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【ネタバレ有】「劇場版ソードアートオンライン オーディナル・スケール」感想とあらすじ・伏線の徹底解説!/ハイレベルな集大成的オリジナル大作映画!

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かるび(@karub_imalive)です。

2月18日にリリースされた新作「劇場版ソードアートオンライン オーディナルスケール」(以下「劇場版SAO」と省略)を見てきました。2013年、2014年に放映されたアニメ版第1期、第2期のストーリーをベースにオールスターが出演する、ファン待望の集大成的な大作映画に仕上がっていました。作画・音楽・スケール感ともに、期待以上の素晴らしい出来です。

早速ですが、映画を見てきた感想やレビュー、あらすじ等の詳しい解説を書いてみたいと思います。

※本エントリは、ほぼ全編にわたってストーリー核心部分にかかわるネタバレ記述が含まれますので、何卒ご了承下さい。

1.映画「劇場版SAO オーディナルスケール」の基本情報

<オーディナルスケール予告動画>

動画がスタートしない方はこちらをクリック

【監督】伊藤智彦(「SAO第1期」「SAO第2期」)
【作画総監督】足立慎吾
【キャラ原案】abec
【原作】川原礫「ソードアートオンラインシリーズ」
【脚本】川原礫・伊藤智彦
【配給】アニプレックス/KADOKAWA
【製作】A-1 Pictures
【時間】110分

アニメ版「SAO第1期」「SAO第2期」とほぼ同じチームで製作された本作は、原作者川原礫が自ら脚本を担当するなど、原作やアニメの世界観を忠実に受け継いで製作されるなど、従来のファンは自然に入っていける作りになっています。

その一方で、今回がSAOに対して全くの初見だと、少し厳しいかもしれません。フルで楽しみたいなら、DVDや各種配信サイトでアニメ版第1期(Amazon Prime他)、第2期(U-NEXT)を見ておくことを推奨します。時間がない場合は、アニプレックスの公式動画として、約10分間で過去のアニメシリーズをまとめた動画があるので、そちらを最低限見ておきたいところです。

2.主要登場人物とキャスト

基本的には、ソード・アート・オンラインシリーズの主人公キリト、アスナの2人を中心とした攻略組や、過去ストーリーで彼らと深く関連したメンバーがほぼ総出演しています。重要キャラの一瞬だけのカメオ出演などは、ファン泣かせの嬉しいサービスでした。(※ここでは、主要キャラのみ紹介しておきます)

キリト(松岡禎丞)
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アニメ第2期でも新しいVRMMOに消極的だったが、今回のオーディナル・スケールでも今ひとつ煮え切らない感じ。もうアスナと仲良く満たされているからまぁ最初はこうなりますよね。しかし、中盤からはいつもの巻き込まれ体質と責任感で、本気で攻略を目指すようになります。

アスナ(戸松遥)
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囚われたり、記憶喪失になったりと、SAOシリーズでは一番危ない目に遭っているのは、やっぱりキリトを本気にさせるためにはストーリー上仕方ないところ(笑)しかしVRMMOだけでなく、ARでもちゃんと動ける身体能力はさすが。

ユナ(神田沙也加)
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神田沙也加の歌唱力は本当に安心して聴けるし、色々声色も調整できるのでこの起用は本当に良かったと思います。声優としても全く違和感ありませんでした。

エイジ(井上芳雄)
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やや棒読み演技が気になりましたが、思ったほど酷くはなかったかも。血盟騎士団のときと表情というか顔の造作まで違っているような・・・

重村教授(鹿賀丈史)
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あとで鹿賀丈史がやっていると言われるまで全く気づかなかった。それほど、ポット出の素人声優臭さがなくて板についていました。裏番組で「相棒劇場版」でも大活躍中ですね。

リーファ(竹達彩奈)
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今作では、クライマックスシーン以外はほとんど出番がなく、脇役陣の中では存在感は少し薄かったような。でも、クライマックスシーンで胸の谷間からユイが出てきたシーンでファンは満足でしょうね(笑)

シリカ(日高里菜)
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今作では非常に出番が多く、存在感がありました。意外に人気が高いキャラなんでしょうか?

リズベット(高垣彩陽)
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アニメ版でアスナのために身を引いてから、すっかりいい姉御ぶりが板についてきたリズベット。サイドストーリーでもいいので、新たな展開を用意してあげて欲しいところです。

シノン(沢城みゆき)
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今作はARだったので、普段着に近いメガネ仕様で戦闘に参加していました。遠隔攻撃は不利なオーディナル・スケールにおいて、一人気を吐くなど、出番は少ないながらも存在感はありました。

クライン(平田広明)
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今回は完全にやられ役。風林火山のメンバーが1名遅刻して来ないなど、現地集合が基本のARイベントの難しさをしれっと教えてくれます。

ユイ(伊藤かな恵)
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ARになり、出番が確実に増えたユイ。今回の映画では、「こんなことまでできるのか」とその無双ぶりに驚かされました。

その他、過去にアニメシリーズでキリト・アスナ達が絡んだメインキャラ達が様々な形で出てきますので、要チェックです。

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3.ラスト・結末までの詳しいあらすじ(※ネタバレ注意)

3-1.新たに流行したARゲーム「オーディナル・スケール」

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2024年11月7日、天才科学者、茅場晶彦が10000人のユーザーを人質に取ったデスゲーム「ソードアート・オンライン」(以下SAO)がキリトに攻略され、茅場晶彦が死んでから2年。そこで生き残った「SAO帰還者」達は、平和な日常生活を素過ごしていた。

それから2年後。従来ヘッドギアをかぶるフルダイブ型のVRMMOに代わり、最近急激に流行しつつあったのは、AR(拡張現実)型情報端末「オーグマー」だった。

専用端末機器を使い、仮想空間へと意識ごと転移しなければならない従来のVRMMOと違い、覚醒したまま現実空間で手軽に楽しめること、電磁波照射による危険性がないことから、オーグマーはすごい勢いで普及しつつあった。

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オーグマーの作り出すAR空間では、現実世界に仮想の情報を投影するため、目的地へのルート案内や、ゲーム・TVといった娯楽、お店の割引券や食べ物のカロリー計算、チャットなど、日常生活の広い場面で応用ができる便利な機能が沢山実装されていた。

帰還者スクールに通うアスナ、シリカ、リズベットはすぐにこの「オーグマー」に夢中になっていたが、VRゲームに慣れたキリトは、なぜかあまりこの熱気についていけず、乗り気ではなかった。

そして、オーグマーでリリースされた最新ゲーム「オーディナル・スケール」も話題になっていた。現実世界の各イベントスペースで出現するアイテムを集め、モンスターや対人バトルを進めていくRPGゲームである。戦闘等で勝ち進みポイントを集めると、ゲーム内のランクアップが可能になり、ランクに応じてゲームスポンサー企業から、様々なサービスを受けられるような仕組みが、ゲームの人気拡大につながっていた。

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また、ゲーム内では、AIで動き、歌って踊るヴァーチャル・ARアイドル「ユナ」がイメージキャラクターとして非常に人気を博していた。

3-2.オーディナル・スケールでのトラブル

ある日、キリトとアスナは、クラインから「オーディナル・スケール」を試さないか?と誘われた。キリトは気乗りがしなかったが、ゲーム内で旧アインクラッドのボスキャラが出現する、というきな臭い噂を確認してみたくなったので、参加してみることにした。

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その日の会場は秋葉原UDXだった。ゲームイベントスタートは21時。ユナの歌い出しと当時に、旧SAOの10層ボスモンスター「カガチ・ザ・サムライロード」が出現した。モンスターの攻撃特性を読み、敵を倒そうとするも、VRと違い、感覚の違いや体の重さが気になり、動きが鈍いキリト。ランクNo.2のエイジが大ダメージを与え、最後にアスナがトドメを差して、その日の戦闘は終了した。ユナは「ご褒美」と言って、アスナにキスをした。

エイジは、その後もレアアイテムを拾った他のプレイヤーを襲撃してアイテムを奪うなど、強くなるためには手段を選ばない男だった。

4月24日、ALO内のアインクラッド22層のキリト・アスナの山荘にいつものメンバーが集まった。仲間内の何人かに、1週間後に行われるユナのコンサートチケットが当たったようだ。剣道の合宿で行けないリーファと、乗り気ではないキリト以外、全員コンサートに行くことになった。

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翌日朝、剣道の合宿に妹、直葉を送り出すと、キリトはALOでアスナと落ち合い、閑散としたALO内について嘆いた。ALO内のクエスト・イベントも人が集まらず中止になったという。アスナと5月4日に流星を見に行く約束をして、その日はログアウトした。

一方、アスナはその晩も代々木公園で行われる「オーディナル・スケール」のイベントにクラインのギルド「風林火山」と一緒に参加した。ゲームがスタートすると、「ザ・ストームグリフィン」がアスナの前に現れた。アスナは、SAOでの攻略の記憶を元に、集団戦を上手に指揮して、見事に勝利を収めたが、クラインはエイジにギルド仲間を倒され、クライン自身もエイジに武器を奪われ、身動きが取れない中、モンスターに襲われて病院へ搬送された。

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翌日、キリトはアスナとデートの約束をしていた。アスナが現れるまでの間、代々木公園で「オーディナル・スケール」の練習を一人打ち込んでいると、白装束の見知らぬNPCの少女に出会ったが、白装束の少女はある方向を指差して一瞬で消えてしまった。この後、度々キリトは白装束のこの少女と頻繁に出会うことになる。

アスナと合流後、アスナと昨日の戦闘の感想と、No.2プレイヤー「エイジ」について話し合った。エイジは、元SAOの血盟騎士団「ノーチラス」ではないかと疑うアスナ。血盟騎士団では、優秀だったが敵と対決する勇気が出ず、活躍できなかった無名の存在だったという。

次の日21時からも、バイトで行けないシノン以外、アスナとシリカ、リズベットが「オーディナル・スケール」のイベントに参加した。きな臭さを感じていたキリトは、念のために総務省の菊岡へ連絡するとともに、自身はアスナ達と別行動で密かにソロで参加することにした。

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バトルでは、旧SAOでの91層のボスモンスターが出てきて、強すぎるモンスターを前に、その日アスナたちでは全く刃が立たなかった。エイジに突き飛ばされ、モンスターに襲われるシリカを庇ったアスナは、体力ゼロとなり、戦闘不能に陥った。キリトはエイジと対決するも、タイムアップとなってしまった。

その晩、アスナは夢を見ていたが、キリトのことや、旧アインクラッドでの記憶が急にぼやけてしまい、真夜中に目が醒めた。ALOへキリトを呼び出し、自身の記憶障害についてキリトに相談した。

翌日、キリトはアスナを病院へ連れて行き、精密検査をしたところ、脳機能に異常はなかったが、部分的に記憶障害を起こしているとの診断を受けた。ARイベントバトル以降、オーグマーが原因で記憶障害が進む現状に、キリトとの大切な記憶をなくして平常心を失いつつあるアスナだった。翌日、キリトは入院中のクラインも尋ね、クラインも旧SAO関連の記憶をなくしていることに気づいた。

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その晩、キリトはふたたび開催された「オーディナル・スケール」の東京ドーム前でのイベントに一人で参加していた。すると、シノンが駆けつけてくれた。そこで第18層のボスキャラ「ダイアンタスク」(※注:聞き取り間違ってたらすみません、修正します)が現れた。キリトはこれを倒し、ユイは東京ドーム上空を飛んでいたドローンに吸い込まれていくSAO生還者の「記憶」を追って、ドローンの中に入っていくも、途中で侵入できなかった。キリトは、シノンの助けもあり、戦いに勝利した。そして、キリトがこれまで白装束の少女と出会い、その都度少女が指差した場所をプロットしてみると、大岡山の東都工業大学が浮上した。

3-3.黒幕、重村との対決と、キリト達の最終決戦

翌日、キリトは東都工業大学の重村教授の授業に潜り込み、授業終了後重村教授にオーグマーと記憶障害の関係性について指摘したが、重村ははぐらかした。キリトは、続いて総務省の菊岡に連絡して、すぐにオーグマーの使用を中止させるよう進言したが、菊岡は、すぐには難しいと回答した。

その晩、キリトはアスナの家を初めて訪問した。母親は留守だった。アスナの記憶障害は進行しており、最近約束した埼玉の山で星を見る約束まで忘れてしまっていた。アスナは忘れないよう、日記をつけていた。キリトは、それを見てアスナの記憶を絶対に取り戻すと誓った。

翌日、重村は、エイジに「計画を急いで進捗させろ」と指示を出した。キリトに感づかれたからだ。一方、キリトはその晩、明治神宮の参道内で、白い装束の少女と初めて言葉を交わした。ユナと白装束の少女が同一人物であり、少女が旧SAOにいたことを思い出した。白装束の少女は、キリトにもっとランクを上げないとオーグマーの裏で動く計画には近づけない、とアドバイスをした。

キリトは、オンラインで直葉に連絡をして、剣道について一から学び直し、来るべき決戦に備えるのだった。

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キリトは、翌日から、ユナのライブ当日まで毎日「オーディナル・スケール」の各イベントをはしごして、片っ端からボス戦をこなして、ポイントを取得していった。最終的には、1ケタ順位までアップするのだった。

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そして、いよいよユナのライブの日がきた。場所は新国立競技場。クライン以外の仲間がスタンドに座ってライブを待つ中、キリトは、地下駐車場でエイジと対決していた。腕を挙げたキリトは、エイジと互角以上の戦いをしたが、エイジの肉体機能をブーストする装置に気づくと、これを素手で外して、エイジを倒すことができた。

ライブがスタートすると、監修が興奮する中、重村教授は、かつての教え子、茅場に「オーディナル・スケール」を開発した真の目的は、旧SAOで命を落とした娘ユウナをAI化して、再構築するために娘ユウナの記憶を持つSAO帰還者をライブ会場へと一堂に集め、彼らの記憶を奪い取ることだったと述懐した。

ライブが終わると、ファイナルイベントとして、その場に無数のボスキャラ達が現れた。会場は大混乱に陥り、観客たちは逃げ惑ったが、出口は封鎖されて会場内から出られなかった。観客たちの恐怖がピークに達したところで、ライブ会場に設置したドローンから一気にSAO帰還者から記憶の高出力スキャンを行うと、かつてナーヴギアと同様に、全員死んでしまう可能性があった。

白装束の少女、ユウナは父、重村教授に「こんな形での復活は望んでいない」と止めようとしたがムダだった。また、重村は、キリトとの戦いに破れ傷ついたエイジからも、ユウナの記憶を吸い取ろうと画策し、エイジのもとにボスキャラを1体送り込んだ。

ユウナは、キリトに、アインクラッド100層のモンスターがアイテムとして落とす剣を使えば、一瞬でライブ会場に現れたモンスターを倒せるはずなので、アインクラッド100層で戦ってきてほしいと懇願した。ユウナは、キリトたちを第100層へと送り込んだ。

そこでボス戦が行われたが、ユイがかつての仲間たちを召喚し、アスナも勇気を出して戦ったため、何とか100層のボスを倒すことができた。ボスがドロップした剣をコンサート会場に転送されたキリトが振るうと、ほぼ一瞬でボスキャラを平定することができた。

ボス戦が終わると、100層のボスと同じリソースで実体化されていたユナも消えることになったが、ユナには迷いはなかった。ユウナは、消える前に旧SAO生還者から取得した記憶をそれぞれに返却し、エイジにも夢を覚えておいてくれたことに感謝して、消えていった。スタジアム内のボスキャラが一掃されたあと、重村は総務省の菊岡らに連行された。

翌日、ニュースではコンサート会場でのライブ終了後のモンスター出現は、サプライズ演出であったことが発表され、また重村は「オーディナル・スケール」開発元である、カブラ社社外取締役を辞任すると発表した。

そして、5月4日。いつもの酒場では、クラインの退院祝いに仲間が集っていた。しかし、キリトとアスナは堂平山で、約束したデートを楽しんでいた。キリトは、アスナに改めて指輪を嵌め、二人で仲良く星空を眺めるのだった。

そして、後日。菊岡は、本来犯罪者として逮捕拘禁されるべき重村を国家の超法規的措置により、不問に付す代わりに、ある地下室へ連れて行った。そこは、菊岡が秘密裏に関与する、ベンチャー企業「ラース」での次世代型フルダイブ実験機が置かれていたー。(SAO will returnという字幕で終了) 

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4.感想や評価(※ネタバレ有注意)

4-1.マニアでも初心者でも楽しめる集大成的な作品でもあり、映画らしい正統派グレードアップが施された傑作

単なる総集編や、それに毛が生えた程度のアニメ作品の劇場版が多い中、今作は既存の「設定」は正常な時系列で引き継ぎ、ストーリーは「完全オリジナル」で、作画やスタッフは大幅増強して「映画ならではのクオリティ」として製作された傑作となりました。

美しい夜景
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さすがに新海誠作品には負けますが、徹底したロケハンで描きこまれた東京都心の背景、アクションシーンの迫力ある動きは、もともとハイレベルなアニメ本編よりさらにグレードアップしています。

設定や登場人物は多めで、かなりめまぐるしい割に、ストーリー上の要点は「キリトとアスナが活躍して敵を倒す!」という紛れのない王道な設定だったのも、SAO初心者からマニアまで納得し易い流れだったのかも。

4-2.画面上での情報密度が濃い!

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また、「オーディナル・スケール」は、過去に大ヒットしたアニメ作品同様、とにかく画面での時間あたりの情報量の密度が高いことが挙げられます。各キャラのカメオ出演や細かい背景、細部まで考え抜かれたストーリー設定などは1度の鑑賞では全部押さえきれません。キリトが仲間たちとLINEやARでやり取りする画面なんか、明らかに見えづらいように小さなフォントで、しかもものすごい速さで画面を流れていってしまいます。今度行くときは一番前に座らないと・・・。

さらに、かなり作り込まれている割に、パンフやムック本などで事前に開示されている情報はすごく少ないのですよね。だから、ファンは劇場にリピートして一つ一つ確認しに見に行くしか無いんです。うまくやってくれたなあ!という感想です。(そして映画会社の策略どおり何度も行く羽目になりそうです/笑)

4-3.AR環境でのキリトの苦労とユイの意外な活躍

完全に運動不足で、かつ、幸せで満たされたキリトにいつもの無双ぶりが見られず、ちゃんとAR環境で活動するために剣道の練習をしていたり、昼間に一人でAR環境で剣を振るトレーニングをしていたのが印象的でした。(それでも、ユイや仲間が危険な目にあうと、スイッチが入ったように馬鹿力を発揮するのもキリトらしかった)

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それと反比例して、AR環境ではユイが常に皆からアクセスし易いからなのか、VR環境以上に役割が拡大していましたね。キリトの参謀として、またラストクライマックスでは仲間集めも全部担当するなど、実は影のMVPはユイだったんじゃないでしょうか。ユイの無双ぶりが凄かったです。

実際に、AR環境が我々の生活に入ってきた時、SiriなどのAIによるアシストは欠かせなくなってくるのかもしれませんね。

4-4.クライマックスでの「マザーズ・ロザリオ」に歓喜!

ラストのクライマックスにかけて、キリトのいつもの仲間たちだけでなく、ALOやGGOの仲間まで入り乱れて第100層のボスキャラに挑む中で、キリトの2刀流16連撃も良かったですが、アスナが満を持してユウキから受け継いだソードスキル「マザーズ・ロザリオ」11連撃を炸裂させていたのが一番印象的でした。わずか1秒間足らずでしたが、技を出す時ユウキもちゃんと描かれていたのは見どころだと思います。

5.伏線や設定などの解説(※ネタバレ有注意)

5-1.「オーディナル・スケール」の時系列位置付けは?

本作は、アニメSAOシリーズのここまでの総決算的な位置付けとされるオリジナル作品ですが、時系列的には、外伝「マザーズ・ロザリオ」と第4章「アリシゼーション」編の間で発生したイベントです。簡単に整理すると、こんな感じでしょうか。

★今作の時系列上での位置付けは・・・

・アインクラッド編(2022/11~2024/11/7)
SAOで茅場晶彦が仕掛けたデスゲームを、キリトがクリアするまでの話。アニメシリーズ第1期。原作第1巻~第2巻。
・フェアリィ・ダンス編(2025/1/20~2025/1/22)
アルブヘイム・オンライン内に囚われたアスナをキリトが救出し、アスナが現実へ帰還するまでの話。アニメシリーズ第1期。原作第3巻~第4巻。
・ファントム・バレット編(2025/12/7~2015/12/16)
キリト、菊岡の依頼によりシノンと共にガンゲイル・オンライン内の不可解な死亡事故を調査し、解決へと導く。アニメシリーズ第2期。原作第5巻~第6巻。
・外伝マザーズ・ロザリオ編(2026/1/6~2026/4)
アスナ、「絶剣」ユウキと出会い、ユウキ達と最後のクエストをやり遂げ、ユウキを看取る。アニメシリーズ第2期。原作第7巻。
・「オーディナル・スケール」(2026/4~2016/5/4)
今回の映画本編。AR環境オーグマーでの重村教授の計画阻止
・アリシゼーション編(2026/5~)
キリトの新たな仮想世界「アンダーワールド」での冒険がスタート。アニメ第3期か?原作第9巻~第18巻。

5-2.重村教授の狙いは?2人のユナの役割は?

重村教授は、ARゲーム「オーディナル・スケール」に、SAOで死んだ自身の娘「重村悠那」にちなみ、AIを実装した2体のデジタル・ゴースト「ユナ」を作成しました。SAO内のデスゲームで死亡した「悠那」を蘇らせ、AI搭載のデジタルゴーストとして永遠の命を与えるためです。

そのためには、かつてユウナとSAOで行動を共にしたSAO生還者達のユウナに関する記憶データを収集し、デジタルゴーストへとインストールする必要がありました。そのために開発したのが、「オーグマー」であり、プレイヤーに恐怖心を植え付け、効果的に記憶抽出するためのARゲーム「オーディナル・スケール」でした。

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黒い「ユナ」は、ゲーム内での無邪気なARネットアイドルとしてSAO生還者達の記憶収集を促進するために作られたAIです。記憶収集のクライマックスとして、黒い「ユナ」の大規模ライブが計画されました。

一方、白い「ユナ」は、各種ゲームイベントで収集されたSAO生還者たちの記憶を元に人格が形成されたデジタルゴーストです。高度な知性と良心を兼ね備え、やがて父親の計画を阻止するようになっていきました。

5-3.エイジとは誰だったのか?なぜNo.2だったのか

エイジの本名は、後沢鋭二。重村悠那の小学校からの幼馴染で、悠那とともにSAOで囚われました。本編でアスナが気づいたように、彼はアスナと一緒の攻略ギルド「血盟団」に所属しましたが、気が弱く、活躍できませんでした。積極的に攻略組へと参加して、命を落としてしまったユナを救うことができず、攻略組を逆恨みしたまま、SAO事件終了を迎えます。そして、今回「オーディナルスケール」で、重村に見出されて(というか利用され)ユナ復活計画の片翼を担いました。

彼は、オーディナル・スケールで一人だけ特殊器具を身につけることで、ゲーム内で最強キャラとして君臨しましたが、にも関わらず、常にゲーム内でのスコアランクで、「No.2」でした。そして、いつもNo.1は空欄になっていました。これは重村の意向で、SAO生還者の記憶収集が完了し、ユナが完成した時にユナにNo.1が与えられる予定だったためと思われます。

5-4.タイトル「オーディナル・スケール」の意味とは?

順位が最重要な世界
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映画内で説明はされていませんが、「オーディナル・スケール」とは、統計学の専門用語で、日本語に訳すると「順序尺度」。絶対数値の差異ではなく、大小関係のランク付けを重要視する判断基準のことです。

ARゲーム「オーディナル・スケール」では、ゲーム順位によって、ゲーム内での強さが決まり、ゲーム外でスポンサーから受けられる恩賞も変わってくる、いわば「順位」がすべての世界でした。

物語後半で、重村と茅場が「基数から序数へ」と言っていましたが、これも「1番目、2番目、3番目」といった「序数」を重要視する=ランク付けで全てが決まる世界観への移行について指摘していたのでしょう。

実際、2012年頃に一瞬流行した「Kloutスコア」なるSNS内での個人の影響力を数値化し、企業のマーケティングやサービス対象選定に使われた格付けサービスがありましたので、今回のSAO劇場版のようなサービスは今後流行してもおかしくはありませんね。(個人的には嫌ですが・・・)

5-5.ラストシーンまで気が抜けない!アニメ第3期アリシゼーション編への前フリか?

まるで最近のMARVELアメコミ映画作品のように、映画の最後に続編へのおまけがついているとは思いませんでした。ちょっとしたサプライズです。ネット上の噂で、「アニメ第3期」が決定したらしい、とありましたが、これのことだったのですね。

「ラース」という単語が菊岡のセリフから聞こえましたので、ソードアート・オンライン原作で、第9巻~第17巻まで9巻分かけた「アリシゼーション」編がスタートするのでしょうね。アニメ化した場合、4クール分位の分量はゆうにあるので、第3期、第4期とやっていってほしいです。夏以降に大期待!ですね。

6.まとめ

2010年台に入って最も世界で売れているライトノベルNo.1の実力はやっぱり凄かったです。ライトノベル特有の「女子だらけ」、最後は主人公の「無双状態」で解決するっていうお約束はあるものの、確実にここで提示されているARやVR、そしてAIが絡んできた世界観は、日本の現実の数年先を行く優れた近未来のコンセプトだと思います。

この先、3期目のアニメ放映も決まっているようで、SAOの世界はますます楽しみ担ってきますね。

それではまた。
かるび 

他にもレビュー書いてます!
【映画レビュー】2017年2月現在上映中映画の感想記事一覧

7.映画をより楽しむためのおすすめ関連映画・書籍など

劇場版SAO「オーディナル・スケール」オリジナルサウンドトラック

今作品は、とにかく音楽が良かったです!ユナ(CV:神田沙也加)が歌う劇中歌4曲+エンディング1曲を含め、場面場面に応じたスリリングな全50曲は聴き応え十分でした。アニメ第1期、第2期との雰囲気もバッチリあっていました。僕も劇場で買いましたが、Amazonでもかなり売れているようですね。

アニメ「SAO第1期」

第1期の「アインクラッド」編と「フェアリィ・ダンス」編の全25話を網羅した愛蔵版です。まだ未見の人は、絶対見ておいて欲しいシリーズです。

なお、Amazon Primeだと無料で見れます。Amazonビデオで見ると、1シリーズ200円×25話=5,000円かかりますので、一気見したいのであれば、年間3980円のPrimeに入会してしまったほうがお得ですね!

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アニメ「SAO第2期」

第2期は、海外生産のブルーレイが廉価でおすすめです。シノンが大活躍する緊迫の「ファントム・バレット」編、RPGらしい冒険譚のALO外伝「キャリバー編」、そして涙なしでは見れない「マザーズ・ロザリオ編」と、珠玉の3編があります。これを全部見ておくと、劇場版が120%楽しめます!

なお、第2期の動画配信は、2017年2月18日現在U-NEXTのみです。初月は入会無料で、24話全話パックで3548円(600円分はサービスなので、実質2948円で視聴可能)で見れます。初月無料期間中に全部見れば、基本料金はかかりません!僕は、映画公開前にU-NEXTでまとめて全話チェックしました!

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ソードアート・オンライン・マガジン第3号

昨年から電撃PlayStationの増刊号として、およそ隔月ペースで出版されています。第1号はAmazonマーケットプレイスでカルト的人気になるなど、売り切れると増刷がかかりにくい模様。第3号では、劇場版SAO「オーディナル・スケール」総特集他、TV版全話総括、全バトル解説がつくなど、ちょうど劇場版の前の復習にピッタリの1冊です。

その他のSAOグッズはこちらからどうぞ! 

これまで、アニメ版DVD-BOX、各種グッズ、オリジナル小説、外伝、など、様々な関連商品がリリースされてきた「SAO」シリーズ。下記リンクに、それぞれAmazon、楽天の関連グッズのページを整理しました。よろしければ、ご活用ください!

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