります!

アウトレットセール会場は、以下からチェックしてみてくださいね!

Amazonアウトレットセール会場はこちら! 
ワゴンセールに似たワクワク感!掘り出し物も多数ある、アウトレット商品をチェックしてみる! 

 

10.まとめ

いかがでしたでしょうか?ボーナス商戦が一段落した年末年始ですが、まだまだ通常期間よりも全体的に安い商品が沢山出ています。年末年始・正月はAmazonで思わぬお宝を探してみるのも面白いかもしれませんね!

それではまた。
かるび

2017年、見てよかった美術展・展覧会ベスト10まとめ!

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かるび(@karub_imalive)です。

2017年もあっという間に終わっていこうとしていますね。僕も、会社を辞めてあっというまに2回目の年末を迎えました。

もともと、会社を辞めたらがっつり美術展に行こう!と決めていたのですが、2016年に引き続き、2017年も100ヶ所以上の展覧会に足を運ぶことができました。これもひとえに家族の理解と、周囲の素晴らしい先輩ブロガーさんたちのおかげであり、ありがたいことだと思っています。

ということで、今年チェックした美術展・展覧会のマイベスト10と、全体の振り返り、来季の展望などを簡単に書いてみたいと思います!

1.2017年、見てよかった展覧会ベスト10!

第10位:タイ展

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行く前はあまり期待してなかったのに、行ってびっくり!凄く刺激を受けたのがこの「タイ展」。最初はタイの伝統文化を紹介する展覧会なのかな?と思っていたら、全然違ってて、ほぼ会場全部でタイの伝統的な仏教美術=仏像が全力で紹介されている展覧会でした。

「かわいくってエキゾチックな」タイのお国柄が色濃く出た仏像のお顔に、きっちりやられてしまいました。日本の仏像とは明らかに違う、「微笑みの国」で作られた個性豊かなアルカイックスマイルにしびれた展覧会でした! 

第9位:安藤忠雄展

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国立新美術館の大箱を目一杯使って大規模展示しただけでなく、代表作である「光の教会」を原寸大で国立新美術館の庭に再現してしまうという物凄い力の入り方!無手勝流で裸一貫建築家へ志して、今や押しも押されぬコンクリート建築の世界的権威へと上り詰めた安藤忠雄の、情熱というかパワーを分けてもらえるような、そんな展覧会でした。

音声ガイドも全部自分でしゃべって撮り下ろしていたり、展示パネルに肉筆でガンガン追記していたり、大規模展覧会なのに、手作りで作っている感じも型破りで良かった。いつまでも長生きして活躍を続けてほしい稀有なアーティストです。 

▼代表作「光の教会」
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第8位:ギガ恐竜展

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行く前は息子のほうがノリノリだったのですが、幕張メッセに到着して、怒涛の展示内容を見た途端、俄然やる気を出してしまいました(笑)メッセのどでかい空間を活かした原寸大の竜脚類化石モデルをはじめ、動くティラノサウルス、VR体験コーナーなど、コンテンツ量、クオリティともに過去の恐竜展で最高クラスだったと思います。

▼恐竜のたまごの化石
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第7位:オルセーのナビ派展

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オルセー美術館の主力コレクションは印象派だけではないんです!まさに絵画が現代アートへと足を踏み入れる前夜、パリで結成された前衛的な画家集団「ナビ派」を取り上げた過去最高規模の回顧展です。

平面的で、形にとらわれない自由な作風が魅力の、ナビ派画家約10名を集中的にフィーチャーした非常に良い展覧会でした。 

第6位:これぞ暁斎展(河鍋暁斎展)

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浮世絵から狩野派風の水墨画、美人画、妖怪画、幽霊画、風刺画など、あらゆるジャンルの絵画を手がけ、作風をカメレオンのようにその都度変えて描くことができた幕末~明治の天才画家、河鍋暁斎の大規模回顧展です。

一旦は長く日本人の間で忘れ去られてしまった画家でしたが、2015年の回顧展と合わせて、アートファンの間でかなり復権が進んできた印象ですね。若冲の次に暁斎ブームこないかな~。

第5位:ミュシャ展

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これまで何度も国内で開催されてきた「ミュシャ展」と大きく違っていたのが、本邦初公開となった全20展の超巨大絵画「スラヴ叙事詩」大特集です。ミュシャが、その後半生の全てを捧げ、スラブ民族の復興と精神的独立への願いを巨大な絵に込めた渾身の作品群は、やっぱり凄かった。こんなにバカでかくて、気合の入った作品群が一時期は完全に世界中から忘れ去られた存在となっていたとは信じられないですね。

▼会場風景。1点1点がバカでかい!f:id:hisatsugu79:20170309092420j:plain

なお、ミュシャ展で非常に良かったのは、図録がきちんとAmazonなどネットでも普通に入手できたこと。ためしにブログに貼ってみたら、僕のサイトからでも全部で50冊程度売れました。(ありがたいことですm(__)m)それだけ潜在的な需要があるんでしょうね~。展覧会の主力商品でもあるのに、未だに図録が展覧会会場でしか入手できないのって、やっぱり不便ですよね。

第4位:国宝展

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仏教美術を始め、名だたる国宝がひしめく京都において、約40年ぶりの国宝展となった本展。展覧会に合わせ、東京から「国宝新幹線」が走ったり、小学館から「週刊ニッポンの国宝100」が創刊されるなど、事前の盛り上がりも凄く、会期中も異様な混雑ぶりに、本展の注目度の高さがよくわかりました。

国宝展で良かったのは、どんなお客さんでも満足できる展示内容であったこと。誰が見ても「凄い!」と思える国宝は、初心者にもわかりやすいし、深掘りしようと思ったら、いくらでも掘り下げて鑑賞をすることもできます。実際、目の肥えたマニアほど何度もリピートしていた印象ですね。まさに全てのアートファンの心に刺さるマスターピースが、これでもかと置かれていた国宝展、本当に素晴らしかったです。

動員数も桁違いだったようで、2ヶ月の短い開催期間中、約60万人が京博へ訪れるなど大盛況でした。もし東京でやってたら、100万人以上になってましたね・・・。今後生きているうちに、これだけの規模の展覧会を見ることができるんでしょうか?!

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第3位:快慶展

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東京国立博物館で秋期に開催された「運慶展」と対をなす形で、奈良国立博物館にて春期に開催された「快慶展」。ちょうど海北友松展と合わせて行ってきたのですが、快慶が制作した国宝級の仏像が全国から集められて展示された圧巻の展覧会でした。

奈良国立博物館の地味な広告宣伝(?)もあって、ものすごい展示だったにも関わらず、お客さんは非常に少なくて快適に見れました。秋の運慶展とセットで見ることで、運慶と快慶の作風の違いがハッキリ体感できました。歴史の教科書では「運慶快慶」とひとまとめにされている両雄ですが、キャリアを積んで行くに従って、実は全く違う作風へと進化していったんですよね。

質実剛健で大迫力の運慶に対して、「安阿弥様」と言われ、柔和で優美な仏像様式を確立した快慶。後の鎌倉後期・室町時代以降の「仏像」のイメージを作り上げたのは、この快慶の業績だったとも言われていますね。

しかし、悔やまれるのは、ブログで感想記事を書かなかったことですかね。やっぱり、記事を書く、書かないでは全く自分の中で心への残り方が違いますから・・・。

第2位:海北友松展

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桃山時代の日本画の名手、海北友松の史上最大規模となる大回顧展が、春の京都国立博物館での目玉となりました。武家に生まれ、大人になってから絵師へと転向した異色のキャリアを持つ遅咲きの絵師です。キャリア初期は狩野派で学び、自らのスタイルを確立してから、80代後半になるまで息長く活躍した絵師ですね。

どの作品も素晴らしかったのですが、中でも凄く好きだった作品が、海外に流出してから、初めて里帰りしたと言われる下記の屏風絵です。 

▼「月花渓流図屏風」右隻f:id:hisatsugu79:20171229024406j:plain
(引用:ネルソン・アトキンス美術館HPより)

この作品を目の前にした時、アートファンになってから初めてと言っていい経験だったのですが、胸がいっぱいになってしまって、しばらく立ち尽くしてしまいました。

まさに「幽玄の美」というか、最晩年において、絵を極めた海北友松のたどり着いた絵画世界の境地が伝わる最高傑作です。画像で今見ると、まぁよくあるような地味な感じの屏風絵に見えるんですが、ナマで見ると全く印象が違いました。やっぱりアートは目の前で作品を見てナンボだなぁと思った作品です。

第1位:運慶展

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そして、今年度第1位は、「運慶展」です。運慶を中心に、その父・康慶や康弁、湛慶といった弟子に至るまで、慶派仏師達が約800年前に作り上げた国宝級の最高傑作達が東京国立博物館に大集結した、奇跡的な大回顧展となりました。

豪快かつ写実的で漢臭い彫刻群は、ミケランジェロを彷彿とさせましたが、慶派仏師って、ミケランジェロより約400年も古いんですよね。インド~タイ~中国~朝鮮半島を通じて、約1,000年かけて6世紀に日本に伝わってきた仏教美術が、その後500年をかけて独自発展した究極形がまさに「運慶」に代表する慶派仏師たちだったのだなぁと思うと、感慨深いものがありました。 

▼八大童子立像
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引用:運慶展公式図録より

ちなみに、関東在住の人は、1月13日で金沢文庫でもうひとつの「運慶展」を味わうことができますね。もちろん駆けつける予定です! 

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2.次点となった展覧会も少しだけ紹介

ここまで2017年の展覧会マイ・ベスト10を書いてみましたが、それ意外にも印象に残った素晴らしい展覧会は沢山ありました。ここで、惜しくもベスト10から漏れてしまった展覧会をいくつか紹介したいと思います。 

「大エルミタージュ美術館展」

ここのところ、ずっと3年に1回のペースでテーマを微妙に変えながら頻繁に開催されている「大エルミタージュ美術館展」。確かに教科書に載るくらいの超有名目玉作品はないのですが、どれも水準以上のハイレベルな作品群ばかりでした。16世紀~19世紀までの各国の美術史の流れがしっかり抑えられるという点で、初心者が体系的にアートを学ぶにはちょうどよかった展覧会でしたね。

「怖い絵展」

レビュー記事が珍しくはてなでバズったのですが、Googleには嫌われてしまいました(笑)神戸・東京の両方で見ることができました。来ている作品のクオリティは正直あまり大したことはないのですが、絵画に秘められたストーリーや意味を紐解きながら鑑賞するという、新しい絵の楽しみ方を広めてくれたと言う意味で、画期的な展覧会となりました。しかしそれにしても大混雑だったよな~。

 

3.2017年の美術展・展覧会を総括!

ますます企画内容が多様化する展覧会

今年も、国立新美術館や東京国立博物館など、関東・関西の大きなハコを中心に展覧会を回ったのですが、2017年に目立ったのは、従来は百貨店や小さいハコでしかやらなかったような、いわゆるファイン・アートの周辺領域に位置する分野の展覧会が、いよいよ大規模な企画展として紹介されるようになってきたということです。

▼マーベル展:歴代アイアンマンが!!
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例えば、ちょっと印象的だったのを挙げてみるだけでも、「マーベル展」(アメコミ)、「ファッションとアート展」(ファッション)、「技を極める―ヴァン クリーフ&アーペル ハイジュエリーと日本の工芸」(ジュエリー)、「デヴィッド・ボウイ展」(音楽)、「新海誠展」(アニメ)等々・・・。

また、「ドラえもん展」(現代アート&アニメ)など、素人目から見ても、ファインアートとサブカルの境界線はすでにどこにあるのかわからない状態になっていますし、身の回りのあらゆる「美しいもの」「珍しいもの」「楽しいもの」が、採算が取れるとみなされたら、即座にパッケージ化されて、展覧会としてまとめられる時代なのですね。

従来であれば、ハイエンドなアート領域の展覧会開催しか許さなかった大箱の美術館ですら、積極的に周辺領域を取り上げ、お客さんも気軽に「体験」を求めて足を運ぶ・・・。美術館のあり方・楽しみ方がハッキリ「変わってきているんだな」と実感した1年となりました。 

地域芸術祭もあちこちで開催された2017年

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また、今年は映画館通いも忙しかったので今ひとつ回りきれなかったのですが、地域芸術祭も「飽和状態なのでは?」と思えるくらいたくさん開催されました。

結局、きちんと行けたのは「市原アート×ミックス2017」「ヨコハマトリエンナーレ2017」「越後妻有・大地の芸術祭(常設)」くらいでしたが、普段の美術館での企画展とは全く違う楽しみ方ができるのも地域芸術祭のいいところ。レンタカーを借りて旅行気分で回ったり、みんなでわいわい言いながら鑑賞したり。今年は、懇意にしている先輩ブロガーさんと一緒に回れて本当に楽しかったです。(でも記事に書いてないのですが^_^;)

旅行に行って、美味しいものを食べて、観光もして、そのついでに地域芸術祭も見てくる!というくらいの軽い気持ちで楽しむだけでもOKなのが、地域芸術祭のいいところ。来年はもっと沢山見て回って、しっかり記事を書きたいなぁと思います。

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伊豆・箱根の美術館の充実ぶりが凄い!

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そして、2017年は、東京以外の美術館・博物館にも色々遠征しました。大体は旅行と組み合わせて行くようにしましたが、積極的に美術館目当てで遠征したのは、伊豆・箱根の美術館です。

ぶっちゃけ全部先輩ブロガーの遠征にお供させて頂いただけなのですが、国宝級のお宝と優雅な展示空間・レストランが素晴らしかった、リニューアルされたMOA美術館、実は珠玉の近代西洋画コレクションが凄い下田の隠れ家的な上原美術館、今年の秋から写真撮り放題になったポーラ美術館など、伊豆箱根地域には本当によく行きました。

東京から遠い分、少しでもお客さんに来てもらおうと、「写真撮影OK」や「会館リニューアル」、「キレイで美味しいレストラン」など、独自の工夫を重ねて、集客につなげようとする経営姿勢も素晴らしく、気持ちよく訪問させていただいた美術館が多かったです。

その他、ヴァンジ美術館(長泉町)、岡田美術館(箱根)、静岡市美術館(静岡)などもよかったな~。この地域、来年ももっと通いつめたいと思います!

アート映画の公開が非常に増えた2017年

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映画「ジャコメッティ」より
©Final Portrait Commissioning Limited 2016

上映公開された対象作品の半分くらいしか見れなかったのですが、2017年は本当にアート関連映画の上映が増えた印象です。アーティストの伝記映画から、現在も活躍する現代アート作家の密着取材もの、展覧会の「裏側」を覗くドキュメンタリー、美術館のコレクションを高精細画像で楽しむ「見る」美術館的な企画など、多彩なラインナップとなっていました。

公開館数を絞り込んでいることもあるのでしょうが、どの作品も比較的しっかり座席が埋まっていたのも印象的でした。アート映画って、地味に儲かるんですかね?!

特に、アートブロガー、Takさん(@Taktwi)に誘っていただき、セザンヌの伝記映画「セザンヌと過ごした時間」を制作したダニエル・トンプソン監督にインタビューする機会をいただけたのは良い思い出になりました。かわいいおばあちゃんでした^_^;

2018年も、1月5日公開「ジャコメッティ」や、GW公開「モリのいる場所」など、映画作品単体として見ても、きちんと見ごたえのある作品が相次いでリリースされる予定ですね。今年こそ全部網羅したいと思います!

また、映画公開だけでなく、HuluやNetflix、AmazonPrimeといった動画配信大手でも、アート系コンテンツがちらほら目立つようになってきましたね。今度落ち着いたら、ちょっとまとめて紹介する記事でも書いてみようかな。この刀剣映画は何度も見ました。(テキトーに家事の合間に「ながら見」してただけなんですが

まだまだ玉石混交な状況で、正直コレはどうなの・・・?!っていうクオリティの映画もありますが、それでも「映像でアートを楽しむ」という、アートの楽しみ方の選択肢が確実に増えてきたのは良いことだと思います。展覧会で絵を見て、映画で別の角度から復習・予習ができる・・・。あるいは、ヨーロッパに行かなくても、その美術館に行った気分になれる・・・良い時代になりましたよねぇ。

「週刊ニッポンの国宝100」は誌上美術展状態!

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そして、今年初めてアート系の分冊百科も定期購読してみました。毎週毎週、必ずアート作品と誌上で出会えるようになり、自分の中で新しいアートの楽しみ方が増えました。それが、小学館から2017年10月に創刊された「週刊ニッポンの国宝100」です。

日本全国に点在する約1,100点の国宝の中から100点を厳選し、全50冊の配本で、1冊につき2点ずつ紹介していく形の分冊百科本です。

分冊百科本なんて、コスパも悪いし、どうせ中身もスカスカなんだろう・・・と思ってこれまで一切読んだことがなかったのですが、この「ニッポンの国宝100」は、小学館が国宝120周年記念事業として取り組むだけあって、クオリティが断然違ってました。

美麗なカラー写真に、初心者でも理解しやすく、かつ勉強になる多角的な解説は、まさに僕のような初心者にぴったり。まさに、誌面上で毎回ヴァーチャル展覧会に参加しているような気分になれるという意味で、分冊百科本の良さを再認識するきっかけになりました。 

4.最後に~2018年度の展望

終わってみれば、関西遠征・地域芸術祭・アート映画・分冊百科本・隣接領域の展覧会と、本当にいろいろな切り口でアートを楽しむことができました。

とは言っても、今年から本格的にどっぷり浸かり始めた「映画館通い」と2足のわらじになってしまい、日程的に取りこぼして痛恨の「見逃し」をやってしまった展覧会もいくつかありました。来季は、最強アートブロガーのはろるどさん(@harold_1234)やTakさん(@taktwi)のように200以上こなすのは無理だとしても、最低月10展ペースでは回りたいなぁと思っています。

2018年は、特に西洋絵画の展覧会が充実しています。ハイライトは、史上最大規模の「ムンク展」「フェルメール展」「ルーベンス展」が10月に一斉に上野で開催されることです!10月は上野公園が凄いことになりそうですね?!春季も、肖像画を大特集する「ルーブル美術館展」「ターナー風景の詩展」「ブリューゲル展」「ルドン秘密の花園展」「至上の印象派展ビュールレ・コレクション」など、見どころたっぷり!

ということで、以上、2017年の振り返りと、2018年の簡単な展望を書いてみました。2017年は、アートについて本当にたっぷり楽しんだ1年間でした。来年は、今年以上に深く楽しみつつ、もっと沢山のレビュー記事や情報記事を書きたいなぁと思っています。

アートファンの皆様、良いお年を!
かるび

参考資料

「美術展完全ガイド2018」

2018年に開催される主な大型美術展を網羅し、見どころをいち早く紹介してくれているムック本です。陶磁器や仏像など、工芸・彫刻などマイナージャンルにもきっちり言及しつつ、大型の展覧会はまず100%網羅してくれています。地方で開催される主な展覧会も紹介してくれていて、使いやすいムック本です。

「日経おとなのOFF」

こちらも毎年定番のアイテムとなっていますが、今年は特に付録が充実しています。今年は、フェルメールのクリアファイル、美術展ハンドブック(これ、使える!)、2018年名画カレンダーと3つもついていて、これで800円は凄い!迷わず「買い」でいいんじゃないでしょうか?僕も見た瞬間速攻で抑えました!

【ネタバレ有】「君の名は。」感想・考察と疑問点の徹底解説!/超ロングランの大ヒットアニメ映画!

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【2018年1月3日最終更新】
※あらすじ紹介以降、かなりのネタばれを含みます。ご注意を!

かるび(@karub_imalive)です。

新海誠監督の最新アニメ映画「君の名は。」は、素晴らしい映画でした!

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何度リピートしても楽しい、よく考えられた脚本や伏線、ストーリー、設定などに加え、「新海マジック」と言われる作画へのこだわりや、練り上げられた映像美も非常に良かったです!

本エントリでは、映画のあらすじや感想、伏線などを書いていますが、かなりの部分でネタバレを含みます。あらかじめご了承下さい。

1.映画「君の名は。」基本情報

<オフィシャル予告動画>

動画がスタートしない方はこちらをクリック

【公開日】2016年8月26日(金)
【監督】新海誠
【作画監督】安藤雅司
【キャラクターデザイン】田中将賀
【音楽・サントラ】RADWIMPS

足掛け3年の月日をかけて制作された、新海誠監督の勝負作品となった本作は、作画・ストーリー・舞台設定・演出全てにおいてハイレベルで密度の濃い大作映画となりました。新海誠本人が手がけた原作小説、コミカライズの他、2016年10月から、小海町、飛騨、東京と「君の名は。」展や、2017年「新海誠展」など、各種展覧会も話題を呼びました。

関連記事
「君の名は。」展に行ってきた感想!

2.興行収入&動員数やこれまでの評価など

興行収入、動員数のまとめ

観客動員数も絶好調。最終的に、興行収入は250億円を突破。ちなみに、アニメ映画の興収歴代ベスト5はこんな感じです。

★アニメ映画興収ベスト5
1位「千と千尋の神隠し」(308億円)
2位「君の名は。」(250億円)※2017年12月現在
3位「ハウルの動く城」(196億円)
4位「もののけ姫」(193億円)
5位「崖の上のポニョ」(155億円)

 

宮崎アニメのエッセンスを取り込んだのもヒットの要因か?

宮﨑駿監督が一旦アニメ制作から引退した空白期間、潜在的に興収100億円超を稼ぎ出せる市場がぽっかりと開いている状況でした。ジブリ直系の米林宏昌や、細田守、神山健治ら次世代のアニメ映画監督がポスト宮崎駿の座を伺う中、その市場スペースを埋めたのが今回の「君の名は。」だったとも解釈できます。

実際、新海監督はここ数年、ジブリの王道アニメのエッセンスを自分のモノにするためのステップをしっかり踏んできています。前前作「星を追う子ども」は、メジャー化を目指し、宮崎アニメの表現方法を作品中において意欲的に試した実験作でした。そして、今作で作画監督を務める安藤雅司氏は元ジブリ出身であり、キャラクターデザインを担当した田中将賀氏は、大ヒットした青春アニメ「心が叫びたがってるんだ」「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」で実績を積んだ業界のエース格。確実にジブリ映画などの大作アニメのエッセンスと、自身の作風の融合を図ろうとしていたのです。実際、普段アニメを見ないライトな映画ファンの中には、今回の「君の名は。」を宮崎アニメの新作だと思っている人も多数いたようです。 

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3.「君の名は。」結末までのあらすじ(※ネタバレ注)

父親と東京の都心に住む男子高校生・立花瀧(たちばなたき)と、岐阜県の山奥の糸守町(いともりちょう)に住む女子高生・宮水三葉(みやみずみつは)。朝起きると、ひょんなことから二人の意識が入れ替わり、ドタバタ生活が唐突に始まるところからストーリーが始まります。

意識の入れ替わりがなぜ起こるのかは不明。二人は、当初、単純にリアルな夢を見ているのだと思っていました。しかし、朝起きると、週に2~3回ランダムに二人の体が入れ替わっているので、これは夢の出来事ではなく、これが現実世界の出来事であると認識し、互いの実在を確信するようになっていきます。

入れ替わった先では、当然お互いの生活のディテールが良くわからないし、入れ替わりは突然起こります。対策として、入れ替わった日の一日の終わりに、お互いのスマホにメッセージを残し合うという風変わりな形で、二人は交流を始めました。

戸惑いつつも、二人はやがてお互いの入れ替わった先の生活に次第に慣れて、楽しめるようになっていきます。三葉はあこがれだった都会生活を満喫し、瀧のアルバイト先のマドンナ的存在、大学生の奥寺先輩と交流を深めます。一方で、瀧は田舎の学校生活で一目置かれる存在になり、男子・女子限らずモテまくる毎日に。

ところで、三葉の家系は、祖母、一葉の代から糸守町の氏神様、宮水神社の神主を務めてきました。三葉とその妹、四葉は、ともに巫女としての家業を務める毎日です。

糸守選年の歴史が刻まれている組紐(くみひも)作りや、神楽を舞い、ご神体に奉納する口噛み酒を仕立てる神事などもこなします。

口噛み酒作りは神聖な儀式ですが、衆人環視の前で米を噛んで自分自身の唾液と混ぜて、升の中にゆっくり吐き出して作る工程は、やはり見られると恥ずかしいもの。三葉の密かな悩み事でもあるのでした。

ある朝、三葉と入れ替わっていた瀧は、一葉、四葉と山の上にある宮水神社のご神体へ、神事で三葉が作った口噛み酒を奉納しに行くことに。その際に、地域の伝承を一葉から聞くことになります。「口噛み酒はあんたらの半分なのだよ」と一葉に言われるもその時は意味もわからず、糸守町の方言で、「黄昏時(たそがれどき)」を表す夕暮れの「カタワレ時」を迎えるのでした。 

そんな二人が入れ替わり生活に馴染んできたところで、ある日、瀧は、あこがれの奥寺先輩とデートにでかけることになります。入れ替わっていた三葉が設定してくれていたのです。デートの日、瀧は本来の瀧として奥寺先輩と会うことになりますが、三葉はなぜか胸騒ぎがして、涙が流れてしまいます。(この時点でもう瀧のことが好きになっていた暗示)

三葉は、結果が気になって実際に瀧に会いに行こうと東京に出掛けますが、デート当日、瀧への携帯はつながらず、二人のデートシーンには会えませんでした。

三葉が代わりに会えたのは、中学生だった瀧でした。

なんと、二人の間には3年の時差があったのです。2016年に生きる瀧と、2013年に生きる三葉。二人は、時空を超えて入れ替わっていたのでした。

三葉の世界線である2013年は、瀧はまだ中学生。奥寺先輩とは面識がなければ、三葉にも会ったことすらないわけです。

偶然、中学生の瀧を満員電車の中見つけてしまった三葉は、瀧の無反応にいぶかしくも思いますが、なんとか別れ際に一声かけ、自分の髪をゆわえていた組紐を瀧に渡して岐阜に帰り、失意のうちに髪を切ってしまうのでした。(小説版では、失恋に似た感情を覚えたためと描かれている)

一方で、2016年の瀧は瀧で、何故か奥寺先輩とのデートだというのに、三葉のことが気になってデートに集中できません。デートで立ち寄った六本木の国立新美術館の展示で、偶然糸守町の写真展示を見つけてしまい、奥寺先輩をそっちのけで食い入るように見つめる瀧。奥寺先輩には上の空であることを見透かされ、「今は別の好きな人ができたんでしょ」と言われてしまう始末です。

そして、それ以降なぜか二人の入れ替わりは、二度と起きませんでした。

入れ替わりが途切れてしまった瀧は、三葉のことが気になって仕方ありません。そして、自ら描いたスケッチを片手にとうとう現地入りし、糸守町の場所をつきとめます。

しかし、行ってみたら糸守町は3年前、2013年の彗星落下災害で消滅してしまっており、図書館で見つけた犠牲者名簿に三葉の名前を見つけてしまいます。瀧は、ようやくここで全体像を理解します。三葉は亡くなってしまったので、入れ替わりがストップしていたこと、実は入れ替わりは3年の時差があったことを悟ったのでした。

その時、瀧は三葉となってご神体に奉納した口噛み酒を思い出し、これを飲めばもう一度入れ替わりがおきるのではないかと思い、衝動的にご神体のある山上へ向かいます。ご神体の中には、三葉が作った3年前の口噛み酒がありました。瀧が、ためらわず口にすると、瀧の推測通り、3年前、つまり2013年の彗星落下直前の三葉に入れ替わりが起きます。三葉は、代わって山上の2016年の瀧へと入れ替わり、眼前の糸守町の消失を見て呆然とします。

2013年の三葉に入れ替わった瀧は、糸守町で幼なじみのサヤちんとテッシーの力を借りて、彗星落下から村人を安全な場所に避難させる作戦を立てます。瀧は、何故かその時山上のご神体に三葉の気配を感じ、三葉を呼びます。

そして、神様が気まぐれを起こすという、カタワレ時(=夕暮れ時)がやってくると、互いの姿が目の前に顕れ、二人のこころとからだが元通りに戻り、二人は初めて対面を果たします。瀧は、3年前電車の中でもらった組紐を、三葉に渡して、彗星の災害から糸守町を守る作戦を引き継ぎます。

しかし、カタワレ時が終わると、二人はまたお互いが見えなくなってしまい、お互いの名前すらなぜか忘れてしまいます。それでも、三葉は糸守町を守る作戦を成功させ、彗星は落ちて町は消滅したものの、大半の町民は無事に生き延びたのでした。そして、三葉や町民たちは、東京でそれぞれの新たな生活をはじめました。(つまり歴史が書き換わり、三葉は死ななかった)

それから数年が経ち、大学生になった瀧は就職活動を経て、社会人になります。記憶が風化する中、「ずっと何かを、誰かを探しているような気がする」と漠然と心に引っかかりながら毎日を過ごす瀧。そこで、とうとう偶然に東京で瀧と三葉が出会います。お互いの名前は思い出せないけれど、大切な人。そして、二人は同時に、四谷の須賀神社の階段上で、「きみの、名前は・・・?」と問いかけをするシーンで、ハッピーエンドとなりました。

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4.映画「君の名は。」伏線や設定の考察・解説!

ムダのない設定と見事な伏線回収

伏線の設定と回収は見事でした。物語序盤で紹介される、夜と夕方の境目であるたそがれどきを表す糸守町の方言「カタワレ時」、宮水神社で巫女の手によって作られる「組紐」(くみひも)、祭祀の際に巫女の唾液を介して造られる世界最古の酒「口噛み酒」(奉納される際に組紐で封印される)これらが物語中で有機的に絡み合い、時を超えて二人が結ばれる媒介物となっていきます。

カタワレ時f:id:hisatsugu79:20160826223824j:plain

物語クライマックスで、瀧が三葉の「口噛み酒」を飲み、再び入れ替わりが起きると、時空の境目を象徴する「カタワレ時」にとうとう二人は正位置で再会します。その、僅かな時間の間に、2013年の満員電車内の出会いで、三葉から瀧に手渡された「組紐」が、再び三葉に戻ります。

そして、それを媒介していたのが、「組紐」同様、二人の絆を暗示する「彗星」で、組紐と相似形なのであります。

また、舞台の「糸守町」という、組紐を連想させる名称や、主人公の「瀧」(さんずいに竜)という彗星を暗示させるような名前もすごく良かった。

ちなみに、「糸守町」は岐阜県の飛騨高山地方をモデルにした、架空の地名です。飛騨高山から、さらに奥地に入った山間の小さな町、という設定です。(聖地巡礼はできませんのでご注意!)

なぜ瀧と三葉の入れ替わりは起こったのか

先に見てきたとおり、男女の運命的な出会い”ムスビ”の象徴である組紐。入れ替わり能力のある(=夢を見る能力)シャーマン的な特殊能力を先祖代々受け継ぐ宮水家の巫女として、三葉は夜になると日頃から神社の内職として組紐を作っていたシーンが描かれていますね。

組紐とは(『伝統工芸って何?』より引用)
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見て分かる通り、組紐は、たくさんの糸をより合わせて作る古来からの伝統工芸品です。映画内では瀧と三葉の「ムスビ」を強く暗示させるアイテムとなっているのですよね。

そして、三葉自身の手によって紡がれる組紐の中でも、特にお気に入りのものは、三葉自身が髪に結わえていたのでした。実は、2013年時点で三葉はこの組紐を満員電車での別れ際に中学生の瀧に手渡しているのです。

タイムパラドックス的な状況ではありますが、この2013年の最初の出会いの時点で三葉と瀧は「組紐」を通してムスビの関係となり、三葉の入れ替わりの相手が瀧に確定したのだと解釈できます。そして、2016年、その入れ替わりが発動するとともにストーリーが動き出したのでした。

「糸守町」が岐阜の飛騨地方の山奥の街に設定された理由

三葉の住む糸守町は、岐阜の飛騨地方の山間部の架空の町という設定です。新海監督は、記者会見にて

「神秘的な雰囲気と、知られざる歴史を積み重ねてきたような場所というイメージで選んだ。あとはストーリー上、東京から、遠すぎず、近すぎずという距離感」

と飛騨を舞台に選んだ理由を明かしています。

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劇中で、三葉がいてもたってもいられなくて、奥寺先輩と瀧が東京でデートするところに会いに行こうとするシーンがあります。これ、本当に行けるのかと、「ジョルダン」で確認してみました。確かに、飛騨高山からなら何とか半日あれば東京まで会いに行けますね。

セカイ系的なストーリー展開

新海監督といえば、過去作品「ほしのこえ」に代表されるように、世界で起こる出来事の全てが恋人たち二人だけの関係に収斂していくセカイ系的なストーリー展開がお家芸です。今作も、もちろん前作同様に、設定や伏線のすべてが、物語終盤の二人の再会という一点へと収束していく流れは、セカイ系的な要素を確実に含んでいる映画と言えると思います。1200年に一度、周期的に大災厄をもたらす「彗星」までもが、時空を超えて二人をつなげ、結びつける強い「組紐」として描き出されました。

3年ずれた異世界同士での意識の入れ替えに伴う設定には、細かい破綻や描写不足もあらを探せば沢山見つかるのですが、強い感情を伴うセカイ系的ハッピーエンドの前には、(まぁ細かいところは・・・いいか。感動したし!)という気にさせられるわけです(笑)

5.「君の名は。」の魅力とみどころ

「空」を中心に緻密に描かれた美しい風景

新海誠監督の映画の最大の特徴は、星の見える「空」の風景を中心として、美しく緻密に描かれた作画です。苦手(であろう)キャラクター等のデザインは田中将賀氏に任せ、自身は美術監督として、強いこだわりを持って写実的に背景を描き込みました。

特に、注目したいのは「空」の表現。全体的に乳白色のフィルターが掛かったような幻想的な「新海マジック」と表現される独特の画風と、光線の美しさは、ラッセンやフェルメールを彷彿とさせます。

また、シーンの要所要所で挟まれ、状況に応じて様々に表情を変える「空」だけの風景に各シーンでの主人公たちの心象風景を暗喩的に語らせる手法は、新海監督の18番とも言える表現手法です。是非、2度目以降リピートする時は、背景、特に表情豊かな空の風景を楽しんでみてください。

試しに、公開動画から何枚か見てみます。

神社のシーン(空の多彩な表情に注目)f:id:hisatsugu79:20160826223221j:plain

糸守のご神体。空からのカメラ位置、背景には雲海f:id:hisatsugu79:20160826224007j:plain

電車のシーンf:id:hisatsugu79:20160921161230j:plain

新海監督の映画では、毎作必ずここぞ!という大切な場面で「電車」のシーンが多用されます。電車の中のシーンや、プラットフォームでのシーン、踏切のシーンなど幾つかタイプはありますが、作品における「電車」が暗示するものは、二人の別れやすれちがい、孤独感(たいてい立って窓の外の風景を見つめている)です。

今作も、いちばん大切な「組紐」を三葉が中学生の瀧に手渡すシーンは、満員電車の中、「二人の別れ」あるいは「絆のきっかけ」として描かれました。

思春期の繊細で一途な心情描写

今作は、新海誠作品のお家芸である「SF的な舞台背景」で若い男女が出会って恋に落ち、「遠距離」でのすれ違いや葛藤を乗り越え、再び出会う所までを描く王道的ストーリーです。純粋でちょっと奥手なところもある二人が、物語が動き出す中盤以降に心の赴くまま相手のことを思い、一途に行動する若さや青春っぽさも見どころです。

「入れ替わり」の設定に甘えず、ストーリーとしての面白さを追求

男女、親子体が入れ替わる「とりかえばや」的ストーリーは、昔から「らんま1/2」や、東野圭吾「秘密」、最近だと押見修造の「ぼくは麻理のなか」など多いですよね。

今作は男女の体の取り替えっこによってもたらされる男女の「性差」から起きる設定に甘えたドタバタ劇に単純に終始することなく、入れ替わりでの葛藤や、お互いのコミュニケーションを通した心情の変化や、紡がれるストーリーそのものに主眼が置かれています。

そして、3年の時差をおいた入れ替わりのトリック。タイムトラベルSF的な要素が、ストーリーの面白さを倍加させていました。

東日本大震災へのオマージュ。被災者にも勇気を与える映画

また、新海監督は明言していませんが、この1000年に一度の彗星がもたらす周期的で不可抗力な天災の描かれ方は、我々日本人に東日本大震災を強く想起させます。

物語序盤で紹介された糸守町で起こった「繭五郎の大火」により、古文書が失われたエピソードは、長期間の間に風化する被災や災害の記憶を伝え続けることの難しさを象徴していました。1200年前に落ちた彗星によって地形が大きく変わり、湖が出来るほど甚大な大災厄の歴史も、年月を重ねる中、長年の間に風化していきます。「つなみてんでんこ」という、100年以上前に起きた津波被害の言い伝えや教訓が忘れ去られ、甚大な津波被害を出してしまった東日本大震災の前夜のような状況でした。

ただ、彗星落下後に壊滅した糸守町を出たてっしーやさやちんら、三葉の仲間がきちんと避難先の東京で新生活を始めるシーンなど、再生に向けて立ち上がる人間のある種のしぶとさ、力強さがきちんと表現されていたのは良かったです。

6.過去作品よりわかりやすい形でのハッピーエンド

公式ビジュアルガイドに掲載された新海監督のインタビューに、こんなメッセージがあります。ちょっと長いですが、引用します。

今回、奥寺先輩が瀧に”君もいつかちゃんと、幸せになりなさい”というセリフがあって、ちょっと謎めいた言葉にも聞こえるかもしれないけれど、あれはお客さんに対する僕の気持ちでもあるんですよ。[・・・]誰かの幸せを願うような作品にできたらいいなと。[・・・]日常がいつかなくなってしまうかもしれない感覚って、みんな日に日に強く抱えるようになっていると思うんですよ。でも、あと少しだけでいいからこの状態を続けていたい。好きな人と一緒にいたい。幸せって、そういう切実な想いの中で初めて見いだせるものだとも思うんです。 

新海監督の映画では、幸せへの渇望や喪失感を心の中に秘めた主人公が頻繁に描かれます。過去作「言の葉の庭」「秒速5センチメートル」では、出会ったふたりは最後まで結ばれることなく、切なくエンディングを迎えました。

しかし、今作は、二人は数年の時を経て、何度もすれ違って観客をハラハラさせつつも、ようやく最後にお互いへとたどり着きました。新海作品史上、一番わかりやすい形でのハッキリしたハッピーエンドは、新海監督の思いを届けるために必要な結末だったのかもしれません。

7.まとめ

今作は、新海監督作品の「難解さ」を薄め、わかりやすさを全面に出した監督にとってのメジャーデビュー勝負作でした。観客にどう「伝わるか」を真剣に考え、「エンターテイメント性を重視した」という監督のインタビューでの言葉通り、脚本制作だけで6ヶ月もかけた、練りに練ったストーリー。わかりやすいハッピーエンドでの結末、王道のラブストーリー的展開が、往年の宮﨑アニメのように広くファンの心を掴んだといえると思います。

新海監督が「107分間、1分も退屈させないように作り込んだ映画」と言う通り、コンパクトで完成度の高い作品でした。文句なくおすすめです!

もっと「君の名は。」を楽しむために・・・

「君の名は。」Amazon限定スペシャル・エディション

配信やTV放送でチェックして、「良かった!」という方には、やっぱり永久保存版としてDVD/ブルーレイの購入がオススメ。特におすすめしたいのは、【Amazon限定】スペシャルバージョンブルーレイ/DVDです。スタッフやキャストへのスペシャルインタビューなど、特典ディスク2枚+Amazon限定特典(描き下ろしA4特製フレーム+特殊加工ポストカード2枚組)がついてくる他、割引率も高いです!

僕も、なんだかんだで結局2ヶ月に1回くらい定期的に見直しています。何回見ても新しい発見がありますね。

ノベライズ版・外伝小説も味わい深い!

約120万部を売り上げ、オリコン2016年度文庫本ランキングでNo.1となった原作小説。映画の世界観そのままを文章に詰め込んだ感じ。映画と小説を両方味わうことで、より深く作品を楽しめますし、複雑な伏線をスムーズに理解するための予習復習にも非常に有用です。監督の書き下ろす小説はこれで3作目ですが、着実に小説の腕も上げている印象。

今作の脚本協力として活躍した加納新太氏による外伝です。こちらも約30万部を売り上げる大ヒット。本編に収録しきれなかった伏線部分やサイドストーリーを、主人公以外の視点(四葉、トシキ、テッシーなど)で描き出しています。本編では単なる悪役にしか見えない父親トシキの秘めたる苦悩、糸守町の秘密や伝承など、本編を深く理解し、楽しむために非常に役に立つ骨太な作品でした。2周目を楽しむため、もっともオススメしたい必読の書です!

マンガでも楽しめる「君の名は。」の世界!

各種設定資料集・ガイドブックもオススメ!

封切と同時に発売されたコミカライズ版第1巻。1巻では、物語前半部分が原作に忠実に描かれますが、このあと映画本編とは異なる展開・結末となる予定とのこと。絵柄は映画とそれほど変わらず、違和感はありません。

映画カットを使ったストーリーガイドに、監督・声優・RADWIMPSへのインタビュー記事、設定資料集など、映画を細部まで味わうためのガイドブックです。新海監督がこの映画に込めた想い、制作での苦労、超美麗な作画がどのようにして作られたのか、丁寧にまとめられています。基本的にはネタバレなので、映画本編を見終わった後に楽しむと良いと思います。

デビュー作「ほしのこえ」から今作まで、CM作品を含めて新海誠監督の業績を完全網羅した充実のまとめムック本でした。作品紹介、神木隆之介と新海監督の対談、画集パートなど、ファン垂涎の一冊となりました。文句なくおすすめです。

4万字以上の新海誠監督への超ロングインタビュー他、制作スタッフへのインタビュー、文化人からの推薦コメントなど、新海誠監督の「人物」に焦点を当てて制作されたムック本。この内容ボリュームで1,000円以内に抑えられており、かなりお得な一冊です。

「君の名は。」のキャラクターデザインや色彩設計、風景の美しさの秘密などを制作スタッフのキーマンたちにロング・インタビューした丁寧な記事作り。ほぼ1冊全部「君の名は。」特集です。色彩設計の三木陽子氏の「『君の名は。』の色彩設計は彩度が高いポップなものに振っている。思春期の若い人たちに向けた作品だから。」は納得。Kindle Unlimited指定書籍なので、読み放題の人は是非。

やりすぎなほど非常にディープな分析はさすが硬派な文芸誌。明らかにIQの高そうな読み手に響きそうな、長文での、こじらせてるんじゃないかと思えるほどの深読み映画評がズラッと並ぶ圧巻の内容でした。色々関連書籍を読んできて、最後にこれを読むのが正解かも(笑)。「君の名は。」を極め尽くしたい人にオススメです!

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